「なんだよ…これ…」
玲は目の前の光景に言葉が出なかった。
この学園に転校してから住んでいた街が荒廃しきっているのだ。
しかも最近なったというわけでもないような廃れ具合である。
「…そうだ!伊緒とまなに連絡を…!」
この異常事態に玲は幼馴染たちの安否が気になった。
特にまなは怖がりなので今頃泣いているかもしれない。
しかし二人に電話をかけてもどちらも通じなかった。
「くそっ…!」
ケータイをポケットにつっこむ。
「どうすればっ…!…ん?」
困惑していると目の前に一匹の黒猫現れる。
黒猫はこっちをちらちら見ながら校舎のほうに歩いていく。
「ついてこいってことか…?」
何が何だかわからないが、とにかくここから動かないのも埒が明かないので黒猫についていくことにした。
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猫について行ってる途中に気づいたことがある。
それは人がいないということだ。
いくら放課後でもまだホームルームが終わって30分もしていない。
それにいつもなら部活生も大勢いるはずだ。
そんな事を考えているとすぐ後ろで爆発が起きた。
「なんだ!?」
振り向いてみると黒い生き物(?)が校舎の陰から出てきた。
「はあぁぁぁ!!!」
するとどこかで聞いたことのある声が聞こえた。
その瞬間その黒い生き物がいた場所に何かが降ってくる。
大きな砂煙が舞い上がり大きなクレーターができる。
煙が晴れると黒い生き物はいなくなっており、代わりに紫色の服を着た人物が立っていた。
「よーし、やったね!」
「伊緒!?」
「へ?れ、玲!?それに隊長さんまで…」
幼馴染だった。
「そ、それよりなんで玲がこの世界にいるの!?」
「それは俺が聞きたいよ!ここはどこでさっきの黒いやつはなに!?てかその恰好とか手についてるやたらゴツイものとか!!」
二人して大混乱である。
それもそうだ。いると思っていなかった人物が目の前にいるのだから。
すると混乱している二人のもとに次々とメンバーが集まってくる。
「伊緒ちーん。あれ?なんで玲ちんもいるの?」
「おお、転校生さんまた会いましたね」
「みんなお疲れ様…って、え!?」
「あれ?誰?」
色とりどりの服装をした四人が集まる。
「なんで一般生徒、しかも男子がここに!?」
赤い人がワタワタする。
なんでここにいるのかは俺が聞きたいくらいだ。
「椿芽落ち着いて。とりあえずティエラ先生に報告しよう」
伊緒が椿芽というらしい赤い人を落ち着かせてからスマホのようなものでティエラ先生とかいう人に連絡をしている。
すると急に足に力が入らなくなる。
「ちょ、玲!?」
「玲ちん!?」
そんな声が聞こえたところで俺は意識を手放した。
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「…はっ!!」
目が覚めると見たことのない部屋だった。
たぶん医務室かそこらだろう。
そこで意識が途切れる直前のことを思い出す。
「さっきのは…夢か?」
いや、夢に違いない。
同級生たちが何かと戦っているなんて妄想もいいところだ。
「夢にしたい気持ちもわかりますけど現実ですよ」
声の主が部屋の扉を開けて入ってくる。
「ゆか子先生…。夢じゃないってどういうことですか…?」
「言葉通りです。あなたが先ほど見た光景は紛れもなく現実に起こっているのことなのです」
「…どういうことか説明してくれますか?」
「百聞は一見に如かず。ついてきてください」
俺はベッドから出て先生の後をついていく。
医務室から出るとそこは学園の廊下ではなかった。
「ここは…?」
「ここはエテルノと呼ばれる場所です」
「エテルノ?」
「はい。実はあなたが通っている五稜館学園は学校のほかにもう一つの顔を持っているのです」
歩いているとすぐに大きな扉の前に来た。
「それは全国からある特殊能力を持つ人材を集め、
その扉が開かれるとそこにはあの五人がいた。
「玲ちん!目が覚めたんだね!」
「よかった。いきなり倒れるんだもん、びっくりしたよ」
幼馴染二人が心配の声をかけてくれる。
「ああ体調はもう大丈夫だ。腹は減ってるけど」
「あ、じゃあ私が何か作ってあげるよ」
「それじゃあ私のもよろしくです」
「オッケー!ちょっと作ってくる!」
「悠水、まだ説明終わってないよ!」
「おぅ、失敬失敬」
なんか漫才みたいなことをしている三人。
朝校門で会った澄原といろいろとやらかしてるらしい俺と違う意味での問題児の沙島悠水。
それから意識が途切れる前に伊緒が椿芽と呼んでいた女子だ。
「それでティエラ先生、彼は?」
「ティエラ先生?」
ここで先生と呼ばれている人間は一人だけだ。
つまり…
「ゆか子先生がティエラ先生…?」
「はい。五稜館学園の新米美人教師小田切ゆか子は世に忍ぶ仮の姿…本来の姿は時空管理官ティエラなのです」
「」
なんだか急展開すぎて頭が追い付かない…。
いろいろと情報が多すぎるし内容が濃すぎる。
「それで美山さんの質問について答えると、彼は日向玲くん。五稜館学園唯一の男子生徒です」
小田切ゆか子あらためティエラは俺について簡単に説明する。
「彼の能力は全国でもトップクラスであり、それによって特例としてこの学園に呼んだのです」
「この不自然な転校にはそんな理由があったのか…」
思えばおかしいのだ。
今後共学になるという話もない新生の女子校に男子が一人だけ転校なんていうのは。
「まぁとりあえず細かい説明は後でしますがその前にこれを言っておきましょう」
コホン、と一つ咳払いをするして先生が俺に向き直る。
「改めまして…ようこそエテルノへ、日向玲くん」