Mana-Khemia ~zwei alchemist 二人目の錬金術士~   作:村人A

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ロクシスの闇は深い……(笑)

そんな感じの12話です。あれー、私ってシリアス好きなのかなー。ツンデレ的なロクシス書こうとしてたのになー。

……違う、これは布石だ。ブラコン兄貴にデレるまでの布石なんだ(錯乱)


第12話 ジェイルさんのプレゼント計画。……あれ、ロクシスくんが怖い?

「ロクシスくんにプレゼントがしたい?」

 

「うん。僕じゃもういいアイデアがなくてねー……」

 

 個人的な少女趣味(?)がバレた三日後。何とか立ち直り、そう言えば来月はヴェインの誕生日だったな、プレゼント用意しなきゃなー……なんて思っていたら、突然ジェイルさんに呼び出された。

 呼び出された、と言っても大したものではない。単純に、ちょっとお話しようよ、といった感じである。要はお茶会のようなものだ。

 

 何だろうかと思っていたところ、ジェイルさんが神妙な顔で『ロクシスにあげるプレゼントって何があるかな?』と尋ねてきたのだ。

 これには、さすがの私も驚いて思わず『はっ?』と適当な答えを返してしまった。

 

 しかし、生徒が休日とはいえ、教師であるジェイルさんは仕事が詰まっているのではないだろうか?

 

「ん? ああ、仕事? 大丈夫大丈夫、僕基本的に暇人だから」

 

「はあ……」

 

 笑顔でそう返されてしまった。いや、仕事がないならいいんだけど……。

 本人も話す気はないみたいだし、そこら辺のジェイルさんの事情は、また次の機会に聞くことにしよう。

 

「で、何だって私に聞くんですか? ロクシスくんへのプレゼントなんて……」

 

「それがね……。僕はロクシスが生まれてから17年間、毎年毎年プレゼントを贈っていたんだけど……」

 

「はあ」

 

「……どうも、僕が教師になってから避けられてるみたいなんだよね……。そのせいで、ロクシスが欲しがってる物も分からないし、そもそもプレゼントを渡せないんだ」

 

「はあ……」

 

 避けられてるって……何で? 確かに、(人のことは言えないけど)ジェイルさんは自他共に認めるブラコンだし、教師と生徒という関係からしても話しづらいのは分かるんだけど……。

 

「ま、その辺は置いておくよ。とりあえず今は、プレゼントをどうにかしたいんだ」

 

「うーん……じゃあ、ジェイルさん。今までロクシスくんには何をあげてましたか?」

 

「ん? そうだなぁ……」

 

 昔あげた物と被らせるのも嫌なので一応聞いてみると、ジェイルさんは指を折りながら数え始めた。

 

「確か……6歳頃までは玩具、それからは本とかちょっと高級な筆記具とかかな?」

 

「なるほど……」

 

 いかにもロクシスくんが好きそうな物ばかりだな。本に筆記具、か。

 むー……。困ったなぁ。思い付かないや。

 

 ……あ。

 

「ジェイルさん、錬金術関連の道具ってあげたことあります?」

 

「錬金術関連……? あ、その手があったか! ナイスだリヴィくん!!」

 

「お安いご用です!」

 

 どうやら、まだ贈ったことがないようだ。まあ、ロクシスくんが入学したのはつい最近だし、まだあげてなくてもおかしくはないか。

 で、問題は何をあげるかなんだけど……。

 

「うーん……とりあえず、ロクシスは勉強が好きだからなぁ。ノートは確定だろう? それと……フラスコとかかな」

 

「あとは……ロクシスくんが使ってるカードとかは?」

 

「おお、いいアイデアだね! 確か、ロクシスが使ってるのはアストラルカードだよね。それじゃ、早速……あれ?」

 

「どうかしましたか?」

 

 がさごそと素材が入っているのだろう箱を漁っていたジェイルさんが、ふと首を傾げて動きを止めた。

 

「困ったなぁ……。材料が足らない」

 

「……何がないんですか?」

 

「ゼッテルが足らないんだ。ベークル聖紋紙っていうのを作るのに使うんだけど……。」

 

「あ、それなら私作ってきましょうか?」

 

 そのベークル聖紋紙とやらは知らないけど、ゼッテルなら作れる。

 教師が作った物には勝てないだろうが、少なくとも店で買うよりは品質は良いはず、と自負している。

 

 それに、ゼッテルは意外とよく使う物だから、多目に作っておこうと思っていたところなのだ。

 

「それじゃ、お願いしようかな。三枚くらいあれば十分だよ」

 

「はいはーい。お任せくださいな」

 

 『ごめんねー』と言いながら手を振っているジェイルさんに見送られ、私は一旦アトリエに戻ることにした。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

 そんなわけで、出来うる限り最高品質のゼッテルを作って来ました。具体的にはエーテル値100。

 

「ジェイルさーん。ゼッテル三枚持ってきましたー」

 

「お、早かったね、ありがと……って、これエーテル値100……? す、すごいね」

 

「? うちのアトリエならほとんどみんな出来ますよ? グンナルさんは知りませんけど」

 

「思ったよりもすごいアトリエだったみたいだね……」

 

 ……何かジェイルさんの顔がひきつってる。何でだろう? 本当に、うちのアトリエのみんななら楽勝なんだけどなぁ……。

 

 フィロはヘンな薬を入れなければ、ニケは集中が続けば、パメラはそもそもやらないけど、という注釈はつくが。

 

 ヴェイン? HAHAHA、言うまでもないじゃないか。アトリエナンバーワンはヴェイン。異論は認める。ただし聞き入れる気はない。

 

「……まあ、いいか。生徒が優秀なのは僕たち教師が望んでいることだし。ともかく、これで作れるね」

 

「そうですね。それじゃ、出来るまで待ってますね」

 

「ごめんねー、何から何まで」

 

「いいですって。いつもお世話になってるんですから」

 

 お茶会とかね。そこで出してくれるお菓子と紅茶とかね。美味しいの。

 ……あ、誤解のないように言っておくけど、別にジェイルさんが私を特別扱いしてるわけじゃないよ。

 

 本人が言ってるみたいに、ジェイルさんはあんまり授業に出ない。性格も明るくて、悩み事の相談にも真摯に対応してくれる。

 ゼップル先生に続き、人気が高い先生なのだ。というより、ジェイルさんの方がゼップル先生よりも頼りがいがありそうという理由で、ぶっちゃけジェイルさんの方が人気なんだけど。

 

 そんなわけで、ジェイルさんのお茶会は学園中の女子生徒が知っている。むしろ、ほとんどの生徒がジェイルさんのお茶会に参加したことがあるのではないだろうか。

 

 本人にそう伝えると、『教師として当たり前のことをしてるだけなんだけどなぁ……』という、何とも言えない苦笑のような表情でそう言われた。

 

「……よし、出来た。あとは、包装してロクシスの部屋に置いておくだけだね」

 

「え? 直接渡さなくていいんですか?」

 

「本当はそうしたいんだけどね……。ほら、さっきも言っただろう? ロクシスは僕のことを避けてるってさ」

 

 眉を困ったように八の字にして、包装用の紙を取り出す。器用にカードとノートを包装し、フラスコは別の袋に入れ、錬金術で作った紙で包んで保護している。強度は折り紙付きだそうだ。

 

 最後に、達筆な字で『Dear,Loxis(親愛なるロクシスへ) From,Jail(ジェイルより)』と手紙に書いて封をした。

 

「器用ですね、ジェイルさん……」

 

「ん? そうだなぁ……まあ、手先が器用なのが取り柄みたいなものだし。趣味もアクセサリとかを作ることだしねぇ」

 

「へえ……」

 

 いわく、錬金術の応用で作るらしい。アタノール室で作るのと似たような感じだろうか。

 あれ、不思議だよね。錬金術なのは分かるけど、それがどんな原理っていうか、どうやってるのかが分からないんだよね。

 

 前に気になって、アタノール室のおじさんに聞いたことがあるんだけど……なんだっけ。

 確か……溶かして、混ぜ合わせて、抽出して中和して形を整える……だっけ。

 

 錬金釜だと火力が足らないから、アタノールっていう特別な器具を使うんだって言ってたかな。錬金釜の改良の研究は今も進められてて、その内アタノールもいらなくなるかもしれないって遠い目で言ってたのが忘れられない。

 

「その内君たちにも出来るようになるよ。錬金術の応用って言っても、ちょっといじるだけだし。精々、宝石の形を整えたり、装飾を少し凝ったものにするくらいだね」

 

「なるほど……」

 

 ある程度授業が進めば、勝手に出来るようになるよ、と締めくくり、ジェイルさんは包装作業をしていた紙から手を離した。出来上がりは上々。

 あとは、ロクシスくんの部屋に置いてくるだけ。よっ、と軽い声を出してジェイルさんが立ち上がった。

 

「色々とありがとう、リヴィくん。助かったよ」

 

「いえいえ。さっき言った通り、いつものお礼ですから」

 

「はは、それじゃありがたく受け取っておこうかな」

 

 にこりと笑って、ジェイルさんは部屋から出て(私は先に出ていた)男子寮の方に向かって行った。

 

 ……さて、私も帰ろうか。すっかり忘れそうになっていたけど、あと二日もすれば再び授業が始まる。

 色々と支度をしないと。

 

 あ、そうだ。ヴェインの誕生日プレゼント、私も考えておかないと。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

 翌日。

 

 ベッドからのそのそと起き上がってきたロクシスは、枕元に小さな包みと中くらいの袋と、添えられている手紙に気付いた。

 

 気だるげに手紙に書いてある差出人を見ると、予想通りの名前が書いてあった。

 

「…………」

 

 破り捨てようか、と考えて、一応読むだけはしようとペーパーナイフで封を切った。

 

『やあ、おはようロクシス! 今日も元気かな? 僕は元気だよ! まあロクシスが元気じゃなかったら、一気に元気じゃなくなるけどね!』

 

 ビリっ、という音が手元から聞こえた。どうやら無意識の内に破りそうになっていたらしい。

 続きを読もうとして、必死に破りそうになる手を何とか精神で抑えつけた。

 

『とまあ、おふざけはこれくらいにして。ロクシスに誕生日プレゼントを用意したよ。中身は君の目で確かめてほしい。ああ、もちろん変な物は入れてないよ?』

 

 それからしばらくは他愛のない話が続いた。学園の噂や最近の趣味。そして、ローゼンクライツ家の近況など。

 

 三枚ほどあった手紙が残り一ページに差し掛かったところで、ロクシスはほとんど流して読んでいた目を止めた。

 

『……そうそう、前にも言ったと思うけど。君は人を見る時、その人の第一印象だけで判断してしまうきらいがある。食わず嫌いはよくないぞ?

 僕は君じゃないから、一体何を以て『嫌悪対象』とするかは分からないけれど、()()()()()()()()()()()()()としては、余りおすすめできることではない。

 

 教師であり、家では君の()()の立場である僕が口出しできることではないのかもしれないけど、対人関係は円滑にしていくに越したことはないからね。

 ああ、アトリエのみんなによろしくね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、仲良くしてね』

 

「…………」

 

 何故かは分からないが、ヴェインたちとの決闘の話は完璧にバレているようだ。ロクシスは一つため息をついて、持っていた手紙をびりびりに破り捨てた。

 

 プレゼントも捨ててしまおうかとも思ったが、もったいないので一応もらっておくことにした。

 

 中身を確認したロクシスは制服に着替え────

 

「…………くそっ」

 

 ────だぁん! と部屋の壁を思い切り殴りつけた。

 

「………………あなたには、関係ない」




リヴィ「リヴィと!」

ヴェイン「……ヴェインの」

リヴィ「錬金術講座~!!」

ヴェイン「……何これ」

リヴィ「作者が勝手に始めた、マナケミア及びこの作品についての解説コーナー(不定期)」

サルファ「まるで意味が分からんぞ……」

リヴィ「そんなわけで! 疑問点などがあれば、遠慮なく!」

ヴェイン「教えてください……」

サルファ「……一体どうなることやら……」
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