ガールズ&パンツァー 東海の覇者   作:橘花

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エキシビジョンマッチ終わります

敵の戦車の中に混ざった私達は左右に備えられた6ポンド砲でLK IIやA7Vを倒した。

 

「目標、側面のA7V。発射!」

 

先程から機関銃で応戦していたA7Vの右側面に命中し、白旗が昇った。

 

「敵は混乱中。まあ、当然でしょうね」

 

敵の戦車は中に入ったマーク戦車に対応できなかった。まだ、無線手が居ない時代である。戦車同士の通信が出来ない為、混乱が増しているのだ。

 

「A7Vから車両間の連絡を図るために信号手が出たけど、それもお終い」

 

信号手が怪我しないように履帯を破壊して、白旗を挙げさせた。

 

 

 

「毎年、戦車道連盟も粋な事を考えるわね」

 

世界初の軍用ヘリコプター『PKZ-2』2機が空中に浮かんでいた。

 

「隊長、14"/50 caliber railway gunの車台を利用したスクリーン車で見たほうが宜しいのでは?」

 

「何言ってんの?。折角持っているんだから、使わないと」

 

「でも、揺れて。怖いですよ、隊長」

 

隊長と呼ばれた少女は無視し、試合観戦を再開した。その胸には矢印十字とその中にブダペストと書かれている。

 

「一回戦が終わって、近くで面白いものをやってると聞いて来てみれば、本当におもしろい事をしてるね」

 

 

「よし、あと少しで敵陣地」

 

しかし、巨体が動いた。地響きと共に、岩に擬装されていた怪物が、姿を現した。

 

「反則でしょ、あんなの」

 

2台のKワーゲンが陣地前に陣取り、攻撃を開始する。

 

「後退して、朱里」

 

急いで明美が変速機を操作し、朱里がバックできるようにする。私がブレーキを掛け、前進を止めた。

 

「急いで」

 

同じく後退しているシャール2CにKワーゲンの77ミリ砲が命中し、白旗が挙がった。

 

「やられた。こっちも早く後退しないとやられる」

 

時速7.5kmの低速だが、巨体が前進してくる為に全車が畏縮している様に見える。

 

「向こうの方が速いのよ、攻撃しないとやられちゃう」

 

私と明美が砲座に着き、狙いを定める。麻衣が両方の砲に装填し、離れた。

 

「発射!!」

 

「こちらも発射します!!」

 

両方の大砲がそれぞれのKワーゲンに命中した。しかし、びくともしない。

 

「そんな馬鹿な。正面装甲が30mmの筈。どうやら、強化モデルのようね」

 

「ルール的にありなんですか?」

 

「エキシビジョンマッチは、全国戦車道連盟にとって盛り上げたら勝ち。その為なら、ルールを多少無視したんでしょうね」

 

それじゃあ勝ち目無しですね。っと、明美が言う。

 

「どうしますか?隊長。いずれは追いつかれますよ」

 

朱里がこちらを向いて言ってくる。

 

「隊長、待ち伏せで敵の砲を狙う」

 

麻衣が砲弾を持ってこちらに来ながら言ってくる。

 

「確かに、現状はそれしかないわね」

 

麻衣が砲弾を装填し、右側の砲にも装填する為に移動する。私は後部ハッチを開け、何処か待ち伏せできる場所を探した。

 

「あった。朱里、合図したら左に曲がって」

 

「了解」

 

くぼ地があい。そこなら、砲がギリギリ狙いを定められる高さである。多少は車体が隠れるし、それに相手は下に向けて撃つ為に狙いを逸らし易い。

 

「今よ」

 

朱里が左に曲がり、くぼ地に入った。私は左砲に着いて目標を待つ。

 

「朱里、撃ったら車体を反対向きにして。明美、2台目は貴方が仕留めて」

 

「「了解」」

 

照準儀に目標が入る。私は意識を集中し、ギリギリまで引き付けようとする。

 

「もう少し、もう少し来て」

 

照準をKワーゲンの砲郭に狙いを付ける。しかし、その砲郭が動き始める。

 

「気付かれた。発射!!」

 

敵よりも早く発射できたため、助かった。向こうが撃つ前にこちらの砲弾がKワーゲンの砲郭に命中した。今度は文句なしの白旗が挙がったのを確認する。

 

「次、明美」

 

「任せてください」

 

朱里が車両を反対側にし、右砲の明美が狙いを定めた。

 

「発射!!」

 

何とかもう一台のKワーゲンからも白旗が挙がる。私達の戦車は急いでくぼ地から出て、敵陣地に向かった。

 

 

「あと、少し。あと、ちょっと」

 

 

 

「残念ね、連合軍チーム。相手の車両が紛れ込んでるとも知らないで」

 

隊長と呼ばれていた少女は溜め息をついて、下に降りてしまったもう一人の生徒に降ろすように指示を出した。その最中、試合終了を告げる放送が流れた。

 

 

『試合終了。勝利条件ドイツ側達成。よって、ドイツ側の勝利』

 

 

「え?どうして」

 

私はがっくりと車内に腰を下ろした。朱里が車外に出て敵陣地と自車との距離を測る。

 

「あと、たった3m。3mの差で、負けた」

 

『ドイツ側のA7V-Uが連合軍側の陣地に到達し、勝利条件を達成しました』

 

Kワーゲンが現れ、後退時に紛れ込んだA7V-Uはそのまま連合軍側陣地まで走行。こちらがたった3mの位置で、A7V-Uは連合軍側の陣地に滑り込んだのだ。

 

「戦いには勝ったけど、試合には負けたって感じね」

 

「あと一歩だったんですけどね」

 

 

 

停車位置に戦車を戻した私達は駿河湾に待機させているサンダーランド大型飛行艇の所まで向かった。

 

自衛隊員が無償で貸してくれた高機動車で街中を走っていく。

 

「富士山が遠ざかっていきますね」

 

上部ハッチから顔を出して、私は遠ざかる富士山を見上げる。

 

「世界遺産になってもならなくても、美しさは変わらないわね」

 

「私達はその下で戦ってたんですよ」

 

「今回は負けたけど、決勝もここで行われる。次来るときは負けるわけにはいかないわよ」

 

太陽も沈み始め、空は夕焼けになりつつある。

 

「明日は私達の一回戦ね。今日一回戦が終わったところもあるから、後で結果を見ましょう」

 

私達は、駿河湾に駐機してあるサンダーランド大型飛行艇に乗り込み、学園艦目指して飛行した。

 

 

 

-戦車道部部長室-

 

「今日の一回戦で、注目している富士女子とミンスク、セダンにドーチェスターも勝ち上がった。おっと、ブダペストもか」

 

まだまだ先が長かった。でもそれでも優勝せねばならない。

 

「去年負けた黒森峰にもリベンジしたいしね」

 

僅かな差で敗北した黒森峰に今年はリベンジしたかった。それに、東海地区では優勝経験があるが、全国大会では長い間優勝経験が無かった。

 

「明日は一回戦。相手はヴェステルプラッテ。去年の肉薄には参ったけど、今年はどんな手を使うのやら。それでも、私達は勝たなければならない」

 

会長から借りて来た校旗が部屋にあり、それは明日の一回戦に持っていく。

 

「大会二連覇。それを達成するのは私達、舞阪女子高校です」

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