問題児たちと葉王さま(偽)が異世界から来るそうですよ 作:FG30%
日が暮れた頃に噴水広場で久遠達と合流し、話を聞いた黒ウサギはウサ耳を逆立てて怒っている
「な、なんでこの短時間で''フォレス・ガロ"のリーダーと接触して、しかも喧嘩を売る状況になったのですか!?」
俺達が蛇神と戦っている間に箱庭を堪能している筈の久遠、春日部、ノーネームのリーダーであるジンの三人はこの辺りを支配しているコミュニティ"フォレス・ガロ"のリーダー、ガルド=ガスパーと接触し、喧嘩を売りギフトゲームをする状況になっていた。黒ウサギは次から次へとくる災難に顔を青ざめながら叫んでいる
「しかもゲームの日取りは明日!」「しかも敵のテリトリーで戦うなんて!」「準備している時間もお金もありません!」「一体どういう心算があってのことです!」「聞いているのですか?三人とも!」
「「「ムシャクシャしてやった。今は反省はしている」」」
「黙らっしゃい!!!」
黒ウサギは口裏を合わせるかのような言い訳に激昂している。疲れないのかな?
それにしてもリーダーがこんな子供とはねぇ…正直不安だわ
「いいじゃねえか黒ウサギ。別に見境なく喧嘩を売ったわけじゃないわけだし」
「十六夜さんは面白ければいいと思っているかも知れませんが、このゲームで得られるのは自己満足だけなのですよ。このギアスロールを見て下さい」
逆廻が黒ウサギからギアスロールを受け取りそれを読み上げる
「"参加者が勝利した場合、主催者は参加者の言及する罪を認め、箱庭の法の下で正しい裁きを受けた後、コミュニティを解散する''まあ確かに自己満足だな。時間をかければ立証出来るものだがわざわざ取り逃がすリスクを負ってまで短縮するんだからな」
「時間さえかければ彼らの罪は暴かれます。だって肝心の子供達はもう……」
「そう。人質は既にこの世にいないわ。その点を責め立てれば必ず証拠は出るでしょう。だけどそれには少々時間がかかるのも事実。あの外道を裁くのにそんな時間をかけたくないの。それにね、黒ウサギ。私は道徳云々よりも、あの外道が私の活動範囲で野放しにされることも許せないの。ここで逃がせば、いつかまた狙ってくるに決まってるもの」
「ま、まあ確かに逃がせば厄介ですが……まあいいでしょう"フォレス・ガロ"程度なら十六夜さんと葉王さんがいれば楽勝でしょう」
「何言ってんだ? 俺は参加しねえぞ?」
「いやいや、俺も参加しないって」
「当たり前よ。貴方達なんて参加させないわ」
逆廻と久遠は怪訝そうな顔をして鼻をならし否定してるし、俺は当然とばかりに言う
慌てて黒ウサギは俺たちに食ってかかる
「だ、駄目ですよ!皆さんはコミュニティの仲間なのですから協力しないと……」
「そうじゃねえよ黒ウサギ。この喧嘩はこいつらが売って奴らが買った。なのに俺らが手を出すのは無粋だって言ってんだよ」
「そうそう、当人同士でやってくれ」
こっちは戦闘初心者なんだ、誰が好き好んで受けてもないゲームに参加なんてするか
「あら、わかってるじゃない」
「……ああ、もう好きにして下さい」
ーーーーー
''フォレス・ガロ''との一悶着を終えて、俺達は信仰のあるコミュニティにギフト鑑定をしてもらうことになった
「''サウザンドアイズ''?」
「YES。サウザンドアイズは特殊な''瞳''のギフトを持つ者達の群体コミュニティ。箱庭の東西南北・上層下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティです。幸いこの近くに支店がありますし」
「ギフト鑑定の必要性あるか?」
「自分のギフトを把握しておけば引き出せる力は大きくなります。皆さんも自分の力の出所は知りたいでしょう?」
黒ウサギは同意を求めるが逆廻、久遠、春日部の三人は少し複雑な表情を浮かべているし、俺は自分の能力はわかってるし別になぁ
辺りは日が暮れて、街灯が灯り始めていた。久遠は街路の脇に生えている桜の様な木を眺めている
「桜の木……ではないわよね? 花弁の形が違うし、真夏になっても咲き続けているはずがないもの」
「いや、まだ初夏に入ったばかりだぞ? 気合の入った桜が咲いててもおかしくないぞ」
「……? 今は秋だと思うけど」
「は? 今は真冬だろ?」
ん? っと噛み合わない四人は顔を見合わせて首を傾げる
「皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されているので時間軸の他にも歴史や文化、生態系など違う箇所がある筈です」
「パラレルワールドってやつなのか?」
「近いです、正しくは立体交差世界論というものなのですが……これを説明するには時間がかかりすぎるので説明はまた今度お話します」
そうこうしているうちに''サウザンドアイズ''の支店に到着した。
店の前では割烹着姿の女性店員が看板を下ろそうとしていた。黒ウサギが慌てて止めにいく
「まっ」
「待ったはなしです御客様。ウチは営業時間以外営業はやっていません」
黒ウサギは待ったをかけられなかった。ドンマイ
「なんて商売っ気の無い店なのかしら」
「ま、全くです! 閉店時間の五分前に締め出すなんて!」
「文句があるならどうぞ他所へ。あなた方は今後一切の出入りを禁じます。出禁です」
「出禁!? これだけで出禁とはお客様舐めすぎでございますよ!?」
黒ウサギはギャーギャーと喚くが女性店員も冷めた目で黒ウサギを軽蔑するかの様に見る
「なるほど、確かに''箱庭の貴族''である兎のお客様を無下にするのは失礼ですね。中で入店許可を伺いますのでコミュニティの名前をよろしいですか?」
「……う」
黒ウサギは答えられなかった。黒ウサギに変わって逆廻が躊躇いなく答える
「俺たちは''ノーネーム''ていうコミュニティなんだが?」
「ほほう、ではどの''ノーネーム''様でしょうか?できれば旗印を確認させてもらってもよろしいでしょうか?」
女性店員がそういい放った時小さくて白い影が見えた
「いぃぃぃぃやっほぉぉぉぉ!久しぶりだな黒ウサギィィィィィ‼︎」
「きゃあーーーーーー!」
突然現れた着物を来た白髪の少女がフライングボディアタックを決めて黒ウサギと共に街路脇の水路に落ちた
「……おい店員。この店にはドッキリサービスもあるのか? あるなら俺も是非別バージョンで」
「ありません」
「なんなら有料で」
「やりません」
二人はなんとも馬鹿らしい会話であるが逆廻の顔は本気だな。是非俺にもお願いします
「し、白夜叉様!? どうして貴方がこんな下層に!?」
「そろそろ黒ウサギが来る予感がしてたに決まっておろう。フホ、フホホホホホホ! やはりウサギは触り心地が違うのう。ほれ、ここが良いか、ここが良いか?」
「し、白夜叉様! 取り敢えず離れて下さい!」
黒ウサギは白夜叉と呼ばれてる幼女を引き剥がすと、店の方に投げつける。クルクルと縦回転で迫ってくる白夜叉を逆廻は俺に向かって蹴り飛ばす
「葉王! パスだ!」
「ゴハァ!」
逆廻の蹴りで方向転換された白夜叉が俺に向かってくる
「えーいらないんだが」
しょうがなく俺は蹴り飛ばされてきた白夜叉を難なく抱きとめる
「大丈夫か? 白いの」
「すまんな。そして、おんし飛んできた初対面の美少女を足で受け止めるとは何様じゃ! 此奴を見習え!」
「十六夜様だぜ。以後よろしく和装ロリ」
「うう……どうして私まで濡れなきゃいけないのですか?」
「因果応報……かな」
泣きながら黒ウサギが水から上がってきた。いいぞ春日部、もっと言ってやれ
「貴方、この店の人?」
「おお、そうだとも。この''サウザンドアイズ''の幹部様で白夜叉さまだ。仕事の依頼ならおんしのその年齢のわりに発育がいい胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ」
「オーナー、それでは売り上げが伸びません。ボスに怒られますよ」
白夜叉のセクハラを女性店員が冷静に釘を刺す
「ふふん。おんしらが異世界から来た新しい同士か。ということは……ついに黒ウサギが私のペットに」
「なりません!どういう起承転結があってそうなるんですか!」
「さて、冗談はこれまでにして、話があるのだろう? 話なら店内で聞こう」
「よろしいのですか? 彼らは名も旗もない''ノーネーム''のはず。規定では」
この定員、ノーネームのこと嫌いすぎだろ。それともこの世界じゃ当たり前なのか?
「"ノーネーム''だとわかっていながら名を尋ねる、性悪店員に対する侘びだ。身元は私が保証するし、ボスに睨まれても私が責任を取る。いいから入れてやれ」
女性店員は不満そうに眉を寄せるが、それをよそに白夜叉は俺達を店内に引き入れる
俺たちが倒されたのは店の奥の和室で
「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で勘弁してくれ」
その後、箱庭の構造がバームクーヘンに似てると言う話しでバームクーヘンを食べたくなったり、神格の話しで俺以外の三人が俄然やる気になって喧嘩を売り始めた
おいおい、こいつら本気で白夜叉に挑むのか?一目見たときからなんとなく感じてるが、白夜叉って俺(葉王)並の化け物だと思うぞ
しかも白夜叉もなんかやる気だし
「ほう。私にギフトゲームを挑むか。いいだろう。だが、おんしらが望むのは“挑戦”か? もしくは''決闘''か?」
次回こそ戦闘に入るはず…