ガールズ&パンツァー 東海の覇者   作:橘花

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電撃訪問です

-伊良湖岬-

 

会場である鳥羽までは伊勢湾フェリーに乗って移動することになった為、私たちは伊良湖岬までやって来た。

 

「隊長、車両の搬入準備は完了しました」

 

朱里が隣までやって来て伝える。駐車場にはセンチュリオンなどの戦車を積んだ戦車運搬車が並んでいる。物好きな乗客や景色を見に来た人はその光景を写真で撮っている。

 

「物好きな人には人気ですね、うちらの車両」

 

「珍しいからね。まあ広報も大切ですし」

 

フェリーは積む車両の関係やスペースから18時50分に臨時で運行してくれる事になった。

 

「明日の試合は隊長にとっては中学の副官が相手ですが、勝てますかね?」

 

朱里が疑問を持っているのも分かる。かつて副官として誰よりも私の傍にいた相手だ。作戦のクセなども読まれるだろう。

 

「勝つしかありません。戦車道は日頃の訓練が物を言う競技です。運で勝ち進んでこれるほど甘い競技ではありません」

 

「了解しました。日頃の訓練を信じ、全力で戦車を操縦します」

 

そう言って私たちの乗るセンチュリオンを載せたドラゴンワゴンに戻る。すると駐車場にロールスロイス・ファントムⅡが入ってきた。

 

「会長。てっきりサンダーランドで現地入りするかと思いましたよ」

 

会長は書類仕事で忙しそうだったので飛行艇で来るかと思っていた。

 

「そのつもりだったけど、書類が予想より早く終わったから車で来たのよ」

 

ファントムⅡは私が乗ってきたハンバー・スナイプの横に駐車する。これまた物好きな人は写真を撮り始める。

 

 

 

時間通りにフェリーが港に入港する。私たちは車に乗り込み、係員の指示に従って車両を船に積み込んでいく。

 

「気をつけてよ、本来このフェリーは戦車を載せれるようにはできていないんだから」

 

フェリーへの積み込みも緊張する。通常の乗用車なら特に気にする必要は無いが、重い物は少し動かすだけで船のバランスを崩しかねない。

 

「ふう。何とか止めれました」

 

朱里がため息をついて言う。係員の指示した場所に止める事ができたのだ。

 

「お疲れ。それじゃあ降りるわよ」

 

 

 

鳥羽丸と伊勢丸に積み込みを完了し、伊勢湾を航行するフェリーの甲板に出た。

 

「三回戦までに出てきたブダペスト高校の車両はⅣ号戦車G型とH型、ヘッツァーD、ズリーニィ105、トルディです」

 

明美は過去の戦車道記事を読み返しながら言う。

 

「恐らくそれにトゥーラン等が加わるわね。あの子が間違いなく搭乗するだろうし」

 

そんな時、低速・低高度でフェリー上空をフライパスした一機の航空機が居た。そして、再び旋回してくると高度を下げ始める。

 

「あの飛行機、もしかしてここに着陸しようとしている?」

 

私が明美に聞く。

 

「そのようですね・・・」

 

そんなことを言っている間に飛行機は完全に着艦体勢に入ったように見えた。

 

「逃げろ!!」

 

叫んでその場から離れた。瞬間、さっきまで顔のあった辺りを飛行機のタイヤが通過する。そして、甲板にタイヤを接地させて滑走し、甲板端で半回転させて中央に駐機した。

 

「矢印十字・・・マリアね」

 

着艦した航空機Fi156のドアの部分にはブダペスト高校、垂直尾翼と主翼に矢印十字が描かれていた。

 

「池田隊長、お久しぶりです」

 

ユサール風に仕立てられたパンツァージャケットを着込んだマリアが機体から降りる。

 

「もう貴方の隊長じゃないのよ、マリア」

 

「・・・・そうですね、池田さん」

 

マリアは冷たい目をして言う。

 

「何をしに来たの?マリア」

 

「試合前の挨拶ですよ。中学時代の隊長なので、こちらから伺った方が礼儀だと思いまして」

 

「それにしては随分危険な来訪の仕方だと思うわよ。あと少しで私の頭は無くなってたわ」

 

「池田さんなら避けると思いまして」

 

悪びれる様子も無く言う。

 

「ほんと、貴方は変わらないわね・・・」

 

 

 

「隊長、向こうのマリア隊長はいつもあんな感じだったんですか?」

 

甲板を移動している最中に明美が言ってくる。

 

「まあ、中には無茶なことをやる人だったけど、それでも指揮は的確だったわ」

 

「どんな無茶なことをやったんです?」

 

「断崖絶壁を背にフラッグ車を守る布陣を布いたマキ中学を相手に義経よろしく、崖の上から駆け下って奇襲したのよ。危うく、中の乗員を失いかねない危険行為ではあったけどね」

 

ため息をつきながら私は言う。

 

「かなりの危険行為だから、後で連盟から注意を受けたわよ」

 

「それは大変ですね」

 

「懐かしい話ですね。そんな戦いを昔はしました」

 

通路でバッタリとマリアとパラチンタに会う。

 

「私はあの頃と変わっていないと思いますが・・・」

 

マリアは惚けた様に言う。

 

「でしょうね。ところで甲板にある飛行機はどうするの?。着艦は曲芸でできても、発艦は不可能よ」

 

 

 

「なるほど、クレーンが待機してたというわけね」

 

無事に三重に到着したフェリーからは車両の積み下ろし作業を開始している。その横でタトラT148ADが甲板にあるFi156を吊り上げて陸に下ろす。そして、陸にて主翼の取り外し作業に入った。

 

「そろそろこちらも引き上げますね。あまり対戦相手が戦う前に長く話すのもアレなので」

 

するとタトラT813がT80を載せたP32トレーラーを牽いて入ってきた。停止するなりパラチンタはT80に乗り込んでトレーラーから下ろした。

 

「そちらは大型機材はタトラに統一しているの?」

 

「頑丈ですし、メンテナンスが楽なので」

 

トレーラー部分に主翼を外した機体を固定し、荷台部分に主翼を固定したT813はT148を先頭に鳥羽乗り場から出て行く。

 

「では、明日の戦いを楽しみにしています」

 

「危険行為は無しよ」

 

お互いが握手をする。そしてマリアはT80に乗り込むのを確認してパラチンタは発進させる。

 

 

「さて、積み下ろしを急がなきゃね」

 

私はまだ積み下ろし作業をしている皆のところに向かった。

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