東方短編集   作:旭日提督

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R-17,9ぐらいのマリアリです。百合注意。
一応前回のマリアリの続きです。


甘い檻

「おーい、アリスぅ~、居るのかー?」

 

 魔法の森にひっそりと建つアリス邸、その玄関には、扉を叩いて家主を呼ぶ金髪少女の姿があった。

 

 同じ魔法の森に住む普通の人間魔法使い、霧雨魔理沙である。

 

「ちぇッ、折角珍しい素材が手に入ったもんだからちっとは分けてやろうとも考えてたんだがな・・・とりあえずお邪魔するぜ」

 

 幾ら扉を叩いても反応がないことに痺れを切らせた魔理沙はドアノブに手を掛け、扉を開く。

 魔理沙の予想に反して、あっさりと玄関扉は開いてしまった。

 

「なんだ、鍵もかけてなかったのかよ、あいつ」

 

 無用心な奴だ、と思った魔理沙だが、彼女も彼女で家に鍵を掛けていくことなどあんまりない。そもそも彼女達が住む魔法の森は障気が酷くて常人には近付きがたい場所だ。そんなところに建つ家にわざわざ泥棒に入るような者はいない。それに加えて、アリスも魔理沙も幻想郷ではそれなりの実力者だ。そこらの木っ端妖怪如きでは家の防護結界を越えることは叶わない。なので、基本的に鍵はあまり掛ける必要がなかったりするのだ。

 

「アリスー、入るぞー」

 

 鍵がかかってないと知った魔理沙は、無遠慮にずかずかと家の中へ入る。ここまできても、家主からの返事はなかった。

 

「なんだ、留守なのか・・・?いや、あいつならこの時間は居る筈なんだがなぁ~」

 

 返事がないのを不審に思った魔理沙は家の中を見回してみたが、アリスの姿はない。一瞬留守かと思った彼女だが、直ぐにそれを否定した。基本的にアリスが家を留守にするのが珍しいこともあるが、何よりアリスの気配を感じ取ったからだ。

 

「ん?あれは―――」

 

 奥まで進むと、家のリビングが目に入る。開けられた窓から風が吹き込み、カーテンが揺られていた。

 その先にあるソファーには、そこに身を預けて眠る金髪の少女がいた。

 

「・・・やっぱりここだったか。にしても、他人様が訪ねてきても起きないなんて、随分ぐっすり寝ているみたいだが―――」

 

 眠るアリスを見つけた魔理沙は、起こさないようにそっと彼女に近寄る。

 魔理沙が傍まで近づいても、アリスは目を覚まさない。

 

 そんなアリスの表情を、魔理沙はじっと覗き込んだ。

 

 すーすーと静かに寝息を立てるアリスの寝顔は、人形のように精巧な一方で、どこか暖かみを感じられるような柔らかさがある。魔理沙はその寝顔に惹かれて、暫くそれを見つめていた。

 

 

 ―――こいつ・・・こんなに肌、白かったっけ・・・

 

 

 アリスの寝顔を見つめているうちに、そんな感想を魔理沙は抱く。彼女はアリスとは長い付き合いになるが、こうして寝顔を観賞する機会は希だった。そのためか、魔理沙はじっと、アリスの寝顔を眺め続ける。

 

 風に吹かれて、そっとアリスの髪が舞った。

 

 髪が揺られて、匂いもまた、魔理沙のところへ飛んでいく。ほんのりと漂う香水の香りに、魔理沙は一瞬意識を奪われた。

 

 ―――なに・・・この、甘い匂い―――

 

 アリスって、こんなにいい匂いするんだ・・・

 

 鼻につくほどきつすぎず、自然な感じで漂うアリスの香りに、魔理沙の頭がくらっとする。

 

「あ、アリス・・・」

 

 それをもっと感じていたくて、魔理沙はそっと、アリスの額に顔を近付けた。

 右手でアリスの前髪を掬って、ほんのりと赤面しながらも、魔理沙は優しくその額にキスをしてみせる。顔全体がアリスの髪に触れて、魔理沙を甘い匂いが包み込んだ。

 

「う・・・っ―――」

 

 一層強くなったアリスの香りに、魔理沙は頭がぐらっと揺られたような感触を抱いた。アリスの甘い香りが毒となって、魔理沙の肺を満たしていく。

 

「んッ・・・ま、魔理、沙―――?」

 

「え"っ、あ、アリス・・・!?」

 

 漸く目が覚めたのか、アリスの声が魔理沙の耳元に響いた。

 それに驚いて、魔理沙は慌ててアリスの額から顔を離す。

 

「う・・・んっ―――あら、魔理沙・・・?」

 

「あ、あはは・・・お早う、アリ―――すうッ!」

 

 魔理沙はさっきまでアリスの額に顔を近づけていたため、アリスは目覚めてすぐに、その視界に魔理沙の姿を捉える。魔理沙はアリスを誤魔化すように、笑って挨拶してみせた。

 だがアリスは、そんな魔理沙に手を伸ばし、彼女の胸ぐらを掴んでばっと自分の方へと引き寄せる。

 

「魔理沙・・・今、なんかしてたでしょ?」

 

「ふ、ふぇっ・・・ななな、何でもないんだぜ、っ!」

 

 射抜くようなアリスの瞳が、狼狽する魔理沙を捉える。

 問い質すようなアリスの姿勢に対して、魔理沙はなんとか惚けて誤魔化そうと図ったが、魔理沙の慌てた口調と真っ赤な表情が、アリスにはそれが嘘だと悟らせる。

 

「嘘ね・・・別に怒ってる訳じゃないから、素直に言ってみなさい」

 

「す、済まん―――その、お前の寝顔が気になって、ちょっと観察してたというか・・・」

 

 ―――ば、馬鹿・・・アリスの寝顔が綺麗だからなんて、恥ずかしすぎて言えるわけないぜ・・・

 

 魔理沙はアリスから目線を逸らせて、恥ずかしげに口にする。肝心なところは羞恥心から言えなかったが、それだけでもアリスに伝わったのか、彼女はこれ以上問い質してくるようなことはなかった。

 

「―――そう。もういいわ。どうせなんか用があったんでしょ?今お茶を淹れてくるから、そこで待ってなさい」

 

 そう言うとアリスはすっと立ち上がり、台所に向かう。

 いつもの無機質な表情に戻ったアリスに少しむっとした魔理沙だが、今は大人しく待つことにした。

 

 

 

 

 .................................

 

 

 

 

「魔理沙ったら、私が寝てるのをいいことに・・・」

 

 紅茶を淹れながら、私はそう呟いた。

 

 実は、魔理沙がリビングに入ってきた時点で起きてしまっていたのだが、あの子がどんな反応をするか気になって、つい寝たふりをしてたのだ・・・まさか、あっちの方からされるなんて完全に予想外だったけど。

 額に感じた魔理沙の感触を思い出す度に、嬉しさと気恥ずかしさが込み上げてきてしまう。

 表面上は平静を装ってはいるけど、私の心は今もあの感覚に囚われている。お陰で普段なら人形にやらせる仕事でさえ、それを忘れて自分でやってしまう程には。

 

 ―――あの時は初心ぶっていた癖に、こういうときだけ行動的なんだから・・・

 

 訳もなく、以前の告白を思い出す。

 私が魔理沙を閉じ込めて、好きよと告げたあの夜。そのときの魔理沙は終始顔を真っ赤にしてなすがままにされていたけど、さっきのように、魔理沙からしてくれたことが堪らなく嬉しい。

 

 ―――紅茶は、これでいいかな

 

 そんなことを意識しているうちに、二人分の紅茶を淹れ終える。

 あとは適当なお茶請けを見繕い、それを人形に指示して運ばせた。

 上海達が、お盆に載せられた紅茶とお菓子をせっせと運んでいく。私もそれに続いて、魔理沙の待つリビングへと戻った。

 魔理沙は何をするわけでもなく、ちょこんと猫のように椅子の上で待っていた。

 

「ほら、お茶、淹れてきたわよ」

 

「おっ、サンキューなアリス。そんじゃ頂くぜ」

 

 テーブルに紅茶とお菓子が置かれると、魔理沙は無遠慮にティーカップを手に取った。少し遅れて、席についた私も自分のティーカップに手を掛ける。

 

「うん、いつもながら美味しいな」

 

「それはどうも。それで、今日は何の用かしら?」

 

「ああ、そうだったな。ちょっと珍しい素材があったもんだから、おまえに見せに来たんだよ」

 

 私の問いかけで思い出したのか、魔理沙はティーカップをテーブルに置きエプロンのポケットに手を入れて、掌ぐらいの大きさの鉱石を取り出した。

 

「ほら、どうだ?」

 

 魔理沙は手に取った鉱石を、私の前に差し出して見せつけた。

 それの見た目は宝石の原石のような感じで、緑色に色付いた石といった雰囲気だ。それだけなら珍しい石かただの宝石で終わるだろう。しかし、魔法使いとしてそれを見てみると、その鉱石はただの石ではなく、純度の高い魔力が篭ったものであると分かる。これだけの魔力が自然に篭ったとすれば、確かに魔理沙の言うとおり珍しい素材になるかもしれない。

 

「へぇ、確かに珍しいわね・・・こんな小さな石にこれだけの魔力があるなんて―――それで、何処で採ってきたの、これ。また危ない所に行ったんじゃないでしょうね?」

 

「心配しすぎだせ、アリス。今の私は異変解決のスペシャリスト、霧雨魔理沙様だからな。危ないところなんてちっともないぜ」

 

 私の問いに、魔理沙は笑って答えてみせる。はっきりいって、私にとってはこの石のことより、魔理沙が危ない場所に行ってるのではないかという懸念の方が重大だ。

 魔理沙はいつも元気に振る舞ってるように見えるけど、ああ見えてけっこう危ない目に遭っているのだ。だからこそ、余計に魔理沙を心配してしまう。

 

 ・・・無論、魔法使いとしてこの石が気にならない訳ではないが。

 

「それでさ、良かったらこれおまえにやろうか?」

 

「え―――それは、どういう風の吹き回しかしら?」

 

 魔理沙の申し出を意外に思って、そんなことを口にしてしまう。外野から見れば一見親しいように思えるかもしれない私達だけど、実は"魔法使い"としては私と彼女は割と犬猿だ。魔法理論や素材収集で対立したときなんかはすぐ弾幕勝負に発展するぐらいには。それに加えて蒐集癖のある魔理沙が他人に物を譲るなんて、普段ではとても考えられないことだ。もしかしなくても、これは異変の前兆なのかもしれない。

 そんなことを考えた私だが、思えば最近、時々こんな風に魔理沙が何かを分けてくれる頻度が上がっている気がする。前は食用キノコなんかを分けてくれたし。私の気のせいだろうか。

 

 ともあれその申し出は素直に有難いので、遠慮せず受け取ることにしよう。

 

「なんだ?私に物を贈られるのは不満か?」

 

「いや、有難く頂戴するわ。―――ああ、でも、本当に危ない場所には気を付けるのよ?」

 

「はっ、アリスは心配性だなぁ。だから私は大丈夫だって。それじゃ、これが例の品だ」

 

 魔理沙は私の忠告を軽く受け流すと、ポケットからもう一つ、同じ石を取り出した。その石の大きさは、魔理沙が見せてきたものとあまり変わらない。

 魔理沙から手渡された石は、人形に命じて私の工房まで運ばせた。

 

 ―――ハァ・・・まったく、心配する身にもなってみなさいよ・・・

 

 内心で、そんな不満を吐露する。

 魔理沙の最終目標は、"種族としての"魔法使いに至ること。それにあの娘は霊夢の背中に追い付こうと、必死になって努力を重ねている。魔理沙がわざわざ危険に飛び込んでいくのも、その目標を達成せんがためだ。でも見ている側からすればそれはとんでもなく危なっかしい訳で、加えて彼女はか弱い人間の身、何かの拍子で呆気なく死ぬことだってあるかもしれない。それが私には堪らなく怖い。

 だけどきっと、魔理沙は今後も危険な場所に足を運び続けるだろう。私が幾ら警告しても、それを止めようとはしない。魔理沙の努力は尊いものだとは思うけれど、一方であの娘が危険な目に逢わぬよう、私の側から離したくない。

 

 ―――それを思うと、なんだか無性に魔理沙のことが欲しくなった。

 

 

「ねぇ、魔理沙―――」

 

「ん、なんだ?アリス―――っ」

 

 私が魔理沙に呼び掛けると、魔理沙はそれに応えて身を寄せる。

 そんな魔理沙の腕を、私は強引に掴んで引き寄せた。

 

「あ、アリス・・・!?」

 

 引き寄せられた魔理沙が倒れかかってくるが、それを受け止めて抱き締める。

 魔理沙の温もりを感じて、鼓動が跳び跳ねるように激しくなった。彼女の匂いが、周りを優しく包んでいく。

 

「ねぇ、魔理沙・・・」

 

「アリス?な、なんだ・・・?」

 

 魔理沙の耳元で、そっと優しく囁きかける。

 

「もう一回・・・さっきの続き、してくれる?」

 

「え、えっ・・・」

 

 私はそう囁くと、一旦魔理沙を離す。そして一度、真っ赤になった彼女に向かって微笑みかけてみせた。

 

「・・・今度は、ここでお願いね」

 

 唇に人差し指を置いて、魔女のように魔理沙を誘う。

 

「な、な、・・・馬鹿っ・・・そんなの―――は、恥ずかしいぜ――、っ」

 

 魔理沙は俯いて、必死に私から視線を逸らした。

 だけどそんな魔理沙が可愛いくて、つい苛めたくなってしまう。

 

「あら、さっきはしてくれた癖に。する場所が変わっただけでしょ?」

 

「あ、あれとこれとは別なんだよ!っ・・・うう、分かった、分かったぜ―――そこまで言うなら・・・わ、私からしてやるよ・・・!」

 

 意地になってそう言った魔理沙だけど、やはり彼女は恥ずかしさが勝っているのか、なかなか顔を近づけてくれない。そんな魔理沙を後押しするように、私は背中に回した手に力を入れた。

 

「わ、分かったよ・・・じゃあ、アリス・・・い、いくぜ?」

 

「遅いったら、魔理沙。ほら、早く」

 

 とうとう観念したのか、魔理沙はゆっくりと顔を近づけてくる。私は瞼を閉じて、魔理沙の感触がするのを待った。

 

「んっ・・・」

 

 数秒の後、唇に柔らかい感触が伝う。

 春の陽気のような、優しい温かさ。

 

「あっ、魔理、沙・・・」

 

「こ、これていいだろ!?―――、っ・・・やっぱ恥ずかしいぜ・・・」

 

 だけどそれは直ぐに終わってしまって、魔理沙が唇から離れていく。

 瞼を開けて見上げてみると、頬を紅潮させて俯いている魔理沙がいて――――物足りない私は、そんな魔理沙に止めを刺す。

 

「あ、アリ・・・むぐッ!?」

 

 背中の腕に力を入れて、ぎゅっと魔理沙を抱き締める。

 その勢いのままに、私は倒れ込む魔理沙の唇を強引に奪った。

 頭の後ろにも手を回して、離さない、と魔理沙に示す。

 

 今はただ、ひたすらに魔理沙が愛しい。

 

「まり、さ・・・っ!」

 

 それだけでもまだ物足りなくて、貪るように、舌を魔理沙の口に入れる。

 

 くちゅ・・・ぺちゃっ・・・と、口内を犯す水音がする度に、欲望が炎のように燃え盛る。

 私がさらに舌を絡めていくと、恐る恐る、魔理沙もそれに応えて舌を絡めてきてくれた。それがなんだか嬉しくて、つい私もさらに激しくしてしまう。

 

「んっ、ンンッ・・・あ、アリ、ス・・・!」

 

「っ、はぁ・・・、んっ・・・っぱぁ・・・っ―――、ふふっ、ご馳走さま、魔理沙」

 

 存分に魔理沙を堪能て、舌を引っ込めて唇を離す。互いの間に、唾が糸を引いて離れていく。

 

「アリス・・・は、激しすぎだぜ・・・っ」

 

「あら、強引なのは嫌?」

 

「い、いや・・・悪くない、かな・・・」

 

 顔全体を真っ赤にして、魔理沙はそう答えてくれる。

 

 ―――私が強引になってしまうのも、貴女が可愛いのがいけないのよ・・・

 

 心のなかで、悪い魔女がそう囁く。

 可愛い魔理沙を見ていると、また欲望が込み上げてくる。この初心な恋人を、もっと苛めて乱暴したい・・・

 

「そう・・・なら、もっと激しくしてあげる―――!」

 

 私は魔女が囁くままに、真っ赤な魔理沙にそう告げた。

 最早、自分の欲望を止められる気がしない。

 

 

 もう、貴女を離さないわ、魔理沙―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリスが強引なのは嫌?と尋ねてくる。それに悪くないと応えたけど、本当は嬉しさで一杯だ。何よりあいつの温もりに触れられるのが堪らなく嬉しい。求められて、あいつの気持ちを感じられるから―――

 

 ―――多分、アリスだからこそ、私はこの身を委ねてしまうのだろう。

 

 自分はあまり、他者のペースに乗せられるのは好きではない。だけどアリスが相手なら、何をされてもいいとすら思えてくる。

 

 そんなことを考える蕩けきった私の思考に、容赦ない追撃が降り注いだ。

 

 

「そう・・・なら、もっと激しくしてあげる―――!」

 

 

「へっ・・・っ、ぅわあッ!」

 

 アリスの口から、そんな言葉が飛び出した。一瞬なんのことが分からなかったけど、アリスはそんなことはお構いなしに、私の身体をひっくり返す。次の瞬間には位置関係が完全に逆転し、私はソファーの上に押し倒されていた。

 

「あ、アリス―――?」

 

「魔理沙―――まさか、キスで終わる訳がないでしょ?」

 

「え・・・な、何を―――」

 

 いきなりの出来事に、私の思考が置いていかれる。だけど、これからアリスが何をしようとしているのか、ヘタレの私でも何となく分かってしまった。

 

 ―――ちょっと、待って・・・こ、心の準備が・・・

 

 だけどそれに、私の覚悟は追い付かない。キスでさえ恥ずかしすぎてあのザマなんだ、そこから先のことなんて、恥ずかしさのあまり死んでしまうかもしれない・・・

 

 そんな私とは対照的に、アリスは頬を赤らめながらも上着を脱ぎ捨て、その白い肌を露にした。ボタンが外れ、肌の面積が広がるにつれ、私の意識がアリスに奪われていく。

 

 

「覚悟しなさい、魔理沙・・・・・・優しくなんて、してあげないんだから・・・!」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「アリ、ス・・・ぅ、ふぐぅっ・・・」

 

 そう告げると、アリスは私の唇を塞ぎにかかる。同時にまた、あの匂いが漂ってきた。甘いアリスの香りが、猛毒の惚れ薬となって私の思考を溶かしていく。

 

 口内はアリスの舌に犯されて、肺は甘い猛毒に満たされて呼吸すらままならない。私はただ、アリスに求められるがまま溺れていく。気付いたときには、もうすっかり私はアリスに夢中になっていた。

 

「あ・・・っ」

 

 アリスの唇が離されて、小さな吐息が漏れる。

 唇の感触が名残惜しくて、無意識のうちに、私はアリスを求めてしまう。

 

「・・・服、邪魔ね」

 

「え、っ・・・、あ、アリス!? ちょ・・・ちょっと待っ―――」

 

 唇を離したアリスは、そのまま馬乗りの体勢になって、私の服を脱がし始めた。

 他人に脱がされるなんて滅多にないことなのに、その相手がアリスなこともあって、気恥ずかしさが去来する。

 あまりの恥ずかしさからか、つい私は裾を抑えて、アリスに抵抗してしまう。そんな私の様子を見て、アリスはすごく意地の悪そうな笑みを返してきた。

 あの夜のときみたいな、可愛いくて悪い魔女の笑み、危険な甘い罠の気配―――

 

 そんな風に笑われたら、何もかもを委ねてしまいそうになる。

 

「あら―――私はもう脱いだというのに、貴女の方は脱がないなんて、それは不公平ではなくて?」

 

「ば、馬鹿っ・・・まだ昼間なんだぞ・・・!」

 

 本音を言うと、このまま成すがままにされていたい気もする。だけど、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。大体、こういうのって夜にやるものだろ!?

 

「・・・そんなこと、関係ないわ。―――今はただ、貴女が欲しいの――」

 

「あ、アリ、ス・・・っ!」

 

 一瞬の隙を突かれて、一気に上着を奪われる。肩とお腹が露になったところで、ぎゅっとアリスに抱き締められる。アリスの鼓動と体温が、肌伝いで直に伝わってきた。私の身体が、一気に火照っていくのを感じる。

 

「なんだ・・・おまえも心臓・・・バックバクいってやがるぜ・・・?」

 

「当たり前でしょ―――、っ!魔理沙と、直に触れているんだから・・・!」

 

 アリスの吐息が、声とともに私の耳にかかる。生温いその感触に、思わずぶるっと身震いしてしまった。

 

「はむ・・・っ、んんっ―――!」

 

「ひゃぁっ!、ッ―――、く、くすぐったいぜ・・・!」

 

「魔理沙の耳、おいし―――んむっ」

 

「いやっ・・・ひやっ―――あ・・・」

 

 抱き締められた体勢のまま、アリスに耳を甘噛みされる。くすぐったさと気持ちよさで、理性が蕩けてしまいそう。

 

「こんの・・・っ、はむッ!」

 

「ひゃうんッ!・・・ま、魔理沙ったら・・・!」

 

「えへへっ・・・仕返しだぜ」

 

 だけど成すがままにされるだけでは物足りなくて、私からもアリスの耳にかぶり付く。あいつには全く予想外の奇襲だったのか、可愛い悲鳴が耳に響いた。

 

 ―――あ、アリスの悲鳴って、意外と可愛い・・・

 

「―――っ、もう、許さないんだからぁ・・・!」

 

「うわっ・・・ッ、ひゃうんッ―――!」

 

 すると、頬を真っ赤にしたアリスが、突然抱き締めていた私を押し倒した。一瞬の優位に浸って油断していた私は、為す術なくアリスに身を委ねる。

 押し倒したままの勢いで、今度は首筋に顔を寄せられた。そこにアリスの唇が押し当てられて、恥ずかしさを掻き消すかのような乱暴なキスをされる。

 その乱暴な感触とアリスの匂いで感じてしまって、ふいに矯声が漏れてしまう。

 アリスの温もりと匂いのなかで、何処までも溺れてしまいそう。

 

「っ―――と、・・・よし、上手くついた」

 

「ついたって―――もしかして、キスマーク?」

 

「フフッ、そうよ―――これで貴女も、私のものね」

 

 私の問いに、アリスは頷いて応えた。なんだか私がアリスのモノにされたみたいで、嬉しさと心地よさが込み上げてくる。

 だけどそれが一回で終わる筈もなく、蕩けた私は追撃に見舞われた。

 

「じゃあ・・・全身くまなく、付けてあげるわ―――」

 

「え"っ、ちょ・・・待って―――ひゃうん、ッ、ああッ―――!」

 

 その感触に浸ることすら許されず、アリスの甘い感覚が抜けきらないうちに、今度は反対の首筋を食べられる。

 

「魔理沙―――もっと、良くしてあげるわね」

 

「あッ・・・そこは・・・ッ―――、っ・・・ひゃ・・・んうッ!!」

 

 そればかりでは飽きたらず、アリスは私のドロワの中へと指を這わせる。太腿に感じたアリスの指先の感覚で、ビクッと私の身体は感じてしまう。

 

「んんっ、はうっ―――、まだよ・・・魔理沙・・・ッ!」

 

「あ、アリ、ス・・・・・っ!」

 

 

 アリスに求められるがままに、私の身体は蚕食される。

 甘い毒に犯されて、魔女の檻に囚われて、貪られるまま溺れていく。だけどアリスの温もりが恋しくて、終いには自ら毒を求めてしまう。

 

 気付いた頃には、甘い甘い猛毒の檻から抜け出せないまま、私はドロドロに蕩けさせられていた・・・

 




マリアリです・・・
多分今ま書いたものの中で一番濃い百合なんじゃないかって思ってます。本編のあとは・・・


魔理沙「もうこんな時間―――きょ・・・今日は楽しかったぜ、アリス」

アリス「待ちなさい、魔理沙・・・こ、今夜は、返さないから・・・」

魔理沙(ちょっ、ここでその台詞とか、反則すぎるだろ~ッ)


的なやりとりがあって第二ラウンドに突入したものと思われます。続きは各自補完でお願いします。

実際のところ、これはR18にするつもりで書いていたのですが、結局このレベルで落ち着いてしまいました。要望があれば、R18版に改訂して出すかもしれません。
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