我ら、八ツ橋高校科学研究部!   作:ぺんたこー

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地面には水平 奈々の母、水平 ひかりの首が転がっていた。

「本当にこれで良かったのか?」

勇の問いに奈々は答える。

「うん、どれだけ強いスキルを作っても、ほめてくれるだけで認めてくれなかったから」

うつむく奈々を横目に勇は、部室の掃除を再開する。

 黙々と掃除を続けていると、奈々が語りだす。

「この前、勇さんが殺した人……私のパパなの」

その発言に部室にいた奈々以外の3人が驚く。

「パパもママもずっと化学武器(スキル)開発のことばかり考えてて、私もそれを手伝わされた。すごいスキルを作って、闇市で売って、大金を手に入れて、また作っての繰り返しだった。普通の家族でいたいのに夫婦そろって研究に突っ走るから、私が説得したって意味が無かった。だから暗殺を依頼した。」

「それが俺たちってわけか…」

「うん。二人に内緒でスキル作って、それを売ってできたお金で依頼を出した。一応名前は伏せたんだけど、すぐばれちゃったね」

「私が奈々ちゃんの言いたいことをぉ、当てれた理由が分かったのねぇ?」

「うん。初めての暗殺依頼だったから、資料送りすぎちゃった」

 いつの間にか、部室はーさっきよりーきれいになっていた。みんなが掃除道具を片付ける中、部屋の隅に置いてある生ゴミの入った袋を持って駆我が言った。

「これは私が処分しておく」

「おう、助かる」

勇が答えると駆我は袋を持って部室を出ていった。

「さてとぉ、これからどうするぅ?」

この特徴のある喋り方はもちろん部長だ。

「あ、俺次の仕事行ってきます」

「わたったぁ、そうだ奈々ちゃんもついていったらぁ?」

部長の急な提案に私は体が少し硬直した。まだ入部してすぐなのにもう実戦を見学するのか…普通に考えればだいぶ異常なのだがまぁ、実質小学6年生の奈々が高校にいる時点でこの学校は異常だ。

「うん、わかった」

「え!ちょ、まじすか部長!!今回はタルタロスに行くんですよ?」

タルタロス?また、知らない単語が出てきた。これは後で聞くとしてそんなに危ない場所なのだろうか。

「ねぇねぇタルタロスってどんなところなの?」

結局気になって今、聞いてしまった。

「えっとだな……とりあえず、歩きながら話そう。じゃ、行ってきます部長」

「いってきま〜す!」

「いってらっしゃぃ」

部長に見送られ私とゆうさんは部室を後にした

 

ゆうさんが走らせている車は、銀色のボディのスマートな形をしていた。後部座席には資料が散らばっているがそれ以外は意外と綺麗だった。

「タルタロスっていうのは自慢の化学武器(スキル)を競い合わせる大会なんだ」

「おおーなんか面白そう!」

「いや、そのルールが無法すぎて面倒なんだよ…ってしまった!信号間違えた!」

車のハンドルを回してアクセルを踏みなおすゆうさんを横目に私は質問した。

「どんなルールなの?」

「いや、ほぼルールなんてないぞ?制限時間30分の間でスキルを使って殺しあう。それだけだ。死んでも自己責任、観客席に被害が及んでも自己責任、観客席での揉め事も自己責任、タイムアップ後に手を出した場合のみ、その場で処刑っていう超外道なルールだ。」

「そんな場所に何しに行くの?」

そういえば聞いてなかったのだ。今回の目的を。そんな物騒なところにどんな用があるのだろうか。運転しながらゆうさんは答える。

「えーっと…今回は回収かな?後ろに資料あるだろ?そこのファイリングしてるやつ」

車の後部座席に無造作に置かれた紙の束からファイルを引っ張り出して、開いてみる。要約すると、貴重な素材を使っているスキルを使う人が出場するから、その素材をスキルごと入手してほしいとのこと。

「そういえば負けて死んじゃった人はどうなるの?」

「基本的に遺体は運営側が処理して所持品は勝者のものになるが、仲間がいるならそいつらが遺体と所持品を一緒に回収するだろ」

「じゃぁ、ゆうさんはこの人を殺さないといけないの?」

「そうだな、あー考えただけで面倒だ。試合前に説得してみるか」

それからしばらくは車のエンジン音だけが車内に響いた。

 

「着いたぞ」

車を降りると目の前にはいかにも違法な感じの廃ビルが連なっていた。車を降りたゆうさんはいつの間にかいくつかのスキルで武装されていた。といっても一辺10センチ程度の四角形を腰やら腕やら手の甲やらにつけているだけだった。

「こっちだ」

武装したゆうさんは迷いなく進んでいった。

跡を追うと地下室への扉へたどりついた。それを躊躇なく開けるとエレベーターに乗り込んだ。

エレベーターが下に行くにつれて、歓声のような音がどんどん大きくなっていった。扉が開いた瞬間、その音はより大きな音の弾丸となって奈々の鼓膜を襲った。

エレベーターを出てすぐ右に受付のような場所があった。ゆうさんは受付の女性と話を済ませると奈々に向かって言った。

「何か困ったことがあったらこれ使え」

投げてきたのはまだ見たことのないスキルだった。手に収まるくらい小さい鎌のようなものだ。多分、刃の部分に何かの細工があるのだろう。私はそれをポケットに突っ込んだ。

「待ち時間がなかったのは運が良かった…そんじゃ、サクッと片付けてくる」

ゆうさんがだるそうに言うときれいなクラウチングスタートを決めて走り去って行った。




こんにちは、ぺんたこーです。
やっとバトルの舞台が登場しました。タルタロスです!
由来はギリシア神話の魔城から
さて、ひかりさんの存在が忘れられてますが、水平夫婦はかなり強いスキル使いですよ?つまり、勇たちが強すぎるというわけであって、タルタロスは余裕なわけです。しかし、そこに思わぬ罠が!?
それではまた、次のあとがきで!
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