紅魔館の奴隷   作:ハクキョミ

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針妙丸の証言

幻想郷でも、特に危険度が高い無縁塚。

そんな場所にダウジングロッドを持った鼠の妖怪が彷徨いている。

ナズーリンという名の妖怪である。

「めぼしいものは…」

同じ場所を行ったり来たりを繰り返している。

傍から見れば徘徊している人のようだ。

ダウジングロッドが震えた。

すかさずそちらに向かう。

「…?」

自分しかいないと思っていた無縁塚に誰かがいる。

容姿的に香霖堂の店主でないことが分かる。

ナズーリンはその誰かに近づき、声をかけた。

「君、ここで何をしている」

誰かはビクリと震え、こちらを振り向いた。

口元は血で真っ赤に染め、手には人間の死体を持っていた。

ナズーリンに聞こえるほど荒い息をたてている。

食事の際の興奮だろうか。

「失礼。食事中だったか」

ナズーリンは一礼し、その場を後にする。

少し離れて振り返る。

「…あんな妖怪、初めて見たな」

ナズーリンの視線の先には、未だに人肉を貪っている妖怪の姿が映る。

 

 

奴隷は永遠亭の一つの病室から出た。

「どうだった?」

片膝を立てて座っている妹紅に視線を移す。

「針妙丸から話を聞けたよ。驚くほどすんなりな」

八意先生から部屋を借り、ちゃぶ台に熱々の煎茶を淹れた湯呑みを置く。

「それで?」

妹紅の質問に、煎茶を啜ってから答える。

「あの大量の札の部屋には、やっぱり何かが封印されていたらしい。そして、その場所に案内したのは情報提供者なんだとか」

「情報提供者?」

「正体については不明だ。常に面を被って正体を隠していたと」

「あの洞窟にそんな死体は無かったな」

奴隷は、針妙丸が話してくれた内容を書いた紙を出す。

「その情報提供者が針妙丸達を閉じ込めたと言う。最初から殺すつもりだったのか」

「封印されていた妖怪は情報提供者を襲わなかったのか?不思議だな…」

二人で考えているうちに煎茶がぬるくなってしまった。

それを一気に飲み干す。

「そういえば、正邪の時も規格外な異変だった。紫さんの程度の能力を盗んだからな」

「それも情報提供者が絡んでる?」

「可能性として入れても問題ないかも」

奴隷は部屋を出て廊下を眺めた。

「椛と妖夢はどこに行ったんだ?」

「ああ、奴隷が針妙丸と話している時にある事件が起こったんだ。人里で人間が失踪したらしい。それの調査に向かってる」

「なら俺達も行くか。針妙丸からは話を聞けたし、後は先生に任せれば大丈夫だろ」

妹紅は頷き、二人は永遠亭を出た。

 

 

奴隷と妹紅が人里に着いたのは夕暮れ時だった。

無事に椛と妖夢と合流する。

「あからさまに空間を割った跡があった。でも、八雲紫はあんなに乱雑に空間を割らないと思うが」

「空間を…?」

「こう、パリーンとね」

椛は拳で空を切る。

その後の話を聞くと、失踪した人間は見つからなかったらしい。

代わりに、辺り一面に血痕が飛び散っていたことからなんとなくその人間の末路が分かってしまったと言う。

「ここらへんは稗田邸が近いな。空間を割る、封印されていた妖怪、まとめて見るとかなり危険だ。情報でも仕入れてくるよ」

奴隷は稗田邸に、椛と妖夢と妹紅は引き続き調査に向かった。

封印されていた妖怪…無鬼夜行はすでに人里にいた。

新たな人肉を求めて。

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