「単刀直入に言うよぉ。」
部長の言葉に私、奈々は息をのむ。部長は仮面をつけていなくても変な喋り方だ。なんと言うか…声がだんだん小さくなりながら母音をのばしている。
「私たちの本業はぁ」
駆我さんもゆうさんも静かに部長を見ている……あっ、ゆうさんは後ろでこっそりナイフ型のスキルを研いでる。
「アサシンだよぉ。」
……?
私は「アサシン」の意味が分からなかったが、そんなこと言えるはずがなく変わりに「うそーすごーい」と超棒読みで返した。
そんな私を見て駆我さんはパソコンの画面を私に向けた。そこには「アサシン 意味」の検索結果が表示されていた。
「えーっと…アサシン (Assassin) は、暗殺者、暗殺団、刺客という意味を指す英単語。」
アサシンは暗殺者っていう意味だったのか……」
え?
えぇ!?
はっ!ここどこ?
あれ?部室だ……周りには部長も勇さんも駆我さんもいた。
「あれ?私……」
全然状況が分からない私に部長がいつもの変な喋り方で答える。
「えーっと…私たちの本業の話をしたらぁ、突然倒れて1時間後だよぉ。」
「え?1時間も!?」
みんな揃ってうなずく。外を見ると日が沈みかけていた。どうやら本当に倒れてしまったようだ。本業は確か…そうだアサシンだ!
「本当にアサシンなの?」
「あぁ、依頼を受けて目標を狩り報酬を貰う。それだけだ。」
坦々と話す。その顔にはいつもの光はなかった。
しかし私が求めていたのはこの人たちなのだ。長年ーといっても6年くらいだけどー探してやっと見つけた。この人たちに頼めば………
「私の…」
この時を待っていたはずなのになぜか声が出ない。恐怖ではない。しかしそれに近いもの。
「どうした?ちびすけ?」
パソコンを閉じながら駆我さんが言う。声はなかなか出なかった。みんなが私を見つめること数秒、静寂を破ったのは部長だった。
「どんな依頼なのぉ?怖がらないで言ってみなよぉ。」
喋り方は相変わらずだが私は驚くことしかできなかった。さっき私は「私の依頼を受けてくれる?」と言おうとしたからだ。
「まぁ、分かってるけどねぇ。誰を殺して欲しいの?」
私は何も言えなかった。さっきまでとは違う何かが私の声をのど元で止めている。
「まぁ、それも分かってるけどねぇ。
もうなにも言うことはない。それほどまでに部長は私の言おうとしていたことを当ててしまったのだ。理由は分からない。何か脳内思考を読み取るスキルがあるのかと思ったがこの部屋には機械が多すぎてどれが思考を読むスキルなのか分からなかった。今回ばかりは声が出そうだ。私は思い切って部長に聞いてみる。「なぜ分かったの?」と。
しかし声が発せられたのは奈々の口からではなく部長の口からだった。
「なぜ分かったのぉ?そんなこと言われてもぉ、
「どういうこと?」
今度は部長に言い当てられる前に話すことができた。何となく、勝った!と思ったが知っていたとはどういうことなのかは気になる。
「例えばぁあと8秒後に奈々ちゃんの
部長が0と言うのと同時に、部室の窓を突き破って轟音をたてながら何かが突っ込んできた。
その何かは奈々を驚愕させるものだった。
奈々と同じ黒色の髪は肩の少し下までの長さで、赤縁のメガネの下で見開く瞳は奈々と同じ緑色、身にまとっているのは白衣。間違いなく水平 奈々の母、水平 ひかりだった。
「あら、奈々こんなところにいたのね。さぁ、帰ろ?」
手を伸ばしてくるひかりを奈々はただ見つめることしかできなかった。
数秒後、勇が部室のドアに触れた瞬間、轟音と閃光で部屋の中が満たされた。轟音と閃光、これは間違いなくスキルだ。しかも奈々が作った中でもかなり周りからほめられたもの。
確かこのスキルは視覚と聴覚を麻痺させることができる。これは攻撃ではなく援護なので、次は攻撃がくる。
そう考えた奈々は危険を知らせるべく叫ぼうとした。しかし声が出なかった。いや、正確には空気を吸えなかった。奈々はまた考える。
今度は、考え終わるより先に何かが身体にあたった。それは次々と流れて来て、奈々の体を押しやろうとあたってくる。痛みはないが気を抜くと飛んでいってしまいそうだ。これは風だ。でも奈々は風を起こすスキルを家で見たことはない。つまり……
「勇さん!」
奈々の叫びが伝わったように風がやみ、代わりに上から何かが押し付けてくる。このスキルは知っている。以前駆我さんに見せてもらったものだ。
「駆我さん!」
奈々がまた叫ぶと駆我は重力操作装置の対象をひかり一人に向けた。
「さぁ、観念しなさぁーぃ」
やはり部長の喋り方はおかしいと思う。
「奈々、こいつどうする?」
勇の問いに奈々は迷わず答えた。
「殺して」
「報酬は?」
今度は駆我さんだ。一瞬迷ったが覚悟を決める。
「私がこの部活に貢献する」
最後に部長が言う。
「そういうことでぇ〜サヨナラBAIBAI!!」
今までの部長とは違う喋り方だ。これはもうローマ字表記にするしかないほどの迫力だ。
部長の言葉とともに水平 ひかりの首は胴体とはなれて部室の床を赤黒く染めた。
こんにちはぺんたこーです。
いろいろごちゃごちゃになりましたね。
次回はなぜ奈々が母を殺してほしかったのか、その動機に迫ります。
ではまた次のあとがきで。