ハンバーグ回避譚   作:缶詰伽哩

4 / 5
ついに姫昌以外の原作キャラが(名前だけ)出てきます。名前だけでも封神演義感を出したくてついやってしまいました。


俺と伯邑考と仙人

 姫昌が紂王に幽閉されて七年の時が流れ、不安に駈られた西岐の人々は、姫昌の解放を求めて動き始める。姫昌の長子、姫伯邑考は父の贖罪のために家宝と共に朝歌へと向った。また、姫昌の百人目の子、雷震子は自らの宝貝で空を飛び朝歌へ向かった。

 向かった先で、姫昌、伯邑考、雷震子にそれぞれに何が起こったか考えると。

 

 原作でこれしか出番のない伯邑考って超不憫。

 

 みんなのトラウマ回でもあり、俺も深い心の傷を負った覚えがある。1話のうちに、仲間になるかと思った超美男子がハンバーグに変わるって一体何なんだ。

 作者のイケメンに対する嫉妬心で八つ裂きにされたのなら、仙界一のイケメン楊戩もそのぐらいになるべきだろう。そこ代われ、と思ったがよく考えると楊戩の人生も子供のころ父親に王天君と交換されたり、自分の本性隠して生きなきゃいけなかったり、王天君にいじめられて父親と師を殺されたり、神界のトップを押し付けられたりとろくなことがないので、やっぱりいいや。王天君に絡まれたくないし。イケメンは妬まれるもの、いいね。

 つまり、楊戩は死線を乗り越えたから生きて、伯邑考は乗り越えられなかったから死んだんだろう。ならば乗り越えられるようにするまでだ。

 

「せんにんのおはなしして」

「まあ、また仙人さまのお話ですか。伯邑考さまは仙人さまが大好きですねえ」

 

 仙界への人脈を手に入れるために奮闘する伯邑考、もうすぐ2歳です。母親の目を気にしてはいるが、2歳児ともなればよくしゃべるものなので、会話はもう解禁している。このところ乳母に頻繁に仙道の話をねだっているのだが、なかなか知人がスカウトされた話をしてくれないものだから、やや焦れている。よって、今日はこちらから聞きに行こうと思っている。

 

「せんにんにあったことはあるのか」

「仙人さまにお会いしたこと、ですか。いえ、仙人さまにお会いしたことはございません」

 

 話が違うじゃないか、と思ったのが顔に出たのだろう。乳母は宥めるように俺を抱き上げて、にっこりと笑った。

 

「私が仙人さまに直接お会いしたことはございませんが、道士さまになられた方なら一人、存じ上げております」

「ん、それは、だれだ」

 

 仙人ではなくて、道士か。どちらでもかまわない。乳母の言葉遊びに付き合っている暇はない。急かす俺に乳母は頷き、俺の耳元で声を潜めて告げた。

 

「その方は、今では、殷王都の朝歌と北部を結ぶ関所の総兵官をされているそうです」

「え」

「その関所は、たしか陳塘関といいましたか」

「え、え」

「李靖さま、という名前の方でございます」

 

 まさかの、哪吒の父親の李靖か。

 

 想像以上の大物が出てきたことで、頭が真っ白になる。李靖自身はちょい役かもしれないが、哪吒は封神演義の中で俺の一番好きなキャラクターだったのだ。あの人造人間っぽさといい、ロケットパンチやビームっぽい宝貝といい、少年の心をくすぐるものがつまっている。

 

「いきたい」

「まあ、伯邑考さま。陳塘関はとても遠い場所にございますから、もっと大きくなられてからお行きになるとよろしいのでは」

「いーきーたーいー」

「まあまあ、そんな我儘をおっしゃらず」

 

 駄々をこねてみるが、駄目か。しかし、李靖と繋がりができるのはとても大きい。哪吒は生まれていないだろうが、李靖も崑崙山で修行したんだから、連絡は取れるだろう。うまくいけば俺も、殷太子兄弟と同じように崑崙山で匿ってもらえるかもしれない。

 行くのは駄目でもせめて連絡をとってもらおうと、乳母に交渉する。交渉の手札は「お願いする」「駄々をこねる」「膨れる」「あざとくお願いする」ぐらいなものだ。某名探偵小学生の足元にも及ばない。粘り強く続けると、ついに乳母が折れてくれた。

 

「ふう、仕方がありませんねえ。それでは手紙を送ってみましょうか。もう何年も会っていないものですから、李靖さまも覚えていらっしゃるかしら」

「あいにきて、ってかいて」

「まあ、噂では李靖さまは奥様を迎えられたそうですから、そのようなことは手紙に書けませんわ」

「そういういみじゃないから」

 

 乳母の勘違いを訂正するのに骨を折りつつ、俺は李靖との連絡手段を手にいれた。まだ、自分で文字を書くことができないので乳母に任せているが、この繋がりが未来の俺を救うだろうと、まだ見えぬ明日へ想いをよせた。

 

「だから、こう、かいてほしい」

「まあまあ、李靖さまの奥様が気になさるかもしれないので、それはいけませんわ」

「だから、そういういみじゃないって」

 

 まずは文字を書けるようになることからだが。

 

 

「ところで、なんでりせいと、しりあいになったんだ」

「なんでも、後の世において、この西岐よりも遥か西の地への重要な旅へ大きく関わるだろうと予言されたそうで、一度試しに西岐を見に来たそうです」

「それってさくひんちがうだろ」

 

 もしかして、西遊記。




乳母の知人の仙道は、
・人間
・伯邑考より歳上
・人間界にいる
という条件で探していました。
それによると、聞仲と申公豹が条件に入ってくるのですが、流石に書ける気がしなくてボツにしました。その2つのルートで生きのこれたら、最強モノになったかもしれません。
そんなルートが見てみたいなー。
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