蒼碧の海原にて  ~艦隊これくしょん 艦これ~   作:野澤瀬名

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お久しぶりです、野沢瀬名です。

実際に大和ミュージアムで実物の四一糎主砲やら金剛の主機(イ号艦本式缶)など見てきましたけど……スゴク……大きいです。



参話 横須賀防衛戦

『ザー、ガッガ、こち、ら横須賀司令部、護衛艦"しらかみ"応答、願いま、す!』

 

敵水雷戦隊との会敵後、最大戦速で横須賀を目指す輸送隊。横須賀との距離が狭まったおかげで通信が幾分かクリアになった。やはり俺が想定した通り、横須賀は敵の襲撃を受けている。負傷した川内が"しらかみ"の医務室へと運ばれ手当てを受けている現在、この部隊で防衛ライン援護に向かえるのは俺と吹雪、叢雲、暁の四人と"しらかみ"一隻のみだろう。

 

「時間が無いが、ブリーフィングを行う」

 

"しらかみ"内部のアラートで作戦説明を行う。

現状、横須賀機動艦隊と護衛艦群による防衛戦が展開されているが、既に護衛艦群からは落伍する艦が出ている。

よって輸送本隊はそのまま防衛ラインの内側に強行突入。臨時編成の駆逐隊は防衛部隊の直掩に回る。

 

「で、でも司令官さん。敵は航空戦力主体で、私たちだけじゃ防空は無理なのです……」

「いや、時間稼ぎだけで良い。電と雷は後方に下げる赤城の直掩を頼む。」

「あ、赤城さんをなのですか?」

 

そうだ、と電の問いに首肯する。この戦闘の鍵は赤城に掛かっていた。

 

 

 

***

 

 

 

海を往く護衛艦に襲い掛かる深海棲艦の艦爆隊は小動物を狩る鷲の様に一直線に高度を下げる。

護衛艦のCIWSが内一機を叩き落とすも、艦爆隊は自らの爪である懸架爆弾を投下。マストに着弾したそれらは次々と大輪の火花を咲かせ、次いで護衛艦自体から凄まじい爆発を起こした。

 

「"ゆうなぎ"大破!!戦列から離脱していきます!」

 

対空網の穴を赤城と神通が埋めようとするも、数的不利、制空権喪失の状況下では迎撃は困難を極める。

艦隊指揮を執る長門の表情にも焦りが見え始める。

 

「くそ!司令部、増援を求める!このままでは戦線が崩壊する!」

「出撃できる船はそれで全てだ!こちらからはもう打つ手が無い!」

 

葛井のヒステリックな返信に顔を顰める。迎撃する赤城も悔しげに空を睨む。

 

「せめて九六式でもあれば!!」

 

そんな彼女らに構うことなく、敵編隊は次々と飛来する。そこに青葉からの報告が飛ぶ。

 

「────っ!!長門さん、左弦前方より敵雷撃隊!!回避を!!」

「何っ!?」

 

高空から急降下してくる艦爆隊に気を取られ、低空から侵入する雷撃隊への対処が遅れた。懸架した航空魚雷から殺気を感じ取る。

 

「迎撃間に合いません!」

 

 

 

『────相対速度、敵機侵入角確認。近接信管弾頭装填。安全装置解除(マスターアームオン)、ファイア!』

 

 

 

横槍を入れるかの如く、雨嵐のような弾幕が雷撃隊に浴びせられる。直撃を受けた一機が爆散し、近接信管によって引き起こされた爆風でもう二機も海面へと叩き落とされた。慌てて上昇する雷撃隊に追撃しつつ、長門は援護してくれた味方の方を見る。

 

────なぜ彼が────。

 

『皆、遅くなってすまない』

「────て、」

 

『────な、何をやっておられるのですか!?提督!!』

 

作戦司令室にいた葛井の絶叫がヘッドセット内で盛大にハウリングし、鼓膜が揺れる。

うるさい、と思いつつも司令室へと伝えるべき事を伝える。

 

『────"しらかみ"以下第一輸送隊及び四水戦、横須賀へ帰投した』

『見れば分かります!それより何で貴方が海に出ているのか説明を!!ああ、その前に避退を、危険です!』

『小言なら後で受ける。それより輸送隊の誘導管制を任せる。通信終わり(アウト)

『ちょっ、提k』

『あー、今通信変わった。梶谷だ。貴官の奮戦を期待する。それと────優人、無理はするなよ。』

『────了解』

 

まだなにか言おうとする葛井大佐を無視して通信を切り、今度は長門たちへと指示を出す。

 

『全艦、これより山本が指揮を執る。"しらかみ"は生存者の救出を。駆逐隊は"しらかみ"の直掩に回れ。残りは対空陣形を再構成、防衛ラインを立て直す!その間に赤城は補給と装備換装を急げ!』

「提督!!貴様が何故戦場に出ている!?死ぬ気か!?」

『今は指示に従ってく、────伏せろ!』

 

有無を言わさず、長門を引き倒す。呆気に取られ、ポカンとした長門の顔があった場所を。

ル級から放たれた大口径弾が貫いた。

 

「────。」

 

長門の無事を確かめ、事態に付いていけていない全員に激を飛ばす。

 

『全艦、脚を止めるな!赤城、防衛線維持も長くは持たない。早く換装を!!』

「わ、わかりました。皆をお願いします、提督!」

『いいか、何としても死守するぞ!だが、全員死ぬなよ!』

「────了解!!」

 

 

***

 

 

 

横須賀司令部戦闘指揮所のモニターに映る光景に葛井は出す言葉がなかった。

防衛大などで学ぶ戦術理論において、一般のフリゲート艦やミサイル駆逐艦と深海棲艦(駆逐クラス)とのキルレシオは5:1。海上戦用のパワードスーツでも、ようやく軽巡洋艦と防衛戦であれば互角になる。

 

だが、スクリーンで動く山本提督は既に突出してきた敵水雷部隊の駆逐艦を二隻大破させ、崩壊しかけていた防衛ラインの再構築を成し遂げて見せた。

 

「何者なんだ……彼は。」

「────元々、俺たちは艦娘の艤装開発のテストベッド部隊だったんだ。原隊はもう解散しちまったんだが。」

 

後ろにいた梶谷の説明を受け、葛井はぼんやりとだが思い出した。かつて生身で深海棲艦と張り合い、南方戦線において数ヶ月の間拮抗状態を保ち続けた部隊の名を。

 

「────コールサイン、アルフォンス。……梶谷大佐もその部隊に?」

 

一応最古参でね、と乾いた笑と共に返す梶谷。その瞬間にも敵攻撃隊を的確に迎撃し続ける山本であった。

 

 

 

***

 

 

 

加勢に入って既に二十分。

防衛線を押し返すことになんとか成功したものの、依然として頭を抑えられた状態では敵艦隊に有効な反撃手段が立てられない。一方、深海棲艦たちはまず、邪魔な指揮官を潰そうと四波目の攻撃隊を繰り出してきた。

 

『……ヘイト稼ぎ過ぎたか?まあ、そっちの方が手間が省けるか』

 

敵攻撃隊の進路が悉く俺に向かってくるのを見て、舌打ちすると同時に、好機だと判断する。おまけに誘い込む過程もすっ飛ばすことが出来た。

 

「提督、逃げろ!!ヤツらの狙いは貴様だ!」

『いや、これでいい。』

 

長門の忠告が飛ぶが、逃げる必要は無い。むしろ、獲物を狩ろうとする敵機の侵入経路が固定されるこの時、最大の攻撃チャンスにもなる。

 

『思う存分、喰らえよ。────赤城!!』

 

 

 

〇コンマ五秒後、飛来した白い機影たちが敵艦載機群に突っ込んだ。

────零式艦上戦闘機二一型。太平洋戦争初期、物量で勝る連合国軍相手に圧倒的な性能差を見せつけ日本軍の緒戦の勝利を飾った、傑作戦闘機。

艦娘用に小型化した姿でもその性能に翳りは見えない。今まで倉庫の奥に押し込められていた鬱憤を晴らすかの如く、飛び交う敵機を蹂躙していく。

最初の一撃で雷撃隊の三分の一が墜とされ、陣形を立て直すべく旋回した機は零戦の十八番とも言える巴戦によって片っ端から撃墜されていく。

 

「これだけの零戦を……。」

『小名浜の備蓄倉庫に残っていた予備機を掻き集めてきたんだ。────赤城、それだけあれば足りるか?』

『はい!────一航戦、赤城戦線復帰します!』

 

制空権奪還後の戦局は終始こちらが優位に立った。弾着観測により自慢の火力を抑えられていた長門や青葉、古鷹らの砲が唸り、神通、那珂を筆頭とする水雷部隊は敵部隊に肉薄、雷撃により多大な戦果を挙げた。

 

そんな中でもこの男(山本)の戦績は凄まじかった。敵駆逐を三隻葬り、ヌ級を一隻撃沈するという生身では有り得ないようなものであった。

 

 

 

***

 

 

 

横須賀防衛戦闘記録報告書 二○二三年 八月二十日

 

横須賀へと来襲した敵機動部隊と別働隊の水雷戦隊による空襲、奇襲により、

護衛艦"ゆうなぎ"大破、負傷者十六名(内重傷者二名、命に別状なし)

護衛艦"しらかみ"損傷軽微

第四水雷戦隊旗艦 川内中破、雷、電両名小破。

 

しかし、反撃により敵一水雷部隊の壊滅に成功。また敵航空戦力の基幹と思われる軽空母ヌ級三隻のうち、二隻を撃沈、一隻を大破することに成功。

敵部隊の侵攻を大きく阻害、戦力低下に繋がった事で硫黄島奪回作戦の足掛かりを得た。

 

尚、本作戦において横須賀配備の艦娘の練度の低さが問題となった為、追加訓練の必要がある事も追記しておく。 以上

 

横須賀司令部提督 山本優人少将

 

 

 

***

 

 

 

「全員無事帰投。皆、よく持ちこたえてくれた」

 

港に集まった全員の顔を見て、俺は安心した。誰一人欠けることなくこうして顔を合わせることが出来た。

 

「提督!先程の指揮お見事でした!」

「やっぱり何か特別な訓練を受けていたのですか?」

「何か疑ってたけどごめんなさい!さっきの凄かったよ!」

 

口々に賞賛やら質問やら謝罪が飛んできたが長門が手を挙げ、それらを制止した。そのまま、俺の目の前まで進み、────頭を下げた。

 

「────数々の無礼、許して貰いたい。皆を代表して私から謝罪したい。誠にすまなかった、そして助けてくれてありがとう、提督」

「────と、言うことは俺が取り敢えずは指揮を執っても構わないって事かな?」

 

俺の返事に対する答えは彼女らからの最敬礼であった。信頼を勝ち得た瞬間であった。

 

「信頼を得られたところで。────改めて自己紹介させて貰う。横須賀司令部提督、山本優人だ。皆宜しく頼む」

 

こうして横須賀司令部は再始動した。

 




E-3道中の気まぐれ大破で輸送ゲージ全く減らせない提督、野沢瀬名です。フラリ死すべし慈悲はない。

と言うことで無事に全員生還。横須賀着任編終了でございます。川内さんやながもんにフラグを立てたり、提督が逸般人してたり、なんやかんやありましたが以後もこんな感じで進んでいきます。次回は硝煙と血の匂いは控えめになると思います。

この世界の設定では艦娘の艤装は単純に武装するだけでなく、物理ダメージを軽減するアブソーバーフィールドや基礎運動能力を大幅にアップする運動補助、水面を移動する為の機構やら推進機関等をまとめたものでして、艤装を外せば一応普通の女の子に戻る、と言った感じです。(一応です)

……Fate?やはり菌糸類の話が最高だよ(CCCコラボシナリオ読んで涙&後悔)と言うことで一旦FGO二次創作は封印。艦これ一本でやっていきます。(楽しみにしてた方いないと思うけどごめんなさい!)

こんな不定期更新の作家の物語モドキを読んで下さった読者の皆様に感謝しつつ、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。



神威ドロップ や っ た ぜ !!
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