蒼が導く幻想の旅路~東方蒼幻録~   作:wingurd

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更新完了です。
今回は異変の幕間になります。
次回で異変戦闘パート第二戦の導入部になります。

今回はだいたい5000字程、更新までは約二週間位。
やっぱり、この位の長さが安定しますかね?

尚、ショウの記憶の一部が戻ったことにより、ショウの身体の秘密の一部が判明します。
まあ、最初から少し不思議な所はありましたが・・・。

前置きはこの辺にして、本編へ行きましょう。
では、お楽しみください。


幻蒼異変 第一章 《conviction resonance》part5

ショウ達とフランの戦いは終わった。

既に夜は更け寝静まる時間だが、当事者の内重傷な者達以外は、紅魔館の食堂に集まっていた。

今この場にいないのは、フランの一撃を受け瀕死になり 永琳に治療を受けていたアリス、フランの剣を右肩に受け重傷になったレミリア、当事者であり精神の衰弱が見られたフラン、そしてそのフランを満身創痍ながらも救いだし限界を迎えて倒れてしまったショウ、以上の四人だ。

この四人以外の紅魔館組と霊夢、魔理沙達がいて、丁度そこに四人の治療を終えた永琳が食堂に入ってきた。

入ってきた永琳を見るや否や、咲夜が永琳に話しかける。

 

咲夜

「永琳!お嬢様達の具合はどうなの!?」

 

永琳

「まあ、多種多様だけど大丈夫よ。一番ひどいのはあの青年ね。よくあんな状態で動けたわね。」

 

咲夜

「な!?ショウさんが!?ショウさんは無事なの!?」

 

永琳

「取り敢えず落ち着いて。一番ひどいとは言ったけど、大丈夫だとも言ったわよ。四人とも命に別状はないわ。」

 

咲夜

「本当!?よ、よかった・・・。」

 

永琳

「・・・よほど心配だったみたいね?貴方みたいな真面目な人が敬語を忘れるほどなんて。私を呼びに来たときは敬語だったのに。」

 

咲夜

「あ!す、すみません。私としたことが・・・。」

 

永琳

「気にしなくていいわよ。無理もないことは分かってるから。」

 

咲夜と永琳のやり取りでひとまず全員が無事だとわかり、食堂にいた面々はほっと胸を撫で下ろした。

 

パチュリー

「先ずは一安心ね。咲夜、嬉しいのはわかるけど一先ず食事にしない?強行軍だった貴方もだけど、ここにいるみんなもかなり疲労してる。直ぐに食事をとって今日は早めに休みましょう。永琳。悪いけど、峠を超えたとはいえ予断を許さない状態だから、貴方には残ってもらうわよ?休む部屋は用意させるから。」

 

永琳

「当然でしょ?患者を残して帰る医者なんかいないわよ。言われなくても、こちらから泊まる部屋を頼むつもりだったわ。」

 

パチュリー

「手間をかけるわ。治療費は約束する。」

 

永琳

「別にいいわよ。ただ・・・」

 

パチュリーが話しかけ、永琳が答える。

パチュリーの治療費についての話に永琳はいらないと答えたが、言葉の最後に「ただ・・・」と付け加えた。

 

パチュリー

「?・・・ただ、何?」

 

永琳

「二、三点質問があるんだけど・・・構わないかしら?」

 

永琳はパチュリーに対し幾つか質問があると言った。

 

パチュリー

「質問?構わないわよ。答えられる範囲でだけど。」

 

永琳

「なら聞くわ。彼は何者なの?身体の構造は間違いなく人間よ。でも、だとするとあり得ないことがいくつもある。特に、彼の左腕。あれほどの損傷なら、間違いなく死んでいる。でも、彼は生きている。加えて、一番損傷がひどいにも関わらず、既に傷は塞がり始めていた。人間だとしたら明らかにおかしいわよ。」

 

永琳の質問に対してパチュリーは苦い顔をする。

当然の事だ。

パチュリーは、ショウについて全く知らないのだから。

しかし、この時会話に割って入る人物の声が聞こえた。

 

???

「・・・その質問には俺が答えるよ。」

 

全員

「!?」

 

聞こえたのは男の声。

だが、今紅魔館にいる男は一人しかいない。

 

ショウ

「みんな。心配をかけて悪かったな。」

 

魔理沙

「お、お前・・・、大丈夫なのか?」

 

霊夢

「あんたバカじゃないの?絶対安静の筈よ。とっとと寝てきなさい。」

 

ショウ

「たはは・・・酷いな。本人が大丈夫って言ってるんだから大丈夫だよ。わざわざ悪化させるような真似はしないさ。そうですよね?・・・永琳さん。」

 

永琳

「・・・・・・教えてちょうだい?なぜ、一番重傷だった貴方の傷が、治療を終える頃には・・・既に塞がり始めていた理由を。」

 

全員

「な!?」

 

全員が驚愕の声を上げる。

無理もない。

ショウの傷は明らかに重傷レベルだった。

それは、戦いの場にいた魔理沙や霊夢が一番わかっている。

どう考えても二、三時間程度で動けるような状態ではなかった。

 

ショウ

「・・・質問には勿論答えます。ただ、こっちにも貴方に頼みがあります。聞いていただけるなら、貴方の質問には全て、嘘偽りなく答えます。お願いできますか?」

 

永琳

「内容にもよるわ。今この場で即決することはできない。申し訳ないけどね。」

 

ショウ

「・・・まあ、そうですよね。治療してもらいながら図々しいことを言いました。申し訳ありません。では質問に答えます。長くなるのでよく聞いておいてください。」

 

ショウが語った内容は、ここにいる全員から言葉を途中で挟む意思を奪うほどのものだった。

ショウの肉体には魔素が内包されており、それを肉体に作用させることで治癒力を高める。

ここまでは霊夢達にも話した。

だが、次に出た言葉には霊夢達も耳を疑った。

 

ショウ

「・・・俺の身体は人間のものに間違いはありませんが、霊夢達は見たよな?フランとの戦いの時に俺の左手が真っ黒になったのを。あれは、通常より更に魔素を凝縮させた結果、腕が魔素に変質したものだ。俺の身体は、ある程度魔素へと変質させることが出来る特性があるんです。そして、その逆も可能です。つまり、今ある程度回復しているのは、体内の魔素を血液や肉体に変質させて補完しているんですよ。限度はありますが。言ってしまえば、人間とは似て非なる化物なんです。まあ、この事を思い出したのは、ついさっきですけどね。」

 

魔理沙

「・・・・・・・・・」

 

霊夢

「・・・・・・・・・」

 

美鈴

「・・・・・・・・・」

 

咲夜

「・・・・・・・・・」

 

パチュリー

「嘘・・・でしょ?あなたの身体にそんな秘密があっ―――」

 

ゴッ

 

パチュリー

「むきゅ!?―――きゅー・・・・・・。」

 

魔理沙

(空気読めよ!この紫もやし!)

 

霊夢達は沈黙していたが、パチュリーは驚愕の声を上げ・・・ようとしたが、言い切る前に魔理沙にチョップをくらい気絶した。

 

永琳

「・・・話は理解したわ。なら、治療はもう必要ないのかしら?」

 

ショウ

「応急処置程度で十分です。明日にはほぼ完治してるでしょう。最初の治療が的確だったってのもありますが。」

 

永琳

「そう。なら結構よ。丁度食事にするみたいだし、それを食べたら寝室に戻りなさい。治りかけているけど完治した訳じゃない。精神的にも疲労はある筈よ。休息は必要だわ。」

 

ショウ

「・・・わかりました。ありがとうございます。」

 

こちらの体調を気遣う優しい言葉をかけ、これ以上の追求を永琳はしなかった。

自分を思っての事だと分かったショウは素直に返事をする。

 

咲夜

「そうですね。皆さんお疲れですし、直ぐに食事を用意します。しばらくお待ち下さい。」

 

食事を用意すると言って咲夜がその場から消える。

能力を使用したんだろう。

しばらくすると、唐突に食事が机の上に出現した。

改めて思えばとんでもない能力だと感じる。

そして、席に着いていた全員が食事を始めようとした時、再び食堂のドアが開いた。

 

???

「・・・みんな揃っているようね。」

 

声は女性の物。

威厳を含みながら幼さも残る声色だった。

声の主は優雅に歩きながらテーブルの一番奥へと進み、一際豪華な椅子へ腰を下ろす。

 

???

「先ずはここにいる全員にお礼をさせてちょうだい。ありがとう。貴方達のお陰で私は救われたわ。」

 

ショウ

「・・・傷はもう大丈夫なのか?レミリア。」

 

レミリア

「ええ。永琳のおかげでね。まあ、私は吸血鬼。そこいらの一般人とは身体のつくりが違うのよ。全快って訳じゃないけど、普通に生活するだけなら問題ないわ。」

 

入ってきたのはレミリアだった。

レミリアが重傷になったのは自分のせいだと考えているショウは、レミリアの身を案じたが、取り敢えず大事には至っていないようで安心した表情を浮かべ続けて言った。

 

ショウ

「そうか。良かった。肩の傷は俺を庇って受けたものだったから心配していたんだ。あの時は助かった。ありがとうレミリア。」

 

レミリア

「何を言っているの?礼を言うのはこっちよ。貴方のおかげでフランは救われた。貴方がいなければ私達はみんな死んでいた。紅魔館にいる全ての命を救ってくれたようなものよ。だから、紅魔館を代表して私が言うわ。心から感謝を。ショウ、本当に・・・ありがとう。」

 

庇ってもらったことに対して感謝の言葉を口にしたショウ。

だが、レミリアから返ってきたのは、お返しと言わんばかりの最大限の感謝だった。

 

ショウ

「別にいいって。フランを助けると決めたのは俺自身だし、俺が勝手にやったことさ。助ける事は出来たんだからそれで十分だよ。元々ここに来たのは別の目的があったからだしな。」

 

レミリア

「あー・・・確か、私に聞きたいことがあったのよね?お安いご用よ。何が聞きたいの?」

 

ショウ

「ああ。レミリアの能力に関わることなんだが――」

 

ガタン

 

ショウ

「ん?今・・・」

 

レミリアに質問があると言ったショウだったが、何かを感じ言葉を止める。

 

レミリア

「・・・ショウ?どうしたのよ?」

 

途中で言葉を止めたショウに対し、疑問を浮かべ話しかけるレミリア。

 

ショウ

「・・・・・・・・・いや。やっぱ後にするわ。長くなるかもだし。食事を終わらせてからにしよう。あと、少し席をはずす。食事は先に始めといてくれ。」

 

レミリア

「席をはずす?一応、貴方は主賓になるのよ?主賓が不在では始められないわ。」

 

ショウ

「直ぐ戻るよ。トイレだから。ついてきたいって言うなら構わないぞ?」

 

レミリア

「な!?こ、このバカ!早くいってきなさい!」

 

ショウ

「ハイハイ。」

 

トイレと言って席をはずすショウ。

だが一人、咲夜は疑問を浮かべていた。

 

咲夜

(ショウさん?トイレって、ここのトイレの場所知らないはずじゃ・・・?)

 

ショウは初めて紅魔館に来たのだ。

自分達と戦った後、真っ直ぐレミリアの下へ向かった筈なのに、ここの間取りを知っているのは明らかにおかしい。

不審点は多いものの、咲夜はショウの事を信頼していたし、疲労もあったため深く考えなかったが、咲夜の考えは間違っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

???

「・・・・・・・・・」

 

食堂の外には人影。

神妙な表情で扉を見つめていたが、やがて背を向けその場を離れようとした・・・その時だった。

 

ガシッ

 

???

「!?」

 

不意に後ろから肩を掴まれ身動きができなくなる人影。

そして、背後から声が聞こえた。

 

???

「・・・逃げんな。」

 

言葉に反応し振り向く。

 

???

「逃げたくなる気持ちは分かる。だが、ここで逃げれば君に未来はない。・・・勇気を出せ、フラン。」

 

フラン

「お、お兄・・・ちゃん?」

 

食堂の外に居たのはフランだった。

離れようとしたフランを止めたのはショウ。

食堂に居たとき、扉の外に気配を感じたショウは、理由をつけて席をはずした。

十中八九、外に居るのがフランだとわかっていたからこその行動だった。

 

ショウ

「君が最初にすべき事は、今回の件にけじめをつけること。先ずはそこからだ。でなければ、君は一歩も前に進めない。」

 

フラン

「でも・・・私は、みんなを・・・。」

 

ショウ

「それは変えようがない事実だ。だが、その事実から逃げてしまえば、君の望みは叶わない。」

 

フラン

「・・・私は・・・」

 

フランは変わらず下を向いたまま。

よほど今回の件が堪えているようだ。

 

ショウ

「・・・少し、昔話をしよう。」

 

フラン

「え?昔・・・話?」

 

ショウ

「ああ、かつて俺の戦友だった奴の話だ。」

 

ショウは思い出した記憶から昔の話を始めた。

その記憶は、フランが引き金になり甦った記憶。

死神『ラグナ・ザ・ブラッドエッジ』の戦いの軌跡。

記憶の一部は変わらずに抜けているが、それを踏まえてフランに分かるように話をしていく。

そして、話の中でも、フランに聞かせたい一番重要な事を語り始めた。

 

ショウ

「・・・こうして、そいつは果てのない戦いに身を投じた。禁断の力を持ち、やがて訪れるのは確実な死だけだ。だが、そいつは戦った。今でこそ目的は復讐だが、最初に抱いたのは、自分の『大切なもの』を守りたいって感情だった。」

 

フラン

「大切な・・・もの?」

 

ショウ

「フラン。おまえが外に出たいと思っているのは知っている。その願いは尊いものだ。だが、その願いはお前にとって、そんな簡単に諦められるものなのか?原因は蒼の欠片によるものだが、その願いを叶えるために、お前は俺たちに刃を向けたんだぞ?簡単に諦められる筈がない。違うか?」

 

フラン

「・・・・・・・・・」

 

ショウ

「無言は肯定と判断する。なら・・・『逃げんな』!!」

 

フラン

「!?」

 

ショウは語尾を荒くする。

強い口調でフランに叫ぶ。

すべてはフランに・・・『大切なもの』を伝えるため。

 

ショウ

「お前の外に出たいって感情は、お前にとっての・・・『大切なもの』じゃないのか?もしそれが違うなら俺は何も言わない。だけどな・・・お前は覚えてないかもしれないが、俺たちと戦っている時、お前は自分の願いを叫んだ!狂気に飲まれながら、その願いだけは叫び続けた!決着の時、願いが叶わなくなると思ったお前は、血の涙を流しながらやめてくれと懇願した!」

 

フラン

「――!!」

 

ショウ

「フラン!そこまで願う願望であるなら、そいつはきっとお前にとっての『大切なもの』のはずだ!だったらもう、お前のやるべき事は・・・分かるよな?」

 

フランの顔にはもう、迷いの色はなかった。

 

ショウ

「俺も協力してやる。けじめを・・・つけてこい。」

 

フラン

「・・・うん!ありがとう!私、逃げないよ!」

 

晴れやかな笑顔を浮かべ、食堂へ走っていくフラン。

ショウはその背中を見送った。

 

ショウ

「・・・頑張れよ、フラン。けじめをつけたら、俺が必ず、お前を外の世界に連れてってやる。」

 

フランを見送った後、ショウもゆっくりと食堂の方へ歩いていった。

 

to be continue




本編終了です。
作っていて思いましたが、紅魔館組のフラグ多いような気がする・・・。
咲夜、美鈴、レミリア、フランの四人には多分立ってます。
異変の都合上、しゃーないんですけどね。
何が言いたいかと言うと、異変パートではオリジナル主人公に対するフラグにラッシュが入ります(笑)
まあ、後で展開するギャグパートにも関わって来るので大事な事なんです。
もう一度言います。
異変パートでは、フラグラッシュが入ります(大事な事なので二回言いました)

そろそろ締めろなんて声が聞こえそうなので、この辺で。
では、次回更新までしばらくお待ち下さい。
ありがとうございました。
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