ここでは知らない人向けに教えておきたい戦車の基本知識を大まかに書いておきます。マニア向けの用語は抑えている積りですが、分かりにくければご指摘願います。
・戦車の歴史
ドイツの越境で始まった第一次世界大戦西部戦線では塹壕戦が主流となり、戦線が膠着状態へと陥った。そこでイギリス軍がそれを打破すべく投入したのが、世界初の近代戦車『マーク戦車』。近代戦車とは、古代戦車『チャリオット』と区別する為に使いました。その後、現代まで続く戦車の基本的形を作ったフランスのルノー社製『ルノーFT17』が大成功し、戦後は世界各国に輸出。世界中の国々が最初に装備する戦車となった。
戦間期には戦車は各国の思想に基づいて設計・製造が進められてきた。大部分の国々は戦車は歩兵の支援車両。若しくは騎兵の増強兵力として運用されてきた。しかし、ドイツやソビエトは戦車を中心とする戦闘部隊の研究を進めていた。特にドイツはそれらを元に戦闘教義『電撃戦』を使い、第二次世界大戦ではヨーロッパ大陸を征服した。
ソビエトでは戦争初期に開発が完了した第二次世界大戦の傑作戦車の一角に数えられるT34が正式採用された。装甲を傾斜させたこのスタイルはその後の戦車の基本的スタイルとなり一応戦車の形はここに完成した。
・豆戦車 例 TKS
1名か2名で運用される軽戦車よりも軽量・軽装備の戦車。主に機関銃を備えており、その事から移動トーチカと呼ばれている。戦間期の軍縮時代に多数生産された戦車
・軽戦車 例 10TP 7TP
主に訓練用・偵察用として多用された戦車。産業界にとっては戦車の製造技術習得の為に設計・製造された。主に機関銃を備えているが、強力な物では機関砲。若しくは小口径砲を備えている。しかし、第二次世界大戦中盤には殆ど使い物にならず、良くても後方警備に回された。ちなみに、ポーランド侵攻でドイツ軍の主力を務めたのは軽戦車の『Ⅰ号戦車』と『Ⅱ号戦車』である。
・中戦車 例 M4 T34 Ⅴ号戦車
戦車部隊の主力を務める戦車にとって最も重要とされる走・攻・守がバランスよく整えられた戦車。戦車部隊が一番多く装備しているのが理想とされている戦車であり、第二次大戦の傑作戦車も多くは中戦車に分類される。主に5~75mm前後の主砲を備えている。
・重戦車 例 M26 Ⅵ号戦車 TOGⅡ
敵陣地突破用に運用される重装甲・重火力を誇る戦車。戦場の花形のイメージが強いが、全体的に足回りが弱く、渡れる橋や走行できる道路が制限されるなど、移動に制限がある。しかし、それらの条件がクリアしているならば強力な戦車である。この重戦車と前述の中戦車を組み合わせて発展していったのが今日の世界で運用されている主力戦車となっている
・多砲塔戦車
多くの砲塔や銃塔を備えた戦車。一度に多くの敵を迎撃できるメリットがあるが、指揮官の指揮が追い付かなくなる、重量を抑えるために軽装甲にせざるを得ないなどのデメリットが多くて僅かな期間しか運用されなかった。
・巡航戦車 例 センチュリオン コメット
機動力を優先して装甲を薄くしている戦車。イギリス軍が使用したが、戦車にとって重要なバランスを欠いていた。ドイツ軍の火力強化・防御力強化に対応し、重巡航戦車へと発展していった。センチュリオン、コメットは重巡航戦車へ分類される。
・歩兵戦車 例 バレンタイン マチルダ
イギリスが運用した歩兵と共に進撃し、歩兵を支援する為に開発された戦車。機動力を犠牲にして防御力を優先した巡航戦車とは対の戦車。しかし初期の歩兵戦車は敵歩兵や榴弾砲などの非装甲目標に有効な榴弾を搭載していないという歩兵戦車としての矛盾があった。
・騎兵戦車 例 オチキス H35 ソミュアS35
フランスで採用された主に騎兵科が運用する戦車。騎兵科と同様、敵の追撃や敵後方への強襲などを行う目的で開発された。防御力よりも機動力を優先したイギリスの巡航戦車と同様の設計思想。
・快速戦車 例 BT2 BT5 BT7
イギリスの巡航戦車やフランスの騎兵戦車同様の設計思想で生まれたソ連の戦車。
・駆逐戦車 例 Ⅳ号駆逐戦車 M36
よく勘違いされるが、駆逐戦車は戦車ではない。戦車部隊が運用する、主に敵戦車を撃破する車両である。その任務から、既存の戦車を改造した車両である。砲塔を撤去した固定式戦闘室を設けており、改造前の車両よりも強力な主砲を固定式、若しくは限定旋回式で備えている。アメリカでは保有する戦車よりも突出して強力な砲は備えない代わりに旋回式砲塔を採用した。
・突撃砲 例 Ⅲ号突撃砲
砲兵科が運用する歩兵を支援する為の『動く大砲』。従って、こちらも戦車ではない。駆逐戦車と同様、既存の戦車を改造した車両である。戦争初期は歩兵支援が殆どであるが、末期では対戦車戦闘を行い、低い車体を生かして活躍する事もあったが、概ね損害は多い。
・榴弾
主に歩兵や自動車などの主に非装甲目標に使用される砲弾。着弾と同時に内部の炸薬(火薬)に点火されて爆発。周囲に砲弾の破片を撒き散らして相手を殺傷する。
・徹甲弾
榴弾と違い、こちらは主に戦車などの装甲目標に使用される砲弾。相手の装甲を貫通して内部を攻撃する。