今、私達は技術室で作業をしている。そう、今は技術の授業だ。今日が中学校生活の中での最後の授業という事もあり、今まで作りかけていた物を全て完成させなければならないのだ。だから今は必死でその作業をしている。
今日完成させたい物は、二つある。ラジオと収納箱だ。ちなみに箱は扉付きだ。まあ、その扉を付ければ完成なのだが、まぁそれに時間がかかるもので。
箱作りは家でも出来そうだから後回しにして、今はラジオを作っている。
ラジオを作るのは、そう簡単には作れないもので、先生が言うにはクラスの半分の人は失敗して使えないラジオになってしまうらしいのだ。私はそうなってしまわないように、一つずつ慎重に部品をはんだごてで作り上げていっている。
そんな私の隣では、ドンドンと大きな音をたてながら箱に釘を打っているサクラがいる。私とサクラの座っているこの席の机は、六人は座れる大きな机なので、慎重に作業をしようとしてもサクラのせいで机が揺れてしまって、なかなか上手く作業ができない。だからといって他の机の所に行こうとすると他の人がサクラと同じような作業をしているので意味が無い。なので、私は仕方なくこの席で作業をする。
ふと時間を見ると、あと残り30分になっていた。
あぁー、ヤバい。完成できるのかユキ選手!
…また変な実況が頭の中で始まった…。
そんな事を考えていると、事件が起きた。
「あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「どどどどどうしたぁ?!」
私が頭を抱えて悲鳴をあげるとすぐにサクラが反応するのが面白いが、そんな事より…
「部品の位置間違えたぁぁぁ!!!!!(泣)」
「うわぁ!これ、色と形同じだけど文字が違うパターンじゃん!!」
「うぁぁぁぁ、もう仕方がない!!このままやってやるぅ!!(泣)」
もう、なんとかなるだろ!!!そう信じるしかない!
あぁ、作ったラジオで番組聞きたかったのにな…。
数分後、ラジオの部品を一応全部取り付けた。そして、電池を入れて電源スイッチを押したが、一切音は鳴らなかった。
そこで、僅かな望みを持って先生にラジオをチェックしてもらった。すると、先生は部品の位置は変えず、少し手直ししただけで私に「これでラジオ鳴るよ」と言って手渡した。
恐る恐る電源ボタンを押すと、ラジオから「ジジイなんでしょうかね」という声が聞こえた。その瞬間、周りは大爆笑に包まれたが、私は一人拳を挙げて「ジジイ!」と叫んだ。そのせいで周りはもっと笑いが増えた。サクラは笑い涙が出てくる位笑っていたが、私は嬉しさでいっぱいだった。
しばらく経って、私は考えた。あの部品の間違いは何処に影響してしまっているのだろうか。
私達が作るこのラジオは、超多機能付きの便利な物で、ラジオはAMとFMの両方が聞ける。アンテナを伸ばせる。ライトも付いている。電池で鳴らす事もできるが、手回し発電もできるし、太陽光発電もできるソーラーパネルが付いている。それに、どれだけ発電できているかのメーターまで付いている。ブザーも鳴る。USBも付いているので携帯の充電もできる。イヤホンも付ける事ができる。こんなに付いているのに約15cm×10cm×5cm(縦×横×高さ)と持ち運びも便利で軽い。持ちやすい取手もある。
…どこが間違えて機能するのかを見つけるのは時間がかかりそうだ…。
まあ、それはそうと、箱を仕上げなくてはならない。私は大急ぎでプラスドライバーとキリと自分の箱を用意し、扉付けに取りかかった。
…しかし、その10分後にチャイムが鳴り、箱は家で完成させるしかなくなってしまった。。。
学校が終わり、家に帰って、作ったラジオを触っていると、間違いの場所が見つかった。それは、電池のエネルギーを使うか発電したエネルギーを使うかのボタンの機能が逆になっていただけで、一応操作可能だったので特に心配する事は無かった。
そのラジオは次の日には母によって避難グッズを納している場所に納された。
「ラジオ、もう少し使いたかったな」という願望はそれによって消滅したのはどうでもいい話であったが少し悲しかった。
次回もおたのしみに!