Mana-Khemia ~zwei alchemist 二人目の錬金術士~ 作:村人A
もう少し計画的に書いた方がいいのかなぁ。プロットとかほぼ無いに等しいもんなぁ。今。
第9話 肝試し?ああ知ってる、幽霊を捕まえるやつでしょ?
「よーし! 宿題終わりー!」
「やぁっと終わったー!!」
「お疲れ様、みんな」
フィロの爆発を防ぐ会発足から一週間。相も変わらずアルバイトとか調合とかしながら過ごした。そんな中、ようやく宿題が終わったのだ……!
「あぁ、外に遊びに行きたいー……」
「もう、それは無理だってば」
「だってー、宿題も終わったし、本当にすることなくなっちゃったんだもん!」
フィロの苦笑いに、ニケが食い付く。どうやら、宿題は暇潰しも兼ねていたらしい。
「そんなに暇なら、一緒にお薬を作ろうよ。今ね、虫歯を10倍痛くするお薬を研究して……」
「そんなもの作ってなにがしたいのよ……」
「ヒマを持てあましているようだな」
毎度恒例グンナルさんの声が聞こえて来たため、ヴェインは反射的に自分の背後を振り向いた。……が、どうやら今回は普通に登場したい気分だったのか。
アトリエの入り口から極々普通に入って来た。
「おや、グンナルさん。珍しく普通に来ましたね。……なんか嬉しそうですけど、どうかしました?」
「おうとも。喜ぶがいい。今日はお前たちのために、余興を用意してきてやったぞ!」
「うわーい、嫌な予感まーっくす」
グンナルさんが嬉しそうにする余興とか嫌な予感しかしねえよ。
「……で、余興って?」
「うむ。最近学校内で、ちらほら幽霊の目撃情報があるのは知っているな?」
「え、犯人グンナルさんじゃなかったの?」
真面目にびっくり。てっきりグンナルさんが犯人かと思った。
「まさか、幽霊を捕まえてこいー、とか言わないですよね?」
「そんな無粋なことは言わん。その幽霊を探しつつ、肝試しをしようと思ってな」
「肝試し……ちょっと面白そうかも!」
肝試しっていうと、アレか。幽霊とかそういったものを見たりして自分の度胸を試すやつか。やったことはないけど。
「この学園にはいわくつきの場所が多いからな。そこを周ってくるのだ」
「肝試しって、やったことないんだけど……楽しいのかな?」
「確かに」
ヴェインの言葉に、同意を示す。……まあ、面白くなくてもグンナルさんが無理やり行かせるだろうけどね。
「わたしは結構好きだよ」
「暇潰しにはなるかなー。……グンちゃんの企画だから怪しい気もするけど」
「ま、疑っても仕方ないしね。で、どこに行けばいいんですか?」
「いわくつきの場所については、メモにまとめておいた。歩きながら目を通しておけ」
それだけ言うと、グンナルさんは小さなメモを渡してきた。えーっと、なになに……? 『保健室』、『音楽室』、『資料館』、『旧校舎』? なるほど、いわくがありそうな場所だらけだ。
とにもかくにも、行かないことにはどうしようもないか。百聞は一見に如かず、って言うしね。ソースは父様の本。
◇◇†◇◇
さーて、そんなわけで全部周って来ましたよ、ええ。保健室はすごく(先生が)怪しかったし、音楽室はただのいたずらだった。他は……まあ、なんでもいいか。旧校舎にはなにもなかった。イイネ?
「……これで終わりかな?」
「うん。メモに書いてある場所は全部行ったよ」
「あんまり怖いところはなかったね」
「まあ、暇潰しにはなったかなー」
なんて話していると、突如学園の方から悲鳴が……!
「え?」
「なに、今の……って、んんん?」
……ん? 暗闇から赤毛の先輩が走ってきたぞう?
「やっとかかったか! 待ちくたびれたぞ……む? お前たち、なぜここに!?」
「……やっぱり何か仕掛けてやがりましたか。この先輩。で、もしかして今の声に心当たりが?」
「いや、てっきりお前たちの声かと……」
なんだ。まあ、何かしら企んでるのは間違いないと思うんだよね……。ちょっと心構えだけはしておこう。
「おかしいな……。驚かす相手を間違えたのか?」
◇◇†◇◇
声が聞こえてきた方に走っていくと、そこは資料館。女の子が一人立ちすくんでいた。
「今、悲鳴が聞こえたけど……」
「ああ、どうしたらいいのか……突然出て来て、そのまま連れてかれて……」
「連れてかれた? ……ちょっと、落ち着いて最初から話してみてくれる?」
確か、ネム、という名前のクラスメイトだった女の子は、数回深呼吸をすると、ゆっくり話し始めた。
「う、うん……あたしね、リグスを肝試しに誘ったの。そのついでに、幽霊を探そうって、二人でうろうろしてたんだ。……そしたら、突然モンスターが現れて、リグスを連れてっちゃって……」
「連れてったって……それをボーッと見てたの?」
「い、いきなりだったんだもん! それに、怖くて動けなくて……」
「……ふむ」
どうやら、グンナルさんが何かしたわけじゃなさそうだなぁ……。
「それでリグスは、どこに連れていかれたの!?」
「資料館の奥に……」
「奥に……か。まあ、女の子一人で追いかけろってのも酷な話だよね」
「うん……僕たちで探しに行こう」
さて、行こうか。
「……ただ待っているのも退屈だな。仕方ない、こちらから呼びに行くか……」
「グンナル君~。あたし、いつまで待ってればいいの~?」
すっ、と、薄紫の髪の少女が
「きゃあああああ! ゆ、幽霊!」
「おお、丁度いいところに。今まさに、呼びに行こうとしていたところだ」
「待ちくたびれちゃった~。退屈だったから、メガネの男の子驚かしちゃった」
「すまんすまん。予想外の展開になってな。かくかくしかじかで……」
グンナルが幽霊に何やら話をしている。……一緒にいた少女は、ひたすらに幽霊の存在を驚くしかなかった。
「……あらあら、大変なことになってるのね~」
「何か起きては、後々面倒だからな。一つ手伝ってもらえるか?」
「う~ん……待ちくたびれて眠くなっちゃったし……明日じゃだめ?」
「却下だ。一刻を争う事態だからな」
「しょうがないわね~。寝不足はお肌に悪いのに……」
そう言って、グンナルと幽霊は資料館の奥に向かってしまった。……残された少女は、一言、ぽつりと呟いた。
「……やっぱり、本当にいたんだ……」
◇◇†◇◇
しばらく走っていると、一人の男子生徒が倒れているのを見つけた。その近くには、犯人と思われるモンスター。
「いた、あそこ!」
「うん!」
『ブワアアアアアア!!』
フィロがモンスターから男子生徒を引き離そうとするも、攻撃する一歩手前のモンスターに戻らざるを得なかった。
「きゃ!!」
『かなり興奮しているようだな』
「どうしよう……このままじゃ……」
手詰まり。ほっといたらモンスターが彼に何をするかわからない。かといって、下手に刺激しても被害が及ぶ。
「あらあら、大騒ぎね~」
「ちょっと、近づいたら危な……て、うぇぇ!?」
「……サルファ……。僕の見間違いじゃなければ、あの人、空を飛んでる……よね……? まさか……」
「ははは、心配するな。彼女は味方だ」
「味方って、あの人幽霊じゃ……」
また出た。グンナルさん。そしてそこはかとなく嫌な予感がする。
「うむ。お前たちを驚かすのに、協力してもらったのだが……」
やっぱり何か仕掛けてやがりましたかグンナルさん。予想通りと言えばそうなんだけど。
そんな私たちをよそに、幽霊さんはモンスターにのんびりと話しかけた。……え?
「だめよ~、こんなことしたら」
『ブワアア……ブワアア……』
「気持ちは分かるけど~、だからって関係ない人をいじめたらいけないわ」
『ブアアア……』
……………………。
「何を話してるのかな……?」
『あのモンスター、あの幽霊にホレているらしい。姿が見えなくなったから、不安になって暴れだしたようだな』
「……そうだったのか……。なんというか、はた迷惑な話だなぁ……」
サルファが通訳してくれたお陰で原因は分かったけど、なんかなぁ。
「それじゃ、この子は連れて帰るわよ~」
『ブアアアア!』
「まあ、だめよ。そんなこと言われても困るわ~」
『ブアアアア……』
「う~ん、どうしましょう……。グンナル君、ちょっとこらしめてあげて~」
……わけが……わからないよ……。
「お、いいのか?」
「うん。だって、すごいワガママ言うんだもの。あと、この子運んでって」
「男を抱きかかえる趣味はないのだが……」
「あたしだっていやよ~」
「むう、仕方ない……ヴェイン、モンスターの相手は任せた!」
「え? そんな……」
…………なんでさぁ。
それだけ言うと、グンナルさんは男子生徒を引きずって走り去ってしまった。……哀れ。
『ブアアア! ブアアア!』
「きゃあ! 大声出さないで~」
「……はあ。考えてる時間はない、か。いくよ」
「う、うん!」
結果? ヴェインのアナライズ(弱点はなかった)からのトンカチやらハンマーやらの即死コンボ安定ですよ。
◇◇†◇◇
「ごくろうさま。すごいわ~、みんな強いのね」
「当然だ。俺様の見込んだ連中だからな」
「……でも、良かったの? あのモンスター、友達だったんじゃ?」
「いいのよ~。悪い子にはおしおきが必要だもの」
「はあ……」
目の前でふよふよと浮いている幽霊さんは、かなりマイペースな人のようで。
グンナルさんは、そんな彼女に声をあげて笑っていた。……いつの間に戻ってきたんだろう? 今さらだけど。
「はっはっは! 人気があるのも考えものだな」
「笑いごとじゃないわ~、もう」
「それよりさ、グンちゃん。この幽霊さんは……?」
ニケの言葉にグンナルさんは、
「おお、紹介を忘れていたな……。長くなるし、続きはアトリエで話すとするか」
と答えて、イカロスの翼で学園にさっさと戻って行った。
◇◇†◇◇
そんなわけで、幽霊さんと一緒にアトリエに戻って来ましたとさ。……正確には、幽霊さんは壁を抜けて来たんだけど。
「ここが、グンナル君のアトリエなの? 思ったよりきれいね~」
「当然だ。今年になってから、俺様は一度も使ってないしな」
「……それ、私たちを拉致してまでアトリエを借りたのに、あんまり意味ないじゃないですかー……」
何のために私たちを連れてきたんですか。まったく。
「グンちゃん、早く紹介してよ」
「おう、そうだったな。……彼女はパメラ。大昔から、この学園に住んでいる幽霊だ」
「うふふ、よろしくね~」
「やっぱり、本物の幽霊なのか……。初めて見たなぁ。あれ? でも、私たち入学してから半年経つのに……」
なんで今まで気付かなかったんだろう?
そんな私の言外の疑問を知ってか知らずか、グンナルさんが説明してくれた。
「パメラは、学園の風物詩みたいなものだからな。一年生の入学から半年間は、その存在を隠し続けるのが通例になっている。……そして、夏休みの肝試しで、存在を明らかにして驚かすというわけだ」
「なるほど。先輩は全員
「今年は待ちきれなくて、何人か驚かしちゃったけど~」
「はた迷惑な風物詩ね……」
ニケ、それは言っちゃダメなやつだ。
「ねえ、グンナル君。あたしにも、この子たち紹介してくださらない?」
「そのピンク髪がフィロ、動物っぽいのがニケ、男がヴェイン、同じ色の髪がリヴィだ」
「説明、雑過ぎ!!」
ピンク髪って! 動物っぽいって! 雑過ぎるよグンナルさん……!
「ふ~ん、ヴェイン君ね……。じろじろ」
「な、なんです? パメラさん……」
「パメラさん、なんてよそよそしいわ。パメラって呼んで」
「あ、はい……」
……む? なんか、幽霊さんにヴェインが気に入られた様子。さん付けで呼ばれたら、名前で呼ぶように言ってるし……。かなり真剣に。
「……うふふ、面白そうな子ね。あたし、気に入っちゃった」
「な、なにぃー!!?」
「ほほう、パメラに気に入られるとは……大したものだな」
待って! うちのヴェインにロックオンしないで幽霊さんもといパメラ!!
「決めた~。あたしもこのアトリエに入るわ」
「……ファッ!?」
「なんと!!」
「幽霊なのに!?」
「幽霊だけど、生きてる間はここの生徒だったのよ? ……それとも、あたしが入るのはイヤ?」
いやいやいや、そうじゃなくてね。そーじゃなくてね!? まず学校が許してくれるのかなそれ!?
そんな疑問をパメラにぶつけてみる。
「大丈夫よ~。ベルンハルト君とはお友達だもの。なんとかしてくれるわ~」
「ベルンハルト? ……どっかで聞いた……ような……」
「……あ、校長先生!」
「うむ、我が校の最高権力者のことだ」
……やべえ、グンナルさんの顔が! 完全に悪巧みしてるときの顔だ! さては、脅してでもパメラをアトリエに入れる気だな!? 別に異論はないけど!
「昔は美少年だったのよ~? すっかり地味なおじさんになっちゃったけど」
「辛辣!」
「しかし、よもやパメラを獲得できるとは……お手柄だ、ヴェイン!」
「はあ……」
え、最初からそれが目的じゃなかったの!? お姉さんびっくり!
「それしゃ、改めまして~。これからよろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします……」
そんなわけで、あれよあれよという間にパメラのアトリエ入りが決定(校長に拒否権はない)。
一年生はまだまとも……なハズの面子なんだけど、上級生は学校一のトラブルメーカー、さらには年齢不詳の幽霊さん。
……このアトリエは、一体どこを目指しているのだろうか……。
◇◇†◇◇
肝試し騒動も無事に解決して、アトリエには新しい仲間が加わることになった。
幽霊のパメラ……。幽霊って、もっと怖いものなのかと思ってたけど……。
仲間が増えるのは心強いんだけど……なぜか、不安の種が増えたような……。
まさかのパメラ編一話で終了。色々吹っ飛ばしたいという作者の思いが手に取るように分かる。
……すまない、パメラとの絡みはしばらく先なんだ。本当にすまない。