[旧作]夢と外道とスクールアイドル【無期限更新停止】   作:48パンプキン

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前回のあらすじ!

あんじゅが音ノ木坂学院生に!

変なお友達ができた!

アイドル研究部に行った!


その姿はマトリョシカのように

どうも、梨里杏です。はぁ、どうしたものかなぁ。先日校長先生に宣伝大使に任命されてから、私は悩みに悩む生活を送っている。というのも、パパが私が勝手に出ると言った、学校説明会で、何かひとつどでかいことをして欲しい…って言うんだけど、正直何も出てこなさすぎて笑えるレベル。はは…ははは…。

 

「りっちゃん!大丈夫?」

「ココ最近ずっとこれだからね。」

「あ、ABC。」

「よ!お前が元気ないから、クラスのみんなが心配してるんだぜ。」

「あはは、ごめんごめん。」

この子達は入学してからの友達。元気で明るい栄子ちゃん、クールで知的な詩依奈ちゃんに、DJのバイトをしている備流田さん。3人は幼なじみらしく、いつもセットでいるから周りからは頭文字をとって「ABC」って呼ばれてる。

 

「にしても、どうすれば良いのやら…」

「あっ、一発ギャグとかは?りっちゃん面白いし、どかーんと1発笑いを!」

「とれなかったら最高の笑いものよ。それに梨里杏はそういうタイプじゃないわ。」

「たしかに。いつもだって何かして笑わせてくれるんじゃなくて、しでかして笑わせてくれる感じだったね!」

「栄子、それディスってねぇか?」

うん、ひどい…でも否定できないのがなんか悔しい。

 

「やっぱり、パワーポイントとかを使ってしっかり説明するのがいいんじゃない?」

「それこそありきたりじゃねぇか?」

「それにそんなちまちましたことしてたら、りっちゃん絶対しでかすよ?」

あれっ?なんかまたディスられてる?

 

「なによ、じゃあ他に何があるの?」

「そう言われるとなぁ。」

 

うーん。

 

「あのよ、ちょっといいか?」

「備流田の提案ってたいていロクでもないのばっかな気がするんだけど。」

「この際なんでもいいよ!どんなの?」

 

「スクールアイドルってやつなんだが…」

 

「スクール、アイドル?」

「おっ、梨里杏食いついたか?まぁ、オレもDJ友達から聞いた聞いただけなんで、あまり良くは知らねぇんだが、最近流行ってきている学校を代表するアイドルなんだとよ。」

「読んで字の如くね。」

「まぁな、近頃でかい大会も開かれるってウワサだ。お前らも名前くらいは聞いたことがあるだろ。ほら、UTXの」

「A-RISE!私好きだよ!先輩から代々受け継がれてる名前なんだよ!」

スクールアイドルか、少し面白そうかも。

 

「それに梨里杏、お前と同じ中学だったやつから聞いたぜ?中2の文化祭で凄いパフォーマンスしたんだってな。」

「そ、それは…」

「私も聞いたことあるわ。宇多野中伝説のライブパフォーマンスだったって。」

うわ〜、高校までその話が行き着いてるとは…。

 

「てことは、りっちゃん自身は歌も踊りもバッチリだからあとは…」

「メンバーね。」

「え、3人とも一緒にやるんじゃないの?」

「申し訳ないけど、私も栄子も説明会の日は用事がね。」

「どうしても外せなくて。ごめん!」

「オレはヒマなことにはヒマだが、出来たとしても音響系統のサポートだけだな。」

「そうなんだ…。」

結局、白紙のままか。

 

「あ、でもいるよ!ピッタリな人!」

「マジか栄子!」

「うん!ほら、うちのクラスの…」

 

 

図書室

 

 

「え、絢瀬さん?」

「うん!あの子生徒会に入ったんだって。」

「それが何の関係があるのよ。」

「なるほど!生徒会は説明会の日に仕事がある。つまりは学校に絶対いるってことか。」

「ほほう、それに絢瀬さんは美人だし、スタイルもいいから適任ね。」

「オレの情報だと、昔バレエをやってたらしいぜ!」

へぇー、みんな物知りだなあ。絢瀬さんか。かわいいし、アイドルの衣装とかすごく似合うだろうなぁ〜。

 

「誰?そこにいるのは。コソコソしてないででてきなさい。」

「やば!絢瀬にバレたぞ!」

「りっちゃん、とりあえずGO!だよ!」

「え!?」

私は3人に押し出される形で絢瀬さんの前にでた。

 

「……。」

「……。」

き、気まずい。

 

「なによ?話があるなら早く言いなさいよ。えっと、名前はたしか」

「優木梨里杏。です。」

「ああ、クラスメイトの。で、用件は?」

「あ、あのね!今度の学校説明会で私、宣伝大使としてスクールアイドルをやってみようと思ってて、今メンバーを探してるの!でね、絢瀬さんにお願いしたいんだけど…。」

「生憎だけど、他をあたって頂戴。私は生徒会の仕事があるし、それにそういうのはやらないって決めてるのよ。」

だとしても、ここまで来たら引き下がれない!

 

「でも!昔バレエやってたんだよね!?」

「バレエ?…とうの昔に捨てたわ。そんなの。」

「!………。」

「それじゃ。」

 

バタン!

 

「撃沈って感じね。」

「なかなかにどぎつい、いや、いいキャラしてるな、絢瀬のやつも。」

「でもこれでまた白紙かぁ。」

「いや、諦めない。私絶対絢瀬さんとスクールアイドルやる!やるったらやる!」

 

「え、り、りっちゃん?」

「なんであんなに火がついてんだぁ?」

「さぁ…?」

なんとなくだけど、絢瀬さんは無理して言ってた気がするんだ。だってあの、前にもみたあの悲しそうな冷たい目。絶対にメンバーにしてみせる!

 

それから、私の絢瀬さんをメンバーにする挑戦が始まった。説明会までは準備期間が少ないとはいえ、まだ1ヶ月半ある。だから少しずつ絢瀬さんに近づいていった。

 

「絢瀬さん!一緒にご飯食べよ?」

「さっきウィ〇ー飲んだからいいわ。」

 

「絢瀬さん、小テスト何点だった?」

「点数なんてただの数字よ。見せるものでもないわ。」

 

「絢瀬さーん、一緒にかえろー!」

「生徒会があるから。それじゃ。」

 

「りっちゃん、よく続けるねぇ。私だったら1日で心が折れちゃうよきっと。」

「根気強いというか、諦めが悪いというか。」

「最近は絢瀬もなんだか楽しそうに接してる感じだけどな。」

 

だんだんと絢瀬さんの態度は軟化していったけど、それでもメンバーになることには頑なに首を縦に降ってくれなかった。

 

 

優木家

 

 

「うーん、どうすればメンバーになってくれるんだろう。」

「そんなにウンウン唸ってどうしたの?」

「あ、ママ。それがね…」

私はママにこれまでの事を話した。

 

「なるほどね。梨里杏はその絢瀬さんって子と一緒にスクールアイドルをやりたいわけね。」

「うん。ていうか、ママスクールアイドル知ってるの?」

「まあね、最近は衣装のデザインの依頼がこっちに来たりしてるから。」

へぇー。本当にいろんな所で流行ってきてるんだなぁ。

 

「でね、どうしたらいいんだろうなぁって。」

「ふーん、まぁ私なら、どんな手を使ってでも絶対メンバーにしてみせるけどねぇ。」

「ど、どんな手を使ってでも…」

「ええ、パパだってそうやって手に入れたのよ?」

「な、なんだってー!」

パパがママに絶対服従なのはそういう事だったんだ!

 

「だから梨里杏も、ちょっとは無理して頑張ってみたら?」

「無理をするの?」

「ええ。し過ぎるのも問題だけど、人間たまには無理して頑張らなきゃね。梨里杏は今がその時!って事よ。」

「そっか…。うん!ママありがとう!」

「いえいえ。」

無理をしてでも、どんな手を使っても、かぁ。うん、頑張ってみよう。

 

 

 

 

同時刻、絢瀬家

 

『ふーん、そうなんだあ』

 

「全くもってひどい話でしょ?私がアイドルの真似事なんて。」

 

『そんなことないと思うよ!スクールアイドル、調べてみたけど凄い!きらきらしてて、みんなを笑顔にしてる!』

 

「亜里沙…」

 

『お姉ちゃん最後にがきらきらしてたのはいつ?』

 

「…。」

 

『亜里沙は踊ってるお姉ちゃんが好き。楽しそうなお姉ちゃんが好き。笑顔のお姉ちゃんが好き。ねぇお姉ちゃん、今毎日楽しい?』

 

「何言ってるのよ。イレギュラーはあるけど、生徒会の仕事をして、平穏に暮らせてるわ。」

 

『ちがうよ!そういう事じゃない。昔のお姉ちゃんはどんなことも楽しそうだったよ?でも今は、何かに怯えてるのを必死に隠してる。』

 

「そんな訳ないわ。どうしたのよ亜里沙。やなことでもあったの?」

 

『お姉ちゃん、最近ちゃんと笑えてる?笑顔になれてる?』

 

(亜里沙のその言葉に、私は返事をすることが出来なかった。ふと鏡に映る私は、とても苦しそうで、悲しそう。だからって、バレエを辞める前には戻れない。でもいつかきっと、笑い話にできる日が来るはずだから。)

 

『それが今じゃないのかな。』

 

「!私、声に出してた?」

 

『お姉ちゃん隠しごととかできないタイプでしょ?何年も妹やってるんだもん、分かるよ。』

 

「亜里沙…」

 

『また、電話するね。じゃあ。』

 

ツー、ツー、ツー

 

「どうすればいいのよ、もう…」

 

 

翌日 お昼休み

 

 

「………っていう感じかなぁ、生徒会だと。」

「ふむふむ、なるほど。会長、ありがとうございます!」

昨日のママの言葉通り、まずは情報収集からはじめてみた。にしても調べれば調べるほど凄い人だとわかる。ロシアと日本のクォーターで、お婆ちゃんがここの卒業生。少し前まではロシアにいて、バレエの腕前はかなりのものだったみたいだけど、なんで辞めたか気になりどころだなぁ。あ、あと妹がいるんだね。

 

……妹、か。今頃何してるんだろうなぁ……っていけない。感傷に浸ってる場合じゃなかった!もうちょっと聞き込みを続けてみよう。

 

 

放課後

 

 

はぁ、お昼からはあまり進展ナシかぁ。どうしたものかなぁ。仕方ない、パパを頼ってみようかな。

 

理事長室

 

「ほうほう、なるほどな。OK!そういう事ならまかせときなさい!理事長パワーをフルに使って絢瀬さんの実家に連絡をしてみよう!」

「本当に!?ありがとうパパ大好き!」

「うふふ、僕もだよマイエンジェル」

やっぱりパパは扱いやすい。でもこれで、上手くいくはず…。

 

 

翌週 放課後

 

 

「亜里沙、来ちゃいました!」

「は………?」

「あれ?梨里杏さんお姉ちゃんが固まっちゃった!」

ふっふっふ、相当驚いてるみたいね。

 

「な、なんで亜里沙が日本にいるの!?」

「忘れものを届けに来たんだよ!お姉ちゃんの大切なもの。」

「パp…理事長先生にお願いして絢瀬さんの実家に連絡させてもらってね。亜里沙ちゃんもその繋がりで」

ここまで驚くとは、パパパワー様様だね。

 

「どうしてここまで?」

「言ったでしょう?今のお姉ちゃんはきらきらしてないって」

「スクールアイドル活動をさせたら、少しは明るくなるかなーなんて」

「会長まで!いつの間に…」

「ふふふ、会長だからね。」

会長すげー。

 

「お姉ちゃん、これ。」

「これは、私の…」

「このトゥシューズを手放してから、お姉ちゃんは変わっちゃった。これはお姉ちゃんに返すよ。」

「でも私は」

 

「知ってる?今日本ではスクールアイドルって言うのが流行ってるんだよ。お姉ちゃんみたいな高校生が素敵な衣装を着て、かわいいダンスを踊って、みんなに笑顔を届けてる。お姉ちゃんなら、スクールアイドルでもう1度輝ける。バレエの時に感じた限界を乗り越えられる!私はもう1度、最高の笑顔のお姉ちゃんが見たい!」

 

「私も絢瀬さんなら、スクールアイドルど生徒会の2足のわらじでもやっていけると思うわよ。」

「亜里沙…会長…」

すごくいい話なんだけど、私なんかすごく空気な気が…

 

「ねぇ、優木さんお願いがあるの。」

「へっ!?な、何?絢瀬さん」

「私、踊るのが大好きなの。バレエは途中で諦めてしまったけど、せっかく亜里沙や会長がくれたチャンス、逃したくないの!だから、私と一緒にスクールアイドルをやってください!」

なーんだ、そういう事か!

 

「何言ってるの!最初に誘ったのは私だし!もちろん、一緒に頑張りましょ!」

「ありがとう、優木さん。」

「それと!一緒にやるなら遠慮はなしよ。絵里!わかった?」

「!…うん!梨里杏!」

あ、なんか泣けてきた。亜里沙ちゃんも絵里も泣いてるし。青春って感じやでぇ…。

 

「あのー、凄いいい所で悪いんだけど、その2人がスクールアイドルやるっていう学校説明会、いつだったか覚えてる?」

「えっと、たしかあといち、に、さん……なな。一週間しかない!」

「どうして早く言ってくれなかったんですか会長!」

「だってなんかいい雰囲気だからさ〜、ごめんって」

「こーしちゃいられない、早く準備にとりかかりましょ、絵里!」

「そうね梨里杏!」

 

わいわいがやがや

 

(ふふ、良かったねお姉ちゃん。今のお姉ちゃん、いい笑顔してるよ。ありがとう、梨里杏さん。)

 

 

一週間後

 

 

な、なんとか間に合った…。曲と歌詞は少し絵里に合わせて私が作って、振り付けは大急ぎで絵里がしてくれた。衣装はママのツテで前にミュージカルで使っていたというものを借りた。出来ることはした。あとは本番のみ!

 

「き、緊張するわね…。」

「大丈夫だって絵里。一週間の練習の成果をぶつけるの!」

「う、うん…」

随分緊張してるなぁ。…よし!

 

「絵里」

「ん?」

 

ばちん!

 

「いてっ!な、なにするの?」

思いっきりのデコピンをお見舞いした。意外と自分も痛い。

 

「絵里、笑顔だよ!アイドルは、いつも笑顔でね!」

「え、ええ!もちろん!」

請け負いだけどね。ありがと、杏樹。

 

 

『さて、続いては今年度の宣伝大使である優木梨里杏、生徒会役員 絢瀬絵里によるライブパフォーマンスです。』

 

「よし!行くわよ!」

「OK!」

 

『それではお聞きください、スクールアイドル「VOICE」で、「マトリョシカ」!』

 

 

【絵里視点】

 

ライブは大成功。校長先生も大満足だったので良かった。でもそんなことよりも私は、最後にみたあの景色。沢山の人が私たちを見ていて、みんなが笑顔で。あの景色を私は忘れないと思う。そしてその景色を見せてくれた、隣にいる最高のパートナーに、最大の感謝を。

 

「ありがとう、梨里杏。」




次回予告!

なんかとんでもない部活の扉を開けてしまったあんじゅ!

どうしてもスクールアイドルにさせたいにこと、なりたくないあんじゅ。勝つのはどっちだ!

次回、第7話「希望というタイトル」


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

■今回の楽曲…「マトリョシカ」ボカロオリジナルより
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