戦闘したは良いが、結局何か分かったわけではなかった。というか、ほぼほぼ全員瞬殺してしまったため、尸魂界にとっても何も分からない状況なので、ある意味では任務失敗だなこれ。
あれ以来、俺は相変わらず望んでもない引きこもり生活で、地下でずっと修行とゴロゴロをしていた。「ゴロゴロをする」ってすごい日本語だな……。
そういえば、俺って総隊長と喜助と夜一さん大前田副隊長しか原作のキャラで会ったことないんだけど、他の人って今どうしてるんだろ。とーしろとかシスコンとかっていないのかな。
そんなことを呑気に考えてると、コンコンとノックの音がした。俺の部屋の扉をノックする奴なんて初めてだな。誰だろ。
「どーぞー」
とりあえず返事をすると、ノックの主は入って来た。黒髪ショートの女の子。アレだ、俺が読んでた時の二番隊隊長、砕蜂。顔は合わせたことあるけどあんま話した事ないんだよな。
「失礼します」
何の用だろ。砕蜂は軽く会釈しながら、物珍しそうにキョロキョロしながら、どうしたら良いのかわからずにモジモジ?してる。
「あ、ああ。その辺……じゃないや、ちょっと待って。縛道の六十三『鎖条鎖縛』」
ソファーに鎖条鎖縛を掛けると、引っ張って自分の目の前に置いた。
「座って」
「は、はい」
続いて、コップにコーヒーの粉を入れて、コップの下に手をかざした。
「破道の三十一『赤火砲』」
ガス使うの面倒だったので、コップの下で火を出した。これでインスタントコーヒーを作る。コポコポして来たら、スプーンで搔き回しながら聞いた。
「ブラック?」
「………すみません、砂糖を入れていただけると」
「あいあい。……砂糖ってどっかあったかな」
確かキッチンの引き出しにあった気がするぞ。台所に向かって破道の一『衝』で軽く衝撃を与えて引き出しを開けると、白い器を縛道の四『這縄』で取り出した。
砂糖を入れてスプーンで搔き回し、砕蜂の前に差し出す。
「どーぞ」
「す、すみませんわざわざ……」
「いえいえ」
「けど、インスタントコーヒー作るのにわざわざ鬼道使わなくても……」
「便利なんだから良いんだよ」
まぁ、我ながらどうかと思う使い方ではあるけど。ちなみに夏は闐嵐を扇風機代わりにしたりしてます。
「それで、どしたの?珍しいな、砕蜂がこんなとこに来るなんて」
「いえ、その、少しお話が……」
「ああそう」
なんだろ。関わった事ないのに。もしかして、「夜一様とくっつき過ぎです!少しは私にも分けてください!」とか?ははっ、流石にそれは……、
「夜一様とくっつき過ぎです!少しは私にも分けてください!」
一字一句相違ないとは……。すごいな俺もこの子も。
「そんなん言われても……俺、自分から夜一さんに来てくれなんて言った覚えないし」
だって言えないもん。出れないから。気を使ってくれてるのか、向こうから来るんだよな。まぁ、普通にありがたいし嬉しいんですけどね。ぐへへ。
「ほらぁ!顔がニヤついてます!ズルいです!」
「は、はぁ⁉︎全然ニヤついてねーし!ちょっと構ってくれて嬉しいなーとか、一緒にお風呂入ったなーとか思ってねーし!」
「お、おおおお風呂ぉ⁉︎惚気ですか!自慢ですか!」
フーッ‼︎と、威嚇する猫のように憤り、俺を睨む砕蜂。
「大体、向こうから来てくれるんだから、俺じゃなくて夜一さんに言えよ」
「私から夜一様にそんな恐れ多い事言えるか‼︎」
やだこの子めんどくさい。なんなんだよ、帰れよ。
「じゃあ何、俺にどうしろっての」
「だから、そのだなっ……もう少し、自重を……」
「だから、俺から頼んでるわけじゃないから自重も何もないっつの」
「じ、じゃあせめて貴様から夜一様に言え!たまには他の部下とも交流を、と!」
「やだよ。だって俺も夜一さんに構ってほしいもん」
「んなっ……!」
夜一さんか喜助くらいしかマジでこの部屋来ないんだからな。貴様にはわからんだろうが。そのうちの一人を取られてたまるか。
すると、砕蜂は目の色を変えて、睨みながら俺に言って来た。
「どうしても、夜一様を譲るつもりはないんだな?」
「ねぇよ。つーかお前最初敬語だったろ。何タメ語に変えてんの」
「なら、力付くで奪うだけだ」
「…………は?」
直後、砕蜂は瞬歩で俺の背後を取り、蹴りを放って来た。それを下から殴ってガードした。
「え、何すんの」
「夜一様を渡すと言わんと貴様を倒す」
いや、良いんですけどね僕はね。でも、君の方が危ないよ。自惚れとかじゃなくて、隊長格ですらない子と、曲がりなりにも最上級大虚の俺が戦ったら君、一片のDNAも残さずに消えちゃうんじゃ……。
俺のそんな心配を知るはずもなく、白打で応戦して来る砕蜂。大丈夫なんかなこれ。偉い人に怒られないかな。まぁ、修行だってことにすれば大丈夫か。
「どうした、ルイス!反撃しなければ、勝てるものも勝てんぞ‼︎」
「反撃して良いのか?」
「当然だ!出来るものなら、な‼︎」
じゃ、お言葉に甘えて。俺は右手の拳を握って、軽く拳圧で吹き飛ばしてやろう。
そう思って、拳を繰り出した。が、その拳を砕蜂は掴んでガードした。
「ありゃ」
「遅いな」
そう言って、俺は腕を捻りあげられ、天井に叩きつけられる………直前に響転で回避した。それに気付いてないのか、砕蜂はそのまま拳を叩き込む。
「あーあ……また天井に穴開けちゃったよ……」
やったのは俺じゃないけど。
俺の声に気づいたか、砕蜂は攻撃をやめてこっちを見た。
「貴様……!」
あー、やっべ。どーしよっかなこれ。なんでこうなったんだろこれ。もういいや、とりあえず気絶させればそれで良いよね。
と、いうわけで俺は手刀を作った。流石に女の子を拳では殴れないからな。
「悪い」
言うと、砕蜂の額に手刀を当て……ようとしたところで、夜一さんに止められた。
「お主ら……さっきから何をしておったかと思えば……騒がしいにもほどがあるぞ」
「「だってこいつが!」」
「やかましい‼︎」
ガンッガンッと二発のゲンコツが俺と砕蜂の頭に直撃した。涙目で俺も砕蜂も自分の頭を押さえる。
「っつぅ〜……」
「な、何するんですか夜一様」
「さっきから下で暴れまわるなと言っとるんじゃ‼︎何をしてたんじゃ一体⁉︎」
「………そ、それは、」
と、いうわけで、事情説明。すると、頭痛を堪えるように人差し指をこめかみに当てがう夜一さん。
「主らは……子供かまったく……」
「俺悪くないよね⁉︎」
「何を言う!貴様の方が……」
「もう一撃行くか?」
「「すみません」」
ため息をつきながら、夜一さんは言った。
「全く主らは阿保か……」
「夜一さんはなんか良い案あんの?」
あるわけないよね。頭の中はサボることと飯のことしか考えてないもの。あの人はおっぱいと食欲と遊び事で形成されてるからな。
「なら、今度から儂と砕蜂が二人でここにくればそれで良かろう」
何それ最高。すごく良いじゃない。そうしよう。
………と、いうわけで、俺に新しいお友達ができた。