この素晴らしい世界にオーブの祈りを! 作:波紋疾走(pixiv)
穏やかな日差しに雪は解け始め、春の訪れが近づいていると感じることが出来るほど、屋敷に暖かい日差しの差し込むある日のことだった。借金地獄から解放され、クエストが行く必要がなくなったカズマ達は、毎日自堕落な生活を送っていた。
「ほらアクア、外へ出かけましょう」
「嫌よ。まだ外は寒いわ!」
駄々をこねるアクア。寒いとか言っているが、本心は動きたくないからである。そんなところに屋敷にガイが訪れる。
「あ、ガイさん」
「おはよう。って、カズマは?」
「ああ。カズマならさっきウィズの店に向かったぞ」
それを聞いてふーん、と言わんばかりの表情を見せるガイ。どうやらカズマに用があるようだ。
「ところで、何の用ですか?」
「ああ。お前たち、この間何か運んでただろ? それが気になっただけだ」
「あれのことですか。実を言うと私たちもいまいちよくわからないんですよ」
「ウィズに頼まれたものらしいのだが⋯⋯」
「そうか。ならウィズの店に行ってくる」
そう言ってガイは屋敷を後にすると、ウィズの店に向かった。その後、アクアたちが、ガイさんって意外といろんなことが目に付くタイプなんだねと話していたことをガイは知る由もなかった。
屋敷を出て数分後、ガイはウィズの店に到着する。扉を開け店内に入ると、目に映ったのは大量の木箱とそれを運ぶカズマとバニル。そしてなぜか黒焦げになって倒れているウィズだった。この訳の分からない状況を目にしたガイは、すぐさまカズマに状況の説明を要求する。
「⋯⋯カズマ。この状況は一体なんなんだ?」
「えっとですね⋯⋯」
言いづらそうな表情を見せながらも状況を説明していく。まず自分がここに来たのはバニルに、訳の分からない植物の実がウィズの店にある。話を聞けばお前達も関わっていたので、捨てる手伝いをしに来い。と言われたからで、ウィズが焦げているのは、また売れない物を大量入荷してバニルに怒り混じりの殺人光線を撃たれたからなのだと言う。
「ああ、そう⋯⋯ だからこんなことになっているのか⋯⋯」
気になっていたことの顛末が分かったが、なぜか戸惑ってしまうガイだった。そんな彼にバニルは、オーブの力でこれ全部焼き払ってくれないかと頼みだす。しかしこんな街の近くでオーブに変身したらさすがに正体がバレるので、代わりにめぐみんに焼却してもらうのはどうかと逆に提案する。バニルは反対したが、カズマがその案に賛成したことで、半ば無理やりその反対は退けられた。
そして数時間後、だだっ広い平原に謎の植物の実が入った木箱が並べられた。そこへ呼び出されためぐみんが到着する。カズマは事情をあえて伏せて話し、うまくめぐみんを言い包めて爆裂魔法を発動するように誘導する。まんまと誘導にはまっためぐみんは、爆裂魔法発動の詠唱を始める。
「光に覆われし漆黒よ、夜を纏いし爆炎よ、紅魔の名の下に原初の崩壊を顕現せよ。終焉の王国の地に、力の根源を隠匿せし者、我が前に並べよ! エクスプロォージョンッ!!」
爆裂魔法が木箱に放たれると、一瞬にして塵となった。そしてめぐみんは卒倒し、満足した笑みを浮かべると気を失うのだった。
それからしばらくしてバニルが本当に全部塵になったか確認し、どうやらすべて消し炭になったようなので、カズマはめぐみんを抱えてガイと共に屋敷へ戻っていくのだった。
しかしこれが、後に大変なことを引き起こすきっかけになるとは、この時は知る由もなかった⋯⋯
それから二日ほど経った日のこと、カズマはふとウィズの様子が気になったので店に向かうと、そこで倒れているウィズを発見する。またバニルに殺人光線を撃たれたのかと思ったが、今日はどうもバニルの気配を感じない。不審に思ったカズマはウィズの様子をもう一度確認する。すると、乱暴されたかのような跡が見つかったので、彼女を抱いて急いで屋敷まで戻っていった。
一方屋敷では、だらしなく生活するアクアにガイとカードで遊ぶめぐみん。ダクネスは筋トレと各々過ごしていた。そんな空間にウィズを抱きかかえたカズマが帰ってきた。
「よおカズマ、お邪魔してるぜ⋯⋯ ってウィズを抱えてどうしたんだ?!」
「大変なんだ! ウィズが誰かに乱暴されて⋯⋯ とにかく、今からドレインタッチでもしないとまずいんですよ!」
何やらここでドレインタッチしないとマズイようなので、ガイは自分にドレインタッチするよう言う。好意に甘えてカズマは早速両者の首を掴んでドレインタッチを始める。ちなみにガイはドレインタッチを受けるのは初めてなので、少しキツイのか顔をゆがめていた。が、そこは我慢してなんとか耐えた。その甲斐あってか、ウィズに魔力が供給され彼女は目を覚ます。
「う、う~ん。ここはどこでしょうか⋯⋯?」
「ウィズが目覚めた! よかった~」
「あ、あの⋯⋯ どうして私はカズマさんの屋敷にいるのでしょうか?」
「店で倒れていたところをカズマが助けてくれたんですよ」
「ところで、なんで店で倒れていたんだ?」
「それは⋯⋯」
ウィズは自分の身に起きた出来事を話しだす。いつも通り店を営業していると、男がやって来て店内を探し回った。が、結局見つからずウィズにこう問いかけた、「ボラジョの実はどこか」と。ボラジョの実が何かわからないと返答すると、男は突然激高し電撃を浴びせたのだという。それを浴びて倒れた自分に男は詰め寄り、もう一度「ボラジョの実はどこか」と問いかけた。せめて特徴だけでも教えてくださいと言うと、男は大きくて黄色いと答えた。これを聞いて記憶をたどっていくと、この前商品にしようとカズマに運ぶのを手伝ってもらった植物の実こそがボラジョの実だと分かった。そしてバニルに怒られる前日に、四人組の冒険者に売って、その四人組が隣町に向かったことも思い出した。それを伝えると、男は自分を用済みと判断し、電流を流され気絶させられたのだという。
「ですから、早く隣町に行って四人組の冒険者を探さないと、大変なことに⋯⋯」
「分かった。アクア、めぐみん、ダクネス。今から隣町に行って四人組の冒険者を探し出すぞ!」
「ええ~ なんで私もついていかなきゃなんないのよ」
「駄々をこねるな! 人の命がかかってんだぞ!? それでも女神か?!」
動きたくないので駄々をこねるアクア。痺れを切らしたカズマはガイの腕と、彼女の首を掴みドレインタッチを始める。
「ぎゃああああああああ!!!」
「おい駄女神。このまま駄々をこねるなら、さっきガイさんがウィズに渡した魔力と同じ量の魔力をガイさんに渡すぞ」
「ごめんごめん私が悪かったから、早く手を離して!」
行くと言ったのでカズマは手を離す。
「カズマ、俺も行こう」
「私も行きます」
ガイとウィズの二人も同行すると決まると、すぐさま屋敷を出て馬車に乗って隣町へと急行するのだった。
二、三時間ほど馬車に揺られ隣町に到着する。ここは港町で貿易が盛んな町らしい。ウィズ曰く冒険者より商人の方が多い町らしくすぐ見つかるとのことなので、早速町の案内所で聞き込みを開始する。
「あの、すいません。この町に男女二人ずつの四人組の冒険者を見かけませんでしたか?」
「ああ。その方たちなら、男性たちは港の方に、女性たちは繁華街に向かいましたよ」
「ありがとうございます」
四人組冒険者のだいたいの居場所を知ったところで捜索開始! と言いたいところだが、カズマはウィズに残るよう指示する。どうしてと言うウィズにカズマは、「ウィズが嗅ぎまわっていることを知ったら、今度こそ殺しに来るかもしれない」と言って、ここに留まるよう説得する。これに納得したウィズは、案内所で待機し、捜索に向かうカズマ達を見送るのだった。
二手に分かれ探し始める。アクア達は女性陣は港の方で捜索をしていた。
「確かウィズによると、片方の男の髪は金髪で、もう片方の男の髪は赤髪なんですよね?」
「そのようだな」
「案外簡単に見つかるかもね」
そんなことを言っている矢先赤髪の方の男を見つける。すぐさま駆け寄って男に確認を取る。
「あんた、アクセルの街の冒険者?」
「そうだけど⋯⋯ 俺に何の用?」
「アイテム屋で、なにか買った?」
「買ったけど⋯⋯」
「見せなさい」
言われるがままウィズの店で買ったボラジョの実を見せる。すると突然アクアはそれを取り上げ地面に投げつけると、エ○リウム光線のようなポーズを取って額からビームを照射し、ボラジョの実を破壊した。
「ちょ! 何してくれてんの!? せっかく少ない金で買ったアイテムなのにどーしてくれんの!?」
「そんなことよりも、片割れの冒険者はどこに行ったか教えなさい!」
アクアが胸倉掴んで抵抗をするのをつぶしたのが効いたのか、もう一人は船の搭乗券を買いに行ったと答えた。それを聞いたダクネスは先に探すと言って船着き場へと行ってしまった。アクアは私はこいつを見張ってるから、カズマ達に港に来るよう言ってとめぐみんに指示する。めぐみんは指示通り、カズマとガイのもとへ向かうのだった。
一方カズマとガイも四人組冒険者の女性陣を発見し、ボラジョの実を渡すよう説得している最中だった。
「だから、それを持ってると命を狙われて⋯⋯」
「嘘よ! そう言ってこれが欲しいだけなんでしょう?」
「女からアイテム盗むなんてひどい男ね!」
どんなに説得しても渡してくれないので、カズマは強硬手段に出る。そう、スティールを使って奪い取る気なのだ。カズマは右手を伸ばし、スティールと叫んだ。すると眩い光が放たれ、カズマの手にボラジョの実が!
とはいかなったのだ
「ま、まさか⋯⋯」
嫌な予感はしていた。スティールを発動しても、ボラジョの実は手元にない。女性冒険者の顔を見ると、足を内またにして顔を赤らめている。
もしやと思い手の平を広げると、そこには彼女たちのパンツがあった。
「へ、⋯⋯」
「「ヘンターーーーイ!!!」」
「ち、違うんだこれはってぐほぉあ!?」
思いっきりビンタを喰らってぶっ倒れるカズマ。彼女たちはそんなカズマからパンツを奪い取って逃げようとした。しかしガイが回り込んで、代わりに説得する。
「俺の仲間が恥ずかしいことをしてすまない。でも、アイツの言っていることは本当なんだ。信じてくれ。必ず君たちは俺達が守る」
ガイの言葉を信じたのか、それともガイのようなイケメンに守ると言ってもらえたことが嬉しかったのか、説得に応じボラジョの実を渡した。そしてガイはその場で二つとも潰すのだった。
そんな時、タイミングよくめぐみんが現れ、ダクネスが片割れの男冒険者を港に探しに行ったと伝えに来た。カズマとガイは、すぐさまめぐみんと共に船着き場へと道中アクアと合流して向かうのだった。
先に船着き場に着いたダクネスは、金髪冒険者を見なかったかと聞き込みをしていく。すると、倉庫の方に行ったという情報を得たので、片っ端から倉庫を捜索していた。
「これが最後だな」
そう言って最後の倉庫に入り捜索する。倉庫内は農作物の入った麻袋が大量に積まれていた。中をくまなく探していると、人の影を発見する。恐る恐る近づくと、そこのは金髪の男性冒険者がうずくまって隠れていたのだ。
「ここにいたのか」
「あ、あんたか? 俺をつけてたのは⋯⋯」
「何を言ってるんだ? 私は別にお前をつけてはいない。助けに来たのだ」
「助けに?」
「ああ。だから、アイテム屋で買った変な植物の実を渡してくれないか?」
手を差し伸べたその時、謎の男が倉庫に入って来た。
「悪いがそれは私のものだ。返してもらおう」
「誰だ?! まさかお前がウィズを襲った男か?」
「ウィズ? もしや私が今朝襲った女のことか?」
「そうだ! 言え! これを使って何をする気だ!」
「貴様に答える必要など⋯⋯ ない!」
そう言うと男は一瞬でダクネスの懐に入り、彼女のみぞおちを殴る。痛みでダクネスは膝をついてしまい、その隙に男は逃げた冒険者が手放したボラジョの実を拾い上げる。
「やっと見つけたぞ! 私が丹精込めて育てたボラジョの実を!」
ボラジョの実を掲げ狂気を笑い声を発する男。そこへカズマ達が到着する。
「見て、ボラジョの実よ!」
「おいちょっとあんた! そいつは危険なものだ! こっちに渡してくれ!」
「悪いがそれはできんなァ」
男はそう言うと、キノコのような菌類の姿へと変わり、レモジョ星系人の姿を現した。そしてダクネスの首を絞め、彼女を人質に取った。
「ダクネス!」
「やっぱり宇宙人だったか。で、ボラジョの実は宇宙植物というわけか」
「ご名答。こいつは我が母星に自生するボラジョの実を生体兵器にしたものだ」
「生体兵器!? それを使ってこの世界で何をする気ですか?!」
「実験さ。ボラジョの実がいつ発芽し、どう成長するかを調べるためだ」
「そんなことのために⋯⋯!!」
「ほぉ⋯⋯ 怒るか。だがな、怒りたいのはこっちのほうなんだよ!」
「⋯⋯えっ?」
「俺が丹精込めて育てたボラジョの実が、一週間で跡形もなく掘り起こされてなくなったんだぞ?! マジびっくりしたわ! しかも聞けば掘り起こされた後、全部燃やされたらしいじゃねぇか! ほんと泣きそうだよ! お前知ってるか? ボラジョの実がこのサイズになるまで何年かかるか。十年だよ十年! 学生時代からずっと育ててきたんだぞ!?頭の固い教授からああだこうだ言われ、嫌いな上司と行きたくもない飲み会に行き、気が付けば学生時代の友達はみんな結婚して俺だけ独身⋯⋯ 辛いことを乗り越えた末に作り上げたのがこいつなんだよ! それが一週間で全部燃やされてみろ。悲しくなるに決まってるだろ!」
レモジョ星系人怒りの愚痴に言葉が出ないカズマ達。そしてなにより今回の騒動を起こしたのは、紛れもない自分たちであることを知って、心の中で敵ながら軽くレモジョ星系人に謝るのだった。
それはそうとレモジョ星系人のやろうとしていることは、この世界の住人に危害を加えることになりかねないし、なによりダクネスが人質に囚われている。気を取り直して、レモジョ星系人にダクネスを離せと要求する。
「そ、そんなことよりも、俺の仲間を離せ!」
「フン。誰が離すものか! どうせこのまま母星に帰っても上司にいびられるだけだ。なら、いっそこの場で最終テストを開始してやる!」
そう言うと、レモジョ星系人はボラジョの実に自分のエネルギーを注入していく。すると実は形質変換していき、ダクネスを取り込んでみるみる大きくなってあっという間に倉庫の天井を突き破るほどの大きさにまで成長した。
「これが、生体兵器ボラジョか!」
「一旦引くぞ!」
カズマ達は外へ退避すると、身長50メートルはあろうかというボラジョの大きさに圧巻される。
「短時間でこの大きさ⋯⋯ あの時焼き払っておいて正解ですね!」
「なんだと? まさかお前たちが、俺の育てたボラジョの実を焼却処分したのか!」
怒ったボラジョは蔦を操ってカズマ達を攻撃する。四人は間一髪のところで避ける。
「こいつは俺がやる。お前たちは安全なところへ行け!」
そう言うとガイはボラジョに向かって走り出す。そして走りながらオーブリングを取り出した。
「ジャックさん!」
『ウルトラマンジャック!』
「シェアッ!」
「ゼロさん!」
『ウルトラマンゼロ!』
「デェェェアッ!」
「キレのいいやつ⋯⋯ 頼みます!」
『フュージョンアップ! ~~♪♪~~~♪♪♪ ウルトラマンオーブ! ハリケーンスラッシュ!!』
青い光が煌めくと、空中からウルトラマンオーブ・ハリケーンスラッシュが瓦礫を巻き上げて着地、登場する。頭部のオーブスラッガーがキラリと光ると決め台詞を放つ。
「光を越えて、闇を斬る! スアァッ!」
そうしてファイティングポーズを取ると、オーブはすかさずボラジョに詰め寄り体を捻らせながらキックを二回繰り出す。そしてボラジョの両腕を封じると、がら空きの脇にもう一度蹴りを入れ、両腕を振り払って後ろ回し蹴りを頭にヒットさせる。
だがボラジョの強力な強酸性のガスを受け、後退する。オーブにもう一度ガスを放つが、それをジャンプして避け背後に回り、背中にキックやパンチを繰り出す。しかしボラジョには関節が存在しないため、背後に回られても攻撃を受け止めることができるのだ。オーブのキックを受け止めると、太ももを殴って苦しませる。そしてその隙に殴り飛ばす。オーブは殴り飛ばされたが、すぐに立ち上がる。
「面倒なヤツだ。ならこれで切り落としてやる! オーブスラッガーランス!!」
オーブスラッガーショットを合体させ、オーブスラッガーランスを生み出す。そしてすぐさまレバーを三回操作しボタンを押す。
「トライデントスラッシュ!」
斬撃をボラジョの腕に放つ。見事に腕を切り落とし、ここからさらなる攻撃を! といいたいところだが、なんとボラジョの腕は即座に再生したのだ。
「ンッ!?」
「ハハハハハ! コイツを人質に取って正解だったようだ!」
なんとダクネスの体力を吸収し、高速再生したのだ。さらに悪いことに捕らわれたのが底知れぬ体力を持つダクネスのため何度攻撃しても即座に再生してしまうのだ。
「フハハハハハ! 今のボラジョに敵うやつなどいない!」
そう言うとボラジョは体を回転させサンドストームを起こしてオーブを苦しめる。さらに停止した後、なんとオーブに向かって突進。そのまま突き飛ばした。突き飛ばされたオーブは倉庫を巻き込みながら倒れる。
「グゥッ⋯⋯」
膝をつくオーブにボラジョは蔦を使って締め上げる。そのまま持ち上げると、電流を流して苦しませると、落としてダメージを与える。そして再び持ち上げて電流を流し苦しませる。オーブは一連の攻撃を受け、エネルギーを消耗しついにカラータイマーが点滅を始める。
「やばいぞ! 早くあの蔦を切らないと!」
「でも、あの蔦そう簡単には切れないんじゃない?」
「クソ⋯⋯ 何か手は⋯⋯」
策を考えるが思いつかない。ここまでかと思ったその時、異変を察したウィズが現れたのだ。
「カズマさん、探しましたよ! ってなんですかこれは!?」
「例の男が探していたあの実が怪獣化したんだよ! で、今ダクネスが囚われて、応戦したオーブがやられそうなんだ! 何か手はないか?」
「そうですね⋯⋯ あっ!」
おもむろにポケットの中を探すと、ボラジョの実の半切れを取り出す。
「ボラジョの実? なんでウィズが持ってるんだ?」
「実は効能を調べるときに半分に切ったのを使ったんですよ。これはその時に出たものです」
「で、肝心の効果は?」
「えっと⋯⋯ たしか食べると攻撃力や攻撃スキルの威力が最大限に発揮されるだったはずです! でもデメリットもあって⋯⋯」
「デメリットなんて今はどうでもいい! 早く俺に渡してくれ!」
言われるがままボラジョの実を渡す。カズマはそれを食べると、体の底から力が湧いてきたように感じた。
「力がみなぎってきたぜ!」
そう言うと弓を構え、オーブを捕らえている蔦めがけて矢を放つ。強化された矢はいとも簡単に蔦を貫き引き裂いた。オーブは蔦から解放されると、苦しみのあまり膝をついてしまう。
「よし!」
「フン。蔦を切ったところで無駄だ!即座に再生し、再びこいつを⋯⋯ ってあれ?」
蔦を切ったところでボラジョの異変に気付く。すごく動きづらくなっていたのだ。おかしいなと思いつつふとダクネスの方を見ると答えが分かった。
「はぁ⋯⋯ はぁ⋯⋯ いいぞ! もっとやれ! こういう緊縛プレイは私の望む辱めだ!」
「(この女⋯⋯ まだピンピンしてる!それどころか逆に快感を覚えちゃってる!?)」
「ねぇいきなり動きが鈍くなったけど、これって⋯⋯」
「ああ。ダクネスのせいだな」
ダクネスの底知れぬ体力のせいで、ボラジョの実のエネルギー貯蔵量は満タンを越えてしまっていたのだ。言うなれば、今のボラジョは食いすぎて腹がパンパンなのだ。それに加えドMのダクネスは蔦で囚われているこの状態をなんとも思っていないどころか、むしろ快感さえも感じていたのだ。とにかく今は攻撃すらできないので、ダクネスを救うチャンスである。このチャンスを逃さまいとオーブはタイプチェンジをする。
「ウルトラマンさん!」
『ウルトラマン!』
「ヘェッ!」
「ティガさん!」
『ウルトラマンティガ!』
「チェッ!」
「光の力⋯⋯ おかりします!」
『フュージョンアップ! ~~♪♪~~~♪♪♪ ウルトラマンオーブ! スペシウムゼペリオン!!』
紫色の輝きを放ってウルトラマンオーブ・スペシウムゼペリオンが現れる。
「闇を照らして、悪を撃つ!」
決め台詞を放つと、すぐさま透視能力を使ってダクネスの居場所を探し当てる。そして居場所を特定すると、ボラジョの口に手を入れ、ダクネスを救出しカズマのもとへ送り届ける。その際、彼女ははまだ物足りないから別にこのままでもいいという旨の発言をしたとかしなかったとか。とにかくダクネスを救出したことで、これで心置きなく必殺技を放てる状況になったので、オーブは右手を上に掲げ、左手を横に広げてエネルギーをチャージする。そして⋯⋯
「スペリオン光線!!」
両手を十字にクロスさせ、必殺のスペリオン光線を放つ。動きの鈍いボラジョはそのまま直撃。爆発四散し見事に倒されたのだった
闘いが終わりオーブの変身を解除したガイはカズマ達の元へ戻っていく
「おいガイ! どうして私を助けたんだ! あのままで別によかったんだぞ!」
「んなことしてたら、ガイさんは負けてたんだよ!」
「でもまあダクネスの底知れぬ体力おかげで勝ったことには違いはないがな」
「とにかく、勝ててよかったじゃない」
「それも⋯⋯ そうだな!」
勝利の喜びを分かち合うカズマ達。そんな彼らにウィズは言いづらそうにこんなことを口にする。
「あのカズマさん⋯⋯ デメリットの件なんですが⋯⋯」
「なんですか?」
「その⋯⋯ 攻撃能力上昇は自分体力を犠牲にして発動するんです。ですので⋯⋯ 効果が切れるとカズマさんの体力は1になります⋯⋯」
「え」
その瞬間、効果が切れてしまった。バタンと倒れるカズマ。その瞬間、皆は大慌て。アクアは必死にカズマに回復魔法を施し、ウィズはドレインタッチで体力を戻そうとするなど、エライことになったとさ