-舞阪駅-
「マリア隊長、次の対戦相手が決まりましたね」
「パラチンタ、直ぐに学園艦に戻るわよ。車を回して」
「了解です」
そう言ってパラチンタと呼ばれた副官が車を取りに行く。マリアはスクリーン車を再び見た。
「今度はお互い隊長として戦うのね、池田」
その時、黒塗りのタトラT80が敷地内に入ってきた。そして、マリアの横に止まり、運転席からパラチンタが降りた。
「車をまわしました、隊長」
そう言って後部座席のドアを開ける。マリアが乗り込んだのを確認するとドアを閉めて運転席に戻った。
「では学園艦に向けて出発します」
パラチンタはアクセルを踏んで舞阪駅を後にする
翌日
-学園艦 戦車道部部室-
「何とか勝てましたね。砂浜での戦いは一時はどうなるかと」
練習から戻るなり戦車は整備に入った。この作業は専門の車輌科に引き継ぎ、部員は解散させて部室に入る。
「麻衣、次の相手は何処?」
「ブダペスト高校。でも、おかしい」
無線機を置いた麻衣はこちらを見ながら言う。
「隊長と副隊長が昨日の三回戦に出てなかったみたい」
「隊長無しで勝てるんですか!?ブダペスト高校は」
明美は驚く。これまでも何度も優勝経験のあるブダペストは確かに強いがそこまでとは。その時、戦車道新聞を読んでいた私は机の上にそれを置いた。
「相変わらず、マリアは変わらないか」
「隊長、知ってるんですか?」
「私が中学のときに戦車道をやってた時の副官です」
「「ええー!?」」
明美と朱里が驚いた。その二人に先ほど机の上に置いた戦車道新聞を見せる。
「まさかブダペストに進学してたとは驚いてるわよ。しかも、一年生で隊長にまでなっているなんて」
「い、一年で隊長にまで!?」
明美が驚いている。朱里はその新聞を読み込んでいた。
「あ、過去欄の所に確かに隊長と同じ中学の名が」
「元々、才能もあったし能力も優れてたわよ。私のやったミスを完璧にカバーしてくれて。指示も的確だし。単純な中学の頃の撃破スコアは彼女の方が上かな?」
「・・・・ブダペスト高校って、確かオーストリア=ハンガリー帝国系の学校ですよね?」
明美が小さい声で聞いてきた。
「そうだけど、それが?」
「今は何に乗ってるんでしょう?」
「確証は無いけど、ブダペストに行ってるんなら『あれ』に乗ってるんじゃないかな?」
「『あれ』ですか」
-ブダペスト-
「戦闘終了、帰還する」
マリアは無線でそう伝え、自軍の陣地に戻った。
「隊長流石です。一対八の戦いに勝利するなんて」
「こんなのは余興にすぎません。同じ作戦の元になら動きが同じになるのは必然。分かっているのなら破るのは容易いです」
「しかし、隊長の実力は・・・」
「次の相手、池田はこんなレベルではない。直ぐに戦車の整備を終えろ。また同じ練習をする」
「はい、直ぐに撃破された車輌を回収します」
パラチンタに指示をしてマリアは歩き始める。その背後には矢印十字の校章が入った「トゥーランⅢ」があり、更にその後ろには撃破されたⅣ号戦車やヘッツァー、ズリーニィ、トゥーランⅡなどがあった。