双子の姉と友達を守るためだったら無機物だって殺して見せる!   作:ねふてぃー

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 最近、前書きのネタがなくなってきました、ねふてぃーです。感覚的には本日二度目の更新ですね。さて今回は織斑一夏の視点です。いつものように、ゆっくりとみて行ってくださいね。


家出をした少年

 俺は家出をした。唐突に言って悪いとは思っているけど、俺は家にいることが耐えられないと思うほど、心が疲れていた。優秀な姉と兄、いい成績をとったとしても姉たちがそうであったため、それが当然だと流される。剣道にしてもそうだった。姉は三日で師範を超え、兄も十日で師範と同じ領域にまで届いた。兄と同時期に始めたが、いつまでもその領域に届くことなどはできなかった。

 家事もできない兄と姉の代わりに、俺が家事をする。料理本を見ながら料理を作っていたが、最初は分量のミスなどでおいしい料理を作ることが出来なかった。それでも、姉たちから一つでも勝てるものがほしくて必死に家事に取り組んだ。いつしかおいしい料理が作れるようになっていた。兄と姉にそれを出した時があった。三人分作ったはずなのに、俺の分すらも二人は食べた。それだけではない。二人が料理を食べているとき、俺は外に出されていた。

 

 と、こんなこともあり、俺は家出をした。何処に行くかあてもなく、唯一心の癒しをくれたあの人はどこにいるかわからない。あの人の妹はダメだ。兄にぞっこん?で俺にはすぐに竹刀で殴りかかる。手加減を知らないあの妹は俺の腕をへし折ったとしても謝るということをしないだろう。もう、この生活は嫌だ。

 ぐぅぅぅぅぅ。あぁ、お腹がすいた。動くこともままならない状態になってきた。

 

「そういえば…ここ最近、まともに食事をとったことがなかったっけ。一週間のうちに…食事は三回くらいだっけ?」

 

 ふらふらになりながらも、どこかの公園に着く。水道で水を飲み、胃を水でいっぱいにする。何も食べないよりはマシだろうと思いながらも、水を飲む。

 

「水分補給もできたし、ちょっとそこまで歩いていくとしようかな」

 

 確か、この公園には廃れた神社があったような気がした。そこまでちょっと歩いていこうかなという軽い気持ちでその場所に向かった。…それはある意味間違いだったのかもしれないし、正解だったのかもしれない。

 目的の神社に着く寸前、近くの木に誰かがいた。…確か、あれはクラスメイトの布仏本音さんだった気がする。兄が狙っているとか何だった気がするけど、そもそも興味がなかった為、人の名前すらもまともに覚えていなかった。あんなクラスメイトもいたよなーという軽い気持ちで、その人の視線の先を見る。するとそこには、

 

『短刀で自分の左肩を切断する更識刈夜の姿』

 

 があった。学校では無表情で、何時も楽しくなさそうにしている更識刈夜が、歪な笑みを浮かべ楽しそうに鼻歌を歌っていた。学校とのギャップが大きすぎて、思わず倒れそうになる。布仏本音はどうしているかとちらりと目を向けると、倒れていた。グロに耐性がなかったのだろう。それにしても、更識刈夜のどこまでも蒼いあの目、まるで俺の眼のようだった。

 

「…布仏を家に送り届けるついでに、ちょっと料理を作らせてもらえないだろうか」

 

 布仏を背負い、家へと向かう。住所だけは以前に配布された全員の住所が書かれた紙で覚えているため、問題はない。一つ問題を挙げるとするのであれば、俺、いきなり殴られたりとかしないだろうか。ISという代物が出てから、学校も日常生活も女尊男卑に染まり、ISを使っていない女たちも男をこき使うようになった。幸い学校では更識刈夜という存在のおかげでそれは起こっていない。

 

「それにしても…軽すぎるだろ。本当に食事してるのか?…あ、俺が言えることじゃねえな」

 

 カラカラと笑いながらも、目的地に着く。広い屋敷の手前には門があり、和風建築に似合わないインターホンが設置されていた。一度インターホンを押すと、女性の声が聞こえてくる。

 

『どちら様でしょうか?』

「あ、織斑一夏です。公園で気絶していた布仏本音さんを届けに参りました」

 

 インターホンの向こうからガタッという音が聞こえてくる。何かまずいことでも言ったのだろうか?そんなことを考えていると屋敷と外の世界を隔てる門が開き、一人の女性が出てくる。見慣れない制服をきた人が俺の背負う布仏を持つ。よく見てみれば、どこか布仏と似ているような気がする。…姉か何かなのだろうか。

 

「ここまで本音を運んできてくれてありがとうございます。折角ですし、お茶でもいかがですか?」

「あ、ありがとうございます」

 

 その人の言葉に甘え、家に入る。無数にある部屋の一室に案内され、座る。音もなく消えたと思ったその人は、いつの間にかお茶と和菓子を持ち、部屋の中にいた。ジャパニーズニンジャ‼と叫びそうになった俺は悪くないと思う。

 カタリと湯呑と和菓子の乗った皿が目の前に置かれ、俺と反対の場所にはその人が座った。

 

「毒なんか入っていませんよ」

「そ、それじゃあ、いただきます」

 

 久しぶりの食べ物ということもありがっつきたいという気持ちがあるが、どうにかこうにか抑え、ゆっくりと味わうようにして食べる。本当に久しぶりに食べるため、一生懸命噛み、お茶をごくりと飲む。気が付けば、目の前にはお茶も和菓子もなくなっていた。

 

「す、すみません。一人で食べてしまって」

「いえ、気にしないでください。私も誰かにおいしそうに食べてもらえてうれしいです」

「そ、そうですか。…いつまでもここにいるのは失礼ですよね。ここで、失礼させていただきます」

 

 久しぶりに栄養補給もできたし。その言葉を飲み込み、更識家を後にしようとすると、突然腕を掴まれる。何事かと思い腕をつかんだ相手を確認すると、先ほどまで目の前で座って話していたその人だった。突然腕を掴まれたことにも驚いたが、それ以上に振りほどけないことにも驚いていた。…きっと表情は変わっていないだろうけどね。

 

「どうしたんですか?長い時間お邪魔するのも悪いので、家に帰りたいのですが」

「嘘ですね。あなた、家出でもしたのでしょう。そんなボロボロな体で何処に行くつもりなのですか?」

「どこでもいいでしょう?あなたには関係がないでしょう?」

 

 眼を開き、わずかに力を解放しようとするとき、更識刈夜が返ってきたらしい。今まで倒れていた布仏本音が涙を流しながら、抱き着きに行く。あーあ、完全にこの場所を出ていくタイミングを逃したな。そんなことを思いながら、意識が薄れていくのだった。

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