紅魔館の奴隷   作:ハクキョミ

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宴会での交流

紅魔館内のメイド妖精達が慌ただしい。

それは咲夜も奴隷も例外ではない。

「奴隷!料理を運んで!」

「今運んでるっての!」

カートに宴会用の料理を置いて、ガラガラと音をたてながら運ぶ。

既にホールには大勢の人がいて賑わっていた。

宴会用テーブルに料理を置き、その場から立ち去る。

「(たくさん来たなぁ。これ全員幻想郷に住んでいる人ってことか?)」

二階からホールを眺める。

「…すげぇな。外の世界ではハロウィン以外ではこんな光景は見えないな」

ここから見えたのは、巫女さんにあの時の泥棒魔女。

さらに頭から角が生えた…おそらく鬼に、刀を背負っている少女までいる。

その他にも個性豊かな人達がいるのだが、多すぎる。

宴会の内容は、「異変」とやらが解決したかららしい。

奴隷にはさっぱりだが、とにかく外で何か問題でもおきたのだろう。

「(よく見りゃ…全員女性だな。幻想郷って女性だけの世界?)」

宴会に参加している全てが女性に驚く。

ここにいるのが場違いな気がしてきた。

この場から離れよう、と思った時、何者かに声をかけられた。

「そこの人間さん。少しいいかしら?」

「!?」

突然の声に振り向くと、周りに白い…幽霊みたいな物が浮かんでいる女性がいた。

足元を見ると浮かんでいる。

目の前の女性が幽霊だと分かるのに、そんなに時間がかからなかった。

「何でしょう?」

「妖夢っていう半人半霊を探してるんだけど…知らないかしら?」

どうやら人探しのようだ。

しかし、半人半霊とは何だろうか。

「その人の容姿とか分かります?」

「刀を二本持ってるわ」

「あぁ、それなら…」

刀を二本持ってる人なら先ほどここから見えた。

「あの人じゃないですかね。妖夢さんは」

指をさして幽霊の女性に知らせる。

「あら、あんなところにいたのね。ありがとね人間さん♪」

ふよふよと浮きながら、妖夢の元へ向かっていった。

「(…幽霊が目に見えるなんて、俺って霊感高い?)」

自分の霊感に驚きつつも、今度こそこの場を後にする。

 

 

しばらく別室で暇をしていたが、メイド妖精に呼ばれて再びホールへ向かう。

両手に酒瓶を持ち、目の前で酒をグイグイ飲んでいる…おそらく鬼が座っているテーブルに酒瓶を置いた。

「おっ、悪いねぇ〜」

自分よりも背が小さい鬼にお礼を言われる。

小さな鬼が酒瓶に手を伸ばした時、その手が止まる。

「…見ない顔だねぇ」

「そ、そうですか?」

紅魔館にはかなりの数がいるはずだが、それでも見分けがつくのは妖怪だからなのだろうか。

小さな鬼は酒瓶の蓋を開け、奴隷に突き出す。

「あんたも一杯どうだい?」

誘いに戸惑うも、ここに来てしまった原因がお酒のせいかもしれないので、トラウマを感じて拒否をした。

「なんらー?私の酒が飲めないって言うのかー?」

「お酒にはちょっと抵抗がありましてね…。仕事があるので、それでは」

半ば強引に話を切り、小さな鬼から逃げるように離れる。

「(またお酒なんか飲んで、起きたら別世界とかなってたら最悪だわ。現状維持現状維持っと)」

距離をとったことを確認し、再び別室へ向かおうとすると、視界にあの時の泥棒魔女…霧雨魔理沙の姿が見えた。

魔理沙は料理の味付けのためのタレをキノコにつけて食べていた。

「(そういや魔理沙に貰ったキノコがあったな。食べてみるか)」

キノコの一部をちぎり、タレにつけて食べる。

「(美味いな)」

続けて食べようとしたが、たまたま近くにいた魔理沙と巫女の会話を聞いてしまった。

「また変なキノコじゃないでしょうね?」

「安心しろ、これは大丈夫なやつだぜ。しいてゆうなら、この前紅魔館にいた男にあげたキノコの方が食べちゃいけないやつだぜ。魔法の森の最深部に生えてたキノコだしな」

「うわ、絶対瘴気に晒されてるじゃない…」

その話を聞いた奴隷は、魔理沙を殴りたい気持ちを抑えつつトイレに行って盛大に吐いた。

 

 

「泥棒に貰ったものを信用した俺が馬鹿だった」

一応キノコはとってあるが、二度と食べようとは思わない。

ホールに行って魔理沙を殴ろう、と思ってホールに向かっていると、近くの部屋から美しい音色が聴こえてきた。

「(楽器?それにしても気持ちが落ち着く音色だな)」

先ほどまで魔理沙を殴りたい気持ちが薄れていった。

しばらく音色を聴き、演奏者がいる部屋の扉を開ける。

「いい音色ですね」

部屋に入って、そう言う。

部屋の中に居たのは、金髪のショートボブの女性だった。

「あ、ありがとう。それよりもう時間?」

「あ、いえいえ。近くを通りかかったら美しい音色が聴こえてきたのでつい」

時間…とは、おそらくレミリアが言っていた宴会の締めの演奏の事だろう。

「俺は初めて聴きますので…とても楽しみにしています」

「期待に応えれればいいですけど」

そう言って、演奏者は再び練習を始める。

そういえば、と思って演奏者に質問する。

「失礼ですが、お名前は?」

「ルナサ・プリズムリバーよ。貴方は?」

「俺は…」

と言いかけた時、別の女性の声が奴隷の言葉を遮った。

「姉さん、そろそろだってよー!」

「私達も準備しないと…おや?」

二人の女性が奴隷の存在に気づく。

「あぁ、この子達はリリカにメルラン。私の妹よ」

ルナサはそう紹介する。

「三姉妹か。…えーと、そろそろのようですし俺はこのあたりで」

邪魔をしてはいけないと思い、奴隷はルナサ達の部屋を出る。

廊下を歩きながら、最後の演奏を聴くのが楽しみだ、と呟いた。

 

 

「そろそろか」

時計を見て、ホールに移動する。

ホールには、先ほどまでの騒がしさが嘘のように静まっていた。

皆、ホールの舞台に注目している。

舞台にあの三姉妹…ルナサ・プリズムリバーを中心にメルラン・プリズムリバー、リリカ・プリズムリバーが揃った。

そして、宴会の最後を締めくくる演奏が始まった。

「(…初めて心に響いたかもな。プリズムリバー三姉妹って凄いな)」

終始、プリズムリバー三姉妹から目を離すことなく演奏を聴いていた。

演奏が終わった時には、思わず立って拍手をした。

そんな奴隷に気づいたのか、ルナサがこちらに向かって手を振ってくれた。

奴隷も小さく返した。

プリズムリバー三姉妹が退場するとともに、宴会に来ていた人や妖怪達が帰っていく。

後に残されたのは、汚れた食器。

奥からメイド妖精達がぞろぞろと集まってくる。

「さぁ、片付けるわよ。片付け終わるまで睡眠禁止!」

「はい!」

咲夜の号令によって、メイド妖精達は片付けを始める。

奴隷も片付けを始める。

結局、片付けに食器洗いを含めたら朝までかかってしまった。

あぁ、食洗機が恋しい。

 

 

 

 

 

 

 

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