ゆっくりと更新していくつもりです。
ですが1話1話しっかりと書いていきます。
お楽しみいただけると幸いです。
超能力、それは人類のひとつの夢といってもいいだろう。
世界中の人、国が人間を超えた能力を欲している。
もちろん利益、軍事力など理由は様々だが、その中でも日本人は異能へのあこがれというものが強いように思える。
もし人の心が読めたら。もしモノを触らずに動かすことができたら、触るだけで過去を読み取れたら、電気、炎を発生させることができたらどんなに興奮するか。
日本人ではそんなことを考えたことがない人間の方が少ないだろう。
日本、I県K市にその奇妙な子どもはいた。
一切、明るい色が入っていない黒髪、気の強そうなつり上がった目、春先の新緑を凝縮したかのような鮮やかな緑色の瞳、健康的とは言えない一切日焼けをしていない雪のような肌、人形のような顔立ち。そしてすこし唇が厚いが、その唇が人間らしさを感じさせ、健康的な魅力を加えていた。
一見、性別の見分けがつかないようではあるが、かろうじて女の子とわかるという中性的な容姿をしてる。
容姿も異質ではあったがその子どもの表情、雰囲気が余りにも子どもらしくなく奇妙な雰囲気を醸し出していた。
場所は小学校の校庭、生徒は昼休みということもあって男子生徒はサッカーに熱中し、自女子生徒の姿は少ない。
まだ声変わりもしていない小学生特有のキーが高い歓声が校庭でこだまする中、その奇妙な生徒はひとり人目が少ない体育館の裏へと歩いていった。
大阪、京都、都市圏などでは珍しいが、ここK市などの田舎では私立でなくとも小学生から制服を着ていることは珍しくない。
少女は紺色のブレザー、スカートを見事に着こなし、幼いながらも怪しい魅力を周囲に振りまいている。
自身が周囲に注目されやすいということは嫌になるほど理解していた少女は、人に見られていないことを確認しつつ、体育館裏へと到着した。
人気のない体育館裏で少女はいつもとある訓練をしていた。
少女が目を細め、転がっている小石を見つめる。
するとどうだろう、動くはずのない小石が震え、やがで宙に浮いていくではないか。
そして浮いた小石が加えられた圧力に耐えられなくなり、やがて砕ける。
少女自身は気がついていないが、少女はドヤァ・・・と言いたげな顔をしていた。
「ここまできた・・・。おれは人間をやめるぞ!ジョジョーーッ!!」
などと言いながらどや顔をしつつ手を振り上げる。
少女に幻想を抱いている同学校生徒、教師がみると目を疑うような光景だがこの少女、ノリノリである。
その少女は石で出来た仮面を持っていたわけでもなければ、他の方法で吸血鬼になったわけでもない。
しかしその鮮やかな緑色の瞳には、半透明で未だに形が揺らいではいるが1mほどの人型がうつっていた。
少女はその不安定な人型を自身ではこう呼んでいた。
傍に立つ (Stand by me)もの、立ち向かう (stand up to)ためのもの。
スタンド!!
その後も、少女は小石を持ち上げる、木の枝を曲げるなどといったことを試してゆく。
昼休みが終わる頃、満足したように自身の教室へと戻っていった。
誰が言い始めたのか、二次創作などで転生者という言葉を目にすることは多い。
しかし転生者という言葉は実際に無い。
仏教で言われる転生、生まれ変わりをした者という意味では誰もが転生を繰り返していると言われている。いってみれば誰もが転生者ということになる。
しかしネットスラングとも言えるこの言葉は違う。
記憶を持ったまま生まれ変わったもののことを指してこの言葉が使われるのである。
なぜか生まれ変わりでなく、死亡後、異世界へ移動したという場合やある人物に憑依した際にも転生者という言葉が使われるようになり、意味合い的には以前の生とは違う体になり、異世界で第二の生とも言えるものを手に入れた者全般を指す言葉となっている。
そしてこの物語の主人公であるこの少女も俗に言う転生者の一人である。
少女の名前は一条徐倫(いちじょうじょりーん)。
日本人らしくない名前ではあるが、アメリカ人の父と日本人の母をもつことから周囲ではそれほど不自然に思う人間は少なかった。
父は日本の大学で教鞭をとっており、母はファッションデザイナーという華々しい両親である。
徐倫は生まれたときまだ自我がはっきりしておらず、自身が柔らかいどろどろとしたものになったかのように感じていた。
そしてゆったりと水中に漂っているような浮遊感、全能感が感じられた。
やがて時が経つにつれ感覚がはっきりとしてくると意識もはっきりとしてくる。
以前の記憶がだんだんとはっきりしてくるにつれ、自身が生まれ変わったということを自覚した。
はっきりと自我が戻ったのが5歳程である。
それまでは夢の中にいるように現実感が感じられなかった。
ある日突然全てを思い出した、といわけではなくだんだん思い出していったのである。
前世は男性であったが、それほど違和感があるわけではない。
男性の内面を知っているという点で少々、男嫌いになってはいるが脳が女性である構造のためか自身が女性であるということにそれほど違和感がなかった。
生まれた頃からの特殊な精神構造のためか今では中性といっていい精神を構築している。
未だに第二次性徴が始まっていないためなんとも言えないが、将来的に恋愛感情に何らかの影響があることが予想された。
そして徐倫は自身の名前を知ったとき、両親がジョジョファンなのだろうかということを考えた。
こいつぁ、第二の人生ハードになりそうだぜ、と子供らしからぬ表情を浮かべたものだが、どうやら新しい人生ではジョジョが存在しないようなのだ。
かといって父がヒトデの論文を書いたり、海洋冒険家をしているわけでもない。
前世でジョジョの奇妙な冒険のファンである徐倫は単行本を全巻買い揃えていたし、主人公の誇り高さに憧れていた。
新しい人生でジョジョという名前を得ることができ、彼女はそれだけでも嬉しかった。
新しい人生も異世界というわけではなく、地球のしかも日本に生まれたということがとてつもなく幸運であるということは分かっている。
時代は自身が生きていた時よりも少し前であるが、ジョジョが無い平行世界に転生出来たのだろうと当たりを付けた。
ただ一つジョジョの奇妙な冒険を読むことができないということが非常に残念ではあったがそれでも考えられないほどの幸運であった。
両親とも高所得、容姿淡麗、前世が大学を卒業しており学力も問題なく、両親が国際結婚のため英語もネイティブと同じように会話できるといった何不自由しない新しい人生だったが、その上徐倫にはもう一つだけの特別(スペシャル)があった。
そう、超能力である。
三歳頃から空中に動き回る光が見えたり、意識すると空気中のほこりを動かしたりすることができた。
前世の記憶があったからそれが異能であると気づけたものの、もし無垢な子どもであったならば気付かずに成長し注目を集めていたかもしれない。
しかし、徐倫はそれを秘匿した。
テレビから流れてくる情報では前世の世界とそれほど変わりなく、異常なものであるということを悟っていたのである。
そして超能力は訓練するにつれその威力を増していく。
ホコリが、小石、水のように重さを持つものも動かすことができるようになり、パワーがましていった。
しかしその能力も使いすぎると体力を消耗するようだ。
実際に使いすぎて鼻血が出てきて、母に大騒ぎされたこともあった。
徐倫は超能力が体に負担をかけるものであることが分かったため使いたくないという思いが少しはあったが、超能力への憧れ、そして自信の名前のこともあり、超能力を磨きたいという気持ちの方が勝ってしまった。
超能力を使っていくうちに徐倫はあることを発見した。
超能力には力場のようなものがあり、自身が中心に力場が発生し、思考によってある程度力場を操ることができるということである。
そのことを理解してからは何となくうっすらと力場が白いガスのように見えるようになった。
自分以外にはその白いモヤは見えていないようだった。
徐倫はこのモヤを効率的に操るように訓練を重ねた。
感覚のみで制御するため、はじめは全く上手くいかなかったが、小学校の授業が退屈であるため授業中なども訓練を行なっていた。
無作為にその力場を発生させていると、どうやら学校の敷地一杯程の範囲まで力場が広がっているようだった。
体への負担が大きいと将来に支障がおきる。
自信を中心に2mほどなら疲れはするが殆ど影響は無いようだった。
そしてだんだんとそのもやの形を変えてゆく。
彼女はモヤのかたちは人型にするべきだと確信していた。
自分の感覚制御で行うため理解しやすいし、何よりも効率が段違いである。
そして一番大事な理由がスタンドを作ってみたいという願望であった。
訓練を開始して1年が過ぎた頃、それはまだ揺らいではいるが人型になった。
力場を無作為に作用させるのではなく、人型に石を持たせ、人型の手で力を加えるといった使い方をすればさらに体への負担は小さくなる。
徐々に彼女は能力を磨いてきたのだった。
この物語は彼女が中学生になった頃にスタートする。
このさきとてつもない困難が待ち構えているかもしれない。
彼女はただ一つ、忘れていることがある。
異能というものをまだ現実だと受け入れきれていなかったのだろうか。
ジョジョの奇妙な冒険には絶対とも言える法則がある。
『スタンド使いは引かれ合う』
彼女はこの法則を忘れてしまっている。
しかし中学生になった彼女はこの法則を強制的に思い出すことになる。
異星人との奇妙な殺し合いによって。
TO BE CONTINUED...
徐倫は普通の世界だと思い込んでますが、そんなことはありえません。
地雷要素てんこ盛りの小説ですがなんとか違和感なく更新して行きたいです。