Mana-Khemia ~zwei alchemist 二人目の錬金術士~   作:村人A

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今回は、パメラのキャラクエストと、リヴィのキャラクエスト(!?)です。

彼女の意外(?)な趣味が明らかに!?


第11話 個人的なピンチです!ヘルプミー!

「う~ん……」

 

 アトリエに入ると、パメラが何か言いながらふよふよと飛んでいた。

 

「あらあら……」

 

 こちらには目もくれず、ひたすらアトリエの中を見回している。

 

「え~、それはちょっと……」

 

 何なんだろう。幽霊チェックとかそんなのだろうか。

 

「む~……なるほど……」

 

「あの……どうしたの? さっきから……」

 

 ひたすらにアトリエの中を見回し、段々と不満そうな顔になっていくパメラを見かねたのか、ヴェインがついに声をかけた。

 

「ダメだわ。このアトリエは、間違ってるわ」

 

「はっ? ダメって……?」

 

「俺様のアトリエに、なんの不満があるというのだ」

 

 確かに、先輩や名前はともかく、アトリエとしては使いやすく、別段不満はない。

 しかし、どうやらパメラはこのアトリエがお気に召さないらしい。

 

「可愛くないの殺風景なのもっとファンシーでないと、あたしイヤ!」

 

「あー……なるほど」

 

 まさに立て板に水。一息で一気に言い切ったパメラに、なんだそういうことかと納得する。

 

「それは確かにそうだけど……でもアトリエだよ?」

 

「いやなの~、こんなところで生活したくないの。はあ……もう図書室に帰ろうかしら」

 

「あ、図書室で生活してたんだ……」

 

 初めて知った。

 

「そんなワガママ言われても……」

 

「せっかくアトリエに入ったのに……期待に胸をふくらませていたのに……。それが、こんなに可愛くない場所だったなんて……。しくしく……」

 

「……それはグンナルさんに期待したらいけない類のものでは?」

 

 グンナルさんに、可愛さとかファンシーとかを求めてはいかん。これ、常識。

 

「わ、わ。泣かないで。ね?」

 

「ヴェインよ。女を泣かすとは、男の風上にもおけんな」

 

「ぼ、僕が悪いんですか?」

 

「うわぁ、ヴェインに責任転嫁したよこの先輩……」

 

 どう考えても、ヴェインのせいではない。絶対ない。確実に、面倒だと思ったグンナルさんがヴェインに押し付けるための大義名分だと思う。

 

「責任をとって、この部屋をふぁんしぃにしてやれ」

 

「そんな……ここは先輩のアトリエじゃ……」

 

「だめだめ。グンちゃんにファンシーが理解できると思う?」

 

「……ちょっと、見てみたい気もするけど」

 

 むしろ、ヴェインなら理解できると思っているのか。ニケ……。一応ヴェインも男の子なんだけどね?

 そして、ヴェインに押し付けた当の本人は『では、任せた。俺様は……しばし旅に出る!』とか言って逃げていった。

 

「しくしく……さめざめ……」

 

「困ったな……あのさ、パメラ。僕がなんとかするから、もう泣かないで」

 

「あ、それ言っちゃう?」

 

 なんか勘が告げているんだよなぁ。絶対にパメラのこれは嘘泣きだと。

 

「まあ、本当! それじゃあまずはお人形。個性的なのがいいわ~。かわいいのも欲しいわね……。あたしのクマにお友達が必要ですもの。あとはそうね~……ケーキとかあると素敵かも!」

 

「そ、そんな一辺に言われても……」

 

「あー……、それ、全部用意してくるの? 大変そうだなぁ」

 

「わー、頑張ってー」

 

 手伝う気が微塵もないニケ。まあそんな気はしてた。だってニケだもの。

 

「そんな、ニケも手伝ってよ!」

 

「うん、それじゃあ一応私は手伝うかな。ヴェイン一人に任せるのは気が引けるし」

 

「リヴィ……ありがt」

 

「あと私の分のケーキ欲しいし」

 

「そっちが目的!?」

 

「うふふ、楽しみだわ~」

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

「……で、頼まれたのが……ワシリーサの人形、チーズケーキ、ぶらうにマスク?」

 

「うん……。人形は前に作ったのがあるからいいとして……問題は、チーズケーキとぶらうにマスクだね」

 

「ぶらうにマスクって、ブラウニー倒すとたまに落ちてるやつでしょ? それなら私持ってるよ」

 

 ブラウニー狩り倒してたことあるからね。アルバイトで。

 

「そう? それじゃあ、大丈夫だね。あとは、チーズケーキか……」

 

「材料ならいっぱいあるし、ついでにカボ芋のパイも作ってよー。どうせチーズケーキも多目に作るんでしょ?」

 

「……まあ、いいけど」

 

 ヴェインの作るケーキは美味しいのだ。女の子としてどうなのかとかそういった理屈が吹き飛ぶほどに美味しいのだ。身内贔屓? 入っているに決まっているだろう何を当たり前のことを言っている? ……まあ、それはさておき。プロ、とまではいかないが本当に美味しい。

 

 具体的には、『趣味で少しかじった』程度か。

 

 錬金術で作ったチーズケーキを手料理と呼べるのかどうかは微妙だが。

 

「……うん、出来たよ。それじゃ、パメラのところに持っていこうか」

 

「はいはーい」

 

 で、結果。

 

「わあ~、ありがとう! これで素敵なアトリエになるわね~」

 

「……これ、下手したら集めるのに三日くらいかかるやつだよね……」

 

 ぶらうにマスクとかそうそう見かけないんだよ? たまたまブラウニー狩りしてたからたくさんあったけど。

 

「早速飾り付けなくちゃ~。ね、手伝ってくださる?」

 

「ええ? 飾り付けまで?」

 

「手伝ってくれないの? 女の子一人に働かせるなんて……ひどいわ」

 

「分かった、分かったよ……」

 

 ヴェインは女の子の涙(でもたぶん嘘泣き)には勝てなかった。パメラも、意外とヴェインのことこき使うなぁ。そんなに気に入ったのかな?

 

 一応、私も一緒に飾り付けをしていると、パメラの要望が細かい細かい。結構こだわるタイプらしい。

 

「そのお人形はそこで……あ、もうちょっと向きをこっちに~」

 

「こう?」

 

「バッチリよ~。あとはそうね~……その本棚を横にずらして……」

 

「これはさすがに、私たち二人じゃ無理だと思うよー?」

 

「そう? 残念だわ……。じゃあ後は、このカーテンをお願い~」

 

「いつの間に、こんな物を……。この窓でいいの?」

 

「うん。あ! でも~……」

 

「な、なに?」

 

「アトリエだと、せっかくのカーテンが汚れちゃう……そうだわ、もったいないから図書室に飾りましょう。手伝ってくれるわよね?」

 

「はあ……いつになったら解放されるんだろう……」

 

「……それ、言ったらダメ」

 

 結局、パメラの『お手伝い』が終わったのはその日の夕暮れだった。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

 その日は、珍しくリヴィがヴェインと別行動……というか、彼女にしては長い時間寝ている日であった。

 具体的に言えば、いつも彼女が起きるのは大体ヴェインの一時間前。時間で言えば5時半頃である。

 

 しかし、今日の彼女は休日であるとはいえ、らしくもなくヴェインが迎えに行っても全くやって来なかった(寮は完全に男女別なので中には入れない)。彼女の隣の部屋であるという女子生徒の『今日は先に行っていてくれ』という伝言を受け取ったヴェインは、不思議に思いながら一足先にアトリエに向かったのだった。

 

 さて、今日はワシリーサの人形でも作りに行こうか、と材料のニクロ布やらをアトリエの倉庫から引っ張り出そうとして……気付いた。

 

「……あれ? ニクロ布がない?」

 

 かなり多目に作っておいたはずのニクロ布が欠片も見当たらなかった。誰か使ったのだろうかと首を傾げ、仕方ないからニクロ布から作ろうとして、材料を探し始めたが、しばらくしてからまた首を傾げた。

 

「ふさふさも……これだけしかなかったっけ……? 少ししかないや」

 

 ニクロ布の材料であるふさふさも、全くないとまではいかないがかなり減っていた。幸い、必要な数は十分足りる程度の量はあったため、明日辺りにまた探しに行こうと決め、ヴェインはアタノール室に向かった。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

「あれ……増えてる」

 

 翌日。またもやリヴィは寝ているため、ヴェインは一人でアトリエに来ていた。補充するため、残りのふさふさを確認してから旧校舎にでも行こうかと考えていたヴェインであったが、なぜか昨日ずいぶんと減っていたはずのニクロ布とふさふさが、元々あったぐらいの量に戻っていた。

 

 使った人が、補充してくれたのだろうか。

 

 不思議に思うが、戻してくれているならば別に文句はない。ただ、事前に連絡を入れてくれれば楽なのだが、とは思う。

 

 ……しかし、それから約一週間。減っては戻る、という似たような状況が繰り返し起きていた。無くなるのは主にニクロ布やふさふさなどの素材アイテムばかりだ。

 さすがに一週間も経てば、他のアトリエメンバーも気が付く頃である。

 

 ……そして、戻っているとはいえ、なくなっていく材料のことを知ったら、犯人を知りたくなるのが人の性というもの。では、それにノリノリで食ってかかるのは誰か?

 

 言うまでもない。……アトリエ一、いや学園一のトラブルメーカーことグンナル・ダム以外に有り得ない。

 完全に悪ノリしたグンナルのもと、第一回アトリエ会議が開かれることになったのであった。

 

「さて……ここ最近、アトリエの材料の一部がなくなっているのは知っているな?」

 

「うん。でも、次の日には戻ってるんでしょ? うちは全然気付かなかったけど」

 

「ニケちゃん、あんまり錬金術しないもんね……」

 

 と言うフィロが錬金術をすると十回に四回は失敗して、ヴェインたちがアトリエの掃除に駆り出されることになるのだが。

 

「えっと……なくなっているのは、ほとんどがニクロ布とふさふさで、次の日には完全に元通りになっていました」

 

「……つまり、犯人はアトリエのメンバーの誰か、ということだな」

 

 うむ、と重々しく頷く。アトリエの材料を持って行き、なおかつ次の日に補充しているということは、頻繁にアトリエに出入りできる人物であるということだ。

 まあ、仮に犯人が見つかったとしても、特に何かしようというつもりもないのだが。

 

「では本題だ。……こんなことをしそうな人物に心当たりは?」

 

「……ねぇ、アトリエメンバーがやってるなら別に放っておけばいいじゃん。ちゃんと戻ってるんでしょ? 他のアトリエの人が来てるなら問題だけどさ?」

 

 と、寝不足だというリヴィが発言した。いつもこういったことにはノリノリな彼女にしては珍しい消極的な意見に、皆の注目が集まる。……怪しい。

 

「な、何……?」

 

「……リヴィよ。もしや、貴様が犯人ではないのか?」

 

「確かに……怪しいわね~」

 

「え、ちょっ」

 

「それじゃ、リヴィちゃんの部屋に行ってみようよ! そしたら、何か分かるかも!」

 

「うぇぇ!?」

 

 じりじりと歩み寄ってくるアトリエメンバーに、思わずリヴィが後退る。その目には、怪しい光が見えた。

 

「ちょっと待って!? あなた達、絶対に私の部屋を見たいだけだよね!? うわ、フィロ!? 何を……っ」

 

 フィロが突然、リヴィの制服のポケットを漁り始めた。引き剥がそうとする前に、フィロが手を離して片手を掲げた。その手にあるのは、金属質な光を放つ鍵。

 

「んー……あ、あった! 寮の鍵! みんなー、これで入れるよー!」

 

「ちょっとぉぉぉ!?」

 

 そう、フィロが探していたのは寮の鍵だったのだ。リヴィが取り返そうと手を伸ばすも、ひょいひょいと避けられてしまう。

 10分ほど同じようなことを繰り返し、リヴィは諦めたようにがっくりと項垂れた。

 

「もう……いいよ……好きにしなよ……」

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

「へー、リヴィちゃんの部屋って、こんな感じなんだー」

 

「あらあら~、可愛いわね~」

 

「……うう」

 

 所変わってリヴィの部屋。男子ということでグンナルとヴェインは寮の外で待っている。正直グンナルは壁を登ってくるかと思ったが、さすがにそこまでして覗きにはこないらしい。それを本人に言ったら『失敬な。俺様にも良識はあるぞ』と言われた。ただし常識はないのでは? と言い返したくなったリヴィであった。

 

 一方、女子寮の入り口で待機しているヴェイン。そう言えば、と昔からリヴィが隠れて何かしていたのを思い出していた。

 

「ねえサルファ、リヴィが昔から何かしてたんだけど、何をしてたんだろう?」

 

『……ああ、あれか。別に知られても構わないとは思うがな』

 

「知ってるの?」

 

『本人からは口止めされているが……』

 

 と、そこまで言ってサルファはくぁ、と大きな欠伸をした。

 

『……まあ、部屋を漁られたらバレるだろうな』

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

「……あれ? これって……」

 

「どしたのフィロ? 何か見つけたー?」

 

「うん、この棚……」

 

 そう言ってフィロが指差したのは大きめの棚。それを見たリヴィは、凄まじい勢いで止めに入った。

 

「ちょっと待ってたんまたんまたんま!! そこはダメっ!」

 

「怪しいなぁ……。開けちゃおう!」

 

「そだね。えいっ!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 ばたん! と大きな音を立ててフィロが棚の扉を開くと、そこにはあったのは。

 

「あらあら~。可愛いわね~」

 

「これって……ぬいぐるみ?」

 

 棚の中には、うさぎにクマ、モンスターのキノアラやぷにぷになどの、大小様々なぬいぐるみが置かれていた。

 それぞれ一つ一つが丁寧に作られたのだと分かる出来映えだった。多いのはライオンなど、猫科動物のぬいぐるみ。中にはサルファのぬいぐるみもあった。

 

 小さくデフォルメされている物もあれば、実際の動物のようにリアルな物も存在しており、まるで小さな動物園のような感じだった。

 

「あぁ……バレた……」

 

「……もしかして、これを作るのに材料を持って行ってたの?」

 

「うう……もうダメだぁ……おしまいだぁ……」

 

 近くにあった手頃なぬいぐるみを手に取り、ニケがリヴィに問いかけるも、頭を抱えて部屋の隅にうずくまっているリヴィには聞こえていなかったが、ほぼ確定だろう。

 パメラはよほど気に入ったのか、ふよふよと浮かせてじろじろと眺めている。

 

 それはフィロとニケも同じであり、二人とも気になったぬいぐるみを手に取って眺めていた。

 

 フィロが持っているのはコボルドのぬいぐるみ。もふもふとした毛の感触が気持ちいい。

 

 ニケが持っているのはベアのぬいぐるみ。実際のモンスターの特徴であるきりりとした勇ましい(?)目はつぶらな瞳に、少しごわごわした毛皮も再現されている。

 

 パメラが持っているのは、うさぎのぬいぐるみ。ピンク色で、同じピンク色のパメラの持っているクマと並べてもとても愛らしい。

 

 ちなみに、飾ってある物の中でも一番出来が良いように見えるのはライオンのぬいぐるみである。

 

 他にも、ペンギンのぬいぐるみなど、種類は多岐に渡る。

 

 女子勢が可愛いとかなんとか言いながらぬいぐるみを愛でている傍ら、製作者(推定)であるリヴィはひたすらに部屋の隅で膝を抱えて体育座りをしていた。

 

 ……ふと、三人は思った。これほど愛らしいぬいぐるみ。オーダーメイドは出来ないものだろうか、と。

 

 互いに顔を見合せ、同じことを考えていると確信した三人は、何とかしてリヴィを説得することを決めたのだった。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

「……結局、リヴィが犯人だったの?」

 

『ああ。あいつは昔から器用な奴でな。お前の目を盗んではずっとぬいぐるみやら何やらを作っていた』

 

「全然気付かなかった……」

 

 確かに、昔からぼろぼろになった服を直してたりするのは得意だった。釣竿や枝に引っ掛けて破れてしまった服を直してもらった回数は数え切れない。

 

 しかし、ぬいぐるみを作っていたなど、今の今まで全く知らなかった。そう言うと、サルファは『知られたくなかったみたいだからな』と言って昼寝を始めてしまった。

 

「でも、知られたくなかったって……なんでだろう?」

 

 実は女の子らしい趣味があったとは知られたくなかったから……という秘められた理由を、知る由などなかったヴェインであった。

 

 その後、アトリエメンバー(主に女子)にぬいぐるみを作ってもらえるように力説されたリヴィが、副業のようなものとしてぬいぐるみ作りを始め、アトリエのブランドとして密かに有名になるのは、また別の話。




さぁて、次のキャラクエストは誰にしようかな!

原作で書かれていない部分を想像して書けるのって、二次創作の魅力ですよね。
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