軍服美女の悪魔契約者   作:濁酒三十六

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初めましてこんにちは、濁酒三十六と申します。
今回ハーメルンで初めてオリジナルものに挑戦。何処まで出来るか分かりませんかどうぞ読んでやって下さいませ。


1話…月夜の軍服美女

 雲一つない夜空に浮かぶ満月の光が煌々と輝き、下界に立ち並ぶ摩天楼を照らす。摩天楼の七色の光は更に下のみを照らすが全てにその光は行き届かない。ビルとビルの間の狭き空間では暗き闇を好む様々な者が偲び様々な行いに及ぶ。時には人智の及ばないモノもまた…、惨く悍ましい行為に及ぶものである。

 今宵も1人…()()()()()()の餌食となり果てた。ビルとビルの谷間に巨大で牡牛の様な角を生やした蛙に似た六本足の化け物が人間の男を捕まえて生きたまま丸呑みにしようとしていた。上半身まで呑まれバタバタと足を動かし男は抵抗するが角を生やした蛙の化け物はびくともせずに男を一気に呑み込み喉を膨らませて生き餌を胃の中へ送った。きっと呑み込まれてしまった人間はそのまま蛙の化け物の胃酸によってゆっくりと融解されるであろう。最早男を助ける術はなかった。

 …だが其所に人影が一つ現れて何とその大きな角蛙に近付いて行った。人影は鋭角な襟を立てたマントに身を包みを化け物など恐れずに対峙した。深々と被る軍帽に妖しげなドクロマークを銀色に輝かせ、鋭く光る眼孔が化け物を睨んだ。牡牛の様な角を生やした化け物はその人影にギロリと視線を移して舌舐めずりをした。

 

「どうやら間に合わなかった様ね。仕方ないとはいえ助けられなかったのはやっぱり辛いな…。」

 

 人影はマントを翻して両手を出した。マントの下はまるでアニメーションに出てくる様な近代的デザインの軍服でかなりの豊満な胸である事から人影の正体は軍服を着こなした女性である事が分かった。

 

《ミレイ、どうやらまた下級な次元魔の様だ。手早く済ませろ。》

「言われなくても解ってる!」

 

 何処から途もなく男の太い聲が聴こえると“ミレイ”と呼ばれた軍服の女性は目を細め、両手左右にモーゼルC96を取り出し化け物に二挺の銃口を向け引き金を引いた。二つのマズルフラッシュを起こし二発の銃弾が化け物へと飛んでいくが何と稀に見ぬ反射神経とモーションを一切見せない六本足による垂直飛びで二発の弾丸を避けて其のままビルディングの上へと逃走。しかし避けられた筈の二発の弾丸は真っ直ぐとは飛ばずに蛙の化け物を追尾して更に加速。化け物を真下より命中させて腹から背中を貫通した。

 

「GYORAAAAAA!?」

 

 激しい絶叫を発して化け物はビルの屋上に落下、そして何とあの軍服女性…ミレイがビルとビルの間を交互に跳びながら化け物が落ちた屋上まで昇って来た。彼女は右手のモーゼルC96を化け物に向けるが、ソイツは牡牛の様な二本の角を触手の如く高速で伸ばして反撃する。だがミレイは微動たにせず右手のモーゼルC96から二発を撃ち出して伸びて来た二本角を粉々に砕き折った。

 彼女はまた二挺を構え銃口を向ける。すると化け物は口を閉じてモゴモゴと口の中を動かしたかと思えば、口を開けた瞬間に舌で先程呑み込んだ男をミレイに投げつけてきた。ミレイは一瞬動揺してしまい躱す事が出来ずに男を抱き止めてしまった。其れが大きな隙となり牡牛の角を生やした蛙の化け物はまたあの跳躍で逃走、今度は完全に逃げられてしまった。

 ミレイは化け物より投げつけられた()()()()をゆっくりと足元に寝かせて見つめる。顔は既に融解して人相は分からず皮膚の溶けた胴体には大きな穴が一つ空いていた。恐らくは最初の二発があの化け物を貫通した際に一発が腹の中の男を一緒に貫いたのだろう。ミレイは顔を歪め死体の横に片膝を付いて跪き「ごめんなさい…。」と一言謝罪を呟いた。

 すると何処からか一匹の“蝿”が飛んで来て彼女の右肩に留まり、耳元であの男の太い聲が聴こえまた少し嫌そうに顔をしかめた。

 

《毎度の事ではあるがイチイチ死体に謝るのが好きよのう、ミレイ。》

「貴方も相変わらず()()()()()()()()()()よね、“ヴェル”。」

 

 どうやら彼女の肩に留まっている蝿が男の聲の主の様でミレイは蝿と話を始めていた。ヴェルと呼ばれた蝿はミレイと同じく横たわる死体を見、前肢を組んでミレイに警告する。

 

《逃がしてしまったな、此でまたあの次元魔…“ディメンジョン・デーモン”の犠牲者が出るぞ。

お前は長年()()()()()でありながらその抜けた性質は全く治らんな~、ミレイ。》

 

 蝿に説教を貰った彼女…軍服美女こと浮之瀬美麗は中腰になって膝を抱え深々と被っている軍帽のツバで隠れた目をジト目にして肩にいる小さな蝿を睨んだ。

 

「仕方ないじゃない、私正義のヒロインじゃないし。

あの“DD”見かけに寄らず反応良かったし、被害者の人投げつけられちゃったし。」

 

 先程化け物を追い詰めた勇ましい強者の姿そは何処へやら、美麗は軍帽のツバを下に更に深く被り直し肩の蝿…ヴェルにソッポを向いて拗ねてしまった。ヴェルはいつもの如く呆れ蝿の姿でやれやれと人間の手振りでジェスチャーした。

 ()()()…またの名を“ディメンジョン・デーモン”と云い、略してDDとも呼ばれている。奴等は別次元より現れ出て災厄をもたらす存在で今回の相手はヴェルが言う様に下級次元魔でこの世界に出現しては居座り人間を食らう。そんな野に放たれた魔獣を狩る役目を担ったのが彼女の様な悪魔と契約した者達…“デビルコントラクター”略称()()である。奴等次元魔の存在を危惧…というか目障りとした此また人間に害を成す筈の悪魔達が自分達と波長の合う人間…主に女性少女と契約して自分達の力を自由に使わせてやる代わりに次元魔狩りをさせている。勿論狩りは命がけでDCの中には命を落とす者も少なくない。次元魔は上中下で階級分けされて下級次元魔は人を漁り食らうが中級上級は悪魔と同じで人に取り憑き破滅へと導く恐ろしい存在である。言ってみれば次元魔は悪魔にとっては己が()()()を荒らす不敬な輩であり侵略者でもあった。

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