魔界の女王   作:夢咲アミト

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第一話「少年と囚われの姫」

この世界には魔界への扉がある。

その扉を『ヘレトラ』と呼ぶ。

そしてその扉を体に持って生まれる者がいる。

その者たちを『アネン』と呼ばれる。

確率的に10人に7人。

この確率は扉に近い確率であり扉がなければ10人の1人の確率である。

しかし、希にこの世界に大きい扉を持って生まれる者がいる。

その者を『べフライウング』と呼ぶ

 

西暦975年7月1日

6月は1か月雨が降り畑に水が届き農作物が育った。

商人達は農民から野菜を買い、市の売り場で売る。

こんなの感じに1日が過ぎて行く。

王都ナイア。

地下深くにヘレトラを持つ国である。

そんな王宮の王室にこの国の王ナキア・フィルーマ。

彼は今部屋にいる一人の少年に話をしていた。

 

「それでだ。私としては上下関係のない国を作りたいのだがね」

 

服はまさに貴族と言った感じだが貴族のさらに上位の存在だと見ただけで分かる。

さらに王の証である青いネックレスが首にかけられており透き通っている。

髪は銀髪で肩の位置で一つにまとめている。

 

「それはもちろん色々な者が賛同しているのだが貴族の者達がそれを許さないんだ」

 

少年はナキアの話に「はぁ」と、生返事を返すばかりだ。

少年は安物の貴族服を着ている。

髪は金髪で少し髪が跳ねている。

そして、腰には短剣が下げられている。

どこからどうみても国王と簡単に会うことが出来るようには見えない。

 

「あの・・・」

「ん?なんだね?」

「僕にその話をするためにここに呼んだのでしょうか」

「おっと、話がずれていたね」

「ずれているも何も本題にすら触れてませんよ」

「おや?そうだったか」

 

ナキアは悪びれた様子もなく笑う。

この笑顔だけで何人の女が気絶するか。

 

「それで、『対アネン騎士団』の下っ端である僕に何か?」

「ん?『ただ』の兵士ではないだろう?」

「・・・それを知ってるのは貴方と数名の評議委員だけですよ」

「それはそうさ。私が口外してないんだから」

「そうですけど」

「さて、本題に入ろうか」

 

ナキアは持っていたカップを置くと一枚の写真を取り出す。

そこには一人の女性が写っていた。

 

「これは?」

「北の国の王妃だ。先週誘拐されたらしい」

「・・・それをどうして僕に」

「君には彼女を探しだして欲しい。もちろん他の者にも協力を呼び掛けてはいる。ただ、君にはあるものを相方に動いて貰いたい」

「ある、者?」

「そうだ。今から専属のメイドに案内させる。ただ、気を付けろ。君でなければ近づくことも出来ないのだから」

 

少年は自分が嫌な汗を書いているのは分かっていた。

だが、これは自分にしか出来ないと同時に思ったのだ。

少年は部屋をあとにすると外にメイドが一人立っていた。

 

「あなたが」

「・・・」

 

メイドは無言で振り替えると歩き出す。

少年もそのあとに慌てながらもそのあとに続いた。

案内されたのは王宮の外にある1つの塔だった。

外見は石レンガで作られているが蔓が下の方から上にかけて延びていた。

少年はその塔の窓を見ると、キラキラとした物が見えた。

それが消えてから銀の髪だと気づいた。

王の血筋だけに伝承される完全な銀の髪。

 

「あれは・・・」

「こちらです」

「え、あ、はい」

 

メイドが扉を開けると少年を中に案内する。

 

「私はここまでです」

「・・・わかりました」

 

少年が階段を上ると一つの扉があった。

少年は扉をノックすると中から小さい声で「どうぞ」と聞こえる。

 

「失礼します」

 

少年が中に入ると愕然とする。

中には芝生、動物、空。

あり得ないような光景が広がっていた。

その中心に黒いドレスを身につけ銀髪を地面につけ座っている少女がいた。

少女は膝の上にウサギを乗せ撫でていた。

少女は少年が入ってきたのを確認すると手を軽く振った。

すると目の前にあった光景が消え石レンガの部屋が現れた。

 

「あなたが、叔父様が言っていた人?」

 

少女が立ち上がると真っ正面に立つ。

 

「紹介が遅れました。私、対アネン騎士団の騎士フェハネともおします」

 

少年―フェハネが膝をつくと少女は「顔を見せて」と言う。

フェハネは顔をあげると少女は前、横、後ろからフェハネの顔や姿を見た。

 

「・・・」

「ねぇ、これ撫でて」

「はい?」

 

少女が差し出してきたのはウサギだった。

しかし『それ』はウサギで無いことをフェハネは知っていた。

そして、少女もやっれルものならやってみろと言う感じに笑っている。

 

「・・・はい」

 

フェハネはウサギを抱いた。

少女は呆然とその少年を見ていた。

 

「これでよろしいでしょうか」

「・・・あなた、いったい」

「先程も申しました。私はフェハネ、あなたの僕です。我が主よ、私に名をお教えください」

 

少女は何かを決意すると口を開いた。

 

「私の名前は、イファルス・フィルーマ」

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