暇だ。相変わらず、護廷十三隊は俺を地下に閉じ込めておきたいようで、二番隊の隊舎から出ていない。
こうなると、この前出た時に「あの店行っとけばよかったなー」みたいな後悔が出て、余計虚しさが自分を満たしていくものだ。まぁ、過去の事なんて今更どうしようもないんですけどね。
あー、暇だー。暇だし、斬魄刀の名前くらい聞けるようになるか。
と、いうわけで、斬魄刀を抜いた。壁を斬って人型にくり抜いた。どうせ地下だから、壁を斬ってもその後ろも壁である。問題はないだろう。その人型を20体ほどくり抜いた後、斬った。
「…………飽きた。ツマンネ」
「でしょうね!」
「死ね」
「ほぉわ⁉︎いきなり⁉︎」
後ろに現れた喜助をブン殴った、躱されたけど。
「な、何するんスか‼︎」
「ごめん。喜助かと思った」
「いや喜助ですけど⁉︎」
「あれ?じゃあなんで俺今怒られたんだ?合ってるじゃん」
「合ってないっスからね⁉︎」
「………喜助殴っちゃダメなの?」
「なに、キョトンと首傾げてるんスか‼︎」
そっか、喜助は殴っちゃダメなんだ。「普段アタシのことどんな風に思ってるんスか……」と、いう喜助の文句を鮮やかに無視して俺は聞いた。
「で、なんか用?」
「そうそう。アタシが作った訓練用の面白いものあるんスけど、良かったらどうスか?」
「訓練?」
「そっス。これこれ」
喜助はマネキンのようなものを取り出した。マネキンの腕から、コードとマジックテープのついた黒い布が伸びている。
「なんこれ」
「これは、まだ試作品なんスけど、これを腕に巻いて、使用者の霊圧を計測し、まったく同じ霊圧の人形を作り出して、自分と同じ能力の人形と戦えるんスよ」
「へぇ、そりゃ面白そうだね」
「やります?」
あー。確かにちょうど良いかもな。そろそろ始解しないと怒られそうだし、俺もそろそろ斬魄刀の名前聞きたい。なるべくオサレな奴。
「じゃあ、『パパ大好き!』って言いながら頬をキスしてください」
「ぶっ殺されたいの?」
「じゃあ良いっスよ。これ貸しませんから」
「いや、ぶっ殺せば借りれるぢゃん。と、いうわけで歯を食いしばって」
「や、アタシの暗証番号入力しないと、使えませんからそれ」
「………こ、この野郎……!」
へ、変に用意周到な事を……!
「ここ最近、ルーたんはヤケにアタシに冷たいというか、反抗的っスからね。ちょいとお灸を据えてやろうかと思いまして」
こ、こいつアホか……!マジでバカなのか……?大人気ないどころの騒ぎではない。
「一応、言っておきますけど、この前の任務で異常なまでのルーたんの霊圧は尸魂界の中には脅威に感じてる人もいるので、もう一人で任務に行くことはなくなると思いますよ」
つまり、俺が斬魄刀を育てる機会はなくなるわけか……。こいつぅ〜!無駄に頭いいことしやがって!
「どうします?アタシは別にいいんスよ?貸さなくて」
「…………」
どうする、俺のプライドか斬魄刀か……。
………プライド斬魄刀プライド斬魄刀プライド斬魄刀プライド斬魄刀プライド斬魄刀プライド斬魄刀プライド斬魄刀プライド斬魄刀プライド斬魄刀プライド斬魄刀プライド斬魄刀プライド斬魄刀プライド斬魄刀プライド斬魄刀プライド斬…………、
「…………」
俺は無言で俯きながら、喜助に「しゃがんで」と手招きした。しゃがむ喜助。
「………ぱ、ぱっ……ぱぱ……だぃすき………」
言いながら頬にキスした。あーやばい。超恥ずかしい。死にたい。多分、俺顏真っ赤。ほらぁ、喜助超ニヤニヤしてんじゃん……。
「仕方ないっスねぇ!それなら貸してあげましょう!ちなみに暗証番号なんてものはありまセン!」
「…………は?」
「いやあ、可愛かったっスよルーたんブフォッ‼︎」
俺のボディブローが喜助のボディを抉った。ゴロンゴロンと転がり、俺を恐る恐る見上げる喜助に向かって口を開いた。虚閃、発射準備完了。
「る、ルーたん……?あの、冗談っスよね……?それやったら色々と問題あるし、監督不届きでアタシが怒られ……ま、待て待て待て……待って待って待って‼︎」
「うわああああん!ブッ殺してやる‼︎」
「いや口開いてる状態で喋れるんス……ギャアアアア‼︎」
☆
五分後、俺は自室で膝を抱えていて、横から夜一さんに慰めてもらっていた。
何があったのか、それは喜助にアレだけの対価を支払ったにも関わらず、俺の霊圧を計測中にエラー起こして爆発したからだ。
「喜助に……喜助に、いじめ、られたぁ……」
「な、泣くな。喜助は後で儂が半殺しにしておいてやるから……」
「やるなら俺がやる……」
「傷心してても殺意は健在なのか……」
呆れつつも頭を撫でてくれる夜一さん。俺は俯きながら夜一さんに寄りかかった。おっぱいの谷間に頭が挟まったが、気にする余裕はなかった。
「ま、まぁ、喜助も試作品と言っておったし、仕方ないと言えば仕方なかろう。これからは始解するために儂が相手になってやるから、泣くな。な?」
「…………うん」
「では、儂は少し用があるから部屋を出る。すまんな」
今度、夜一さんに修行付き合ってもらおう。
部屋を出た夜一。
「む、喜助。余りルイをからかうな」
「………いえ、それが少し不思議で」
「何がじゃ?」
「霊圧の最大限界は隊長格どころか隊長に設定しといたはずなんスけど……」
「と、いうことは……」
「ハイ。おそらく、ルーたんの霊圧は隊長以上ってことになりそうっス」
「………」
「まぁ、推測っスけどね。それと、これ」
「それは……斬魄刀か?」
「ルーたんを拾った日、ルーたんの近くに落ちてたんスよ」
「…………」
「もしかしたら、ルーたんはアタシ達の思ってた以上の大物かもしれない」
「…………と、なると、」
「大丈夫っスよ。これからの二番隊の任務も、なるべくルーたんが全力で戦闘するような事態は避けて、上の人達にこの霊圧がバレないようにすれば」
「………そうじゃな」