ベート・ローガがヘスティアファミリアに入るのは間違っているだろうか 作:爺さんの心得
うぇ、へ、え?評価付いてる!?やっぱベートきゅんは偉大なんや!見ろベートきゅん!こんなにも君を好きな人がいるんだぞ!!
だから同士のリーネちゃんに救済をください!!!
どうも、ベル・クラネルです。今僕は、勧誘してくれた神様のホームに来ています。
数々のファミリアに門番払いを受けてしまった僕ですが、慈悲深い神様のおかげで、僕はやっとファミリアに入ることが出来ました。
どうやら眷属は僕の他に一人いるみたいです。神様が「怖がらないでくれよ?」と言っていましたが、出来れば仲良くしたいなぁと思っています。
そう思っていた時期がーーー僕にも、ありました。
「………………………………………………………………………………………………」
神様、僕はもう泣きそうです。
*
ベル・クラネル。ヘスティアに連れてこられた、貧相な体の男。まるで白兎を連想させるかのような風貌の男だった。
ヘスティアは不安そうにベルとベートの行方を見守っている。かつてこれで入団を拒否した者達がどれ程いたのか。ベートに至ってはベルをあらん限りに睨み続けるしで、ヘスティアはゴクリと唾を飲む。
その状態が暫く続いた後、口を開いたのはベートだった。
「おい、何縮こまってやがる」
「…………え?」
「雑魚のように震え上がってんじゃねェよ。虫唾が走る」
ああ、始まった。とヘスティアは項垂れた。
狼人の特徴とも言えなくもない、罵声の羅列。その火の粉が全てベルに降りかかる。
「てめぇは何の為にこのファミリアに入ろうとする」
「軽い理由でこのファミリアに入るなら、俺が許さねェ」
「この世界は、てめぇみてぇな雑魚が来るところじゃねェんだよ」
「雑魚は雑魚らしく、都市外でのんびり農地で耕してろ」
(…………あれ、意外に優しい)
不意に、ヘスティアはベートの言葉の異変に気づく。いつもは容赦なく罵倒するのに、今回に至ってはベートも優しめの様子だ。だがそれはヘスティアにしかわからず、ベルの心にベートの言葉が突き刺さっていく。
それに気づいているにも関わらず、ベートはギロリとベルを見下した。
「どうした。何か反論したいならやれよ。雑魚の吠え面を無様に晒したいんならなァ。あ?全部事実だろ?半端な覚悟で夢見てんじゃねェよ雑魚が」
「…………………………が」
「あ?」
このまま泣いて帰るかと思い始めたベートの耳に、か細いベルの声が響いてきた。
ベートとヘスティアはベルの方を向く。顔を俯いていて表情は伺えないが、僅かに肩が震えていることがわかっていた。
「…………ぼく、は」
ベルの口が紡ぐ。
だが直後、バッと顔を上げベートと視線を交わらせたベルは、決意の眼差しでこう吠えた。
「僕は!!英雄になりたいんです!!」
*
言ってしまった。
ついに、言ってしまった。
僕は顔が徐々に熱くなっていくのを感じながら、やってしまった感を味わった。
この人が言っていることは全て事実だ。僕はゴブリンも倒せないし、とても弱くてすぐに負けてしまう。
だけど、僕にはある夢がある。
それは、英雄になること。それが、僕の夢だ。
夢と目的は違う。僕は日々英雄に夢をみて、そしていつか、皆を守れる戦士になりたいと思っている。
その想いを、この人にぶつけるんだ。
僕はこのファミリアに、神様のファミリアに入りたい!
たとえ嫌われてもいい。だけど僕を見つけてくれた神様の元で、英雄になりたいんだ!!
「……………………ククッ」
ジッとこの人を見ていたら、ふと肩を震わせて笑い始める。
「クハハハッ!ハハハハッ!!」
その瞬間、この人は大きく笑い出した。
何故笑ったのか、それは僕に安易に予想できた。
恐らく、僕の夢を笑っている。いや、嘲笑っていると言ってもいいであろう。直後に「お前が英雄?笑わせんじゃねえよ!」という罵声が飛んでくるに違いない。
ああ、お祖父ちゃん……僕はもう、恥ずかしくて死にそうだよ。それを隠すために、僕は顔を俯かせて、ギュッと目を瞑る。
いや、恥ずかしくてもいい。僕の夢は変わらないんだ。僕は英雄になって、女の子と出会いを果たすんだ!……い、いや、最後のは違う!?最後のは言葉の綾で!?
「そうかァ……英雄かァ……」
心の中の自分の誤解を解こうとしていたら、あの人が笑うのをやめた。その代わりに、僕のことを射抜くかのように見据えてきた。
「……いいじゃねェか、英雄」
「…………え?」
この人の言葉に、僕は思わず聞き返した。
依然この人の瞳は変わらないけど、その口角が上がっているところを見るとーーー認めている、と考えていいのだろうか。
「まぁ、覚悟は本気ってとこだな。それに、俺がボロクソ吐いてもテメェは逃げなかった。それだけで充分素質はある」
「……じ、じゃあ……!」
「俺の名はベート・ローガ。認めてやるよ、テメェのファミリア入団を」
この人ーーーベートさんに認められた瞬間だった。
僕は歓喜に震えた。あんなに侮辱してきたベートさんが、認めてくれた瞬間。こんなの、嬉しくないはずがない!
やりましたよ、神様!という眼差しを神様に送ると、神様はポカーンと口を開いて固まっていた。どうしたんだろう。
「だがな、もしテメェが雑魚に成り下がった時は、その時はテメェを蹴り落としてやる。その覚悟もしとけ」
…………どうやら、まだ認められていないようだ……。
*
ヘスティアに恩恵を刻んでもらったベルは、嬉しそうにギルドへ向かっていった。
そのことを再確認すると、ヘスティアはグルリ!とベートの方へツインテールを揺らして振り向く。
「ベ、ベート君!?さっきの言葉、嘘じゃないんだね!?」
「あァ?」
「べ、ベベベベベベル君を!!認め!!たんだよね!?」
「……まぁ、そうだな」
「ぃやったあああああああああああああああ!!ベル君ありがとおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ベートへの確認も取れた女神は一心不乱に喜んだ。
だって、ベートが認めるなど滅多にないのだ。いつもボロクソ言って泣かしてきたのに、今回はベルの覚悟を認めてくれた!!こんなの、嬉しまずして何になる!!
今なら彼に何でも買ってあげてもいいかもしれない(ベートが集めてくれた資金からだが)。それくらいに、ヘスティアは嬉しいのだ。
「こんなの、飲まなきゃいられないな!よしベート君、ベル君が帰ってきたら歓迎会だ!手伝ってくれ!」
「面倒くせェ、一人でやれ」
「何ィ!?
「俺はさっき帰ってきたばっかなんだよ。休ませろ」
「ぐぬぬぬ……!反論できない……!で、でも何かやってあげてくれ!というか、ベル君を支えてやってくれ!!」
「…………」
この神は何故こうもあの少年に執着しているのだろう、とベートはイライラした様子でヘスティアに背を向け続ける。
それよりも、彼の脳内ではある言葉が繰り返し反響していた。
ーーー僕は、英雄になりたいんです!!
(英雄、か……)
強者だけが上り詰めることができる、至高の存在。
その存在を目指す冒険者など、探せばいくらでもいる。そして、どんなに無謀なのかも知っている。
だが、あの少年は、あの少年の瞳は。
(…………赤い)
燃え盛るような純情の紅玉の瞳。
真っ直ぐにその背中を憧憬している彼に、ベートは少し期待している。
(……………………)
まだ、かの少年はここから始まったばかりだ。
なら自分は、彼が自分を追いかけるよう、もっと強くならなければならない。
もっと強く、もう弱者にならないために。
未だ騒いでいるヘスティアを一瞥したベートは、今度こそ深い眠りについたのだった。
「ベートくううううううん!!ベル君がダンジョンに一人で行っちゃったよおおおおおおおおおお!!」
「グホアッ!?」
その後、ベルが一人でダンジョンに赴いたことに号泣したヘスティアが、ゆっくりと眠っていたベートに向かって突進するのは別の話。
皆がベートきゅん好きで良かった……!!こんなにも仲間がいるなんて感激で死にそう!
ソードオラトリアの漫画を読んだのですが、ロキをおんぶするベートきゅんを見て私は`;:゙`;:゙;`(゚Д゚*)ガハッってなりましたね。垂れている耳でさらに吐血しましたよ、え?何ですか?しかもその後ツンデレ発揮したよね?え?何?ベートきゅん天使の枠じゃ収まりきれないよ、神だよ、うん。
とりあえずフィルヴィスさん、そこ代わっておくれ……ベートきゅんの壁ドン(*´Д`)ハァハァ
さぁ次回もーーーー凶狼バンザーイ!!