ベート・ローガがヘスティアファミリアに入るのは間違っているだろうか 作:爺さんの心得
※ベートきゅんがヘスティアファミリアに入団する作品です。ベートきゅんはロキ・ファミリア一筋の人は今すぐバックしてください。
※とにかくベートきゅんが大好きすぎて仕方がない作者が書いたものです。
※原作よりめっちゃ性格柔らかいです。
凶狼の眷属の物語
ーーー「強く、なりてェ」
ある
泥だらけの服を雨で重くしながらも、傷だらけの彼はギリッと歯を食いしばる。
誰も通らない、このストリート。雨のせいか、人通りも少なくなっている。ここを通るのは、一仕事終えた冒険者くらいだ。
ーーー「誰よりも、強く……ッ!」
狼人はまた、唸る。
もう、こんな惨めな醜態は晒したくない。あいつらの元へ帰りたくない。それが彼の中を占めている、邪の心であり、善の心であった。
だから彼は、純粋に力を求める。
ーーー「俺は、俺を越えるんだ……ッ!」
だが、雨がそれを許さない。重くなった狼人の体は、思うように聞いてくれない。
これが、弱者の姿。狼人はそう誤認してしまい、また歯を食いしばる。
何故だ、何故自分はこんなにも弱い。
何故自分は、こんなにも、何も出来ない。
「ちくしょう……ッ!」
涙を流したら、本当の弱者と化してしまう。
それだけは嫌だった。それだけは、本当に拒んだ。
また、自分の足で、自分に見合ったファミリアを探さなくてはならない。
そうだ、あんなファミリア狙い下げだ。こっちは的確なことを言ったのに、それに激怒して集団で襲ってくるなど言語道断。
だが彼らは自分とは違い冒険者。
だから、彼は力を求めた。
誰にも負けない、強い力を。
「負けねェ……越えてやる……ッ!」
手をついて必死に起き上がろうとする彼に、ある影がかかった。
それに気づいた彼は、ゆっくりと顔を上げる。
顔を上げた先には、黒髪ツインテールの青色の瞳の少女が、青い傘をこちらに傾けていた。
彼女の行為によって狼人に降りかかる雫は途絶え、傘に当たる途端弾けていく。
「やぁ、未来ある少年。こんな所で何をしているんだい?」
その少女の言葉は、酷く大人びていた。
一つ一つの言葉に威厳があり、今の彼では押し潰されそうになる。
だから彼は、確信することが出来た。
彼女は、神だ。
下界に娯楽を求めてやってきた、神だと、そう確信した。
少女はその豊かな双丘を揺らしながら、彼を見下ろす。ポタポタと水滴が彼の周りに落ちていき、まるで彼と彼女の空間を作っているかのようだった。
狼人は神の言葉に、ポツリと零した。
「強く、なりてェ」
その声に強さを感じさせないものの、その信念の強さはビシビシと伝わってくる。
女神は狼人の言葉にキョトンとしたが、次第にクスクスと笑い始めた。
「そうか、強くなりたいのか。じゃあ何でここにいるんだい?そんな傷だらけで」
「…………俺が弱ェから、こうなった」
「もしかして、リンチかい?全く、一般人をこんな風にするとは、何処のファミリアだ?……いや、何処のファミリアって可能性も低いか」
うーんと唸っていた女神だったが、その後考えることを止め、彼の前に腰を下ろす。さらに彼女の顔を間近で拝めることが出来た狼人は、重くて開けられない目をググッと無理矢理開かせる。
彼女の深青の瞳には、自分の惨めな姿が映し出されている。それを哀れに見ることもなく、彼女はニッコリと微笑んだ。
「君は、強さを求めているんだな。もう何処のファミリアに入るとかは決めたのかい?」
「………………」
その問いに、狼人はフルフルと首を振る。
先ほど、入ろうとしたファミリアに門前払いを受けた挙句攻撃されたのだ。もう彼は何処を行けばいいのかわからない。ここで野垂れ死にしようかと一瞬でも考えた程にだ。
狼人の答えを聞いた女神は、満足そうに頷く。
「そうかそうか、決めていないんだな!……実はな、ボクのファミリアにはまだ誰も
「ーーーーー」
それは、女神の慈悲なのかどうか、彼には判別出来なかった。
だが彼にはその言葉に、とても突き動かされた。
まだ誰としてもいない、底辺地位から始まる弱小ファミリア。
今ここで眷属になっても、まだ自分しかいない。こんな女神のところの眷属になって、自分は強くなれるのだろうか?
ーーーいや、だからこそ強くなれるかもしれない。
最初から、強いファミリアに入っても駄目だ。いつも上を見上げてはダメだ。それだと、いつかは押し潰されてしまう。それを越えるためにファミリアに入っても、ダメなんだ。
それに、ここから新しいファミリアが作られることなどーーーとても燃えるじゃないか。
「…………ああ、入る。俺は、テメェの眷属になってやる」
不敵に微笑む狼人に、女神は「そうか!」と顔を輝かせる。
徐々に雨が晴れていき、雨粒の音が無くなった時、彼らの『冒険』は始まるのだ。
「ボクの名前はヘスティア!ボクは君を絶対に裏切らない。そして、いつでも君の味方だ。ここからボク達のファミリアは始まる。最初は大変かもしれないけど、でもいつか、このオラリオをびっくりさせるようなファミリアになってやろうぜ!」
差し伸べられた女神ーーーヘスティアの手を、狼人は迷うことなくガシリ!と掴む。
灰色の毛並みが特徴の彼は、ギラギラとした黄金の瞳で、ヘスティアの手を強く握った。
そして彼は、名を告げる。
「ベート・ローガ。俺は強くなるためにテメェのファミリアに入る。足を引っ張るんなら、俺はテメェが神でも容赦しねェ」
「ーーーハハハ!威勢がいい子どもはボクは好きだよ!」
それじゃあ、恩恵を刻みに行こうか!
握り返された手の暖かさは、彼の心にも強く伝わり、彼はふわりと風に押されるような形で立ち上がる。
ここから始まる。
彼の、
*
「なぁヘスティア。俺はテメェと強くなって、このオラリオをひっくり返せるくらいのファミリアになるって宣言したよな」
「…………うん、そうだね」
ダラダラと汗を流す女神ヘスティアを、容赦なく見下す彼は、ヘスティアを絶対零度のような目で見据える。
ボロボロの床に正座している彼女にわかりやすく、かつ強めに足音を立てると、あちらもわかりやすくビクリ!と肩を震わせた。
「……ならなぁ。何で『眷属は俺だけ』で、何で『ボロボロの教会の地下が拠点』で、何であの時から『数年も経ってる』?全然復興してねぇよなァ?」
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
スススススッ……と目を逸らすヘスティアに、ついにブチリ、と何かが切れるような音が響き渡る。
ガチガチと機械のように首を傾げる狼人ーーーーベートは、そのギラギラとした瞳をさらに殺意の目に変えて、声を荒らげた。
「何で俺らはまだこんな下にいるんだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!?!?!?」
「ご、ごめんよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!?!?!?」
ーーーベート・ローガ。
数年前、心優しいロリっ子女神ヘスティアに勧誘されファミリアに入団した、Lv.5の冒険者である。
*
ベート・ローガ。その名を知らぬ者は、このオラリオではまずいないと考えていいであろう。
まだ世界に名を轟かせていない新規のファミリアの眷属、だがその驚異的な速さでLv.を駆け上げた男。その男に、オラリオの神たちの興味は向いていった。
数々の神たちが出した二つ名の案。その中でベートの二つ名として決まった名。
その名は『
敵を食い荒らす獰猛なる狼人という情報その他から、この名がピッタリだと神たちの意見は一致した。
それから数年。彼は自分一人の力で、ここまで登ってこれたのである。眷属が彼だけの今、ベートはソロでしか潜ることが出来ないが、一人でどんどん下の階層に行っては、何日も潜って帰ってくることもしばしば。
その度にヘスティアの不安は募っていくばかりであったが、金を稼ぐにはやはり泊まり込みでモンスターを狩った方がいい。と頭が脳筋のベートはそう結論づけてしまった。
そこからまた数年の時が経ち、ベートはソロで何週間もダンジョンで泊まり込みをすることが多くなり、現在疲れ果てたベートは何週間ぶりの拠点に帰ってきたのである。
ここで冒頭に戻ろう。
「大体お前は勧誘もせずにただせっせとじゃが丸くんを売ってるだけじゃねえか!それやるんだったら眷属を増やしやがれ!!」
「ボ、ボクだってやってきたお客さんをちゃんと勧誘してるさ!それでやって来たこともあっただろう!?」
「大半はこの拠点を見て止めてるじゃねえか!?」
「ぐぬぬぬぬ……」
歯ぎしりをして何も言い返せなかったヘスティアだが、思い出したかのようにベートを指さす。
「そ、それだったら君もだろう!?せっかく連れてきた子供達が、君の一睨みで逃げていくんだからなぁ!?」
「ぐっ……!」
そのヘスティアの言い分に、ベートの言葉が詰まる。
実はヘスティア・ファミリアに入団したいと思う子供達はたくさんいたのだ。しかし大半はこのボロボロの拠点を見て帰っていき、そして眷属のベートの睨みや罵倒で帰っていくのである。
自分にも非があると何も言い返せなくなったが、その後ハッと嘲笑する。
「覚悟がねェ奴なんざ、このファミリアには必要ねェよ」
「たく……もうちょっと仲良くしてくれないかい?君のことを恨んでいる子供達もいるって、神会でも話題が上がったよ」
「それ程貧弱な奴らだったんだろ。噂でコソコソ吠えている奴なんざ。だから強くなれねぇんだよ」
「あああああ……狼人の特徴でもあるんだけど、なんだかなぁ……!」
頭を抱え込むヘスティアを一瞥して、ベートはドカリと寝転がる。
数年。もう数年経った。ファミリアに入団したおかげでLv.は現在まで上がっている。自分でも、前よりは強くなったと実感している。
だが、まだ足りない。もっと強さを極めるためには、もっと下の階層へ行かなければならない。
しかし眷属一人のベートでは、下層に行くのは非常に困難なことであった。遠征に加えられる可能性も、このファミリアの地位を考えてあまり期待しない方がいい。
もっと、もっと戦いたい。そしてもっと、強くなりたい。
ベートはピクピクと獣耳を動かして、瞼を閉じる。それだけで、彼はすぐに夢の中へと落ちていく。
ヘスティアが何かを喋っているような気がしたが、帰ってきて疲労困憊の彼には、その言葉を聞く気力もなかった。
やがて彼の意識は落ちていき、どっぷりと夢の世界へ落ちていく。
「やったよベート君!新しい子が増えたよ!」
「ウガッ!?」
その数時間後、ヘスティアのタックルで彼が無理矢理目を覚まされるのは別の話。
ソードオラトリアでベートきゅん好きになりました。今ならリーネちゃん(ロキ・ファミリアの眷属)とベートきゅんのことについていっぱい語れそうです。……(最新刊を読み終えて)えっ?リーネちゃん?
リーネちゃんのことも気になりますが、ベートきゅん、彼は何なんですか。全てにおいてアイズの前だとあんな風になっちゃうベートきゅんなんですか?しかも間違ってないことを暴言してしまうベートきゅんなんなんですか??天使ですか??天使ですね迷っていた私が馬鹿だった。
皆様にもベートきゅんの素晴らしさが伝わるよう精一杯頑張っていきたいです。ベートきゅん過去編が来たら私(:3_ヽ)_こうなって100回以上読み返しますよ??作者様待ってます(真顔)
正確な年齢や何故ロキ・ファミリアに入ったのかわかりませんが、この作品ではこういう形でヘスティアファミリアに入団という形にしました。狼人が恩恵を貰わずにどれくらい強いのかわかりませんが、やっぱ冒険者と一般人とじゃ大差つくかなーという軽い気持ちでやったら……うん、美味しい!!べ、別に書いてて楽しくなったとか、そういうわけじゃないんだからね!!
そろそろあとがきも終わりましょう。次更新になるのはいつになるのやら……なるべく早めに更新したいです。
それでは、今日もベートきゅんを讃えてーーー