霧雨魔理沙という自称魔女に貰ったキノコは未だにしなびれていない。
そんなキノコを不思議そうに眺めながら、檻から出してくれるのを待つ。
「奴隷ー!」
今日も掃除かな、と思いながら振り返ると、まだ朝なのにフランドールがそこにいた。
「フ、フランドール?この時間はいつも寝ているんじゃ…」
「えへへ。今日は奴隷と遊ぶために早寝早起きしたの!」
「…俺と?」
ぱっと思いついたのはゲーム。
しかし、この紅魔館には何故か機械類らしきものがない。
「何で遊ぶんだ?」
フランドールのベットの周りにある遊具を見ながら質問する。
ボールやお絵かき用の紙、人形などが視界に映る。
てっきりあれらで遊ぶものかと思っていた。
しかし、フランドールが取り出したのは一枚の紙。
何やら絵と文字が書いてあるだけの、ただの紙。
「お絵かきでもするか?」
紙を見て、奴隷はお絵かきでもするのかと思った。
しかし、フランドールは首を横に振った。
「弾幕ごっこ」
「…弾幕ごっこ?」
紅魔館に居てから半年経つ。
弾幕ごっこ、という単語は美鈴からの話で聞いたことはあった。
「(スペルカード…っていうやつか)」
確か美しさで勝負が決まる、と美鈴は言っていた気がする。
「分かった。それで遊ぼう」
檻から出て、フランドールから一定の距離とる。
「スペルカードは三枚ね!それじゃあいくよ奴隷」
フランドールは三枚から一枚を選び、宣言する。
「禁忌『クランベリートラップ』」
フランドールを中心に、赤色と青色の弾幕が放たれる。
「うおっ!?そういう感じか!?」
美鈴の話から聞く限りではてっきり見せ合うものと思っていたが、明らかに当てに来てる。
弾幕シューティングゲームはプレイしたことあるが、まさか3Dで、なおかつ現実で自分が体験できるとは思わなかった。
初めての経験に心が踊る。
必死に弾幕を避け続けていたが、全て走って避けているためにかなり疲れる。
よく見ると、フランドールは飛んでいる。
それがかろうじて見えただけで、とても弾幕の美しさを見れる余裕はなかった。
「フランドール!ストップストップ!」
奴隷の声に、弾幕は止む。
「どうしたの?あと二枚残ってるよ?」
「いや待て、普通にキツイ。フランドールは飛んでるからいいけど、こっちはずっと走ってるんだよ。これじゃあフランドールのスペルカードの美しさが見えないし、つまらないと思う。疲弊して止まっているところを当ててもつまらないだろ?」
息を切らしながら言う。
一枚でここまで疲れるのに、あと二枚もあるなんてしんどい。
ここで生き残るには、なるべくフランドールの機嫌を損ねないことだ。
しかし、このままでは翌日筋肉痛コースだ。
「飛べるフランドールが避ける側の方が楽しいと思う。俺が攻めをやるから、それでどうだ?」
「でも奴隷、スペルカード持ってるの?」
「借してくれ」
フランドールからスペルカードを借り、書いてある文字を宣言する。
「禁忌『レーヴァテイン』」
そう宣言したが、スペルカードからは弾幕が発生しなかった。
それを見ていたフランドールは意味を理解した。
スペルカードというのは
発生している弾幕は個人の能力によるものなので、当然奴隷がレーヴァテインなんて放てるわけがなかった。
奴隷はその事を知らない。
「…あれ?」
奴隷はスペルカードに書いてある文字をもう一度宣言する。
しかし、弾幕は発生しなかった。
「ねぇ奴隷。スペルカードっていうのはただの宣言用の紙なんだよ?それ自体に効力はないの」
「…マジで?」
フランドールの説明により意味を理解した奴隷は、渋々フランドールにスペルカードを返す。
しかし、スペルカードがフランドールの手に触れた時、フランドールの妖力にあてられたせいか、レーヴァテインが奴隷の目の前で発生した。
「えっ」
当然奴隷は避けられるわけがなく、近くにいたフランドール共々ピチュった。
倒れている二人が発見されたのは、咲夜が夕食だと呼びに行った時。
咲夜は二人を見てこう思った。
何故残機が一のままやったのだろうと。