そういえば、この作品の外伝を始めたので、ぜひお読みください。
では、どうぞ!
さて、この感覚はいつ以来か。
絶対的な力の前に、抗えず。そして虐げられる。
私はその瞬間、完全な、完成されたその力に屈し、自分の力を否定された。
「全く・・慣れない力に縋ろうとしても・・・無理に決まってるじゃない!」
彼女は、嘲笑うかのような言葉を放ち、私に無数のアンデッドを仕向ける。
「くっ!どうか・・どうかあの力を使えれば!!」
私は、確かにあの得体の知れない力に縋ろうとしていた。
実際、あまり記憶には残っていないのだが、前に彼女を圧倒したのは覚えている。
「それに・・!何で!!なんで貴女がそっち側なのよ!!」
「何故と言われてもねぇ・・?」
彼女は、妖艶な笑みを浮かべる。
「それは、私がこの子達のリーダーだからに決まってるじゃない。」
「リーダー・・ですって!!」
では、私たちのことを騙して接触していたことになる。
その事実が何よりも・・否。
「天城様を・・騙していたと?」
「ええ。人聞きは悪いけど、残念ながらそういうことになるわね。」
天城様を騙していたという事実が、何よりも許すことが出来なかった。
「そうですか…」
最早、これ以上聞くことは無い。
彼女が、何故そちら側についているのか?
何故、騙してまで私達との接触を図ったのか?
何故・・?何故・・?
疑問は尽きないが。彼女は、天城様を騙していた。
何より、不誠実な行いをした。
ならば・・
「その事実だけで・・・十分だ。」
「うん?何か言ったかしら?」
ようやく理解した。私のトリガーはこれだ。
【天城翔に、人為的に絶対的な傷害が発覚した瞬間】
亜素とか、そういうものの研究をしている者達に話したら、馬鹿馬鹿しいと言われるだろう。そんな理由で、亜素研究の根底を覆されたら、堪ったものではない。
「感謝しよう、天城紫苑。ようやく、この力の使い方が分かってきたぞ。」
「あら、そう。それは残念。口調も変わっちゃって、どうやら相当な慢心状態らしいわね。」
「慢心ではない。歓喜・・と言えば正しいぞ?」
私は、興奮状態の真っ只中にいる。
私についてきた兵士は、皆死んだ。
恐らく、コイツは私を倒したら天城様のところへ行く。
ならば・・
止めるしかなかろう?
「では、行くぞ。【地球最後の兵器】」
「ふ~ん。まあ精々頑張んなさい。」
私は、二丁の愛銃を手放す。
ああ、何故だろう。今なら分かる。
この力はどう使うのか。どう詠唱するのか。
ああ・・自分の中に無限の力が流れ込んでくる感覚が。
そう、それはまるで・・・
では行こう。
「容認体・・認証。多重展開術式・・過剰展開《オーバーゲート》」
「オーバーゲートねぇ。」
オーバーゲート。それは、普通の詠唱に一説足すことで、威力を格段に上げる技だ。
「I will kill you no matter how much you resist.
【抗おうと、狩ろう。】
Even if the world is going to end,
the storm of massacre will not stop.
【世界が終わろうとも、虐殺の嵐は止まらない。】
Death is the reach of mankind.
【死は我が手の届くところに有。】
Your heart is already in my hands.
【貴方の心臓は、既に私の手に。】
Let's get started, it's the beginning of the end.」
【さあ、終わりの始まりだ。】
いつか見た詠唱を、全く同じように。
しかし、威力は格段に上がっていて。
「It was released, this time now!!!」
【今、放たれた!!!】
威力も剣の数も莫大。
加えて、対無効化結界。魔術を無効化する結界も、貫通させてしまう。
「終ワリ・・ダ!」
「まさか・・
対策してないとでも思った?」
彼女は、慣れた手つきで本を呼び出す。
やはりその本は、酷い赤色をしていて。
だが・・
前見たときとは、妙に薄い気がした。
「【外典・我道照照 冥香命裂 僅灯与与】」
外典!?まさか、まだ隠し玉があったとは。
「頁四【降臨術式・神至位】」
神至位?聞いたことの無いなまえ・・だ・・。
思わず、言葉を失う。
その門の巨大さには。
「ナニ・・?」
「どう・・!?どうよ!!この素晴らしさは!!」
剣は、なぜかその全てが反れて、門に吸い込まれていった。
剣が吸い込まれる・・。
そんな規模じゃなかった。
「随分ト・・視界ガ、良クナッタナ。」
門が開いた瞬間、瓦礫が全て消え去り、その周辺が一気に荒野になったのだから。
「ふふ。そうでしょう。」
あの門は・・異常だ・・。
「だって・・
この術式は、一瞬だけブラックホールを発生させる術式なのですから。」
ブラックホールだと・・?
今の衝撃に耐えたせいで、大分体力を持っていかれた。
「It was released, this time now.」
もう一度、剣を放つ。
「流石に何度も使うわけには・・いかないわね!!」
どうやら、例のブラックホールは、何度も連続では使えないようだ。
その面においては、こちらの方が勝っている。
「【還元術式・神至位】」
今度は、彼女は突き進んでくる。
しかも、彼女に当たった剣は、全て霧散している。
「ふう・・もう、この外典作るのに、相当な時間掛かったのよ。決して人が至ることの出来ない次元の魔術【神至位】。それだけを集めているの。」
解説は挟むが、彼女は一切臆することなく向かってくる。
「っ!!It was released, this time now!It was released, this time now.!!」
何度も、狂ったかのように剣を打ち続ける。
しかし、彼女に当たった剣は、その全てが堕ちる。
「ナンで・・なんで!!」
力の乱用により、そろそろ限界が近づいてきているのが分かる。
ならば・・剣を持って、そのまま突き進むべきだ。
「ははっ!!はははっ!!楽しいわ!!」
「行かせない!!行かせない!!絶対に、天城様のもとへは!!」
私は、顕現させた剣を持ち、大きく振りかぶる。
「全く・・見てなかったの・・?」
彼女は、思ったとおりに剣を霧散させてきた。
当然、想定内だ。
「本命は・・」
私は、剣の柄から手を離し、そこから勢いを殺さずに手を腰へ持ってくる。
そのまま、腰を捻り・・
剣があったはずの場所に収まってた、マグナムを間髪いれずに放った。
その時間、本当に一瞬。
ならば、いくら最強と言えど対応は出来ない筈で。
見事、彼女の右目は飛んだ。
「ふ~ん・・・なかなか・・面白い、じゃない。」
「右目・・ねぇ。右脳を狙ったんだけど。」
まあ、当たればよいだろう。
「でも残念。貴女、もう時間切れよ?」
「・・え?」
私は、満身創痍で何も感じていなかった。
「まあ、そんな状態じゃまともな判断は出来ないでしょう。」
私は、自らの視界が点滅していくのを感じた。
そう、それは白くなったり、忌々しい敵の顔が見えたり。
「大丈夫。貴女は交渉材料。死なせないわ。」
その言葉と同時に放たれた銃弾を、私は避けることができなかった。
もう・・まともな判断なんて出来ない。
打たれた場所だけが冷静に分かるなんて、なんと嫌な話なのか。
「ふふ!!あはは!!!お返しよお返し!!5発で十分よねぇ!!」
左目と・・左肺・・右手に、左足の太股・・そして下腹部だろうか。
さて、この感覚はいつ以来か。
絶対的な力の前に、抗えず。そして虐げられる。
私はその瞬間、完全な、完成されたその力に屈し、自分の力を否定された。
「天城・・さま・・。」
私は、頬を伝う僅かな温かみ。
そして、腐りきった痛覚が反応する僅かな痛みを感じながら・・
敗北を認めた。
何故だろう。
首が飛ぶことより、腕が切られて地面に転がる方が、グロ要素が強い気がする。
こんな事を考える私は変人。