我ら、八ツ橋高校科学研究部!   作:ぺんたこー

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ごちゃごちゃな部室の中で、ほんの一部分だけ綺麗に片付けてある場所があった。依頼を受ける用のPCが置いてある机だ。逆に言うとそこ以外は全く綺麗ではない。私はPCの受信トレイを確認する。

「ゆうさーん!次の依頼来てるよ〜」

自分の机で黙々と作業をしていたゆうさんは手を止めて椅子の向きを変える。回転するやつなので無駄に一回転してからこちらを向く。

「まとめて印刷してファイリングしてくれ。後で読む」

私は、わかった〜と返して言われた通り、依頼をまとめて印刷する。ファイリングしても未だに読んでいない依頼の方が多いが気にしない。きっと、駆我さんか部長が読んでいる。

しばらくはコピー機の印刷音とゆうさんの作業音だけが流れる。

そこに突然部室のドアが開いて、黒髪ロングストレートコミュ障の部長が入ってくる。悪口ではない。

「みんなぁ、おっはよぉ」

いつもの喋り方で挨拶をすると部長は奥の更衣室へと消えていった。すぐに出てきたが服装が制服からこれもいつもの白衣に変わっていた。部長は部室を見渡してから私の方に歩いてくる。

「奈々ちゃんは何してるのぉ?」

「きてた依頼をまとめて印刷してるんだけど…すごい量だね」

コピー機からは未だに絶え間なく紙が入っては出ている。もう五十枚はある。

「そうだねぇ、いろんなところからいろんな依頼を受け付けてるからねぇ。それでもちゃんと受けるのは一割くらいだよぉ」

部長はコピー機から出てきた紙を一枚取って読み始めた。一枚、また一枚と読んでいく。そして十枚を過ぎたあたりで手を止めた。

「ねぇ奈々ちゃん。この人たちぃ知ってるぅ?」

小さい文字をカタカナにして、後ろに『!』を付ければ迫力があるのに、実際はとても弱々しい喋り方の部長が私に問う。

私は渡された紙に目を通す。『HARD』という化学武器(スキル)集団がいて、その人たちを『討伐』して、ついでに化学武器(スキル)を『回収』する依頼だ。

「知らないよ?この人がどうかしたの?」

「いゃ、この依頼受けようと思うんだけどぉ、もし奈々ちゃんのお友達がいたらやめとこうかなぁって思ったのぉ。でもぉ大丈夫そうだからぁ、受けるねぇ」

ゆうさんの机に向かって行く部長を眺めながら、そんな決め方でいいのかと心配していたが、まあ大丈夫としか思えなかった。先日見たゆうさんの戦いは、どの相手もかなり強いスキルを持っていたにもかかわらず、瞬殺したのだ。不安になる要素が一つもない。あるとすればトーナメント表にあった名前だが、関係はないはずだ。

気がつくとお面を付けた部長がこちらに来ていた。部長が付けているお面といえば、強制中二病マシーンとか言われてた気もするが、あれは恥ずかしいのでやめたはずだ。

「あれ?部長そのお面なに?」

部長が一瞬固まる。お面越しでも分かるくらいに照れている。いや、恥ずかしがっている。

「こっ…これはぁただのぉお面だよ!今からお仕事に行ってくるからぁ付けてなきゃバレちゃうのぉ」

かなり焦って発音がめちゃくちゃだが、部長はそう言って自分の机に向かった。

コピー機の音は続いている。

部長は机から様々なスキルを取り出し、身体のあちこちに装着する。

そういえばゆうさん以外のことは未だに何も知らない。駆我さんが普段何をするのかも、部長がどんな戦い方をするのかも知らない。

スキルで武装し終えた部長はハッとしたようにこちらを向いて言った。

「そうだぁ!奈々ちゃんも一緒に来るぅ?」

私は大きく頷いた。




こんにちはぺんたこーです。
第2章スタートです!
今回は化学研究部がどれだけの依頼を受けているのか、また部長はどんな戦いをするのかというお話でした。
前回のあとがきで言っていた図鑑的なものは、主に私の画力のなさのせいで早くも心が折れてしまいました。気が向いたら始めようと思います。
それではまた、次のあとがきで!
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