河影 御月です。
では、どうぞ本編をご覧ください。
巨大コウモリの群れから逃げ切り、暫くして...
私とリムルは大きな金属製で錆び付いた扉の目の前に立っていた。
「これ、どうやって開けようか?」
[俺が捕食するって方法があるんだけど...やってみるか?]
「扉がいきなりなくなったら来た人が驚くだろ。」
[じゃあ、俺のスキルの『水刃』で切り刻むとか...]
「残骸になるだけで結果は同じじゃん...。」
私たちがどうやって目の前の扉を開けるか相談していると、コウモリの時と同様に嫌な予感がしたので、会話をすぐにやめて大きな岩の影にリムルを抱き抱えて身を隠した。
[どうしta.......‼]
リムルがなにやら喋りかけたので、腕に力を込めて一旦絞めて黙らせる。
そのまま息を潜めていると、鈍い音をたてて扉が開いていった...。
「やっと開いたか。錆びついて鍵穴もボロボロじゃねーか...。」
「まあ仕方ないさ。三百年間誰も入ったことがなかったんだろう?」
「入ったという記録は残っていません。それよりも本当に大丈夫なんでしょうか?いきなり襲われたりとかしないですよね...?」
開いた扉から男二人と女一人の三人組が入ってきて話始めた。
おそらく、一人一人が冒険者でチームを組んでいるのだろう。
...それにしても、何で言葉が分かるんだ?
《解。言葉が通じなくても、思念さえ分かれば正邪(マスター)の分かる言語に脳内翻訳が可能です。さらには正邪(マスター)の話した言語も、相手に内容を伝えることが可能です。》
なるほど、言葉がわからなくても意味さえ分かれば奇策士が勝手に翻訳してくれるのか。
しかも私の話したことを相手に伝えることができるのか。
...やっぱりすごいな、奇策士は。
三人組はその場に暫く騒いでいたが、痩せぎみの男が「
おそらくスキルの一種だろう。
.......覗きとか万引きに使ってないだろうな...。
三人はそのまま私たちには気付かずに洞窟の奥へと消えていった。
三人の気配が完全に消えたのを確認して、抱き抱えていたリムルを解放して先に進んだ。
...その直後に
「うわー!!!!ジャイアントバットでやんす!!!!」
「何でこんなに魔素濃度が高いところに何十匹もいるんだよ‼この洞窟の奥地は魔素濃度が高すぎて魔物は生息できないんじゃなかったのか!!!!」
「そんなの知りませんよーー‼とにかく振り切らなきゃ血を吸い尽くされて死にますよーーー‼!私はまだ死にたくなーーーーい!!!!」
という叫び声が聞こえた気がするが.......気のせいだろう。
[なあ、何でさっき人が来るってわかったんだ?]
「いや~、なんか嫌な予感がしたから...。」
自分自身でもよく分からない。
ただ勘にしたがっただけなのだが.......
《解。こちらの世界に来る際に獲得したユニークスキル「超直感」の影響です。》
...どうやらスキルのおかげだったらしい。
「なんか私のスキルのおかげだったらしいよ。」
[...お前本当に変わったスキル持ってるよな。]
などと話ながらも歩き続ける。
先に進むにつれてヒカリゴケっぽい植物や光る鉱物が増えてきた。
普通に見えるくらいの明るさだったので魔力感知を切る。
(...このまま何事もなく脱出できればいいな。私、ここを出たら食料を入手するんだ。腹減ってるし。)
しかし、現実は非情である。
私はその時、自分でも気付かずに
暫く進むと複雑に分かれた道があった。
するとリムルは少し考えた様子を見せた後に、一つの道を選んで進んでいった。
......私の勘によると、そっちは危ない気がするのだが。
そっと覗き込むと、案の定リムルはバカデカイ蛇の魔物に睨まれていた。
やっぱりと思っているとまたもや嫌な予感がした。
ふと自分の後ろを振り返ると、大きな蜥蜴の魔物が私のことを狙っていた。
...ってえぇぇぇぇぇぇぇ‼‼
しまった。
ここは洞窟の中、今まで魔物にほとんどであってなかったがここも立派なダンジョンである以上魔物が出現する。
油断してうっかり魔力感知を切ってしまったのが仇となったようだ。
驚いた私は後先考えずに、蜥蜴の魔物から逃走すべく全力で飛び出した...が、それは完全な悪手だった。
私が飛び出したことで私の存在に気付いた蛇の魔物は、標的をリムルから私に変えてブレスを吐き出そうとしていた。
それに気付いたとき、(あ、オワタ\(^o^)/)と思った私は悪くないと思う。
サヨナラ、第二の人(モンスター?)生.........
人間は死に直面したときに走馬灯を見るというのは本当だったらしい。
全てがゆっくりと感じるなか、
《身の危険を感知しました。ユニークスキル「豪運」を起動しますか? Yes/No》
私は神の声を聞いた気がした。
私はほぼ反射的に「Yes」と念じた。
その瞬間、私は足元の石ころに躓いて盛大にずっこけた。
その直後、私の頭上を何かが飛んでいき、目の前に落ちてきた。
それは、体の一部がドロドロに溶けて息絶えた蜥蜴の魔物だった。
どうやら私が走り出した瞬間に私に向かって飛びかかってきたが、私が転けたことで私の代わりに蛇の魔物のブレスをモロにくらったらしい。
...と理解したのは暫くして落ち着いた後で、このときはただ呆然としていた。
因みに、蛇の魔物はリムルが水のカッターのようなもので首を跳ねて倒しました。
ぼーっとしていると、軽いものがいくつか落ちる音がした。
音がした方に顔を向けると、蛇の魔物のブレスに巻き込まれたであろう巨大コウモリが何匹かドロドロに溶けて息絶えていた。
「.........本当に何が起こったんだ?」
その後、呆然とした私が立ち直るのには暫く時間がかかったのであった......
to be continued...
蛇の魔物
正式名称「テンペストサーペント」。リムルに瞬殺されたが、ギルドにA-ランクの指定をつけられているこの洞窟のボス的存在。一体だけで町を半壊させ、普通に戦うとプロの冒険者が束になってようやく勝てるか位の強さを誇る。強力な腐蝕の効果を持つ「毒霧吐息」を吐き出す。
蜥蜴の魔物
正式名称「甲殻トカゲ(アーマーサウルス)」。ブレスに巻き込まれた哀れな魔物だが、ギルドにB-ランクの指定をつけられている。強さ的には一体だけで村が滅びかける位。非常に頑丈な甲殻を持ち、生半端な攻撃は全て弾いてしまう。
巨大コウモリ
正式名称「ジャイアントバット」。名前の通り大きなコウモリの魔物。吸血能力を持ち、数匹で群れて行動する。前に出てきたコウモリ達もこれである。ギルドにC+ランクの指定をつけられている。強さ的には一般的な冒険者や普通に訓練した兵士が一対一で勝てないくらい。けっこう動きが素早い。
ドロドロに溶けた蜥蜴とコウモリ
蛇の魔物のブレスに巻き込まれて溶けてしまった哀れな魔物たち。非常にグロいが主人公が転ばなかったら主人公がこうなってた。原作のこの場面では蜥蜴とコウモリは出てこない。