恩義に報いる狂犬   作:鎌鼬

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代表決定戦①

 

 

「一組で織斑一夏とイギリスの代表候補生が決闘?」

 

 

翌日、特盛朝定食をモリモリと食べていたら朝っぱらからフライドチキンを齧っているジョンに一組で起こった出来事を聞かされていた。

 

 

「おう、なんでもクラス代表決める時になんやかんやあってそうなったらしいぞ」

 

「なんやかんやってなんだよ」

 

「確か始めは他薦で織斑一夏が候補に上がったらしいけどイギリスの代表候補生がそれに不服があったらしくて反論、そこから言い合いになって決闘になったって聞いた」

 

「何やってんだよ本当に」

 

 

I代表候補生と言えば国家代表の手前であるのだが発言権はそれなりにあったりする。過去にも代表候補生が公式の場で他国を辱める発言をしたとかで代表候補生から外されたとニュースになったくらいだ。言い合いになったということはそれなりの罵詈雑言でも吐いたのだろう。まぁIS学園は治外法権的な物が適応されているので外には漏れないだろうが白い目で見られる事になるだろう。

 

 

面白い事ならば歓迎するが、面倒事は御免被る。兎も角、その話がこちらに飛び火しない事を祈るばかりだ。

 

 

「おはよう、隣良いかな?」

 

 

最後の焼き鮭の切り身と五穀米を一緒に口の中に放り込み、食後の一服として焙じ茶を啜っていると昨日会った新城がトーストとサラダとカップが乗ったトレイを手にやって来た。

 

 

「おはよう、わざわざ隣じゃなくても空いてる席なら山程あるぞ?」

 

「1人で食べるのも味気ないしね。座らせてもらうよ」

 

 

現在の時刻は6時20分頃、朝一番に食堂に来たので人は疎ら、そんな中で新城はわざわざ俺の隣に座ろうとしている。まぁ、確かに1人で食べるのは寂しいと思い、少し横にずれてスペースを空ける。

 

 

「おいアラタ、てめぇいつの間にそんな美少女と仲良くなりやがった」

 

「昨日の夜。いやぁ交友の輪を広げちゃって御免ね。ジョンも友達作れば……あ、ごめんなさい」

 

「お?それって俺は友達作れないって言いたいのか?喧嘩売ってんのか?あ?」

 

「掛かって来いやぁ!!」

 

「うるさい」

 

「「ごめんなさい」」

 

 

ジョンを煽って遊んでいたら流石に煩かったのか新城に怒られてしまった。目が据わっていたので、あのままだったらフォークかカップに入っている液体が飛んで来ただろう。朝一番から怪我するのは勘弁願いたい。

 

 

「あ、俺はジョン・ドゥ。一年三組でアメリカの代表候補生だ」

 

「新城響、一年六組。操縦者じゃなくて整備の方を希望してここに来たんだ。よろしく。仲が良さそうだったけど知り合いか何かだったの?」

 

「いんや、学園で初対面」

 

「でも境遇とか似てるからあっという間に親友だ」

 

 

本当なら肩でも組みたかったのだごテーブルが邪魔なので握手だけで済ませる。それを見て新城は呆れたような、それでいてどこか羨ましそうな目で見ていた。

 

 

「良いなぁ、そんなに早く友達が出来て」

 

「お?ヒビキはボッチなのか?」

 

「……ボッチになるのかなぁ?ボクって日本人なのにこんな見た目だから周りから避けられてね、小学生の頃はイジメられたりもしたなぁ……」

 

 

確か新城はロシア人のクォーターだとか言っていた。その関係で日本人離れした容姿に成っているが四分の三は日本人な上に日本生まれの日本育ちという生粋の日本人なのだ。

 

 

「勿体無い奴らだな。こんな綺麗な髪と目の色を気味悪がるとか」

 

「ふふっ、ありがとうね」

 

「サラリと口説きに行きやがったな?」

 

「口説いてねぇよ。口説くならもっと懇切丁寧に口説いてやるわ」

 

 

あれはただの褒め言葉だ。月明かりに照らされた桜吹雪の中での新城の姿は幻想的な美しさを感じたが、人工の電灯の下でもその美しさは変わらない。口説くとしたらその辺りを攻めていくぞ。

 

 

「ご馳走様っと……ごめんね、ボクのせいで時間取らせて」

 

「時間はあるし大丈夫大丈夫」

 

「早起きしちまって時間に余裕があるからな」

 

 

7時に近づくにつれて人が増えて来たところで俺たちは食堂から出る事にした。途中で黄を始めとした他の男性操縦者の姿がちらほら見えたのだが、この良い気分を壊したくないので無視する事にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は特に連絡事項は無し。その代わりにクラスの代表を決めたいと思います」

 

 

朝礼の時間になり、指宿先生が開口一番に言った言葉がそれだった。朝にジョンから一組での出来事を聞かされて為に少し憂鬱な気分になる。

 

 

「クラス代表の仕事は中学とかでやったものとほとんど大差は無いわ。それに今度行われるクラス対抗戦に出てもらったりしてもらうことになります。誰かしたいという人がいるかしら?」

 

 

指宿先生がクラスを見渡すが誰も反応を示さない。何せクラス代表なんて面倒だ。中学の時に一度やったが雑務を押し付けられたりしてもう二度とやりたく無いと誓ったし。クラス対抗戦には出てみたい気がするが、その誓いを破ってまでとは思わない。

 

 

「じゃあ他薦ということになるけど……」

 

 

あ、これアカン流れのやつだ。

 

 

「はい!!じゃあジョン君を推薦します!!」

 

「私も私も!!」

 

「なら私は宿桜君を!!」

 

「宿桜様万歳ぁい!!」

 

 

やっぱりこういう流れになるか。何せ俺とジョンは世界でたった8人しかいない男性操縦者、話題性に富んでいる上に片や代表候補生で片や専属パイロットと実力もある。ところで最後の奴は一体何なんだ?

 

 

「やっぱりこうなりますよね……出来れば2人のどちらかにお願いしたいのだけど」

 

「クラス代表か……」

 

「……ハッ!!閃いた!!このジョン・ドゥにいい考えがある!!」

 

「すっごいやな予感がするけど一応聞いておこうか」

 

「簡単な話だ。戦って勝った奴が代表になれば良い……!!」

 

「なんて蛮族チックな解決方法を……乗るしか無いじゃないか!!」

 

 

そういう力任せの解決方法は嫌いじゃない。

 

 

「その代わり一つ追加条件。負けた方がクラス代表の補佐になるって事で。あぁ、補佐ってのは代表の助けをする奴の事な」

 

「それは俺も考えてた」

 

「あらあら、若いって良いわねぇ。それじゃあ2人が戦って勝った方がクラス代表、負けた方がクラス代表の補佐になるって事でいいかしら?」

 

「YESYESYES!!」

 

「OK!!」

 

 

こうして一週間後、一組での決闘と同日に別のアリーナで三組の代表決定戦が行われる事になった。

 

 

 





一組の決闘の裏で行われる蛮族式代表決定方。勝った奴が代表で、負けたら補佐という名のパシリになる。

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