長い間、打ち込んでは手直しを繰り返して、約4ヶ月。
やっと完成しました。
文章は最長の一万字超。
長い間更新できず本当にごめんなさい。
フラン戦決着です。
次回からは、導入部を挟んで異変第二戦闘パートにはいります。
では、長いことお待たせしましたが、本編をお楽しみください。
ショウ
「何故お前がその力を使える!?それは、『ラグナ』のドライブだ。ドライブは魂の力。同じドライブを持っているなどあり得ない!何処でそれを手に入れた!?」
取り戻した記憶が、フランが持つ剣の力を認めない。
認める訳にはいかなかった。
ショウの問いに対して、フラン達は疑問を浮かべて答える。
フラン達
「そんなの知らないよ。私が閉じ込められていた部屋に水晶みたいな石が落ちてたから拾っただけ。そしたらすごい力が溢れてきたんだ。今なら何でも出来そうって位の力がね。」
ショウ
(拾った・・・だと?・・・嘘を言っているようには見えない。恐らく真実だ。つまり、蒼の欠片が彼女の部屋に落ちていた?馬鹿な・・・いくらなんでも、ずっと落ちていたわけがない。誰かが持ち込んだ?ならば、何のために・・・?)
フランの答えに考えを巡らせる。
言っている言葉には恐らく嘘はない。
しかし、自然に生まれるような代物でもない。
残る可能性は、何者かが彼女の幽閉場所に持ち込んだ位しかなかった。
フラン達
「そんなのどうでもいいじゃない。私は今すっごく楽しいんだよ!この力があれば何でも出来る!もう、私を誰も縛り付けたり出来ない!やっと私は・・・自由になれたんだ!」
フラン達は続けて叫ぶ。
そして、言葉の最後に、自分はとうとう『自由』になれたと言った。
この言葉は恐らく、彼女にとっての本音。
ショウ
「・・・『自由』か・・・。レミリア、起きてるか?容態はどうだ?」
レミリア
「・・・え、ええ。なんとか無事よ。ただ、何故か相当疲労してる。ここまで動けなくなるほどダメージは貰ってない筈なのに。」
ショウ
「そいつについてはあとで説明する。今聞きたいのは・・・フランは、どのくらい幽閉されていたのかってことだ。」
ショウの考え。
それは、フランが今不安定な状態なのは蒼だけじゃなく、フランが心の奥で抱いている感情が蒼により増幅されているからだと当たりをつけた。
フランの方へ意識を向けつつ、レミリアにフランが抱く願望についての探りを入れる。
レミリア
「・・・最初は幽閉していた訳じゃない。普段は姿そのままの大人しい子だった・・・。時折、自分の能力に耐えきれず、情緒不安定になるときもあったけど、それも私や周りで抑える事ができたから。でも・・・フランの能力は年を重ねるごとに凶悪になっていったわ。」
レミリアは静かに語る。
レミリア
「フランの能力は『ありとあらゆる物を破壊する』程度の能力。文字通り全てを破壊できる力よ。その力を制御できずに暴走させてしまうことも少なくなく、暴走した時の被害は尋常じゃなかった・・・。幸いにも能力による死者は出なかったけど、私達では抑えきれないほどに力が強くなっていたのよ・・・。だから・・・私は・・・」
レミリアの言葉は徐々に弱々しくなり、最後は何かを堪えるような表情で呟いた。
レミリア
「・・・私は・・・フランを、紅魔館の地下室に幽閉したのよ・・・。もう、500年程前の話よ・・・。フランは私の、たった一人の家族・・・。私は・・・フランに、人殺しを・・・させたくなかった・・・。罪を背負うのは、私までで十分よ・・・。」
言葉を締めくくったレミリアは肩を震わせていた。
ショウ
「レミリア・・・。わかった。もう十分だ。言いにくいことを聞いて悪かったな。おかげで大体わかった。」
レミリア
「え?」
レミリアの答えに納得したショウ。
大体のことはわかったと言った
ショウ
「フランの暴走は直接の原因こそ取り込まれた蒼の欠片による物だけど、フランが奥底に抱いていた感情が蒼により増幅されているからこその暴走である可能性が高い。そして、フランが抱いている感情、願望と言ってもいいかな。それは、『自由』になりたいって感情だ。」
レミリア
「自由・・・まさか!?」
ショウ
「ああ。今レミリアが考えた答えで間違いない。フランは、外に・・・出たかったんだ。外に出て自由に生きたいと。だが、出来なかった。外に出て力を暴走させれば少なからず被害が出る。それを分かっていたから、自分の意志を殺して地下室にいたんだろう・・・。」
レミリア
「フラン・・・あなたは・・・。」
フランに意識を向けたままレミリアと会話していたショウだったが、完全に意識をフランに戻し剣を構え、叫んだ。
ショウ
「フランのこの願いは尊い物だ。出来るなら叶えさせてやりたい。だが、いや、だからこそ!今のフランは止めなきゃならない!彼女の願いを・・・本当の意味で叶えさせてやるために!」
オーバードライブによる魔素の殆どはフランのソウルイーターに吸収されてしまった為、オーバードライブは解除している。
というより、解除せざるをえない状況だった。
フランがソウルイーターにより魔素を吸収しているのなら、高純度の魔素を用いるオーバードライブを使えば、フランの状態が更に悪化してしまう。
ショウは魔素を用いた殆どの攻撃を封印されたも同然だった。
ショウ
(・・・だが、状況は最悪だな。俺は魔素を攻撃に使えない。身体強化と足場のみだ。攻撃手段は剣による直接攻撃かスペルカードだけ。レミリアはソウルイーターによりスタミナの殆どを奪われている。不味いな・・・。単純に、手が足りない・・・。)
客観的にみれば絶望的な状況。
尚且つ、戦力差は4対2と数的にも不利。
単純な話、勝ち目がなかった。
フラン達
「お姉様、お兄ちゃん。本当に楽しかったけど、流石にもう無理だよね?ならもういらないや。シンジャエ。」
最後通告とも取れる言葉がフラン達から発せられる。
一人を残し、三人のフラン達が巨大化した剣を振り上げ、ショウ達二人に振り下ろした。
ショウ
(万事休す・・・か。だが!せめてレミリアだけは!)
ショウはレミリアを庇うように立ち塞がる。
レミリア
「ショウ!?何を!?」
ショウ
「悪いな、レミリア。フランを助けるって約束・・・守れそうにない・・・。だが!刺し違えても、お前は守って見せる!」
ショウは体内の魔素を全解放し、一時的に暴走状態になって、フランの剣を全て喰らい尽くすつもりで腕に大きな傷をつける。
だが、暴走状態になれば際限なく魔素を放出してしまう災厄となってしまうことはショウも理解している。
だからこそ、全てを終わらせた後、自分自身に決着をつけるつもりだった。
レミリア
「な!?バカを言わないで!私には諦めるなと言ったくせに、あなた自身は諦めるつもり!?そんなの許せるものか!・・・くそ!?足が・・・もう!?」
レミリアはショウの言葉に激昂し、槍を構えようとするが、足に力が入らず崩れ落ちる。
フラン
「どっちでもいいよ。どのみち二人とも、コロスカラ!!」
フランの声が響き、ショウ達の眼前に剣が迫る。
???
「させないわ!霊符『夢想封印』!」
???
「させねぇよ!魔符『スターダストレヴァリエ』!」
???
「させません!華符『芳華絢爛』!」
フラン達
「きゃあ!?な、なによ!?」
フラン達の剣が直撃する瞬間、ショウ達とフラン達の間に光弾が割り込み、フラン達を弾き飛ばした。
ショウ
「な、なんだ・・・?」
レミリア
「今のは・・・まさか?」
ショウは後ろを振り返り、光弾を放ったであろう人物を見る。
そこには・・・
魔理沙
「ショウ!無事か!?助けに来たぜ!」
霊夢
「まったく・・・無茶なことしたわね?このお礼は高くつくわよ。」
美鈴
「ショウさん!お嬢様!大丈夫ですか!?」
魔理沙、霊夢、美鈴の三人が手にスペルカードを掲げて浮いていた。
ショウ
「魔理沙!?それに、霊夢と美鈴さんも!?」
レミリア
「魔理沙や美鈴ならわかるけど・・・霊夢も・・・来るとはね。でも、これなら・・・!」
ショウ
「・・・何とかなるかもな!レミリア!希望が見えた!気張れよ!」
レミリア
「く・・・あああ!はあ、はあ・・・当然よ・・・!美鈴、それに・・・霊夢、魔理沙!・・・お願い、力を貸して!!」
ショウはレミリアに呼び掛け、レミリアはそれを受け、足に力を込め立ち上がる。
そして、助けに来た三人に、心を込めて願いを叫んだ。
魔理沙
「当たり前だ!当然手伝うぜ!そのために来たんだからな!」
美鈴
「私も同じ気持ちです!必ず、妹様を救って見せます!」
霊夢
「・・・ここまで来ると、もうこれは『異変』よ。なら、解決するのが、博麗の巫女である私の役目。必ず、解決して見せるわ!」
レミリアの願いに三人は応えた。
霊夢はお払い棒と護符、魔理沙は八卦炉、美鈴は拳を構え、ショウとレミリアの横に並び立つ。
対してフラン達は、頭を抱えてショウ達を睨み付けていた。
フラン達
「次から次へと・・・いい加減にしてよ・・・。いい・・・加減に・・・ワタ・・・シを・・・ジユウニシテヨ!ウウ・・・アアアアァァァァ!!!」
フラン達は咆哮し、狂ったように飛び掛かってきた。
その目は完全に正気を失っている。
既に魔素の侵食が危険領域に入っていた。
ショウ
「不味いな・・・。もう時間がない。霊夢!魔理沙!美鈴さん!フラン達の剣には相手の生命力を奪う力が付与されている!接近戦は駄目だ!遠距離からフラン達の剣を破壊してくれ!魔素の侵食が進行しすぎている!もう時間がない!早くしないと手遅れになる!」
魔理沙
「分かったぜ!霊夢!美鈴!一人で一体だ。ぶちかますぞ!」
霊夢
「分かってるわよ!そっちこそ、しくじるんじゃないわよ!」
美鈴
「妹様、すみません!少し我慢してください!手加減する余裕はありませんから!」
魔理沙達は、それぞれ突進してきたフラン達と激突し戦闘状態に。
ショウとレミリアも、残った一人のフランと相対していた。
フラン
「・・・・・・・・・」
ショウ
「これで最後だ。終わらせる・・・。レミリアとフラン・・・。二人の悪夢を!」
レミリア
「ショウ・・・。」
ショウ
「・・・来いよフラン。決着・・・つけようぜ。お前は自由になるため。俺はお前を止めるため。お互いの願いは相反する物。なら、けりをつけるしかないだろ?」
ショウはフランに言い聞かせるような口調で話す。
対するフランも虚ろな瞳でショウを見つめる。
フラン
「・・・オ、ニイ・・・チャ、ン・・・。」
ショウ
「とことんまで付き合ってやる。さあ・・・かかってきな!!!」
フラン
「・・・シンジャエエェェェ!!!!」
咆哮と共に剣を掲げ突進してくるフラン。
ショウも剣を構え、真正面からぶつかり合う。
周囲に轟音を響かせ、鍔競り合う二人。
その状況を見ていたレミリアは理解していた。
どちらが勝つにしても、もう決着は間近。
そして、フランが勝った場合、自分には最後の仕事、実の姉として、フランの暴走を止める。
例え、フランの命を奪ってでもと・・・。
だが、同時に願ってもいた。
自分が信じた男、ショウと名乗った外来人。
彼がフランに勝ち、フランを救う未来を。
自分が歩んできた人生、血の繋がったたった一人の家族を幽閉し、一人で歩んできた間違った人生を正し、もう一度、家族と共に歩んでいく未来を導いて欲しいと。
レミリア
(ショウ・・・お願い・・・。フランを、私のたった一人の家族を・・・助けて!)
声には出さず、ただショウを見つめながら心の中で願いを叫ぶ。
そして、レミリアの目に映っていたショウは、レミリアを見て微かに微笑んだ。
都合のいい解釈、もしくは気のせいかもしれない。
でも、レミリアは信じていた。
ショウの笑みはきっと・・・『後はまかせろ』・・・と言ってくれたのだと・・・。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
~~???~~
???
「行かれるのですか?」
???
「・・・ええ。」
???
「わかりました。なら私も・・・。」
???
「あなたは来なくていいわ。私一人でいい。」
???
「な!?し、しかし!?」
???
「貴方には見せたくないの。私は、今回だけこの世界の理に背を向ける。そして、血にまみれることになる。」
???
「・・・わかりました。では、私は夕食を作ってお待ちしています。」
???
「・・・ありがとう。楽しみにしておくわ。それじゃあ、行ってくるわね。」
???
「はい。行ってらっしゃいませ。」
とある場所の縁側で会話する二人の女性。
片方は残り、もう片方は縁側から外に出ていく。
残った方は深々と頭を下げ、出ていく方は後ろを振り返ることなく、先へ進む。
そして、先へ進んだ女性は気配なくその場から消えた。
残った女性は頭を上げ縁側に背を向け呟きながら屋敷の中へ入っていく。
???
「あなたの苦悩は痛いほどわかります。ですが、全てを背負う必要は無いんですよ・・・。」
屋敷の中へ入っていく女性は、台所に向かい食事の用意を始める。
そこには、皿が《四つ》用意されていた。
一つは当然、自分の主。
残りは自分と最愛の従者の分。
そして、最後の一つは・・・
???
「・・・はあ。いい加減食べないと、衰弱してしまいますよ?目的があるのはわかりますが、先ずは体を回復させるべきなのではないですか?」
食事を準備していた女性は、テキパキと手際よく準備を進めながら、隣の部屋に向かって話しかける。
???
「・・・・・・・・・」
返事は返ってこない。
しかし、その後に絞り出すような声でポツリと独り言が聞こえてきた。
???
「・・・・・・・・・ラグ・・・ナ・・・」
うわ言のように呟かれるその言葉が意味するものは、今この場にいる誰にもわからない・・・
■■■■■■■■■■■■■■■■■
~~紅魔館 メインホール~~
フランA
「シンジャエ!シンジャエ!シンジャエ!ジャマヲ・・・スルナァァァ!!」
魔理沙
「よっと!あぶねえ!ただ、がむしゃらに振り回してるだけだから、避けやすいな。さてと!そろそろ決めるぜ!」
フランの攻撃を箒に跨がったまま軽やかにかわす魔理沙。
力強く叫んだ後、フランの攻撃をかわし、フランの真上へ飛翔して八卦炉を構える。
その手にはスペルカードが握られていた。
魔理沙
「ちゃんと剣で止めろよ?星符『ドラゴンメテオ』!」
真下のフランに向けて極大のレーザーを放つ。
フランA
「グッ!?ガアァァァァ!!」
かろうじて反応し魔理沙のレーザーを剣で受け止める。
しかし、あまりの質量のレーザーにより剣がきしんでいた。
レーザーが止み、真上を見上げるフランだったが、既に魔理沙の姿はなかった。
魔理沙
「流石に一発じゃ無理か。まあ、本命はこっちだけどな。終わりだぜフラン!恋心『ダブルスパーク』!」
魔理沙は既にフランの後ろに回り込んでおり、スペルを宣言する。
声に反応したフランが振り返ると、魔理沙の周りに二つの魔方陣が展開されており、既に発射体勢だった。
回避は間に合わない為受け止めるしかない。
加えて、今のフランに正常な判断は出来なかった。
魔理沙
「砕け散れ!」
フランA
「グギギ、ガァァァァ!!」
ビキッ
フランA
「ガ!?」
二つの魔方陣からレーザーが放出される。
案の定受け止めたフランだったが、レーザーの威力に耐えきれず刀身の根本に亀裂が入る。
度重なる攻撃により耐久力に限界が来ていた事にフランは気付けなかった。
亀裂は徐々に大きくなり、遂に・・・
バキン!
フランの剣は根本から折れる。
フランA
「ア、ア・・・アアアアァァァァ!?!?!?」
断末魔を上げるフラン。
折れた剣は霧のように消え、それに追従するようにフランも消えていく。
どうやら、魔理沙が相手をしていたフランは分身だったようだ。
魔理沙
「やれやれ。片付いたか。他はどうなった?」
一息ついた魔理沙は周囲を見渡す。
すると・・・
霊夢
「これで終わりよ!宝具『陰陽鬼神玉』!」
美鈴
「捕らえた!そこです!華符『彩光蓮華掌』!」
霊夢と美鈴のスペルがそれぞれ相手をしていたフランを捕らえる。
どちらの技も正確にフランの剣を破壊した。
魔理沙の時と同じように、断末魔を上げ消えていくフラン。
つまり・・・
霊夢
「私達が相手をしていたフランは、揃いも揃って偽物みたいね。」
美鈴
「だとすれば本物は・・・」
魔理沙
「・・・今ショウが戦ってるあいつだよな。」
魔理沙達は揃って上空を見上げる。
そこには・・・
フラン
「コワレロ!コワレロォォォ!!」
ショウ
「ぐっ!?・・・まだまだぁぁ!!」
強烈な炸裂音を響かせながら、幾度となく切り結ぶ二人の姿があった。
魔理沙
「援護は・・・駄目だな。遠距離じゃショウを巻き込みかねない。動きが速すぎるぜ。」
美鈴
「かといって接近戦は論外ですね・・・。ショウさんは攻撃にあの黒い霧を使ってません。つまり・・・」
霊夢
「使わないんじゃなく、使えないのね・・・。さっきショウは接近戦は避けろと言ったわ。力がフランに奪われるって。万が一私達の力が吸収されたらもう手に終えなくなる。私達に出来るのは、ショウが勝つことを信じるしかないわ・・・。」
援護は不可能。
最早三人に出来るのは、ショウを信じる事だけだった。
ショウ
(身体強化のみなら、奪われたスタミナを直ぐに補填できるから戦うことはできる・・・。だが・・・、決め手にはどうしても欠けてしまう。更に、フランのスタミナは俺から吸収しているからほぼ無尽蔵なのに対し、此方はいずれ限界が来る・・・。状況は絶望的か・・・。)
戦うこと自体は可能だが、勝機は皆無。
敗北必至の戦いを続ける意味はない。
最大出力なら可能性はあるが、フランの命も危ない上、失敗すれば助ける可能性はなくなり、自分を含め、ここにいる全員が死ぬ。
普通に考えれば、既にチェックメイトの状態だった。
ショウ
(だからといって諦めるわけにはいかない!一瞬でいい・・・フランの動きを止めることができれば・・・!!・・・ある。たった一つだけ・・・!今の俺にできて、動きを止めた上で、確実に剣を破壊できる技が・・・。だが、制御出来なければ、フランは確実に死んでしまう・・・。更に、俺自身の手で、魔理沙達を殺してしまいかねない・・・!・・・どうする・・・どうすればいい!?)
打つ手を思考していたショウは、たった一つの可能性に行き着いた。
しかし、その技は血の消費が膨大過ぎて、発動すら出来ず暴走する危険性もけして低くはない。
暴走してしまったら最後、今ここにいる全ての命を余すことなく喰らい尽くす災厄の獣と成り果てる。
ショウは迷っていた。
フランを救う為、ありとあらゆる可能性を模索し、リスクを低くし、確率を上げるために・・・。
時間にして一瞬の間のことではあるが、確かに一瞬、ショウの動きは止まっていた・・・。
フラン
「・・・クス」
ショウ
「!?しまっ――」
その隙は、戦いの最中においては致命傷だった。
一瞬の隙、懐に潜り込まれた。
直ぐに反応したが、既に射程圏内。
かわすことは不可能、防御も間に合わない、直撃する・・・。
???
「ショウ!!!」
直撃する直前、ショウとフランの間に何者かの影が割り込んだ・・・
ドシュ!!!
ショウ
「―――――・・・?な!?」
致命傷を覚悟していたショウは、来るはずの激痛がないことで意識を戻す。
取り戻した視覚が捉えたのは、自分を庇い右肩に剣を突き立てられたレミリアだった・・・。
レミリア
「グ・・・ウッ!」
ショウ
「バ、バカ野郎!!何で庇った!?生命力の殆どを吸収されて立ってるのがやっとだろ!?」
レミリア
「ば、馬鹿は・・・貴方・・・よ。無理なら・・・逃げれば・・・いい。私たちは・・・今日、会った・・・ばかりなの・・・よ。そこまで、責任を負う必要は・・・ないわ。巻き込んだのは・・・私のせいよ。・・・家庭の事情で、貴方を・・・死なせる訳には・・・いかないわ・・・。逃げ・・・なさ・・・い。」
レミリアの顔はみるみる青白くなっていく。
出血に加え、ソウルイーターにより生命力を奪われて、著しく衰弱していた。
フラン
「フフフ。アハハハハハ!!オネエサマカラシヌ?ソレデモイイヨ?ドッチミチミンナ、コロシテアゲルカラ!!」
狂気の笑みで笑いながら叫ぶフラン。
レミリアから剣を引き抜き地面に向けてレミリアを蹴り飛ばす。
床に叩きつけられ、身動きが出来ないレミリアに向けて、巨大化させた剣を振り上げた。
フラン
「バイバイ。オネエサマ。魔剣――」
レミリア
「グッ・・・フラ・・・ン。」
フラン
「『ダーインスレイブ』!!」
確実にレミリアの命を奪う、非情の刃が振り下ろされた・・・。
プツン
ショウ
「ヤメロオオオオオオ!!!!!!」
ショウの中で何かが弾ける。
咆哮を響かせ左手で剣を受け止めた。
剣の威力を殺しきれず、左手からは血が流れ落ちる。
しかし、確かに剣を受け止めていた。
フラン
「ナ!?」
その事実にフランも驚愕の声を上げる。
ショウ
「やらせない!絶対に!!これ以上、俺のために命を落とすのは許せない!!何より自分が許せない!!!もう迷わない!!どれだけ可能性が無かろうが、必ず助ける!!誰一人、死なせるものか!!!」
流れ落ちる血を無視し、自分の左手に手をかざす。
左手の周囲に術式陣が浮かび上がり、それを見たショウはその陣を掴み、『砕き割った』。
ショウ
「『左腕部限定・全拘束解放』!!」
陣が砕かれると同時に、ショウの左手が黒く濁っていく。
ショウ
「『魔素収束・掌握術式構築展開』!!」
左手から流れ落ちる血から魔素が発生するが、周りに拡がらず左手に収束していく。
ショウ
「グッ!?まだだ!もってくれ!『コード―クライムアーク・超越解放《アンリミテッドブレイズ》』!!」
術式を構築しているが、身体は拒否するかのように激痛を訴える。
しかし、ショウは身体からのSOSを完全に無視。
苦悶の表情を浮かべながら、術式を組み上げる。
ショウ
「これで・・・最後だ!!『目標捕捉・呀獣招来』!!・・・禁忌の楔を解き放つ!内に眠りし災厄よ!全ての魂を貪り喰らえ!」
最後の術式を構築し、身体中の魔素を左手に集約する。
既に左手は真っ黒に染まり、腕の表皮は僅かに胎動していた。
そして、ショウはこの戦いに終止符を打つ、最後にして最悪の切り札を発動した。
ショウ
「『カース・オブ・インフィニティ』!!!」
発動した最後の切り札。
黒く染まりきった左手の胎動が一瞬静まる。
次の瞬間、漆黒の左手から獣の頭が無数に出現し、フランの剣に食らいついた。
フラン
「ナ、ナンナノヨ!?コンナモノ!ダーインスレイブデ、ゼンブクッテヤル!」
フランは剣に食らいついた獣を吸収するため、ダーインスレイブの力、ソウルイーターを発動した。
だが・・・
ショウ
「無駄だ・・・。これは先程まで使っていた劣化型の黒き獣じゃない。俺のドライブ『クライムアーク』の力を全開にした上で、身体中の魔素を集約し再構築した、オリジナルの黒き獣だ。お前が使っていたソウルイーターの力の源泉は黒き獣の力だ。しかも、オリジナルの黒き獣の力にとって、ソウルイーターの力は絞り滓みたいな物なんだよ。使役できるのは一瞬だが、力の差は比べる必要もない。終わりだよ、フラン。」
フランのソウルイーターを全く意に介さず、巨大化した剣を貪り続ける黒き獣。
フラン
「ソンナ!?ナンデ!?」
ソウルイーターの力が効かず、剣を食われていくフランは明らかに動揺し始めた。
フラン
「ヤメテ!!ヤメテヨ!!ヤットワタシハチカラヲテニイレテ、ジユウニナレルノニ!ナンデジャマスルノ!?ワタシハ、ジユウニナリタイダケナノニ!!」
フランの目からは血のように赤い涙が流れる。
声は悲しみを携えた悲痛な物。
フランが叫ぶのは紛れもなく彼女の内なる願いだった。
ショウ
「・・・君の願いは分かってる。だから約束する。君を止め、君が元に戻ったら、俺が必ず君を外に出させてやる。だから、今は眠れフラン。レミリアとフラン、二人の悪夢は、これで晴れる!」
フラン
「ヤメ――――!!」
ショウ
「砕けろ!!!」
ショウが叫ぶと同時に、フランの持っていた剣は砕け、霧散した。
フラン
「ア・・・・・」
力なく呟いたフラン。
天を見上げて立ち尽くし、ピクリとも動かない。
だが、ショウにはわかった。
フランが纏っていた巨大なプレッシャーが完全に消えていたのだ。
ショウ
「・・・終わった・・・か・・・。良かっ・・・た――」
ドサッ
フランが元に戻ったのを見届けたショウは遂に倒れる。
既に限界は越えていた。
レミリア
「・・・は!?」
その時、倒れていたレミリアが起き上がる。
床に叩きつけられた時に気を失っていたようだ。
レミリア
「私・・・は?」
力なく起き上がったレミリアの視界が捉えたのは、正に自分が見た絶望の未来の光景だった。
レミリア
「ショウ!?フラン!?」
倒れているのはショウ、立っているフランは血まみれだ。
端から見れば、結果は最悪の物であると考える。
当然、その状況を見たレミリアも同じ考えだった。
レミリア
「そ、そんな・・・。ショウ・・・、ごめん・・・なさい。」
レミリアは死力を尽くし倒れたショウを思い、謝罪の言葉を口にした。
そして、全身に力を込めて槍を構える。
レミリア
「貴方を・・・無駄死ににはさせない!刺し違えても、フランは救ってみせる!」
身体中から激痛を感じる。
はっきり言って限界はとっくに越えていた。
だが、今のレミリアにとって、そんなことはどうでも良かった。
自分達姉妹のために命を落としてしまった外来人のためなら、こんな痛みなど些事に等しいと切って捨てた。
それほどの覚悟をもって、レミリアはフランと相対していたのだ。
そして、見つめる瞳の先にいる最愛の妹が、虚ろな瞳のまま口を開いた。
フラン
「・・・お姉・・・様。」
レミリアは歯を食いしばる。
自らの命を賭けて、妹を救う為に。
だが、次にフランの口から発せられた言葉で、レミリアの顔は変わった・・・
フラン
「・・・ごめん・・・なさい。私のせいで・・・お兄・・・ちゃんが・・・。」
レミリア
「え!?・・・フ、フラン、貴方・・・まさか!?」
フラン
「ごめんなさい、ごめんなさい・・・。」
懺悔するように謝罪の言葉を繰り返すフラン。
その瞳にはもう狂気はない。
あるのは、瞳から流れる涙。
先程まで流していた血のように赤い涙ではなく、澄んだように透明な涙だった。
レミリア
「正気に、戻っているの・・・?」
フランの状況を理解したレミリアはフランに駆け寄りその手を取る。
間違いなく正気に戻っていたことが分かった。
その事実に気付くと同時に、倒れていたショウが僅かに動き、その目をレミリアに向け微笑んだ。
ショウ
「・・・終わった・・・ぜ、レミ・・・リア。約束は・・・果たした・・・。フランは・・・もう、大・・・丈夫だ。」
レミリア
「!?・・・シ、ショウ。」
ショウ
「・・・良かったな。もう・・・その手を、離すな、よ。」
レミリア
「―――!!・・・・・・うん!!ありがとう!!」
レミリアの顔には満面の笑みが浮かぶ。
その顔を見たショウは、安堵の顔を浮かべ、今度こそその意識を手放した。
果てしない程の長い間、醒めることのなかった悪夢が終わりを告げた・・・。
to be continue
対フラン戦、これで決着です。
いやー、設定ぶちこみすぎて長い長い。
やっぱり、読みやすいようにまとめた方がいいですかね?
長いことあとがきで話してもしゃーないと思いますので、今後の予定を話してあとがきはおわります。
予定は、一旦資料集を更新して、第二戦導入部を書き、戦闘パートにはいる予定です。
資料集更新は長くはかかりませんので大丈夫です。
更新遅過ぎて細かいところは忘れてしまったと思うので、読みやすいように異変前半の設定、技などを一度更新します。
資料集は遅くとも一週間以内に更新しますのでお待ち下さい。
では、長い間お待たせしてしまい申し訳ありません。
ありがとうございました。