俺は一人で地下でお絵描きしていた。全裸の夜一さんだ。何十年も直で見たからか、割とうまく書けている。これ売れるかなぁ。喜助や砕蜂辺りに。
「………腹立つからもう少し胸小さくしよ」
「ほう?この前、ため息をついたのはそういうことか」
「そうなんだよー、マジあの人おっぱいでかくて腹立つ。少しは分けろよってんだろ」
「ほう?」
「無駄に胸でかくしやがってあのドスケベボディが。その癖、薄着ばっかしやがってよ。あの乳マジ捥いだろか」
「それで?」
「そのおっぱいを俺に移植して………つーか誰と喋ってんの俺」
そう言いながら振り返ると、まさに巨乳オッパイの夜一さんが烈火のごとく怒りを燃やして立っていた。
「……………」
「…………さて、ルイ」
「…………はい」
「覚悟は良いな?」
「……できるだけ優しくお願いします……」
「できるだけ、な」
俺は歯を食いしばった。
☆
「で、何の用?」
殴られた頬に冷たい布巾を当てながら聞いた。
「いや何、暇そうにしてたからあそびにきてやったんじゃ」
「お気遣いどーも。でも仕事は?」
「喜助の部隊に新しいのが入ったのでな」
「わーい、華麗なスルーだ」
「うむ。しかも、蛆虫の巣から来た奴じゃ。名は涅マユリ」
「ふーん。誰?」
「まぁ、知らないなら良い。一応、伝えておこうと思っての」
「ふーん……その人副隊長なの?」
「いや、副隊長は別じゃ」
「………あたしも副隊長になりたいなぁ」
「嫌」
「え、なんでよ」
「絶対不器用じゃからのう。仕事を手伝ってもらうどころか増える一方じゃ」
「はぁ⁉︎そんなことないし!てか、俺こう見えて器用だから!ほら!」
言いながら俺は夜一さんの全裸の絵を夜一さんに見せつけた。直後、その絵を突きで穴を開けて、そのまま俺の顔面に拳を叩きつけた。
「ごめんなさいは?」
「ごべんばばい」
謝ると、夜一さんは満足そうに絵を取り上げ、ビリビリに引き裂いた。まぁいいか。あとでまた描こう。
「次描いたら引き裂かれるのは描かれた紙ではなく描いた腕の方じゃからな」
「ごめんなさい」
「………まったく、上手く描きおってからに……どこまで儂のことを見ていたんじゃ。………少し嬉しいのが困る」
最後の方は良く聞こえなかったが、とにかく描くのはもうやめよう。腕捥がれたら困るからなぁ。………いや、超速再生あるし平気か。
「それより夜一さん、遊ぼう」
「おお、そうじゃ。そういえば、お主と遊ぶのにうってつけの奴を連れて来てやったぞ」
「? 誰?」
「ほれ、入って来い」
入って来たのは、見たこと無い子だった。男か女か分からない中性的な顔をしていて、ツインテールの子だ。
「貴様が護廷十三隊の虚か?」
「あ?」
なんだこいつ、偉そうな奴だな。
「私は朽木白哉だ」
「ブッ⁉︎」
えっ⁉︎マジ⁉︎この幼いのが⁉︎あのシスコン軍曹朽木白哉⁉︎
「誰⁉︎」
「だから朽木白哉だ‼︎馬鹿にしてるのか⁉︎」
「うん、正直少し!」
「なっ……⁉︎」
だって、あんなスカした六番隊隊長がこんなチンチクリンなんて……!こいつもあと何十年か何百年か経てば千本桜になるのか……。
「貴様……!余程、私の怒りを買いたいと見えるな……!」
「え?や、ごめん。そんなバカにはしてねーよ。ただ、その、何。ちょっと意外だったというか………朽木家次期当主さんが俺なんかのために遊びに来てくれるのは意外だったから」
なんとか誤魔化してみた。
「それは朽木家が暇人だと馬鹿にしてるのか⁉︎」
あー、そう取られちゃったかー。この頃の白哉は純粋と言うか、いや純粋じゃないな。からかい甲斐があるって奴か。ちょっと可愛い。
気がつけば俺は、響転で白哉の後ろに回り込んで頭を撫でていた。
「き、貴様!頭を撫でるな‼︎」
手に持ってる木刀を俺に向かって振り抜いて来て、瞬歩で回避した。
「はっはっはっ!ルイに敵わんようでは、儂に勝つのはもっと無理じゃな。白哉坊」
「そーだよ、びゃっくん。簡単に後ろ取られるようじゃ、当主としてはまだまだなんじゃない?」
夜一さんと俺でニマニマしながら煽ってみると、プチっと堪忍袋の尾が切れる音がした。
「貴様ら……‼︎面白い!今から私の本当の実力というものを見せてやろう‼︎」
鬼ごっこが始まった。瞬歩で白哉が近づいて来るのを感じ取ると、俺も夜一さんも瞬歩で逃げ回った。壁から壁へ、天井へと移動し、まるでナルトみたいな鬼ごっこになった。
すると、白哉は一度壁に止まった。そして、ジロリと俺と夜一さんを睨みながら、肩で息をする。
「ッ……ッ……」
「お、何。もう疲れたの?」
「そ、そんなわけあるか!」
「女の子より先にバテるなんて、どう思う夜一さん?」
「男の癖に情けないのう!」
「ふ、ふん、図に乗るなよ……!ここから先が勝負だ‼︎」
白哉の姿が消えた。俺も夜一さんも当然逃げる。そうだ、少しからかってやるか。
白哉からの猛攻を回避しながら、俺はバスルームの中に逃げると、すぐに出て天井に掴まった。
「そこかァッ‼︎」
白哉は俺のある天井に瞬歩して来た。俺は避けながら、バスルームにこの前置いてあった忘れ物を白哉に被せながら回避した。
「クッ……!すばしっこい……‼︎」
俺は自分の頭を指しながら白哉に言った。
「びゃっくん、びゃっくん」
「な、なんだ!びゃっくんと呼ぶな!」
「頭、頭」
「な、なんだ?」
自分の頭の上に手を当てて、何かを被せられたことに気付き、取った。直後、白哉なのに顔を真っ赤にした。そう、被せたのは夜一さんの忘れ物のパンツである。
「えっ、なっ、こ、これは………⁉︎」
「夜一さんのパンツ」
「ッ⁉︎」
顔をさらに真っ赤にしてワタワタと慌て始める、白哉なのに。あ、しつこい?分かった、もうやんない。
すると、動揺したのか白哉は天井から落下した。
「! しまっ……‼︎」
「!」
まずい、朽木家の次期当主に怪我なんてさせたら俺の立場終わる……!そう判断して、響転で移動して白哉を落下前にお姫様抱っこでなんとか回避した。
「ッ………‼︎ ……あ、あれっ?」
自分が無事である事に気付いたのか、辺りをキョロキョロと見回す白哉。が、すぐに俺に抱っこされてる現状に気付き、またまた顔を赤くした。
「なっ………⁉︎」
「だ、大丈夫?」
「は、離せ!降ろせ!」
「わ、わかったから暴れんな!ガキかお前は‼︎」
腕の上で暴れられ、手元を蹴って白哉は降りた。ったく、暴れん坊将軍が……。まぁ、今回は俺に非があるけどさ。
「ご、ごめん白哉。ちょっと、やり過ぎた」
素直に謝って頭を下がるが、白哉は顔をうつむかせたまま動かない。わなわなとただ、震えていた。
「………白哉?」
下から顔を覗き込むと、真っ赤になった顔が見えた。そして、キッと俺を睨んだ後、パンツを投げ捨てて逃げるように部屋を出て行った。
………ああ、せっかく友達ができそうだったのに……。やらかしたなぁ……今度マジで謝らないと……。
珍しく反省してると、後ろから肩を叩かれた。振り向くと、白哉に投げ捨てられたパンツを握り締めた夜一さんが、俺の事を睨んでいた。
「………さて、これのことについて聞きたいのじゃが……」
「………俺のパンツもあげるから許して下さい」
殴られた。