Mana-Khemia ~zwei alchemist 二人目の錬金術士~   作:村人A

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や、やっと終わった……。


第二章 期末試験とメガネの転校生
第4話 ブラコン?失礼な。家族を愛していると言って欲しいな!


「あとはここに、ヤドクタケを加えて、と……」

 

「お、これで完成?意外と簡単だったね」

 

「うん。あと十分くらい煮込まないといけないけど……」

 

 

 アトリエ存続の危機から少し。今は授業の復習として簡単な解毒薬を作っている……ん、だけど。

 

 

「うーん、ちょっと色が地味じゃない?ここは、フィロ特製、謎の赤い液体を入れれば、きっとキレイに……」

 

「全力でお断りします」

 

 

 とまあ、このように。フィロがことある度に怪しげな薬をぶち込もうとするので、教科書通りに作るのが難しい。いや、ちゃんと全部却下してるけどね?

 

 なんとか教科書通りに作り終えて、ほっと一息ついていると、ニケが息を切らしながらアトリエに駆け込んできた。

 

 

「ごめーん!遅くなっちゃった。ね、ね、聞いて聞いて!」

 

「どしたの?」

 

「今日ね、うちのクラスに転入生がきたの」

 

 

 へえ、転入生かぁ。でも、こんな中途半端な時期に来るなんて珍しいんじゃないかな?

 

 

「あれはきっとワケアリね。怪しい匂いがプンプンしてたわ」

 

「どんな人なんだろう……」

 

「うむ、確かに気になるな」

 

「わあっ!?」

 

 

 アイエエエ!?グンナルさん!?グンナルさんナンデ!?

 

 背後にいきなり現れたグンナルさん。あなたはニンジャか何かか。

 

 

「い、いきなり出てこないでください……」

 

「ふ、俺様の気配を感じ取れないようでは、まだまだだな」

 

 

 ドヤァ、と効果音が付きそうな顔でふんぞり返るグンナルさん。結構びびったんですけど。いつの間にいたんですか本当。

 そんな私の内心でのぼやきは聞こえない(当たり前だが)。

 

 

「それより、その転校生とやらの話を聞かせてみろ」

 

「うん。ロクシスって言ってね、ローゼンクライツ家っていう名門の一族なんだって」

 

「ローゼンクライツ……聞いたことあるよ。何百年も前から、錬金術の研究をしている家系だよね」

 

「そうそれ。こないだまでは普通の学校に通ってたみたい。性格は一言で言うと……イヤな奴っぽかったかな」

 

 

 ニケの言葉に、グンナルさんの顔が悪巧みをしている時のものになる。あ、これは勧誘しに行く気だな。

 

 

「名門に生まれたイヤな奴……面白い!往くぞ、ヴェイン、リヴィ!よそのアトリエにとられてはかなわんからな!」

 

「やっぱりかー!そして私たちも道連れー!?」

 

 

 必死の抵抗むなしく、私とヴェインはグンナルさんにずるずると引き摺られて行く。売られていーくーよー。

 

 グンナルさんにドナドナされながら、私はこっそりため息をつくのだった。……まあ、興味はあるけどね!

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

「奴だな」

 

「あの、グンナルさん。手を離して……ぐえっ」

 

「ちょ、先輩!?首!首絞まってます!リ、リヴィの顔が真っ青です!」

 

 

 少しばかり生死の境をさ迷いながら、なんとか転校生の来たというクラスにたどり着いた。

 グンナルさんに目をつけられた哀れなターゲットは、教室の壁に寄りかかって本を読んでいた。俗に言うぼっちである。見た目は長い金髪にメガネ。うん、なんかイヤな奴っぽい。

 

 

「さあ行くぞ。玉砕あるのみ!」

 

「玉砕したらダメでしょうよ!」

 

 

 ずんずんとメガネの転校生に近づいていくグンナルさん。ちなみに私たちは現在進行形で引き摺られている。そろそろ離して……。首は緩くなったけど引き摺られてることに変わりはないんですけど。ねえってば。

 

 そしてついにメガネくんの前に到着。グンナルさんがいつものように腕を組んで仁王立ちする。さすがに知らないふりはできないのか、メガネくんが読んでいた本から顔をあげて訝しげ……というか面倒くさそうにグンナルさんを見た。

 

 

「……何かご用ですか?」

 

「貴様が転入生だな?」

 

 

 さすがグンナルさん。初対面の人に対しても接し方が変わらない。そこに呆れる、憧れない。ほら見ろ、メガネくんがすごい嫌そうな顔をしてるじゃないか。

 

 

「質問したのはこちらが先ですが」

 

「噂通りのイヤな奴だな。気に入った!」

 

「面と向かってイヤな奴呼ばわりは、さすがに不愉快ですね」

 

 

 呆れがますます強くなる。先輩、コミュニケーション能力は大丈夫ですか。素直さと無遠慮は違うんですよ。

 

 しかしそんなメガネくんのことなど気にしないグンナルさんという人物だった。ここまで行くともう尊敬に値するよ……。

 

 

「みなまで言うな!貴様も俺様のアトリエの一員にしてやろう!」

 

「用件はそれですか。でしたら……」

 

「はっはっはっ!残念だったな、グンナル!」

 

「む、その声は!」

 

 

 悪役(ただし三流とかしたっぱ)のような高笑いをしながら現れたのは……!

 

 

「あ、(グンナルさん曰く)悪の手先(笑)」

 

「誰が悪か!誰が!相変わらず失礼なヤ……」

 

「って、グンナルさんが言ってました」

 

「グンナルゥゥゥゥゥ!!またテメエかァァァァァ!!!……っと、そうじゃねえ!ロクシスはとっくに俺たちと契約済みだ」

 

「そーゆーこと。悪いわね」

 

「なんということだ……」

 

 

 目を見開き、呆然としているグンナルさん。いつもしてやられている(んだと思う)グンナルさんを出し抜いたことが嬉しいのか、えーと……ト……トムじゃなくて……ああ、トニだ。あ、一応先輩(笑)もつけておかなきゃ。が煽りにかかる。

 でもトニ先輩(笑)。グンナルさんを挑発した場合、このフリーダム問題児に何か言われて逆に切れるのはあなただと思うんですがね。

 

 

「これほどの人材が、みすみす悪の手に渡ってしまうとは……!」

 

「だーかーらー、誰・が・悪・だ!」

 

 

 ……ほら。言わんこっちゃない。ていうか正直隣でおろおろしてるヴェインを連れてさっさと帰りたいんですけど。

 

 

「用事が済んだのなら、お引き取り願いたいのですが」

 

 

 グッジョブ!ナイスだ少年ッ!!

 

 

「くっ、覚えておけ!俺様の敵となったこと、必ずや後悔させてやる!」

 

「あ、先輩!?」

 

 

 捨て台詞を吐いて退散していくグンナルさん。今度はこっちが悪役っぽいな。

 ともあれ、これでやっと帰れる。ちょこっとメガネくんにお礼をしてから帰ろうかな。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

 私をアトリエに勧誘しに来たらしい三人組を追い払い、やっと読書に戻れると思っていたら、三人のうちの一人の少女になぜかグッ!とサムズアップされた。なぜだ。

 

 それはさておいて、これでやっと静かに────

 

 

「あのグンナルが捨て台詞なんて、よっぽど悔しかったのね~」

 

「はっはっは!いい気味だ!」

 

「……先輩方もお引き取りください。読書のジャマです」

 

 

 訂正。騒がしいのはこちらの先輩も同じだった。

 

 

「かわいげのないヤツだな……。まあいい。今の俺は最高に気分がいいからな!」

 

「……一つ、お伺いしたいのですが」

 

 

 かわいげがない?放っておけ。『兄上』にも何度も言われたのだ。今さら貴様に言われるまでもない。

 

 まあ、それはいい。

 

 問題はそこじゃない。

 

 

「ん?なーに?」

 

「今、グンナルとかいう男と一緒にいた彼らは?」

 

「ああ、あの子たちがヴェインとリヴィよ。アウレオルス姉弟。うちの先生がご執心の、ね」

 

「ヴェインと、リヴィ……そうですか。奴らが……」

 

 

 ────才能あるものか。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

 いやあ、メガネくんのおかげで助かった。敬意を表して、これからはロクシスくんと呼ぶことにしよう。え、そこは普通名字じゃないのかって?だって呼びにくいじゃん、『ローゼンクライツくん』なんてさ。

 そんなわけで、悔しそうなグンナルさんと別れ、ヴェインと一緒に寮に向かおうとすると、ロクシスくんとよく似た声が聞こえた。

 

 

「おーい!君たち!ヴェインくんとリヴィくんだよねー!」

 

「はい?」

 

 

 そう言いながら廊下の反対側から走ってきたのは金髪を後ろで束ねた男の人。服装からしてたぶん教師だろう。

 かなり急いで走ってきたのか、息を切らしながらこちらに近づいてくる。見た目は一言で言うと大人版ロクシスくん。よく似ている。

 

 

「いやあ、ごめんごめん。うちのロクシスと話してたみたいだったからさ。少し話が聞きたくて……」

 

「いや、話って言っても……そんなには話してないですし、それにあなたは……?」

 

「ん?ああ、そういえばまだ名前を言ってなかったね!まあ、入学式の時に教師全員の名前と顔を覚えろ、なんて無理な話か」

 

 

 あはは、と笑いながら話す大人版ロクシスさん。やっぱり教師らしい。でもなんかフレンドリーな人だなぁ……。ゼップル先生とかみたいな。

 

 

「僕は、ジェイル・ローゼンクライツ。一応ロクシスの兄をやっているよ」

 

「どうも。リヴィ・アウレオルスです」

 

「ヴェイン……です」

 

 

 後ろで小さく挨拶をするヴェイン。かわいい。

 

 ぽやー、と、困ったようにしているヴェインを見つめる私をまじまじと見つめるジェイルさん。

 ちょっと恥ずかしいところを見られてしまったのだろうか?しかし、ジェイルさんが言ったのは別のことだった。

 

 

「君がヴェインくんだね?疲れているみたいだし、今日はもう戻るといい。リヴィくんの方にお話を聞かせてもらうから。ああ、心配しなくていい。大した時間は取らないからね」

 

「は、はあ……。リヴィ、どうしよう?」

 

「んー……私は別に戻ってもらってて構わないよ。あのフリーダムな先輩に付き合って疲れたでしょ。ゆっくり休んでおいで」

 

「分かった。……先生、失礼します」

 

「うん。気をつけてねー!」

 

 

 寮に戻るヴェインをぶんぶん手を振りながら見送るジェイルさん。さて……。

 

 

「……リヴィくん。これで誰かに聞かれる心配はないよ」

 

「……お心遣い、感謝します、ジェイルさん。それで、話とは」

 

「はは、最初は本当に少し話をするだけのつもりだったんだけどね。ねえ、君さ────」

 

「ええ。先生も────」

 

 

 にっこり、と微笑み合う。

 

 

『────弟くん大好きっ子だね?』

 

 

 がっしりと手を組む。

 

 どうやら、今夜は長くなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、それでさ。うちのロクシスが5才の時なんかもう────」

 

「いえいえ、私のヴェインだって────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の午後。『お互いの弟について話し合う会(ブラコン同盟)』がこっそりと開かれ、話の内容のほとんどを占めていた二人は自室で原因不明のくしゃみに襲われたとか。




ふと思ったけど、何気にリヴィorヴェインのモノローグ以外の視点って初めてじゃないのか?なにはともあれ、これで終わりです!お騒がせしましたー。
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