蒼が導く幻想の旅路~東方蒼幻録~   作:wingurd

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お久しぶりです。
最終更新から、約1年と5ヶ月、仕事の合間に書き込んでは手直し、資料としてブレイブルーの過去作品の購入や、アニメ版のチェック、東方のwikiチェックや前回までの伏線の回収確認等々・・・かつてない作業量でしたが、とうとう形になり投稿出来ました。
遅くなるという次元じゃ無い程の亀更新で本当に申し訳ありません。

過去作品をプレイする際、持っていたps3がご臨終したため買い戻したり、文章が長いのが原因で書き込み途中に保存データが消えて最初から書き直したりなど、多数のトラブルが発生しましたが、遂に書き切りました。

これで異変第一章は完結です。
この後は資料集更新後、後日談である
《conviction resonance EXTEND》
を投稿する予定です。

ここまで掛かるとは想定していませんでした。
文字は過去最長、まさかのぴったり17000字。
文章を作ると言うのがどれ程難しいか、身をもって知りました。

では、異変第一章《conviction resonance》
最終話 お楽しみください。


幻蒼異変 第一章《conviction resonance》partFINAL

霊夢

「はあ・・・はあ・・・。」

 

身体中から血を流し、肩で息をする霊夢。

目の前には、友人達が血まみれになり倒れていた。

そこには親友である魔理沙や、新たに友となった外来人の青年の姿もあった。

 

霊夢

「何で・・・、こんなことを・・・?答えてよ―――」

 

???

「・・・・・・・・・・・・・・・眠りなさい。」

 

霊夢

「――――――紫!!!」

 

向かい合う女性から弾幕が放たれ、霊夢の視界を覆い尽くし、彼女の視界が黒く染まる。

霊夢は女性の名を叫び、答えを求めたが、告げられたのは終焉を意味する言葉であった――――――

 

霊夢

「――――――紫!!!・・・・・・あれ?」

 

暗くなった視界は、叫びと同時に色をつける。

そこには、先程の地獄絵図はなく、視界には目に悪い血のような赤い壁が一面に広がっていた。

 

霊夢

「今のは・・・・・・夢?」

 

???

「お、やっと起きたか?・・・良かった。気分はどうだ?霊夢。」

 

霊夢

「え?」

 

意識がはっきりしていない霊夢の横から声がかかる。

かけられたのは男性の声。

呆然としたまま、かけられた声の方へ霊夢が顔を向けると、そこにいたのは、自身の夢の中で倒れていた青年であった。

 

霊夢

「ショウ・・・?」

 

ショウ

「うなされてたから心配だったけど、大丈夫みたいだな。一応、大事をとってもう少し寝ておけよ?」

 

霊夢

「・・・そうね、ありがとう。それじゃあ・・・!?いや、それより紫は!?あいつはどうなったの!?」

 

ショウの言葉に従い、再びベッドで横になろうとした霊夢だったが、気を失う前の事を思い出し飛び起きた。

 

ショウ

「紫・・・ね。あんなことされてもあいつの事が心配なんだな?・・・・・・良かったな。あれほどの仕打ちをしといて心配してくれてんだぜ?ちゃんと説明してやれよ?」

 

霊夢

「・・・?何の事?」

 

ショウ

「下だ、下。」

 

ショウに紫の事を尋ねたが、返ってきたのは自分に対する言葉とは少し違う印象を受けるものだった。

疑問符を浮かべている霊夢に対し、ショウは言葉と共に指先をベッドの下に向ける。

それにつられて霊夢が視線を下に向けると・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

霊夢

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・何してんの?」

 

とても美しい一点の曇りもない滑らかなフォームで、頭を地につけて『土下座』をしている紫がいた―――

 

ここまでに至る経緯を説明すると、話は約2時間前まで遡る・・・・・・

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

紅魔館客室(永琳の処置室)

 

現在、中ではショウと永琳が会話をしていた。

他の人物の姿はなく、それぞれ別々の部屋で休んでいるようだ。

 

ショウ

「・・・あいつの容態はどうですか?」

 

永琳

「・・・随分ボロボロにしたわね。まあ、命に別状はないわよ?彼女は遥かに長い時を生きる大妖怪。これくらいなら死にはしないわ。処置出来ているならと言う言葉が前につくけどね。」

 

ショウ

「そうですか・・・。既に目は覚めてますか?」

 

永琳

「ええ。少し前からね。私も聞きたいことがあるし、薬で一時的に能力を封じてあるから、話は聞けるはずよ。効果は一時間くらいね。あと、あなたには伝えておくべき事があるんだけど―――」

 

ショウ

「それなら大丈夫です。わかってますから。」

 

永琳

「え?」

 

ショウ

「あいつと話をさせてください。出来れば二人きりで。」

 

永琳

「・・・・・・わかったわ。ただし、そんなに長い時間は許可できない。よくて30分くらいよ。いいかしら?」

 

ショウ

「わかりました。わがままを言ってすみません。ありがとうございます。」

 

そう言ってショウは永琳との会話を切り上げ、目的の人物がいるベッドへと向かった。

 

???

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ショウ

「・・・・・・八雲紫」

 

「・・・・・・・・・何故」

 

ショウ

「・・・・・・何だ?」

 

「・・・何故、私を殺さなかった?私は貴方を殺そうとした。それは間違いなく事実よ。私は貴方に殺されても文句は言えない仕打ちをした。なのに・・・何故?」

 

ショウ

「・・・何故と言われれば、聞きたいことがあったから、だな。それに、アリスに免じて命は取らないと言ったろ?ただそれだけだ。別に深い意味はない。」

 

ショウが呼び掛けた事で反応した紫。

自分の命があることに対しての疑問をショウへと問うが、特に深い意味はないとあっさりと返される。

 

「でも貴方は、私が大切な人を殺めたって―――」

 

ショウ

「違うよな?」

 

「―――えっ?」

 

ショウ

「・・・殺してないだろ?美鈴さん。」

 

「!?」

 

当の本人から否定を言われた紫は驚愕の表情を浮かべる。

 

ショウ

「お前との戦いの際にお前の事が少しだけ理解できた。お前は大切な物を自分ではなく他の物に定めているタイプ。それはおそらく、幻想郷そのものだ。そして、そこに生きている人々も対象にしている。違うか?」

 

「・・・・・・・・・」

 

ショウの言葉に無言を貫く紫。

その様子を見たショウが続けて話す。

 

ショウ

「無言は肯定。はっきりわかるな。まあ、霊夢やレミリア達の容態を見れば容易に想像できる。あの時は頭に血が上っていたから気付けなかったがな。」

 

ショウは紫の反応を気にしないまま喋り続ける。

 

ショウ

「なら、答えは一つだ。美鈴さんは死んでいない。大方、お前の能力で遠くに転移させたんだろ?改めて思い出せば、あの場には血の臭いがしなかった。敵対する存在に対して、美鈴さんが何も抵抗できずにやられるとは考えにくい。あの人の能力に対しては奇襲も厳しい。一撃での転移しか不可能だ。全く・・・それにすら気付けないとは、俺もヤキが回ったな・・・。」

 

ショウの考えは美鈴が生きていると見破っていた。

紫の反応を見ればまず間違いない。

当時は激情により気付けていなかったが、改めて思い返せば、美鈴が死亡している可能性は皆無であった。

 

「・・・だから、見逃したと言うの?」

 

ショウ

「・・・違うな。俺は知りたかったんだ。お前の行動には矛盾点が多すぎる。特に、『紅魔館を襲撃したこと』が腑に落ちない。お前の能力は空間転移すら可能とする汎用性が高い能力だ。だったら、わざわざ襲撃する形をとる必要がない。俺を殺したいなら、俺が一人の時を狙えば済むからな。」

 

「・・・・・・・・・」

 

ショウ

「一応仮説は立てたが、確証はない。だから確認したいんだが・・・・・・質問、良いか?」

 

「・・・・・・・・・・・・答えられる範囲でなら。」

 

ショウの言葉に紫は同意した。

 

ショウ

「よし・・・。なら、まず確認だ。俺を殺すことは、お前が抱える問題の中で上から数えて何番目の優先事項だ?」

 

「!?な、何で分かるのよ?問題が複数あるって。」

 

ショウ

「んなもん、簡単な推理だ。最優先なら最初に言ったように真っ先に俺を単独で闇討ちし始末するだろ?なら、俺の命は優先度が低いって事ぐらい簡単にわかる。そして、確認したいのはその後の話だ。」

 

「・・・・・・・・・」

 

ショウ

「・・・何でわざわざ、優先度が低い俺の命を『抵抗してください』と言わんばかりの方法で取りに来たんだ?明らかに効率が悪く、成功率も高くない。不確定要素が多過ぎて、デメリットしかないやり方だ。」

 

「そ・・・、それは・・・。」

 

ショウの言葉に狼狽え始めた紫。

答えられず、俯いてしまった。

 

ショウ

「・・・・・・試したかったから、か?」

 

「!?」

 

ショウ

「やっぱりか。明らかに効率が悪いやり方をとったのは、俺の力を確かめて御しきれると分かれば利用するつもりだったから。そこまで手が回らないほど厄介な問題があるわけか。」

 

「・・・何もかもお見通しみたいね。その通りよ。貴方なら話しても良いか。・・・『黒き獣』・・・この言葉に心当たりはあるわね?・・・それが甦る可能性がこの幻想郷にあるとしたら、貴方はどうする?」

 

ショウ

「な!?」

 

紫の口から語られた言葉に、思いもよらない単語が混ざっていた。

 

ショウ

「黒き獣だと!?馬鹿を言うな!黒き獣には、肉体となる蒼の魔導書が必要だ!それが存在しない幻想郷に、黒き獣が復活する可能性などあるはずがない!!」

 

「ええ。その通りよ。でも、『ブレイブルー』の替わりとなる『もの』は、存在するわ。」

 

ショウ

「・・・蒼の魔導書の別名も知ってるなら、こっちの事情には詳しいみたいだな・・・。つまり、俺がその替わりになる『者』だって言いたいのか?」

 

「・・・そうよ。ブレイブルーの代用となる貴方。そして、今この幻想郷には・・・黒き獣の心臓となる『ムラクモユニット』も存在している。黒き獣の誕生に必要な2つの因子が曲がりなりにも揃っている今の状況を見逃すことはできないわ。」

 

ショウ

「・・・ムラクモ・・・ユニット?――――――ぐ!?」

 

黒き獣が誕生する可能性について話した紫。

誕生の可能性はないと否定したショウ。

しかし、紫から続けて語られた言葉を耳にした時、またしても激しい頭痛が生じ、再び頭の中に映像を写し出した。

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

~~~???~~~

 

周りは限り無く広がる色のない空間。

そこには、二人の人物がまるで水の中を漂うかのように浮いていた。

片方は自分であるが、もう一人はわからない。

身体特徴から少女であるとはわかるが、身体中に機械のようなパーツを着けている。

ただ、そのパーツも欠けたり、ヒビが入るなどボロボロな姿であった。

 

ショウ

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

映像の中の自分は目を閉じ、一言も話さない。

ただ、その顔は満足したように穏やかだった。

その顔を、目の前の少女はまるであり得ないと言った驚愕の表情を浮かべて見つめている。

 

???

「・・・・・・何で」

 

ショウ

「・・・何で助けようとした、か?」

 

少女の言葉を受け、自分は目を開かないまま言葉を返す。

 

ショウ

「何で、と言われると答えに困るな。強いて言うなら、助けたかったから。何故かはわからないが、お前を死なせたくなかった。唐突にそう思ったからだ。」

 

自分は只助けたかった、死なせたくなかったと答える。

 

ショウ

「・・・ま、偉そうなこと言ってみたは良いけど、結局助けられなかったがな。自分のアホさ加減にうんざりしたいところだが、見捨てるなんて選択肢は初めから無いし、後悔はしてない。お前が気にする必要はないぞ?」

 

???

「・・・・・・・・そっか。」

 

自分の言葉を受けた少女は、憑き物が取れたような穏やかな笑みを浮かべた。

 

???

「・・・・・・■■■はやっぱり優しいね。」

 

ショウ

「え?」

 

???

「■■■は死んじゃだめ。大丈夫、私はずっと、■■■と一緒にいるから。だから―――」

 

???

「―――ムラクモユニット、起動―――」

 

ショウ

「な!?」

 

少女の言葉と共に、記憶の中の少女の背後に機械仕掛けのようなモニュメントが現れる。

そして、少女の体が光に包まれると、少女の姿は先程よりさらに機械じみた姿へと変化した。

 

???

「―――■■■は死なせない・・・。」

 

姿を変えた少女の背後から、無数の剣が現れ、前方に打ち出されていく。

その剣は、何もないはずの空間に刺さるように動きを止めるが、少女は構わず大量の剣を繰り返し放った。

止めと言うかのように一回り巨大な剣を放つと、何もなかったはずの空間に亀裂が入り、やがて空間に裂け目のような物が現れた。

その裂け目の先には、この場所とは違う場所に繋がっているように、別の景色が広がっていた。

 

ショウ

「・・・これはまさか、外に繋がってるのか?お前、こんなことできるなら始めから―――!?」

 

少女が外に出る手段を持っていたことに小言の一つでも言ってやろうと、あきれた表情で少女の方に顔を向けた自分の表情は、直ぐ様驚愕したようなものに変わる。

それも当然だった。

視界に映る少女の体が、徐々に崩れ始めていたのだから。

 

???

「・・・これで、外に出られるよ。」

 

ショウ

「・・・お、お前、その体・・・。」

 

???

「・・・私はどのみち出られない。待っててもこのまま消えるだけ。だから、気にしなくて良いよ・・・。」

 

ショウ

「バカ野郎!!何で俺なんかのために、お前が死ななきゃならねえんだ!!気にしなくて良いって言ったろうが!!くそ!身体組織の崩壊が止まらねえ・・・。止まれ!止まれって言ってんだよ!!」

 

自分は少女の側まで来て、少女の体を抱えるが、体の崩壊は止まらない。

 

???

「・・・・・・大丈夫。」

 

ショウ

「何が大丈夫だ!!今にも消えかけてんだろうが!!」

 

???

「・・・きっとまた、会えるから・・・。」

 

少女の姿が、自分の前から消えていく。

 

???

「だから―――」

 

ショウ

「駄目だ!待て!《ニュー》!!!」

 

ニュー

「―――またね、■■■―――」

 

消えていく少女の顔は、どこまでも穏やかで、優しい笑顔だった・・・・・・・・・・

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

ショウ

「―――!?」

 

自分の視界から、少女の姿が完全に消え去ったのと同時に、ショウの意識は現実に戻り、目の前には先程と同じ一面真っ赤な壁が映っていた。

 

ショウ

「・・・・・・・ニュー・・・、お前が、俺を救ってくれたのか・・・。」

 

ショウは先程の映像の少女の名を呼び、窓の外をぼんやりと見つめながら呟く。

今新たに、ショウの失われていた記憶が甦ったのだった。

 

「・・・・・・ちょっと、聞いているの?」

 

ショウ

「・・・・・・ああ、悪い。ちょっと考え事をしててな。聞いてるから、続けて―――!?」

 

呆然と窓の外を見ているショウを紫が見据え、話を聞いていたかと尋ねた紫に対し、紫に顔を向け直して返答したショウだったが、唐突に紫の隣の空間に亀裂が入り、空間の裂け目が生まれた。

それは、紫の能力である『スキマ』と呼ばれるものと酷似していた。

 

ショウ

「空間に亀裂!?何の真似だ!八雲紫!」

 

「!?違っ!私じゃない!私はまだ能力を使えないわよ!」

 

ショウの言葉に紫が狼狽える。

永琳が薬の効果を間違えるはずはないが・・・

 

???

「―――紫様!!」

 

紫に対して警戒心を高めていたが、突如空間内部から紫とは違う女性の声が響く。

 

「ら、藍!?何をしているの!?『彼女』の監視をするよう命じ―――」

 

「消えました・・・・・・。」

 

「―――たはず・・・・・・え?」

 

「・・・『マヨヒガ』から彼女・・・『ムラクモユニット』が、姿を消しました・・・。私に感知されないまま、紫様の結界を破壊して、忽然と・・・。」

 

「そ、そんな・・・」

 

ショウ

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

空間から現れたのはどうやら紫の式である藍と言うらしい。

その藍と紫の会話を聞いていたショウ。

どうやら、ムラクモユニットを紫が確保し監視していたが、姿を消してしまったようだ。

黙ったまま話を聞いていたショウであったが、紫と藍の会話をよそにおもむろに椅子から立ち上がった。

 

ショウ

「・・・藍さんと言いましたか?ひとつ尋ねたいんですが、構いませんか?」

 

「え?・・・はあ、私に答えられるものであれば構いませんが・・・?」

 

ショウ

「・・・そのムラクモユニットが姿を消したのはどれぐらいの前の話ですか?」

 

「え?消えた時間ですか?確か・・・今から二時間前くらいの事です。昼食を運びに部屋を訪れた時ですから、間違いありません。」

 

ショウ

「・・・・・・・・・・・・成る程な。わかりました。藍さん、ありがとうございます。」

 

藍の答えを聞き、そのまま部屋の出口へと向かおうとするショウ。

傍らに立て掛けてあった剣を手に取り、部屋を出ていこうとする。

そんなショウを疑問に思い紫は声をかけた。

 

「ち、ちょっと!?貴方何処へ行くつもり!?」

 

紫の問いに対し、ショウは出口を見たまま答える。

 

ショウ

「・・・・・・ムラクモユニットの居場所なら目星はついてる。と言っても、何てことはない。アイツの目的地は・・・、『ここ』だからな。」

 

「・・・は?」

 

ショウの答えを聞き、紫は間抜けのような声をあげる。

何故、未だ姿すら見ていない者の目的地がわかるのか。

紫の言葉に答えたのか否かはわからないが、ショウは続けて口を開く。

そして、その答えを聞いた紫の表情は一変した。

 

ショウ

「・・・いや、正確に言うなら・・・、『俺』か?」

 

「な!?どういう事よ!何で、ムラクモユニットが貴方を狙ってるの!?」

 

ショウ

「慌てんな。ちゃんと教えてやる・・・。いや、『見せてやるよ』・・・。」

 

「・・・え?見せる?何を―――」

 

紫の問いに答えるように、ショウは懐からカードを取り出した。

 

ショウ

「・・・紡いだ記憶を力に変える。世界を繋げ・・・。」

 

「―――!?」

 

ショウ

「幻蒼符『ファンタジア・インストール』code:SoulEater《ソウルイーター》、共鳴解放《レゾナンスブレイズ》。」

 

ショウの言葉と共にカードから蒼い光が放たれ、紫たちの目が眩む。

光が晴れると、ショウの姿が紫との戦いの時に変わっていた白髪の姿へと変化していた。

 

ショウ(code:SoulEater)

「・・これがその答えだ。ムラクモユニットの狙いは、蒼の魔導書を持つ死神『ラグナ・ザ・ブラッドエッジ』だ。融合し、一つになるためにな。今の俺の姿はその死神の力をコピーしたもの。俺がこの力を発現させたのは、今からちょうど二時間前、紫と戦っていた時だ。『ラグナ』の力をコピーした俺の存在を、『ラグナ』本人だと感じ、結界を破壊して姿を消したんだろうな。なら、まず間違いなくここに来るぞ・・・!?」

 

ショウはムラクモユニットの狙いが自分であることを明かし、紫達に説明していたが、その言葉の途中にショウの顔が険しい物へと変わる。

次の瞬間―――

 

―――キィン

 

紫・藍

「!?」

 

ショウ(code:SoulEater)

「早いな・・・もう来たか。八雲紫、誰も死なせたくないなら、全員館から一歩も外へ出すなよ?」

 

一瞬耳鳴りのような音がすると、紫と藍の二人にもここに向かってくる強大なプレッシャーを感じ取った。

同じくプレッシャーを感じ取ったショウは、紫に誰も紅魔館から外に出すなと告げると、紅魔館の窓から庭へと降りていった。

 

ショウ(code:SoulEater)

「・・・・・・さて、そろそろか?」

 

窓から庭へと降りたショウは、紅魔館の正門から外に出て、正面の開けた場所に陣取って呟く。

そして、呟きが終わると同時にショウの目の前の空間が歪み始めた。

 

ショウ(code:SoulEater)

「お出でなすったな・・・。さて、お前は・・・『何番目』だ?」

 

???

「・・・・・・ラグ、ナ・・・ラグナ・・・」

 

歪んだ空間から姿を現したのは、記憶の中の映像の少女と《一部を除いて》瓜二つだった。

 

ショウ(code:SoulEater)

「ラグナを求めるのは変わらないな。」

 

現れた少女の呟きを聞いたショウは、予想通りだと言う表情で少女を見る。

 

ショウ(code:SoulEater)

(当然瓜二つだが、色や細部の意匠は異なるな。・・・ニューではない、か。しかし・・・)

 

記憶の中の映像で自分を救ってくれた少女ではない事が分かったが、やはり姿は瓜二つ。

戦いになる可能性が高いことはわかっていたが、いざ相対すると、戦いたくないという気持ちが強いことがわかる。

 

ショウ(code:SoulEater)

「・・・悪いが――」

 

目の前のムラクモユニットの少女に向け、言葉を発した後、体から光が溢れる。

光がやむと、ショウの姿は元に戻っていた。

 

ショウ

「―――人違いだ。」

 

???

「―――!?」

 

自分がラグナではないことがわかれば、戦いをやめる可能性があるかもと思い、自分の正体を明かしたが、待っていたのはショウ自身も予想していない答えだった。

 

???

「・・・・・・・・・えた。」

 

ショウ

「ん?何だって?」

 

姿を元に戻したショウを見たムラクモユニットの少女は、ぼそりと何かを呟き、ショウに向かって来る。

 

ショウ

「・・・やっぱ、避けらんねえか。・・・悪く思うな―――」

 

向かって来た少女を戦闘意思があると判断し、迎撃体制をとるショウ。

しかし次の瞬間、ショウは呆気にとられたような顔で立ち尽くすことになる。

 

ギュッ

 

ショウ

「―――は?」

 

接近してきた少女は、迎撃しようとしていたショウに攻撃を仕掛けることもせず懐に入り、ショウに抱きついて来たのだ。

流石のショウでも何が起こったのかわからず、呆然としてしまう。

しかし、次に少女が顔をあげ、発した言葉を聞いた時、ショウの顔は驚愕へと染まる。

 

???

「よかった・・・、また、会えた・・・!」

 

ショウ

「また・・・だって?・・・!!ま、まさか、お前!?」

 

少女の顔を目にしたショウは、すべてを理解した。

目の前の少女の顔は、境界の中で自分の命を救い、消えていった少女が最後に浮かべていた笑顔と瓜二つだったのだから・・・

 

ショウ

「・・・・・・ニュー、なのか?本当に、あの時の・・・お前なのか?」

 

ニュー

「うん・・・うん!約束、守れた・・・。きっとまた、会えるって・・・!」

 

現れたムラクモユニットは、ショウを救ってくれたかつての恩人、境界の中で消えていったニューであった。

ショウは、抱きついていたニューを抱き締め返し、あの時に伝えられなかった言葉を告げる。

 

ショウ

「・・・バカ野郎、俺の気持ちを無視して勝手に消えやがって。・・・あの後、どれだけ自分の無力さを悔いたと思ってんだ。・・・・・・ありがとう。お前のお陰で、俺は今日まで生きてこれた・・・。本当に・・・ありがとう。」

 

しばらくの間、今まで触れ合えなかった時間を埋めるように、二人は互いに相手を抱き締めていた―――

 

ショウ

「・・・ところでニュー、お前何かあったのか?あの時と、服の色や装備に少しだけ差異があるみたいだが・・・?」

 

しばしの間抱擁をしていた二人だが、流石に気恥ずかしくなったのか、ニューへの質問をしつつ、離れるショウ。

名残惜しそうにしていたニューだったが、ショウの質問を受け、少し考え込んだ後、口を開いた。

 

ニュー

「えっと、あんまり覚えてないんだけど・・・、実は―――」

 

~~~少女説明中~~~

 

ニュー

「―――って感じ、かな?境界の中で肉体は消えたけど、魂は残ってて、それを他の素体に移植したあと、記憶を消去されたんだ。ラグナを守ったときに思い出したんだけど・・・そのまま私消えちゃったから、あまり覚えてないんだ。そしたら、変なところで目を覚ましたの。起きたら、目の前に傘を持った人と尻尾がたくさん生えてる人がいて、どこかに連れてかれたんだ。」

 

ショウ

「なるほどな。ラグナがイデア機関を吸収したって話はお前が関わっていて、傷が原因でそのまま消えたけど、この幻想郷で目を覚ました、と。・・・全く、無茶しやがって。ただ、お前を生き返らせた奴には礼をしないとな。こうして、ニューにもう一度会わせてくれたんだから・・・」

 

ニューの説明を聞き、事情を理解したショウはニューの顔を見ながら、名前のわからないニューの恩人への感謝を呟く。

 

ショウ

(ただ、最後に俺と戦ったことは忘れているか。ニューの記憶が戻った時にタケミカズチについても思い出したが、その時の事は話の中には出なかった。まあ、知らないままであった方が都合がいいか・・・。)

 

ショウ

「・・・さて、一旦屋敷に戻ろう。ニューを紹介しなきゃならないからな。」

 

ニュー

「うん。わかった。」

 

かつて敵対し、その後分かり合えた二人。

しかし、世界は再び二人を敵対させる運命を選択した。

取り戻した記憶からその事実を理解したショウだったが、世界を越えて再び出会い、かけがえのない恩人の少女と共に歩くことが出来るようになった。

ショウは、たどり着いた幻想の世界がもたらしてくれた奇跡に深く感謝しながら、隣で笑顔を浮かべる少女と共に紅魔館へと戻っていった―――

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

~時は元に戻り、霊夢が目を覚ました場面へ~

 

ショウ

「―――って具合でな。紫がわざわざ紅魔館を襲撃したのは、俺を利用するため、もしくは殺すためだった。理由はさっき話したとおり、俺と話に出てきたニューが融合した場合、黒き獣と呼ばれる災厄が誕生する可能性があったからだが、その可能性は無くなった。つまり、紫が今回とった行動は・・・」

 

霊夢

「・・・何も意味がなかった。ただいたずらに事を荒立てただけだったってことね。まあ、誰かが怪我したって訳じゃないし、美鈴も死んでなかったなら、万事OKよ。」

 

「・・・・・・・・・ごめんなさい、霊夢。」

 

ショウ

「まあ、こいつの行動理念も理解はできるが、色々やり過ぎではあったな。ケジメに関してはお前に任せる。俺はもう紫に対して咎を受けさせる気はない。後は霊夢が決めろ。煮るなり焼くなり好きにしな。絶対に抵抗できないよう、能力は封じてある。」

 

霊夢に事情を説明し、ケジメについては霊夢に一任した。

ショウはもう紫を許していた。

紫の行動理念は幻想郷を守ること。

その意思に嘘偽りは無いことを理解したショウには、もう紫と敵対する意思は無かったのだ。

 

霊夢

「・・・・・・・・・・・・紫。」

 

「・・・・・・・・・・・・何?」

 

霊夢

「・・・目を閉じなさい。」

 

「・・・わかったわ。」

 

ショウの言葉を受け、霊夢は紫を見据え、目を閉じるよう命令した。

命令を受けた紫は抵抗の意思を見せず素直に目を閉じる。

閉じたのを確認した霊夢はベッドから起き上がり、紫の正面へと立った。

 

霊夢

「・・・・・・覚悟は良い?」

 

「・・・・・・ええ。何時でも。」

 

霊夢

「・・・そう。なら・・・歯ぁ、食いしばれ!!」

 

「!!――――」

 

ポス

 

「―――――――・・・え?」

 

霊夢

「・・・・・・・・・・・・・・・バカ。」

 

「・・・れ、霊夢?」

 

閉じた視界の中、来るはずの衝撃はなく、来たのは自分が被っていた帽子の上から軽い感触で手を置かれたくらいだった。

不思議に思っていた紫の耳に小さく霊夢の声が届き、恐る恐る目を開ける。

そこには、目に涙を浮かべつつ自分の頭に手を置いていた霊夢の顔があった。

 

霊夢

「・・・何で、相談してくれなかったのよ?私は、紫にとってそんなに頼りないの?私だって幻想郷を守りたいと常に思ってる。博麗の巫女としてじゃなく、私自身が守りたいと思ってるのよ!」

 

「・・・霊夢。私は・・・」

 

霊夢

「・・・私だって、紫の力になりたい。だから・・・」

 

「・・・・・・」

 

霊夢

「・・・全部一人で抱え込まないで、もっと他人を頼りなさいよ・・・。今回の件だって、ショウを襲撃するんじゃなくて、ショウに頼れば良かったのよ。彼は誰かが危なくなるなら、例え知らない人物でも助けようとするわ。自分の危険も省みずにね。」

 

霊夢は紫にそう告げると、視線をショウへと向ける。

その顔は、自分なら必ずそうするだろうという信頼に満ちた表情であった。

 

ショウ

「・・・・・・流石に、面と向かってまっすぐ言われると照れ臭いな。まあ、確かにそうだ。相談されてりゃ最初から力になったさ。正直、黒き獣は洒落にならんからな。・・・結局杞憂だったわけだが。」

 

「・・・そうね。私は正直、彼の世界の知識を少し持ってるだけの存在。具体的な対策については分からなかった。本当に幻想郷を守りたいと思ってるなら、手段を選んでいる余裕は無かったわね。・・・ショウ、本当にごめんなさい。改めて、貴方に協力を依頼するわ。ただ頼むなんて真似はしない。代わりに私は貴方に全面的に協力する。私に出来ることなら、何でも言ってちょうだい?」

 

ショウ

「・・・わかった。協力を約束する。正直、俺から頼みたかった。今の俺には元の世界の記憶がほとんどない。現在は記憶探しの途中だった。だから俺はあんたに記憶探しの手伝いを頼みたい。代わりに、俺はあんたが抱える問題の解決に尽力する。・・・それで良いか?」

 

「もちろん。貴方の命を狙った私からしてみれば十分過ぎるわ。本当にありがとう。」

 

紫はショウに対し、協力を依頼する代わりに記憶探しの手伝いを約束し、ショウはそれを快諾した。

それを見ていた霊夢は笑顔を浮かべながら手を叩き、二人の視線を自分に集める。

 

霊夢

「よし!お互いの話がまとまった所で異変解決ね。宴会をやるわよ!紫!貴方が色々迷惑掛けたんだから、主催は紫がやること。場所はここでいきましょ?ショウはレミリアに交渉してもらえる?」

 

ショウ

「そう言えば、異変解決の後は宴会をする決まりだったな?了解した。レミリアには俺から伝えておく。」

 

「わかったわ。・・・藍、聞いてたわね?急いで料理の準備をして頂戴。私はお酒を集める。夜までに間に合わせるわよ!」

 

「畏まりました!直ぐに準備を始めます!」

 

霊夢の提案をそれぞれが承諾し、各自準備を始めた。

場所は紅魔館。

料理、酒は紫陣営が用意する手筈だったが、時間が無かったため、紅魔館側からも少し援助がなされ、夜までに突貫作業で準備が進められていった。

そして・・・

 

~~~同日夜、紅魔館メインホール~~~

 

急ピッチで進められていた宴会の準備も終わり、宴会参加者は全員メインホールへと集まっていた。

そこには、たくさんのテーブルに料理と酒がずらりと並び、メインホール奥には特設のステージが用意されていた。

しばらくすると、宴会の主催となる二人が壇上に上がり、参加者の視線がステージ上に集まる。

 

レミリア

「・・・さて、準備も終わったし、そろそろ始めましょうか?」

 

「・・・そうね。待たせるのも悪いし。・・・それでは、今宵の宴会を始めましょう!場所は紅魔館の主、レミリア・スカーレットが提供し、料理、酒は紅魔館との協力でたくさん用意したわ。みんな、今宵は楽しみましょう!・・・乾杯!」

 

全員

『乾杯!!!』

 

レミリアと紫の乾杯の合図で、今宵の異変解決の宴会が始まった。

参加者全員は用意された料理とお酒に舌鼓をうち、大いに盛り上がっていた。

ショウも料理をつまみながら、テーブルで寛いでいた。隣には、並んでいる料理を歓喜の表情で見つめながら、美味しそうに食べているニューもいた。

 

ショウ

「・・・意外だったな。普通に飯食えるんだな、ニュー?」

 

ニュー

「・・・ん?んん、はべれるよ?んん、んぐ、ぷはっ。私の体は作られたものだけど、クローン体みたいなものだから、人間とさして違いはないんだ。今はライフリンクが無いから、斬られたりすれば普通に血も出るし、エネルギーがなければ生命活動を維持できないしね。」

 

ショウ

「・・・そうか。・・・飯は逃げないから、慌てずゆっくり食えよ?」

 

ニュー

「うん!」

 

ショウの質問に笑顔を浮かべながら元気に答えたニューは、再び美味しそうに料理を食べ始めた。

ショウもテーブルの料理に手を伸ばそうとした時、後ろから声をかけられる。

 

???

「ショウさん。幻想郷の宴会、楽しめていますでしょうか?」

 

ショウ

「ん?・・・!?美鈴さん!咲夜さんも!ええ。楽しいですよ。元の世界で一回しか宴会みたいなことは経験してませんからね。」

 

咲夜

「それはなによりです。貴方は今回の異変解決のまさに立役者。貴方が楽しめていなければ、開催した意味がなくなってしまいますからね。」

 

ショウ

「それについては問題無しですよ。・・・美鈴さん。」

 

声をかけたのは咲夜と美鈴だった。

咲夜の質問に対し、楽しめていると答えた後、美鈴に向き直り、その顔を真剣な物に変えて話しかけるショウ。

 

美鈴

「・・・はい。」

 

ショウ

「・・・正直、最初は貴方が殺されたかと思ってました。良く考えて、貴方の事が理解できていたなら、我を忘れて激昂することなんて無かった。最後まで信じられず、すみませんでした・・・。」

 

美鈴

「ごめんなさいショウさん。門の前に立っていた時、後ろから一言『ごめんなさい』と言われて、振り返った時には既に転移させられた後でした。心配をお掛けしました。」

 

ショウ

「・・・本当に、無事でよかった・・・。」

 

死んでしまったと思っていた人が生きて目の前にいる事に心から安堵するショウ。

美鈴もショウからの心配を申し訳ないと思いつつ、心配してもらえた事に充足した笑顔を浮かべていた。

咲夜も、ショウと美鈴の二人が無事であったことを心から喜んでおり、三人は幸せそうに談笑していた。

その後、一通り話した後二人は席を離れる。

離れた事を確認したショウが、再びテーブルの料理に手を伸ばそうとした時、視界の端にひょっこりと顔を覗かせている二つの赤い瞳が目に入った。

 

ショウ

「(ん?あれは・・・レミリアとフランか?)・・・何してんだ、そんなとこで覗いて?話があるならこっちに来いよ?」

 

フラン

「ウソ!?バレた!?」

 

レミリア

「当たり前でしょ?ショウは私達と互角に戦える程の強者なんだから。ごめんなさいね、ショウ。邪魔したかしら?」

 

ショウ

「いや、別に構わない。どうしたんだ?」

 

レミリア・フラン

「・・・・・・(ジッ)」

 

二人の視線に気付いたショウは二人を呼び、レミリア達はショウの傍まで来たが、ショウの問いには答えず、ジッとニューを見ていた。

 

ニュー

「・・・・・・?」

 

ショウ

「?・・・ああ、ニューが気になるのか?この際だし紹介しておくか。ニュー、彼女達が吸血鬼のレミリア・スカーレットとフランドール・スカーレットだ。二人ともレイチェルの知り合いだそうだ。」

 

ニュー

「レミリアにフランだね。ニューだよ。よろしくね!」

 

レミリア

「ええ、よろしく。」

 

フラン

「よ、よろしくね・・・・・・えっと、ニューちゃんって呼んでも、良い?」

 

ニュー

「うん!良いよ!」

 

ショウ

「レミリア、フラン。彼女がニュー、正式名称『次元境界接触用素体No.13《ν》』だ。彼女はいわゆる人造人間、ロボットに近い存在だが、ちゃんとした感情を持ってる。出来れば人として接してやってくれ。」

 

レミリア

「もちろんよ。」

 

フラン

「・・・・・・・・・チラッ」

 

ニュー

「・・・・・・?フラン、どうしたの?ニューの顔に何かついてる?」

 

ニューが気になって見つめていた二人に対し、丁度いい機会だと互いの紹介をさせたショウ。

紹介を受けた三人はそれぞれ挨拶を交わしたが、フランだけはソワソワとしながらニューを見つめていた。

 

フラン

「えっと・・・その・・・ニ、ニューちゃん・・・。」

 

ニュー

「?」

 

フラン

「・・・・・・い、一緒に・・・遊ぼ?」

 

ニュー

「・・・・・・良いの!?ショウ!遊んできても良い!?」

 

意を決したようにフランがニューに向かって遊ぼうと誘い、それを信じられないと言った表情でショウに許可を尋ねる。

 

ショウ

「ああ、良いよ。弾幕ごっこみたいに直接戦うようなものじゃなければ大歓迎だ。遊んでやってくれ。暇を見つけたら合流するから、それまではニューを頼むぞ?フラン。」

 

ニュー

「やったあ!フランちゃん!行こ行こ!」

 

フラン

「うん!」

 

ニューがフランの手を引き、二人は会場から出ていった。

残っていた俺は、レミリアと顔を見合わせて微笑みながら口を開く。

 

ショウ

「・・・良い友人になれそうだな。」

 

レミリア

「そうね。嬉しい限りだわ。」

 

ショウ

「フランの家庭教師の時や、訓練時はニューも連れてくる。その方がフランも喜ぶだろう。」

 

レミリア

「ありがとう。よろしく頼むわ。」

 

ショウ

「・・・時間はかかるかもしれないが、フランには必ず外の世界を見せてやる。約束したからな。だから、待っててやってくれ。」

 

レミリア

「・・・もちろんよ。外の世界でフランと二人で歩いていけるなら、いつまでも待つわ。幸い吸血鬼は長命なの。ただ、立役者の貴方が居ないのは頂けないわ。最初は必ず私とフラン、それと貴方の三人で歩くのよ。だから、貴方が生きてる内に完遂してね?」

 

ショウ

「アハハ・・・善処するよ。」

 

ショウの言葉に穏やか笑顔を浮かべた後、おねだりでもするかのようないたずらっぽい顔で返答するレミリア。

その言葉にショウは苦笑いを浮かべて答える。

 

レミリア

「さてと・・・そろそろ戻るわ。あまり主催者がふらふらしてちゃかっこつかないし。ショウ、しばらくしたら二人を迎えにいくんでしょ?それまでは今宵の宴会を楽しんでちょうだい。それじゃあね。」

 

そう言ってレミリアは席を離れていった。

会った時とは違い、今ではずいぶんと笑顔が多い。

心配の種だったフランの事が解決して心に余裕が出来たからだろう。

それだけでも無茶した価値はあったなと思いながら、ショウはテーブルに向き直った。

 

???

「モテモテだな・・・ショウ。少し妬けちゃうぜ?」

 

???

「始まってすぐ絡みに行こうとしてる魔理沙が中々行けずにやきもきしている姿はお笑いだったわ。ショウ、楽しんでる?」

 

テーブルに向き直ったショウの背後から二人の声が掛かる。

 

ショウ

「ん?ああ、霊夢と魔理沙か。二人とも無事で何よりだ。宴会は楽しませてもらってるよ。」

 

魔理沙

「あれ?あの女の子が居ないな?紹介してもらいたかったんだが・・・。」

 

霊夢

「席を外してるの?」

 

声を掛けたのは魔理沙と霊夢だった。

二人はショウと一緒に居るであろうニューが居ないことに疑問を持ち、ショウに質問する。

 

ショウ

「ニューの事か?今ニューならフランと遊んでるぞ?フランがニューに遊ぼうと誘ってな。あの二人は良い友人になれそうだ。」

 

魔理沙

「へえ・・・。あのフランが他人に歩み寄ろうとしてるのか?良い傾向みたいだな。フランの外出、意外に早く実現するかもしれないぜ?」

 

霊夢

「早速社交性の成長が見られるのは良いことね。彼女自身も変わろうと努力してる。頑張ってほしいわね。」

 

ショウ

「ああ。フランの能力制御が完了したら、あと一歩かもな。ニューなら後で迎えにいくから、良かったら一緒に来るか?」

 

魔理沙

「お!行く行く!その子も外来人だろ?見てみたいぜ!」

 

霊夢

「そうね。折角だし挨拶しておきましょうか。私も行くわ。」

 

ショウ

「わかった。なら、頃合いを見て迎えに行くからその時に声を掛けるよ。」

 

魔理沙

「わかったぜ。待ってるからな、忘れんなよ?それじゃあ、また後でな。」

 

そう言って魔理沙は席を離れていくが、霊夢は動こうとはしなかった。

離れ際に魔理沙は霊夢の肩を叩き、一言呟いたみたいだが、声が小さくて聞こえなかった。

そして、テーブルにはショウと霊夢の二人きりとなる。

しばらく霊夢は黙っていたが、意を決したように顔をあげ、ショウを見据えて口を開いた。

 

霊夢

「ショウ、改めてお礼をさせて。・・・ありがとう。貴方が居てくれなければ、どうなっていたか想像もつかないわ。」

 

ショウ

「やめてくれ・・・。俺は、この世界にとって異物だ。幻想郷を守ろうとした紫の思いも、今なら理解できる。俺と紫の戦いは、俺がこの世界に居なければ起きなかったんだ。謝るならまだしも、感謝されることじゃない。」

 

霊夢

「それでもよ。紫を止めてくれた。それだけでも感謝し足りないわ。」

 

ショウ

「・・・まあ、霊夢が納得出来るならそれで良いか・・・。どういたしまして。霊夢も俺にとっちゃ友達だし、大切な仲間だ。霊夢が困ってるなら、俺は必ず力になるさ。」

 

霊夢

「!?・・・あ、ありがと・・・。」

 

ショウに対してお礼を言う霊夢。

ショウは感謝される事じゃないと思ったが、霊夢が納得してるならまあ良いかと謝辞を受け取り、力になると語った。

ただ本音から出た言葉だったが、ストレートな表現に霊夢は顔を赤くする。

 

霊夢

(これが素だから質が悪いわね本当に・・・。これが所謂天然ジゴロってやつかしら?嬉しいと思ってる自分がいるのが腹立つわね・・・。)

 

ショウ

「・・・?どうした?顔真っ赤だぞ?まだ体調が悪いのか?」

 

霊夢

「ちょ!?な、何でもない!大丈夫だから!」(近い近い!顔が近いって!)

 

ショウ

「お、おう・・・大丈夫なら良いが・・・。無理なら言えよ?」(さっきより赤くなってるが・・・本当に大丈夫か?)

 

顔が赤い霊夢を心配し、顔を覗き込むショウ。

それに驚いた霊夢は慌てて否定する。

大丈夫ならとショウも離れるが、霊夢の顔は更に真っ赤になっていた。

赤くなっている理由は別にあるのだが、超鈍感野郎のショウには気付けるはずがなかった。

 

霊夢

「ホントに大丈夫だから!そ、そろそろ戻るわ。言いたいことは言えたし。・・・私にとってもショウは友達だから、困ったことがあったら頼ってよね?それじゃあ、また後で。」

 

ショウ

「・・・ありがとう、霊夢。その時は頼りにさせてもらうよ。じゃあ、また後でな。」

 

お互いに挨拶をしてから霊夢は席を離れていった。

その後、ショウのもとには永琳や紫、藍、加えて藍の式である橙という少女等がやってきては談笑し、宴会の時間は過ぎていった。

終わりがけに霊夢達に声を掛け、ニューとフランを迎えに行き、会場に戻ってから宴会は終了。

そのまま紅魔館で一夜を過ごし、翌日の昼頃ニューと一緒に紅魔館を後にした。

そして・・・

 

~~~人里 とある一角~~~

 

そこには、ショウとニューの二人に加え、紫と藍の姿があった。

 

ショウ

「此処が・・・」

 

「ええ、私たちが以前人里で運送業を営んでいた時の建物で、それなりには繁盛したんだけど、諸事情で閉店したの。ただ建物を取り壊すのも勿体ないからと取っといた物よ。家賃とか土地代は必要ない代わりに、中は整理されていないわ。」

 

ショウ

「いや、継続的に費用が掛からないだけでもありがたい。整理くらい俺達でやるさ。」

 

「なら良かったわ。じゃあ、私からの依頼料金の代わりとして、この物件を差し上げます。何かあれば、出入口横に私たちの居住地に直通で繋がる電話があるから、それを使って。それと、明日の昼頃に、人里の責任者が此処に来る予定になってるから、人里についての質問はその時にして頂戴。それじゃあ、失礼するわ。」

 

ショウ

「ああ、助かるよ。ありがとな、紫。」

 

ショウとニューが暮らす拠点として、以前紫達が経営していた運送業社の建物を提供してもらうことになった。

中は確かに長い間放置されていた感じではあるが、壁や床は比較的良い状態が保たれているし、広さや設備の充実度は申し分ない。

これで家賃、土地代がタダなら十分すぎる報酬だとショウは快諾。

それは良かったと紫が答え、後日の予定を伝えた後、藍と共にスキマを通って消えた。

紫達が去った後、 隣にいたニューと顔を見合わせ、二人揃って拠点となる建物を見据える。

これから、この素晴らしい幻想の世界での新たな暮らしが始まる・・・

 

ショウ

「さ、先ずは建物の中の整理をするか。手伝ってくれ、ニュー。」

 

ニュー

「うん!」

 

 

 

命の恩人である、大切な少女と共に・・・

 

 

 

 

~幻蒼異変 第一章《conviction resonance》~

 

[ 終幕 ]

 

to be continue

 




如何だったでしょうか?
これで、異変第一章は完結です。

ほとんどバレていたとは思いますが、ブレイブルー初の幻想入りキャラクターは、ニューでした。
話の筋から分かる方が居るでしょうが、彼女は、CS時系列のラムダinニューです。
詳しくは資料集で書きますので、そちらを参考にしてください。

次回は資料集更新、その後は後日談を投稿予定。
後日談は基本一話完結で原作のサイドストーリー的な立ち位置です。
本編では足りなかった部分の補足や、純粋に異変後の出来事を載せていきますので、この話にお付き合いいただける心の広い御方は、また長くなるだろうなと、半分諦めながらお待ち下さい。

では、異変第一章完結までお付き合い頂き、ありがとうございました。
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