Mana-Khemia ~zwei alchemist 二人目の錬金術士~   作:村人A

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よーやーくーとーうーこーうー。便利ですね。


第四章 先輩とロクシスと武闘大会
第10話 相変わらず課題はザコいですね!(フラグ)


「やあ、みんな久しぶり。さて、長い休み明けだけど、授業はいつも通り行うからね」

 

 な、なんだってー(棒)

 

 ……なんてね。そりゃ、錬金術の授業なんて面倒……げふんげふん、長くて複雑なんだから、これだけ長期の休みがあっただけでも良かったと思うけどなぁ。

 

「はいはい、文句を言わない。さて、今回の課題だけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あとは……そうだ、今学期はみんなお待ちかねの、学園祭があるからね。早めに課題を終わらせて、たっぷり楽しむように」

 

 クラスメイトの愚痴やら文句やらをBGMに、ゼップル先生が出していく課題の話を聞いていると、なにやら面白そうな話が出て来た。学園祭かぁ。

 

「学園祭って、どんなことするんですか?」

 

「普通に出店があったり、展示があったり……それと毎回、大きなイベントが行われるね。……今年は確か、二人一組で参加の武闘大会だったかな。優勝者には賞品もあるし、興味がある人は参加してみるといいかもね」

 

 興味ないね。

 

 そんなセリフを内心でこぼしながら、最愛の弟のことを思った。

 

 ……たぶん、グンナルさんに強制参加させられるんだろうなぁ……。あの人、私よりヴェインの方を気に入ってるだろうし。

 

 ……ま、出来る限りの協力はしますかね。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

「ねえねえ。武闘大会、みんなは出るの?」

 

「わたしは、ちょっと……」

 

「あたしも~。なんか野蛮だし」

 

「うちは、興味あるんだけどなぁ。ねえヴェイン、一緒に出てみようよ!」

 

 さっそくアトリエで武闘大会のことを話していると、ニケが思いもよらぬアプローチ。……でもなぁ。ヴェインは無理だと私の勘が告げているんだよなぁ。

 

「え? 僕?」

 

「あー、ニケ。たぶん……」

 

「残念だが、ヴェインは予約済みだ」

 

「……やっぱり。一応聞いておきますけど、予約済みってどういうことですか?」

 

 またしても突如現れたグンナルさんに念のため理由を聞いておく。……なんとなく予想はつくがな。

 

「たった今、申し込み書を出してきた。俺様とヴェインのコンビでな」

 

「えええ!? そんな勝手な……」

 

「ヴェイン……。グンナルさんに一般常識は通じないんだよ。腹立たしいけど」

 

 がっくりと項垂れる弟の肩をぽん、と叩く。グンナルさんに常識を期待してはいけない。これ大事。参加したくなかったら、先回りして他の誰かとグンナルさんをくっつけるしかない。

 え? そんなことしたら受付の人がグンナルさんに脅される? HAHAHA、なにを言ってるんだい? そうならないための話し合い(物理)じゃないか!

 

「でも珍しいですね。グンナル先輩が学校行事に参加するなんて」

 

「ふふふ……はあっはっはっは!! 長らくかかったが、ついに目的の物を手に入れてな。見るがいい!」

 

 高笑い似合いますね。それはそうとして、目的……? グンナルさんが欲しがってた物と言えば……あっ。

 思い当たる節がありすぎる。思い出すのはグンナルさんがフルボッコにされていた相手。

 

 ……てことは、あれか。なんて考えていると、グンナルさんのすぐ隣に厳めしい顔つきの、黒を基調とした……有り体に言ってしまえば「岩っぽい」マナが現れた。

 

「あー……ついに契約したんですか。マナと」

 

「すご~い。いつの間に?」

 

「なかなかカッコいいじゃん!」

 

『やかましい連中じゃな。わしは疲れとるんじゃ。用もなく呼ぶでない』

 

 それだけ言って、マナは消えてしまった。……みんながマナを出し入れするのを見てると、うちのサルファを出歩かせてる意味が分からなくなってくる。いや本当。

 

「気難しそうなマナね……」

 

「と、いうわけだ。これからはみっちり、お前たちの相手をしてやれる。手始めに……」

 

「な、なんですか……?」

 

 じろり、とグンナルさんに見つめられたヴェインが、思わず数歩後ずさる。……がしかし、学校一のトラブルメーカーから逃げられるわけもなく。ヴェインはグンナルさんに首根っこを捕まれてずるずると連行されて行った。

 

「まずはヴェイン! さっそく特訓だ。出るからには当然優勝!!」

 

「ちょっと待ってくださ……みんな、助けて!」

 

「……頑張って、ヴェイン。君の犠牲は忘れない」

 

「リヴィー!?」

 

「た、たまにリフュールポットとかの差し入れはする、よ?」

 

「待って、ねえ待ってリヴィ、『関わりたくない』ってでかでかと顔に書いてあるよ!?」

 

『……諦めるんだな、ヴェイン』

 

「そんな、サルファまで……って痛い! グンナル先輩、いい加減引きずるのやめてくださ……って待って、どうして武器を持って……ってうわぁ!?」

 

 傍若無人なグンナルさんは、引きずるのをやめるかわりにヴェインに向けて『特訓だ!!』と叫びながら機械剣を振り回し始めた。

 ……いやぁ、うちの弟もずいぶん感情表現が豊かになってきたなぁ……(他人事)。

 

 そんなことを考えていると、『ヴェインがダメなら』とニケが私を誘ってきた。

 

「じゃ、じゃあリヴィは?」

 

「ニケ……。よく考えて? 仮に参加した場合、相手はマナと契約して絶好調のグンナルさんとそんな先輩に特訓と称してしごかれているヴェインのコンビだよ?」

 

「……そうね、うちも怪我はしたくないわ」

 

 分かって頂けたようで何よりです。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

 まあ、今は学園祭よりも課題なんだけど!

 そんなわけで学生課でいつも通り講義を受けましたとさ。

 そういえば、グンナルさんが全然使ってない予定表を見て怒ってたなぁ。……でも、私たちにちゃんとアトリエのこと説明してくれなかったグンナルさんが悪い気もするんだ。とりあえず、グンナルさんとかニケとかには採取をお願いしたけど。

 

 私? 私はアイテムの調合だよ。……え、グンナルさんがそんなまともなことを言うとは思えない? 安心しろ、私もだ。グンナルさんがその後どうなったかは……知らぬが吉、ってね。フィロの怪しげな薬を飲ませたりなんてしてないよ? グンナルさんが三日三晩寝込んだりなんてシテナイヨ? 本当ダヨ?

 

 あとは……そうだな、ニケが屋上でライブとかしてたのには驚いた。すっごく上手で、しばらく聞き惚れちゃったんだ。人もたくさん集まってて、もう学園を出たらプロになれるんじゃなかろうか。

 

 で、課題なんだけど。このぐらいになってくると、だんだん課題も難しくなってくるわけで。なんでもゴリ押しって戦法も通じなくなってきたんだけど……結果的に、勝てばよかろうなのだ。

 

 今回の課題は、『鉱物学』だ。内容は、実際に鉱物を採取してみよう! というもの。余談だが、鉱物学の講師のディオル先生が、喋るのがゆっくりで話も長く、要するにやたら眠くなる授業だった。うん、居眠りしたの初めてだよ。

 

 あと、課題のマナ遺跡に集まった後にグンナルさんが出て来て、『連携攻撃を実際にやって見せろ!』とか言ってたんだけど……ぶっちゃけ、ヴェインのアナライズを使ったら連携攻撃するまでもなく倒しちゃって気まずい雰囲気になったのは秘密だ。……俺は悪くねえ!

 そんなこんなで鉱物を採取してきましたとさ。ていうか、マナ遺跡広すぎ! そして分かりづらい! ややこしい!

 

 とまあ、なんとか鉱物を大量に採取してきて見事『優』をもぎとってきましたとも。ええ。こっそりフィロのマナに探すのを手伝ってもらったりしてませんとも。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

「あ、あの……ヴェインくん、ですよね?」

 

「え? うん、そうだけど……」

 

 いつも一緒にいるリヴィは今日はいない。何かすることがあるって言ってたけど……僕には教えてくれなかった。

 することもないから、サルファと教室で授業が始まるのを待っていると、見知らぬ女子生徒が話しかけてきた。話しかけられるなんて、あんまりなかったことだから……思わず何かしたのかと不安になる。

 

(ど、どうしようサルファ。僕何かしたのかな?)

 

(落ち着け。そんな弱気になるな)

 

(で、でも……)

 

「あの……?」

 

「わ! ご、ごめん……。それで、どうかしたの?」

 

「い、いえ……その……。今日はリヴィさん一緒じゃないんですか?」

 

 話の内容は、リヴィに関するものだった。まあ、僕と一緒にいること多いしな……。とりあえず、何かしてしまったわけじゃないみたいだ。

 

「リヴィ? 今日はいないけど……何か用でもあった?」

 

「え、ええと……」

 

「おはよー。ごめんね、なかなか終わらなくてさ」

 

 噂をすればなんとやら。眠そうに目を擦りながらリヴィが教室の扉を開けて入ってきた。

 それを見た彼女は、こちらにぺこりとお辞儀をしてからリヴィの方に走っていってしまった。何か話してるけど、よく聞こえないや。

 

「何を話してるんだろう……?」

 

『さあな。だが、あいつはそれなりに上手くやっているようだな。……お前はどうだ』

 

「僕? 僕は……どうなんだろう。よく分からない」

 

『……そうか』

 

 クラスのみんなと話すことはそう多くないし、仲良くできているのかは疑問だけど……。

 

「……でも、楽しいよ」

 

『……それなら、来た甲斐があったというものだな』

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

 ……で、次の課題が……これまた面倒そうだな。『戦闘学Ⅱ バースト』?

 

 内容が……バーストを発動させて敵を倒せ? バースト? ……ああ、あのなんか弱点つついてると使えるやつか。やっててせこいなぁ……って思うんだ。自分でも。まあ、勝てばよかろうなのだ(開き直り)

 あれの途中だと結構すごい技とか使えるし。なんだっけ、マナがどうとか言ってたけど……うん、きっとマナのテンションとか力とかがすごくみなぎってるんだ。たぶん。

 ただ、討伐対象のモンスターの説明文を読んだ時は全力でごめんと叫びに行きたい衝動に駆られた。だって、だって説明文に要約すると『永遠のぼっち』って書いてあったんだもん! すごく申し訳ない気持ちになったとも! 倒しちゃったけどね!

 

「意外とあっさり終わったね」

 

「うん……。でも、戻ったらグンナルさんに特訓させられるんだろうな……」

 

「あー……」

 

 アトリエに向かう途中でヴェインにそんなことを言われて、あはは、と苦笑いでこまかす。それにしても、本当に感情表現が豊かになってきたなぁ。私相手だからっていうのもあるだろうけど、昔は文句ありそうな表情(+ジト目)なんてしてこなかった。

 

 大体なんで僕が……なんて言うヴェインを慰めながら廊下を歩いていると、トニさんから声がかけられた。……あんなことしといて、よく声かけられるよね。

 

「……なんですか? 急いでるんですけど?」

 

「聞いたぞ。グンナルと組んで、武闘大会に出るらしいな」

 

「そうですね。宣戦布告でもしに来たんですか? なら早くしてください。暇じゃないので」

 

「リヴィ、出るのは僕なんだけど……」

 

 知らん。そんなことより早く戻りたい。……隣にロクシスくんがいなければガン無視して帰ったとも。でも、この前相談したらジェイルさんに、『ロクシスを嫌わないであげてね? あいつ、人見知りとか色々こじらせてるけど根はいい子だから』なんて言われてしまったので邪険にも扱えないのだ。そうでなくても、ロクシスくんは悪い子ではないと思うし。

 ……まあ、そのジェイルさんにトニくんも根は悪い奴じゃないんだよ? とか言われたけど。ただせこいだけで。言動と行動が小悪党みたいなだけで。

 

「そうか。君も出るのか」

 

「ロクシス……」

 

「こっちも、ロクシスと二人で出ることになってな。グンナルに伝えておけ。本番でコテンパンにしてやるってな!!」

 

「相変わらず三下っぽいセリフありがとうございます。テキトーに伝えておきますね」

 

 あー、面倒くさい。ごめんなさいジェイルさん、この底辺まで落っこちたトニさんへの評価はそうそう覆りません。

 

「できもしないことを口にするものではないぞ」

 

 そんなこんなで話しいると、階段からグンナルさん本人が現れてそんなことを言った。……ほいほいとトニさんを煽らないでくれませんかねぇ?

 

「いやがったのか……。俺たちじゃお前に勝てないとでも?」

 

「パメラに驚いて、気を失うような男が相方ではな」

 

「なっ……!!」

 

「グンナルさん、それ言わないであげてください……」

 

「ロクシス……そうなのか?」

 

 ほらー、話が面倒くさくなってきたー。

 

「くっ……覚えておけ。ヴェインともども、貴様も叩きのめしてやる……」

 

「大した自信だな……面白い。ならば一つ、賭けをしようではないか」

 

「賭けだと?」

 

 え、ちょっと待って嫌な予感がする。

 

「もし我々が負けたら、貴様の言うことをなんでも聞いてやろう。その代わり我々が勝ったら、そうだな……そのメガネを俺様のアトリエに頂く」

 

「なんでも言うことを……本気か?」

 

「いいじゃないですか。こんな奴らに負けるはずがない……その話、忘れるなよ!」

 

「自分が賞品にされてることには何も言わないの!?」

 

「お? 待て、ロクシス」

 

 グンナルさんの提案に文句を言うどころか歓迎(?)し、ロクシスくんはトニさんを置いて戻ってしまった。

 

 ……これ、私も参加した方がいいのかなぁ。とりあえず忠告はしておこう。グンナルさんに常識は通じないぞ、と。

 

「ふ、上手くいったな」

 

「先輩……どうしてそんなにロクシスを?」

 

「あいつは面白い男だぞ。特に、お前たち……主にヴェインと一緒にいる時はな」

 

「はあ……」

 

「男同士のプライドとか、そんなやつかな……?」

 

 分からん。グンナルさんの言うことが分からん。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

『グンナルさんに常識は通じないよ。気をつけないと面倒なことになるからね。じゃ、頑張れー』

 

「……何だったんだ、一体……」

 

 そんなふざけたセリフを言ってきたのは、ヴェイン・アウレオルスの姉だというリヴィ・アウレオルス。確か、兄上とも親交があるらしいが……。奴の考えていることはよく分からん。常識が通じない? どういうことだ。……分からん。

 

 最近はあまり会わなくなった兄上に、『食わず嫌いは良くないよ?』なんてことも言われたな。恐らく、あの二人のことを言っているのだろうが……ダメだ、兄上のことなどは考える気にもならん。

 

 兄上は昔から私よりも優秀だった。にも関わらず……いや、これ以上はやめよう。わざわざ嫌なことを考える必要もない。それより今は、奴らとの対決のことだ。

 

 あんなふざけた奴らに負けるはずがない。それでも、完膚なきまでに叩きのめせるチャンスだ。念入りに準備をしておくに越したことはない。

 

 それにしても……なぜあのグンナルとかいう男は、私にやたら付きまとうのだ?




鉱物学の課題で優が取れなくて、次の課題の戦闘学Ⅱの課題モンスターに八つ当たりしたのは私だけではないはず。

そして、そのフルボッコにした課題モンスターの説明文を読んでなんとなく申し訳ない気持ちになったのも私だけではないはず(偏見)!
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