0話・八雲紫と外界の人間
――そんなんだから馬鹿って言われるのよ。でも大正解。博麗霊夢の言う事は全て正解よ。
(永夜異変時、とにかく永琳を倒せばいいと言う博麗霊夢に対しての、八雲紫の言葉)
●外界参加者名簿
一番―――稲田あやか(いなだ あやか)
二番―――内海ゆほな(うつみ ゆほな)
三番―――江藤しょうこ(えとう しょうこ)
四番―――小川まみ(おがわ まみ)
五番―――金井みわこ(かない みわこ)
六番―――北野まゆか(きたの まゆか)
七番―――日下まいか(くさか まいか)
八番―――琴弾そのか(ことひき そのか)
九番―――榊はるな(さかき はるな)
十番―――清水ちひろ(しみず ちひろ)
十一番――相馬きょうこ(そうま きょうこ)
十二番――谷沢ゆき(たにざわ ゆき)
十三番――千草さなえ(ちぐさ さなえ)
十四番――天童かな(てんどう かな)
十五番――中川ちあき(なかがわ ちあき)
十六番――中川ちふゆ(なかがわ ちふゆ)
十七番――野田りこ(のだ りこ)
十八番――藤吉かほ(ふじよし かほ)
十九番――松井みゆき(まつい みゆき)
二十番――南さき(みなみ さき)
二十一番―矢作あおい(やはぎ あおい)
●幻想郷参加者名簿
一番―――アリス・マーガトロイド
二番―――因幡てゐ(いなば てゐ)
三番―――霍青娥(かく せいが)
四番―――風見幽香(かざみ ゆうか)
五番―――上白沢慧音(かみしらさわ けいね)
六番―――河城にとり(かわしろ にとり)
七番―――霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)
八番―――黒谷ヤマメ(くろだに やまめ)
九番―――東風谷早苗(こちや さなえ)
十番―――魂魄妖夢(こんぱく ようむ)
十一番――西行寺幽々子(さいぎょうじ ゆゆこ)
十二番――橙(ちぇん)
十三番――豊聡耳神子(とよさとみみのみこ)
十四番――ナズーリン
十五番――博麗霊夢(はくれい れいむ)
十六番――聖白蓮(ひじり びゃくれん)
十七番――封獣ぬえ(ほうじゅう ぬえ)
十八番――藤原妹紅(ふじわらのもこう)
十九番――星熊勇儀(ほしぐま ゆうぎ)
二十番――八雲紫(やくも ゆかり)
二十一番―ルーミア
●幻想郷への招待状
ある少女は人間の気持ちを理解することができない。
ある時、自分を負かした人間のことをもっと知りたく思い、彼女と積極的に接するようになった。それでも彼女の気持ちを完全に理解することはできない。困った末に少女が下した決断は、『一般的な人間の本心を見れば、あの人間の気持ちも理解できるだろう』というものだった。
そして彼女は人間を集めはじめた。
ある少女は感情を持っていない。
幼い頃の事故で脳に傷を負い、彼女は笑う事も泣くこともできなくなってしまった。故に他人の感情を読み取ることも苦手で、彼女と会話をする人間はほとんどいない。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は同性愛者。
彼女は、男性が苦手というよりは、恋愛対象として見るほど女性が好きだった。彼女はその異常性故に思いつめることが多い。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は詐欺師。
周りからの印象は、とても真面目で嘘をつかない、という彼女は、それを利用して詐欺を働いていた。真面目な印象と巧みな話術で、人によっては騙されたことにすら気が付かない。彼女には人間が、金を持っている動物にしか見えていない。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は人を殺した事がある。
子供の頃、彼女は妹を崖下に突き落としてしまった。その罪悪感で、中学校、高校と進学しても、自分への戒めとして他人と仲良くなることを拒む。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は何もしない。
高校を卒業して専門学校に入ったが、彼女は半年で辞める。それからも働くことなく怠惰に時を過ごしている。彼女はほとんどの物事に無気力だ。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は引きこもっている。
彼女は小学校を卒業する数か月前から引きこもるようになった。とあるほんのささいなことから彼女は人に対して恐怖心を抱くようになってしまった。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は犠牲的。
人の良い性格の彼女は、他人が嫌がるような仕事を率先して引き受けてしまう。周りの人間はそんな彼女を利用していく。彼女自身はそんな自らの性格にうんざりしていた。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は狂気的なゲームクリエイター。
大学生であるにも関わらず、同人ゲーム界では有名な程、彼女は名作同人シューティングを何本も制作していた。それでも、ゲーム制作に使えるような新しい世界観を欲している。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は天真爛漫。
マイペースで明るすぎる彼女は、そこにいるだけで他人のストレスを癒す特技を持っている。それ故に彼女は、他人が持つ負の感情に疎い。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は未成年にして母親。
高校生で妊娠した彼女は学校を辞め、一児の母となる。それでも彼女は自分のしたことを後悔する毎日で、自分と同じ年で楽しく生きている女性を見ていると、ため息を吐くばかりだ。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は性同一障害者。
小学生の頃から自分の性別に疑問を持っていた彼女は、男として生きたいと思っていた。周りに女性として扱われる毎日は、彼女にとっては苦痛でしかない。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は自殺未遂者。
彼女は同じ高校にいるほとんどの者からいじめを受けていた。彼女は日々に絶望し自殺を図るも失敗する。死ねなかった後悔、死を逃したことでこれからまた起きる絶望、それらで彼女の頭はいっぱいになる。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女はサディスト。
彼女は他人が肉体的、精神的に傷つく様に目がなかった。彼女に他人の気持ちなど知る由はなく、理解するつもりも毛頭ない。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は人道主義者。
彼女は誰よりも正義を志し、愛している。故に彼女からは、ほとんどの人間が悪人にしか見えなかった。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は人間不信。
彼女は両親、姉、友達全ての言動や態度を疑っていた。それが妹を守り続ける唯一の手段と信じて。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は利己主義者。
彼女にとって両親、姉、友達は、自分が育つ上での糧としか思っていない。唯一自分を護ってくれる姉でさえ、利用する。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女はキリシタン。
親がキリシタンだった彼女は、神への信仰を生活の一部としている。そんな日々を過ごしている内に、日本人でありながら、日本の古臭い文化を嫌いつつ、異国の神を愛するようになる。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は幼稚な人間。
自分の生きたいように生き、我慢をせず、我儘に振る舞っていた。自分の思い通りにいかない者には、親、教師だろうとお構いなく反発する。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は性善説を唱える。
人は生まれ持って良い心を持つと信じる彼女。そのせいで、陰口を叩く者、人をけなす者の気持ちが理解できないでいる。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は罪を憎む。
数年前、一つ年下の弟が理不尽な罪で捕まり、元々法学系の勉強をしていた彼女は一層勉学に励む。弟を救えなかった後悔を背負って、罪を憎み続けている。
そしてスキマに吸い込まれた。
ある少女は病に侵されている。
去年、身体が病魔に侵され、高校に通いながら通院を繰り返している。時折家族から、あなたが健康なら、という旨の言葉を聞かされるのが彼女にとっては、病気の痛みよりも辛いことだった。
そしてスキマに吸い込まれた。
少女は人間を集め終えた。
これであの人間の気持ちを理解することができる、と大層喜んだ。そこで彼女は、せっかくだからこの世界の住民も混ぜよう、と思案し、自分がいる世界の住民も巻き込む。
それによりあの人間が激怒することなど露知らず。