仮面十二/五/二十一 三つの世界と九つの枢要大罪 聖と罪の戦い 作:lOOSPH
・・・ ・・・・ ・・・・・
・・・・・・・ ・・・・・・・・・
「うう・・・」
「うん・・・」
とある部屋
そこで二人の少年少女は
目を覚ました
「こ、ここは・・・
確か私たち
ベルベットルームに・・・」
「それにここ
僕たちの知らない部屋だ・・・」
と部屋を見渡していく二人
するとそこに
誰かが入ってきた
「よかった・・・
目が覚めたみたいね」
その人物は少女のようで
二人の様子を見ると
安心したようにつぶやく
「こ、ここは・・・?」
少年が声をかける
「ここはエリアH
その中にある人間の居住区の一つよ
まあ詳しい話は
ロビーでしましょう
そこにお友達もいるはずだから」
と二人をロビーまで案内するのであった
・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・
少女に連れられて
広い部屋に連れてこられた二人
そこにはすでに
SEESのメンバーが集まっていた
「あ、起きたんだ・・・」
「まったく
心配かけさせんなよ」
ゆかりと順平が声をかける
「みんな・・・
みんなもここにいたんだ」
「でもどうして?」
少年と少女は介する一同に話を聞く
「それがわからないんだ・・・
私たちはタルタロスにおいて
待機をしていたんだが・・・
そこに突然霧が出てきたんだ・・・」
「霧があたりに立ち込めていくと
俺たちの意識は急に遠のいていって・・・・
気が付いたらここで保護されていたらしい」
「私たちはどうやら
この里の中で倒れていたらしく
そこを彼女に助けてもらったんです・・・」
「この世界のことを
聞きたいと申し上げたところ
ここはお二人の意識が戻ってからのほうが良いといわれました
確かにその通りだと思い、お二人の意識が戻るのを待っていたんです」
「そうだったんだ・・・」
少年は辺りを見回すと
何かに気づいた
「コロちゃんは?」
「ああ、コロマルは別のところで
預かっててもらってるんです
実はコロマルのことで
ちょっといろいろありまして・・」
「まあ
それは今は
おさまってってから
後でいい・・・・・」
と一同は二人を案内してきた少女の方を向く
「それではまずは
自己紹介から始めよう
私は桐条 美鶴
私たちはシャドウを討伐している
特別課外活動部、通称SEESとして
戦っている・・・
私たちはその活動中に
突然何かが起こり・・・
気が付いたらここに連れてこられてしまったのだ」
「なるほど・・・
いうなれば
貴方達はこの世界とは
別の世界からきた・・・
そういうことでしょうか?」
「そういうことだ・・・・
俺自身何が起こったのか
まったくわからん・・・・
突然のことだったからな・・・・」
と明彦が続ける
「そうだったのですね・・・
ええっと・・・」
「真田 明彦だ
すまない、自己紹介が遅れて・・・・」
「それじゃあ一気に始めましょっか
私は岳羽 ゆかり・・・」
「俺は伊織 順平」
「私は山岸 風花と言います
皆さんのサポートを担当しています」
「アイギスと申します
よろしくお願いいたします」
「天田 乾と言います
乾くと書いて乾です」
「・・・・・・・・・」
一同が自己紹介をする中
一人だけだんまりする少年
「シンジ
お前も自己紹介しろ」
「はあ・・・・・
荒垣 真次郎だ
まあよろしく・・・・・」
「そして
彼と彼女の二人は
私たちSEESにおいて
リーダーを務めさせてもらっている・・・」
「有里 湊だ
よろしく・・・」
「結城 真琴です!
よろしく」
こうして
自己紹介を終えるのであった
「よろしくね
私は大野 有紀・・・
有紀でいいわ
よろしく・・・」
と少女も
自己紹介をするのであった
「それでは
自己紹介も終えたことだし
さっそく聞きたいことがある・・・
ここはいったいなんだ?」
美鶴がこの世界のことを聞く
「この世界は
通称、暗黒の楽園って呼ばれてるわ
まあ正確にはこの世界の時代かしら・・・」
「暗黒の楽園?」
有紀の発言にゆかりは意味深に聞く
「今から180年前
この世界に突然
迷宮とよばれる物体が現れて
そこから生み出されてきた罪徒って言う存在が
マモノや罪兵たちを率いてこの世界の生きとし生けるもの達に
襲い掛かってきたの・・・」
「罪徒?
マモノ、罪兵?
なんだよそれ・・・・
何だかファンタジーみたいなことになってねえか?」
有紀の発言に順平はそう言い表した
「奴らの襲撃によって
この世界では人間以外の
ほとんどの生き物が絶滅に追い込まれ・・・
この世界のほとんどを支配下に置いてしまったわ・・・
残っている人間の領域は
このエリアHの部分だけ・・・」
「ひょっとして
この町、もとい里の周りに
巨大な壁が張られているのは?」
美鶴は言う
「罪徒やマモノたちの襲撃から
人間たちの住まうこの里をできる限り
防衛するために
この里の周りには結界と言う壁が張られ
その結界を維持、管理するために
教会がそれぞれ入口の両側に置かれています
教会には聖徒協会から派遣された巫女がそれを行っているのです」
「聖徒協会・・・・?」
明彦が聞く
「罪徒にこの世界が襲撃され
人々が次々と虐殺されていく中・・・
神は私たち人間に
戦える力を与えたんです
それが聖痕・・・
聖痕を持つものはこの世界を構成する力
エーテルの力を使って
罪徒に抗える力を一部の人々に与えました
それが聖徒です」
「なるほど
平たく言うと聖徒ってのは
この世界を罪徒の脅威から守る
正義のヒーローってことだな」
順平は言うが
有紀は暗い顔をする
「みんなはじめは・・・
そう思っていたわ」
「思っていた・・・?」
風花は恐る恐る聞いた
「聖痕を与えられた人々は
罪徒に抗える力を手に入れた
選ばれた聖徒の一部は
選ばれた自分たちは特別な存在であると誤解した・・・」
「誤解、でありますか・・・・?」
「選ばれた自分は特別な存在であると
考えていきやがてその力を
人々を守るためではなく
自分たちの私腹を肥やすために使うようになってしまったんです・・・」
「そんな・・」
有紀の告白に天田は静かにつぶやき
一同もそれを聞いて暗い雰囲気になる
「しかもその愚かな行動が
罪の力をつかさどる罪徒の力を
加速させていく結果になっていってしまい
これに危惧した一部の聖徒とその支持者は
聖徒を取り締まる組織を作りました
それが聖徒協会・・・
協会が創設され、愚行を行う聖徒は
増えることはなくなりましたが
同時に減ることもなく・・・
この世界では聖徒もまた、人々の恐怖の対象です・・・」
「力を持っちまったせいで
その力に溺れ・・・・・
さらに強大すぎる力ゆえに
それを止めるものもおらず・・・・・
結局、今のままで落ち着いたってことか・・・・・」
有紀の発言に真次郎は意味深に言う
「シンジ・・・・」
明彦はそんな彼を
同じように見つめる
すると有紀は右手を見せる
そこには何やら光る輝く
紋章のようなものが浮かび上がっている
「これが聖痕よ
聖痕が右腕に浮かび上がったものは
聖徒としてエーテルの力を駆使し
死ぬか加護を受けなくなるまで
罪徒やマモノと戦っていく定めを背負っていくことになるの・・・」
「聖痕・・・
つまり君も聖徒と言うことか?」
美鶴はそう言って
聖痕をまじまじと見つめる
「まあそれはいいわ
貴方達がどうして
この世界に来てしまったのか・・・
残念だけど私にはわからない・・・
ただ一つ可能性があるなら・・・
おそらく罪徒たちに関係があるのかもしれないわ」
有紀はそう言う
「私たちが元の世界に
戻るためにも
その罪徒と言うやつらと
戦っていかないといけない・・・
そういうことだな・・・」
「だったら話は早い
そいつらを倒して
元の世界に戻れる方法を
暴き出してやればいいんだな」
明彦がこぶしを突き出して言う
「あのね
簡単に言うけれど
罪徒は普通の人間が
対処できる相手じゃないわよ
いくら貴方達に戦える力があっても
そんな簡単に
対処できる相手じゃないわよ」
有紀は忠告する
「でもだからって
ずっとこの世界に居続けるわけにも
行かないわけだし・・・」
「そうだよ
俺っち急いで戻らないと
チドリンとかチドリンとかが
俺のこと待ちわびて寂しい思いさせちまう
だから早く戻らねえと・・・・」
「気持ちはわかるけど
だからっていきなり強い敵に
挑んでいくのは自殺行為よ
ましてや貴方達は
ここでの戦いに関しては
素人同然
それでいきなり挑むなんて
大馬鹿よ」
「確かに・・・
私たちは戦える力があっても
ここでの戦い方を熟知しているわけじゃない・・・
むやみに飛び込んでいけば元の世界に戻るどころでは
なくなってしまうだろう・・・」
「確かにに敵はこの世界をあっという間に
ほとんど制圧してしまうほどに強大な力を持ってるしね・・・」
美鶴と湊に言われて
口ごもる明彦であった
「でも確かにだからって
この里にとどまっていても
何にも見つからないと思うしね・・・
とにかくむやみに行動するよりは
どこか決めた場所に行った方がいいって
私は思うんだけれど・・・」
「確かに・・・
だが私たちは
この場所のことはよくわからない・・・
せめてこの世界の地理が分かれば・・・」
美鶴は言うと
「あ、それだったら
ちょっと来て
確か言ってくれれば見せてくれると思うから・・・」
と有紀は一同を連れて出ていく
・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・
教会
そこで有紀は
奥にいる少女に話をすると
机に紙を広げる
「これが地図か・・・」
「ええっと・・・・
俺らがいるところは・・・・」
地図を見つめる一同
「私たちのいる里はここよ
ここから近いエリアは
エリアG2とエリアL2で・・・
そのうち近いのは
エリアL2ね・・・」
そう言って
端っこにわずかに映っているうちの一部を
指さして確認する
「エリアL2?」
「罪徒たちの勢力圏は
それぞれが様々なエリアに分けられていて
エリアL2もそのうちの一つなの
エリアL2は常に日照りに照らされていて
このエリアが敵の手に落ちて以来
一度も雨が降ったことがないんだ・・・
それゆえにこの場所では
水が極端に少なくって
おまけに食料も満足に育たない
渇きの世界・・・
色欲の皇帝率いる
色欲の軍勢の勢力圏よ」
「色欲の皇帝・・・・?」
明彦が聞く
「罪徒にはそれぞれ
爵位っていうものがあって
強さにおいて階級があるの
一番下から
騎士
総裁
伯爵
公爵
侯爵
君主
王
この七つに分かれていて
このうち総裁から君主までの
階級は二つに分かれて
王の階級は三つに分かれているの
そして王の爵位の中で
最高位の階級が皇帝
現在皇帝の階級にある罪徒は
この世界では六体
通称、六大皇帝と呼ばれていて
そのうちの一体が
このエリアL2を実質支配している
色欲の皇帝ってこと」
「たったの六人だけか・・・・」
「逆を言えば
たった六人だけで
実質この世界を支配しているんだ・・・」
順平の言葉に美鶴はつぶやく
「もしもあなたたちが
元の世界に戻るための鍵が
この六人の皇帝にあるのなら・・・
行ってみる価値はあると思う」
「でも
相手はたったの六人で
この世界を実質支配しているほどの
強大な相手ですよ・・・
本当に大丈夫なんでしょうか・・・」
風花が不安を口にする
すると
「今は迷ってる暇はない」
湊が言う
「確かに相手は
この世界を支配する
強大な力の持ち主だ・・・
でもだからってなんだよ!
そんなの今更どうってことないよ」
「そうだね
私たちだって
世界の命運のために戦ってるんだもん
尻込みなんて今更だよ
それにここで立ち止まってたら
いつまでも元の世界には戻れない
元の世界に戻るためにも
私たちはここで立ち止まってるわけには
行かない、でしょ?」
湊と真琴はそう告げると一同は笑みを浮かべる
「そうだね
恐ろしい敵なんて
確かに今更だしね」
「だな
俺らには
向こうに戻って
やらなきゃならねえことが
たっくさんあんだしな」
「そうだね
いつまでもうじうじなんか
していられるものか」
「そう
私たちの戦いは
まだ終わったわけじゃない・・・」
「元の世界に戻るために
私たちは止まるわけには
行かないもんね」
「僕たちには
まだやるべきことがあるんだ」
「そのためにも
私たちは可能性に
飛び込んでいきます」
「まあ・・・・・
どのみちここで待ってても
始まらねえからな」
一同は決意を新たにしていく
「ようし・・・
そうと決まったら
さっそく行こう!」
「待った!
そのためには
それぞれの準備が必要だ
戦闘に必要な武器や
補助するための道具
どこかで手にできればいいのだが・・・」
美鶴が準備を勧める
「だったら来て
武器や道具を
扱っているところなら
この里にもあるから」
有紀が声をかける
「よっし
それじゃあさっそく・・・・」
「待って!
その前に一つ
聞いておきたいんだけれど・・・
貴方達、お金持ってるの?」
それを言われてはっとする一同
「やっぱりね・・・」
「考えてみたら
この世界のお金と
私たちのお金って
違うんでしょうか・・・」
風花の一言に
口ごもるほかの面々
「はあ・・・
しょうがないな・・・
私が立て替えておいてあげるから
貴方達にあった武器を選んできなさいよ」
有紀は言う
「い、いやそんな・・・」
「あのね
最低でも
武器がないと
敵の攻撃に備えられないでしょ・・・
ましてや貴方達
実質一文無しでしょ
それだったら武器どころか
食事だってできないでしょ
それにちょうど私も
武器を新調しようと思ってたし・・・
とにかく行くわよ」
とお店に向かう一同であった
・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・
お店から出てきた一同
「うーん
まさか全員で
扱う武器が違うとは
まあ何とか間に合ってよかったけど
武器の新調がぁ・・・」
有紀はふうっとため息をつく
「悪い
しかし俺達には
それぞれ自分たちにあった武器があんだ
ないって言うなら贅沢は言えねえが
使え慣れていない武器でねえと
戦力は格段に落ちちまう」
「戦力を少しでも
大きくするためには
やはり武器は個々で
使い慣れている方がいい・・・」
「確かにそれは
私も同感だね
でもやっぱり
もう少し効率よくお金を
稼いでいかないと
次に武器を手に入れるときに
やっぱり金欠になる・・・」
有紀は嘆く
「ねえ
この世界では
どんなふうにお金を
稼いでるの?」
ゆかりが何となく聞く
「私たち聖徒は
罪徒やマモノを討伐することで
報奨金としてお金がもらえるの
このお金は前に
この里にマモノの群れが
襲撃してきてね
そのときにもらった賞金なの・・・」
「なんだかタルタル探索してるときに
シャドウ倒したときに金がもらえんのと
おんなじだな・・・・」
「ま、まあ・・・・
そう・・・だ・・・・な・・・・・・・?」
順平の発言に
ややどもりながらも同意する明彦
「賞金を受け取るには
教会に行って聖痕を見せるの
その時聖痕に刻まれた記憶を読み取って
自分たちが倒してきた敵を鑑定して
それに乗じた賞金を受け取れるのよ」
「つまり・・・
この世界では
お金を受け取るには
聖痕がなければだめってこと?」
「まあ、そういうことになるわね
もっとも戦いにおいてだけど」
それを聞いて悩む一同
「まあそれは問題ないわよ
だって貴方達には一応
私も同行させてもらうから」
それを聞いて驚く一同
「本当にいいの!?」
「いいのよ
どのみち私も
エリアL2に行くつもりだったからね・・・
それに・・・
たぶんそこに行けばあいつもいるかもだしね」
最後の方だけ小さく聞こえないようにつぶやく
「ま、まあとにかく
早速行こうぜ
目指すのはエリアL2
色欲の皇帝だ!」
順平は意気込んでいくが
「待って
悪いけど
出動するのは
明日からよ・・・」
有紀にあっさりと拒否されてしまった
「のわっと!?
なんでなのよ!」
「もうすぐ日が暮れる
夜が来るわ・・・」
空は確かに赤みがかって
すぐに日は暮れて夜になりそうになっている
「夜は闇の世界
罪徒たちの領域で
もっとも危険な時間帯よ・・・
今のこの一団には
聖徒が一人
ましてや貴方達はまだ
この世界にきて間がない・・・
残念だけれど今出て行くのは
得策とは言えないわ」
「そんなの・・・・
そんなの行ってみなくちゃ
分かんねえだろう!?
だったら俺だけでも・・・・」
有紀は順平の胸倉をつかむ
「言うことを聞きなさい!
この世界のことは
少なくとも私の方が詳しい!!
その忠告を無視して
勝手な行動をとるなんて
自殺行為!!!
死にたいんだったらどうぞ行きなさい?
私は助けないし
手助けだってしない・・・
身勝手なやつのために
自分の命を捨てる奴のために
命を捨てるつもりなんてない!」
と言い放った
「いい
よく聞いて・・・
命を懸けることと
死にに行くことは意味が違うわ
それに今ここであんたが死んだりなんかしたら
それこそあなたの世界で待ってる人が悲しむでしょ」
「・・・・・・・」
そう言われて静かになる順平
「確かに・・・
彼女の方が
この世界でのことは詳しい・・・
忠告は聞いた方がいいだろう・・・
今日は明日のことについて
話し合っていくことと
体を休めていつでも戦いに備えるようにしておこう・・・」
美鶴の提案に一同はうなづく
こうして一同は宿の方へと
戻っていくのであった
・・・
・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・
・・・・
「っ!」
別の里では
一人の少年が目を覚ます
体を起こして
辺りを見回す少年
すると
部屋に一人の人間が入ってきた
「あ、起きたみたいですね・・・」
そこに入ってきた人物は
フードを脱いで上着を手にやった
見た目からして少女のようだった
「あ、あの・・・」
「ん?
ああ・・・
自己紹介が必要でしたね
私は由奈と申します
よろしく・・・」
と彼にそっと手を伸ばしていく
「あ、ああ・・
鳴上 悠と言います」
と少年、悠も自己紹介で返す
「起きたてのところ
申し訳ありませんが
広間までご同行いただけますか?
あなたのご友人が
そこでお待ちになっているので」
「あ・・」
悠は由奈からそれを聞いて
彼女に案内される形で
広間に向かうのであった
・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・
広間
そこではほかの面々が集まっていた
「お、やっと起きたか!
心配したぜ」
「そうだよ
君が起きるの待ってたんだから」
「もう少ししたら様子を見ようって話をしてたんだよ」
「まあこれで全員そろったっすね」
「そうだね
先輩がいないと
やっぱり始まらないもんね」
一同が出迎えていく
「さて・・・
先輩もそろったことですし
自己紹介に入りましょう
僕は白鐘 直斗と言います・・・」
「俺は花村 陽介、よろしく」
「あたしは里中 千枝です」
「天城 雪子です」
「巽 完二っす」
「久慈川 りせ
先輩たちのアシストをしてまーす」
「さっき自己紹介したけど改めて
鳴上 悠だ」
「樋長 由奈
由奈で構いませんよ・・」
自己紹介を済ませる一同
「それでは
本題に入りましょう
ここはどこで
どのような世界なのか・・・
まずはそこからです」
直斗は全員がそろったところで
本題に入っていくように話を由奈に切り出していく
「この世界は通称
暗黒の楽園
この世界では人々を苦しめる罪徒と
その罪徒に抵抗する力を持った聖徒が
戦いを繰り広げている世界なんです
おおむねで言うとそういう世界
そしてここは
人間の生活区で、里と呼ばれています
ここでは周りを結界で区切られているおかげで
敵が入ってこず、平穏に暮らしているんです」
「結界・・・・?
それって外に
出てったさいにこの場所
ぐるって囲ってたあのでっかい壁のことか?」
陽介が聞く
「里は世界中にあって、そこにはそれぞれ
聖徒協会の管理のもと人々が暮らしてるのです」
「せーときょーかい?」
千枝が出てきた単語を間延びしたようにつぶやく
「罪徒の脅威に唯一立ち向かうことができる
聖徒を取り締まる組織で
人里の治安維持等を務めています
エリアHの中心に本部を構えていて
各エリアにある支部からの報告を受けて
情報を伝達していってるんです」
「エリア・・・?」
雪子が単語を聞いてきた
「この暗黒の楽園には
いくつかエリアがあって
その中でも
罪徒の進行を受けていないエリアの総称が
エリアHなのです
いうなれば最も人間が住んでいるところと言うべきでしょう
この世界のほとんどの人間が
ここに移り住んでいます」
「・・・つーことはつまり
ここがそのエリアHってことなんすか?」
完二が聞く
「その通りです
あなた方はこの里の近くで
倒れているところを
近隣の人々が発見しました
それを私が保護したんです」
「そうだったんだ・・」
りせは納得したように言う
「罪徒・・・
この世界を襲っている
敵がいることはわかりました・・・
ですから次は
その罪徒のことについて
教えてもらえませんか?」
直斗は頼み込む
「だったら教会に行った方がいいですよ
話をするよりはそっちの方がいいと思いますから・・
案内します
ついてきてください」
と一同を教会に案内する由奈であった
・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・
教会
「ここが教会です
里の治安と結界の管理、維持に努めていて
罪徒やマモノの情報が最も集まる場所でもあるんです」
「へえ・・・・」
辺りを見回す一同
「うちがそんなに珍しいわけ?」
すると
奥から一人の少女があらわれる
「ああ、ごめんごめん
この子たちここに来るの初めてで
ちょっと慣れてないんだよ」
「そう
それで今日はいったい
何の用事?」
「ああ、鑑定とあと
この教会で預かってる
例の変なクマのことで
ちょっとね・・・」
二人の会話に気になる単語を見つけた悠
「変なクマ・・?」
「それってまさか・・・・?」
悠と陽介は確証はないが
なぜか確信を持つ
すると
「ああ、預かってるわよ
まったくちょっと相手にすると
私に言い寄ってきてしつこいんだから・・・
ちょっと待ってなさい」
そう言って奥へと引っ込んでいく少女
一同は気になって
その様子を見る
「むほほー
お嬢さんから
直々に御呼ばれするなんて
ついにクマのアプローチが
ズッキューンってきたクマね」
「おあいにく
お呼びしたのはアタシじゃない」
その口ぶりから
奥から少女に連れられて現れたのは
「あ、せんせーにみんな!
ひょっとしてクマを呼んだのって・・」
「私ですよ
せっかくですし
皆さんにお会いをしておいた方がいいと思いましてね」
由奈が声をかける
「おほー!
そちらのお姉さん
誰かと思ったら
あの時クマを助けてくれた
優しいおねえさんではあーりませんか!!」
「あの時はどうも・・・」
そう言ってクマを一同のもとに案内する由奈
「おおー
チエちゃんにユキちゃん
クマはみんなと離れ離れになって
寂しかったクマよー」
「そういえば
クマいなかったっけ」
「ここでお世話になってたの?」
千枝と雪子がクマに聞いた
「それがさー
クマね
ヨースケ達が倒れてるのを見て
近くにこの町があったから助けてほしいって
お願いしに行ったの
そしたらこの町の人たち
みーんなクマの姿見て逃げ出したり
武器もって襲い掛かったりして
もう散々だったクマ
でもこのお姉さんがその人たちを説得してくれたおかげで
どうにか危機を脱したの
だからヨースケたちのことを話して
クマはここでお世話になってたクマよ」
「おいおい
お前何やったんだよ・・・」
クマの話を聞いて
クマを疑うように見る完二
「しつれークマね!
クマはふつーに頼んだだけクマ
それ以外のことはしてないクマよ」
「本当に・・?」
「仕方ないですよ」
由奈が説明を始めていく
「熊は怠惰の象徴・・・
罪の証・・・
そして熊は暗黒の楽園が
始まったときに罪徒のほうに組みした・・・
その時から熊をはじめとした一部の生き物は
今や恐怖の対象なんです」
「そうなんだ・・」
「クマさん・・・
あんまり人を
怖がらせたらダメだよ?」
「ちょ!?
ユキちゃん!?
クマは悪くないクマよ!!」
雪子の言葉にクマは大いに突っ込む
「なあクマ・・」
「何クマ先生・・」
悠が話しかける
「どうせ説得するなら
熊田の姿でやった方が
ややこしくなくなるんじゃなかったか?」
「・・」
クマは黙り込む
「・・忘れてたクマ・・
てへ!」
その言葉にあきれる一同であった
・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・
「なるほど・・・
罪徒のことは
大体わかりました・・・
罪徒はこの世界の
およそ90%を瞬く間に制圧し
人間たちが安心して住めるのは
このエリアHだけと言う・・・」
「このエリアも100%安心って
わけでもないわよ
罪徒たちからしてみれば
人間を苦しめるにはここは
絶好の場所だもの・・・
聖徒も集まってくるから
うかつにやってこないだけよ」
直斗にあらかたの説明をした少女
「もしも僕たちが
この世界に来たのが
この罪徒たちに関係があるというのなら・・・
きっと何か意味があるはず・・・
その意味を調べるためにはやはり・・・」
するとふいに
張り紙に目を付けた直斗
「由奈さん
これは・・・?」
「ああ・・
罪徒の手配書ですよ
このあたりを騒がしてるやつが
主に張り出されています
とはいえ・・
また増えましたね・・」
由奈はじっくりと手配書を見る
「このあたりだけでもこんなに・・・」
試しに一枚はがして見つめる直斗
そこに名前と階級と
情報が提示されていて
名前の下には数字が書かれている
「この数字は?」
「賞金よ
この罪徒を倒すと
これだけもらえるってことよ
でも受け取れるのは聖徒だけだし
そもそも罪徒は普通の人間に太刀打ちできる
相手じゃないしね・・・」
しばらく吟味し
手配書を元に戻す直斗
「まあそういうのはいいだろ
とにかく対策考えようぜ
まずはどこから向かうのかをさ・・・・」
「えーいいじゃん
ここにずっといれば・・」
千枝はぶーたれる
「俺はこの里を移動する方がいいと思う・・」
悠は言う
「悠?
どうしてだよ」
「確かにここは暮らしやすい
だがだからと言ってここに居続けても
元の世界に戻るための方法は見つからない・・
だったらすぐにでも
行動するべきだ・・」
「確かに・・・
僕もそれに賛成です
ここからは僕の推理ですが
僕たちが元の世界に戻るための鍵は
きっと罪徒たちにあると考えます
このエリアHは人間の生活区で
罪徒たちは攻めてくる確率は
ほかのエリアに比べて低いとみるべきでしょう・・・
だったらここはあえて
敵の勢力圏に向かっていくべきだと思います
無謀ではありますが・・・
今取れる行動は
それしかないかと」
「確かにな
はっきり言って
今の俺達じゃお手上げだ
少しでも可能性があるんなら
敵の懐に飛び込んでった方がいいと俺も思うぜ」
「そっすね
確かにこのままうじうじ
こんなとこで手間取ってるくれえなら
そのほうがいいって俺も思うっすよ」
「クマも賛成!
この世界はクマには
合いません!!」
一斉に賛同する
「う、うう・・
みんながそう言うなら・・」
千枝も提案を受け入れる
「でも問題はまず
どこから行くかだけど・・・」
雪子の言葉に一同は考え込む
すると
「ちょっと待ってなさい」
少女は奥に向かっていき
紙のようなものを持参してくると
それを机の上に広げた
それは地図のようだ
「これは・・?」
「この里とその周辺を
大まかに記している地図よ
今私たちがいるのがここだから
罪徒を追っていくのなら
エリアL2かエリアG2に
向かっていくといいわ・・・」
「別のエリア・・・
このエリアは
どういったところなのですか?」
「エリアL2は
このエリア一帯が
決して曇ることのない
日照りに包まれ
地面は乾き、水は枯れ果て
ゆえに草木も育たず
ほとんどの生き物が飢えに苦しむエリア・・・
色欲の皇帝率いる
色欲の軍勢の勢力圏よ」
「色欲の・・・・皇帝・・・・?」
陽介は聞く
「宿においても話しましたが
罪徒には爵位と言う階級があり
一番下の騎士の爵位から
一番上の王の爵位まであって
頂点である王の爵位は三つに分かれており
その最高位が皇帝
現在確認されている中で
皇帝の爵位を持つ罪徒は六人
その六人こそが実質状の最高位で
通称、六大皇帝・・・
その一人が色欲の皇帝なのです」
「色欲の皇帝・・
何だか聞いただけで
えらいって感じがするよね・・」
「だけど・・・
もしかしたら
私たちが元の世界に
戻るための鍵っていうのは
その六大皇帝っていう罪徒なのかもしれない・・・」
雪子がそう推測する
「かもしれません
罪徒の最高位と言うのなら
あながち間違いではない、かもしれない・・・」
「ようし
だったら早速
行ってみようよ
そのエリアL2に!」
りせは提案するが
「却下です!」
由奈はバッサリと切り裂いた
「どうして?」
「行くんだったら今日はおよしなさい
最低でも明日にした方が安全策です
もうすぐ日が暮れます・・
夜は暗闇の世界で
罪徒の領域ゆえに・・
夜に出るのは危険です
あなた方は戦える力があるのかも
しれませんが
だからと言って無謀に
敵の領域に突っ込んでいくのは自殺行為です
そして何より
何の準備もなく闘いに出るつもりですか?」
由奈に指摘されてあっ、と声が漏れる一同
「やっぱり・・
今日は準備をして
明日一緒に行きましょう
私もちょうどエリアL2に
向かおうと思っていたんです
そこまで同行しましょう」
「え、いいの!?」
「この世界のことを知らない
貴方達のことを見ていると
どうにも危なっかしいですからね」
由奈は言う
「ようし!
それじゃあまずは
何を用意すればいいんだ?」
「まずは武器だね
それから食料とか
先頭の補助に役立つものとか・・・」
「そうだな
早速行って・・」
と出ていこうとする一同
「待ってください!
皆さんお金はあるんですか?」
それを聞いて
ずるりとこけてしまう一同
「そういやこの世界のお金って
俺らの世界のとおんなじだっけ・・・・?」
「そういや・・・
そんなの気にしてなかったっすね」
うっかり今頃気づく
「はあ・・
しようがありませんね
今回は私が立て替えて
置きましょう
ちょうど換金も済んだことですし・・
早速武器屋に行ってみるとしましょう」
「え、で、でも・・」
千枝はやや遠慮気味になるが
「こういうのは遠慮しない方がいいですよ
それに武器がなくては
どのみちこの先は苦しくなりますから・・」
「そうだね
今は甘えさせてもらおうよ千枝
どのみち敵の懐に行くんだから
しっかりそなえないといけないし
お金もないし・・・」
「うう・・」
こうしてお言葉に甘えさせてもらうことになるのだった
・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・
「ようし
必要なものは買えましたし
皆さんの武器の方も何とか買えましたね」
「しっかしなんでも
そろってんな」
「あたしや雪子にあった武器も
あったのが驚いたよね」
「うん
意外だったよね」
「まあよかったじゃないっすか
先輩らにもあった武器もあって
これで少しは戦いやすくなるっすね」
「クマにもあった武器もあったし
これ届けに行ったら
明日の準備はほぼ完了だね」
「そうですね
敵もいつ現れるのかも
まだわかりませんし・・・」
「それじゃあ
そろそろ宿の方に戻りましょう
宿泊代の方は気にしないで
ゆっくり休んでてください」
そう言って一同は宿の方に戻っていくのであった
・・・・
・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・
・・・・・
エリアHの外側
そこにある洞窟の
パチッと火花の散る音に
目覚める一人の少年
「う、うう・・・」
身体を起こすと
そこはどこかの洞窟の中のようで
その中央には火がともっていた
辺りを見回していると
ふいに洞窟の入口の方から
足音が聞こえてきた
足音のみならず
声も聞こえてくる
誰かと誰かが会話をしているようだった
その声は大きくなっていって
近づいているのが伝わってきた
すると
「おー起きてたか
心配してたぞ」
そこに顔を出してきたのは
何とモルガナだった
「モナ・・・
ってちょっと待て!?
その姿・・・」
「ん?
ああ・・
ワガハイも目を
覚ました時は驚いたが
まあそれは問題じゃない・・
ほかの奴らは?」
「え?」
周りを見ると
布に身を包んだ
ほかの面々が眠っているのが分かる
「みんなはどうしてここに・・・」
「俺がここまで運んだんだよ」
すると入り口から
誰ともわからない声が聞こえてきた
「この先にある里に向かってたら
道端で倒れてるあんたたちを見つけてさ
とりあえず近くにあった
この洞窟に運んだんだ
全員運び出すの大変だったけど
まあすぐ近くあったしどうにかなったけどな」
すると洞窟に
フードで顔と体を覆っている人物が入ってくる
「っ!?」
それを見て思わず身構えるが
「まて
こいつは敵じゃない
ワガハイ達を助けてくれた恩人だ」
モルガナがそう言う
「まあ普通は
知らない奴がいたら
警戒するよな・・・
ま、俺はどう思われても
構わないけどよ
あんたたちが無事だったら
それでよかったよ」
フードの人物はへへっと笑いながら言う
「あ、そうか・・・
フードしっぱなしだと
どうにもなれちまって気が
回らなくなっちまうな・・・」
と人物はフードを外す
「俺は当夜
桐巣 当夜
まあ、通りすがりの
おせっかいな正義の味方だ」
自己紹介をするのであった
・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・
「う、うう・・・」
「んあ・・」
ほかの面々も
目を覚ましていく
「ここは・・・・?」
すると
「お、どうやら
起きたみたいだな」
当夜は体を起こすほかの面々を見て
そうつぶやく
「ジョーカーにモナ・・・
って!?
あなたはいったい!」
クイーンこと真が当夜に気づき
思わず身構えてしまう
「落ち着けみんな!
こいつは行き倒れになっていた
ワガハイ達を解放してくれた恩人
いわば味方だ」
「味方・・・?
でも確かアタシたちは
パレスにいたはず・・・」
「どうやらここは
俺たちのいた異世界とは
違う世界みたいだ・・・
いうなればまた別の世界ってことらしい」
「そうだったのですか・・
しかし・・」
一同は自分たちの服装を見る
それは怪盗服のままであった
「なんで俺ら・・・
怪盗服のまんまなんだ?」
「そういえば・・
つまりどういう」
「ワガハイにもわからない
ただ一つ言えるのは
ここではパレスにいたときと
同じ現象がそのまま起こっているという
事実だけだ・・
現にワガハイもモナの姿だしな」
一同はとにかくその疑問を置いておくことに
することになったのであった
「どうやら俺達は
ここに来る前に戦った
あの謎の少女によって
この世界に落とされたということかもしれん
元の世界に戻るための方法も必ず見つけ出さなくては・・・・・」
「そうね
そのためにも
まずはこの世界のことを調べてみないと・・・」
すると真は
当夜の方を見る
「えーっと・・・
当夜、でいいのかしら?
この世界のこと教えてくれない?」
「この世界は
暗黒の楽園って呼ばれてる
今から180年前に
迷宮っていうのがこの世界に発生して
そこから罪徒っていうやつらが現れて
マモノや罪兵たちを引き連れてこの世界にいる
人々を苦しめてる
その罪徒やマモノたちから
人々を守ってんのが俺達聖徒ってことだ」
「聖徒・・・?」
竜司が聞いてきた
「まあ言ってみれば
聖徒の脅威から人々を守っている
正義の味方って感じかな
この世界では世界中で
その聖徒が人々を守るために
罪徒やマモノと戦い続けてる
そんで・・・」
当夜は右腕を見せる
その右手からは光り輝く
紋章のようなものが浮かんでいる
「きれい・・」
「聖痕っていうんだ
これが右腕に浮かんだ人間が
罪徒やマモノと戦う
いうなれば聖徒になるんだ
つまり、俺もその聖徒の一人ってことさ」
「ほほう
つまりお前にも
戦える力があるってことなんだな」
モルガナはそう返す
「そういえば
当夜はどうして
一人でこんなところに?」
祐介が聞く
「俺は今からこの先にある里に帰る途中なんだよ
昔住んでいたことがあってさ久しぶりに」
「そうだったの・・・
里って?」
「この世界では
マモノが世界中に
発生してしまってて
戦える力のない人たちは
里っていうところで平穏に暮らしてるんだ
言うんならその里が
人間の生活区みたいなところ」
「ふーん
つまり言ってみれば
町ってことだな
でもそれって襲われたりしないのか?」
双葉はきいた
「里は結界が囲ってるし
その結界の管理と維持を務めてる
教会っていうところだってある
ただ最もそれでも突破されることもあるから
100%安全ってことにはならねえ
どっちにしろ俺達の存在は
必要不可欠ってことだ」
「そうだったんだね・・」
当夜はそう言って
外を見つめる
「俺は自分の住んでいた里を
罪徒に襲われてしまった
そのときに俺の両親は亡くなった
その時の俺はまだ幼かったから
自分の親の顔もよくわからないんだ
住む場所を失ってさまよってた
俺をあの里の人たちは拾って
育ててくれた
だから聖徒に選ばれたとき
少しでもあの里を守れるようにって思った・・・
選ばれて舞い上がっていた
俺はある罪徒の攻撃を受けて
死にかけたんだ・・・
そんな俺のことを
助けてくれた人たちがいた・・・
俺は気を失って・・・
気が付いたらそこに
その罪徒もその人たちも
そこにはいなかった・・・
だから俺思ったんだ・・・
今のままじゃきっとだめだ・・・
そう思って俺は旅に出たんだよ」
「なるほど・・・
それで今その修行を終えて
その里に戻ってきてるわけか」
暁は問う
「・・・まあ・・・
それもあるんだけどな・・・」
当夜は意味深にそうつぶやく
「そういえばさ
お前らはどっか行く当てでもあるか?」
「そんなのねえよ
俺達はこの世界のこと
全然知らねえってのに
行く当てなんて・・・」
「ちょっと待って・・
確かあんたって
里っていうところに行くんだったよね・・
聞く限りだと里って
人間たちが暮らしているところってことでしょ?」
杏が聞いてくる
「そうか
その里に行けば
必要な情報が得られるかもしれない」
「そうね・・・
元の世界に戻る手段が
見つからない以上は
何か手掛かりを探し出さないといけないわ
はっきり言って当夜から得られた情報では
この世界のあらかたのことしかわからないし・・・」
「うぐ・・・」
はっきり言われてたじろく当夜
「里でどこか
情報の得られそうなところ
当夜、知らないか?」
「それだったら教会に行ってみたらいいんじゃねえか?」
「教会?
それは先ほどおっしゃっていた
里の結界を管理と維持を務めている?」
春が聞く
「教会はそれだけじゃなくって
情報が集まってきて
俺達聖徒のサポートも兼ねてくれてる
お前らのほしい情報があるのかは
分からねえけれど
俺に聞くよりかは
そこに行った方がいろいろ手っ取り早い
それに里には武器屋もあるし
今後の準備をしておくためにも
言った方がいいと思うぜ」
「よっしゃ!
そんじゃあさっそく・・・」
と立ち上がる竜司だったが
「待った」
当夜が呼び止める
「行くのは夜が明けてからだ
この世界の夜は危険だ・・・」
「どうしてだよ?」
竜司は聞く
「夜は闇の世界・・・
罪徒の領域だ・・・
敵の力が
大きく上がっていく
ましてや今は月が欠けてる・・・
夜が明けてから出たほうがいい
なるべく体力を使わないで
里に行きたいならさ」
「そうね・・
はっきり言って
今の装備じゃ
心もとないし・・
ペルソナだって
そう何度も使えるわけでも
ないんだから・・」
「そうだな・・・・
体力は温存をした方が
今後の戦いも楽になる
それに・・・・
こういう空間で一夜を過ごすのも
粋だと俺は思うぞ?」
「・・・・そうね
今日はもう
いろんなことがあって
疲れたし・・・
今日はここで休みましょう・・・」
「そうだな・・・
アタシも何だか
疲れてきたな・・・」
「そうだね・・
今後のことは
明日になってから決めようよ・・」
そう言って布に身を包んで
横になり始めていく一同であった
「まあそうだな・・・
慌てても元の世界に
戻れるわけでもないし・・・
俺もねよ」
「はっきり言って野宿なんてなれないけど・・
贅沢も言えないしね・・」
その様子を当夜はじっと見守っている
一同は寝静まる中
一人の少年が残った
暁だ
「君は寝ないの?」
暁は当夜に聞いた
「・・・寝ないんじゃないんだ・・・
俺は眠れないんだよ・・・
自分からはね・・・」
当夜はそう答えた
「あんたこそ
寝ないの?
ほかの人たちは
眠ってるみたいだけど・・・」
「俺は・・・
昼よりも夜の方が好きだから
なんとなくさ・・・」
「急にこの世界に来たっていうのに
落ち着いてるんだなあんた・・・」
「そりゃあ
理不尽なことなんて
しょっちゅうだからな・・・
最初にパレスに行ったときも
この力に目覚めたときも
最初は驚いた・・・
でもそのおかげで俺は
ここにいるみんなと出会った
最初のころは思いもしなかったよ・・・
こんなにも多くの仲間に出会えたことがさ・・・」
「そっか・・・」
当夜は笑みを浮かべて答えた
「当夜は俺達の話を聞いて
どう思ったんだ?」
「別に・・・
俺は難しいことは
よくわからねえし
だからって別に気にするほどでもないし・・・
でもあんたたちが
元の世界に戻りたいってんなら
俺も協力するさ
俺がそうするべきだって思ったからさ」
「・・・そうか・・・」
すると
当夜は立ち上がって洞窟の外に向かっていく
「ゆっくり休んでてくれ
明日の昼頃には多分
里につくと思うからさ・・・」
当夜はそう言って外に出ていくのであった
「・・・・・・」
暁はそれを見届けつつ
眠りにつく準備を勧めるのであった
・・・・・
・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・
・・・・・・・・・
その夜
ある一団が動き始める
「フフフ・・・
ついに見つけましたよ・・・
さあ、行きなさい」
その声とともに
闇に紛れて複数の影が
向かっていくのであった
この世界で恐れられる悪意が動き出す・・・・・・・・・
青の世界 黄色なる世界 赤き世界
・・・ ・・・・・・・・・
・・・・ ・・・・・・・・
・・・・・ ・・・・・・・・