Mana-Khemia ~zwei alchemist 二人目の錬金術士~   作:村人A

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短かったのでくっつけました。途中までは変わりません……なんて報告を、あと何回するんでしょうかねぇ(困惑)

もう少し計画的に書いた方がいいのかなぁ。プロットとかほぼ無いに等しいもんなぁ。今。


第三章 夏休みと謎の幽霊の噂
第9話 肝試し?ああ知ってる、幽霊を捕まえるやつでしょ?


「よーし! 宿題終わりー!」

 

「やぁっと終わったー!!」

 

「お疲れ様、みんな」

 

 フィロの爆発を防ぐ会発足から一週間。相も変わらずアルバイトとか調合とかしながら過ごした。そんな中、ようやく宿題が終わったのだ……!

 

「あぁ、外に遊びに行きたいー……」

 

「もう、それは無理だってば」

 

「だってー、宿題も終わったし、本当にすることなくなっちゃったんだもん!」

 

 フィロの苦笑いに、ニケが食い付く。どうやら、宿題は暇潰しも兼ねていたらしい。

 

「そんなに暇なら、一緒にお薬を作ろうよ。今ね、虫歯を10倍痛くするお薬を研究して……」

 

「そんなもの作ってなにがしたいのよ……」

 

 

 

 

 

「ヒマを持てあましているようだな」

 

 

 

 

 

 毎度恒例グンナルさんの声が聞こえて来たため、ヴェインは反射的に自分の背後を振り向いた。……が、どうやら今回は普通に登場したい気分だったのか。

 アトリエの入り口から極々普通に入って来た。

 

「おや、グンナルさん。珍しく普通に来ましたね。……なんか嬉しそうですけど、どうかしました?」

 

「おうとも。喜ぶがいい。今日はお前たちのために、余興を用意してきてやったぞ!」

 

「うわーい、嫌な予感まーっくす」

 

 グンナルさんが嬉しそうにする余興とか嫌な予感しかしねえよ。

 

「……で、余興って?」

 

「うむ。最近学校内で、ちらほら幽霊の目撃情報があるのは知っているな?」

 

「え、犯人グンナルさんじゃなかったの?」

 

 真面目にびっくり。てっきりグンナルさんが犯人かと思った。

 

「まさか、幽霊を捕まえてこいー、とか言わないですよね?」

 

「そんな無粋なことは言わん。その幽霊を探しつつ、肝試しをしようと思ってな」

 

「肝試し……ちょっと面白そうかも!」

 

 肝試しっていうと、アレか。幽霊とかそういったものを見たりして自分の度胸を試すやつか。やったことはないけど。

 

「この学園にはいわくつきの場所が多いからな。そこを周ってくるのだ」

 

「肝試しって、やったことないんだけど……楽しいのかな?」

 

「確かに」

 

 ヴェインの言葉に、同意を示す。……まあ、面白くなくてもグンナルさんが無理やり行かせるだろうけどね。

 

「わたしは結構好きだよ」

 

「暇潰しにはなるかなー。……グンちゃんの企画だから怪しい気もするけど」

 

「ま、疑っても仕方ないしね。で、どこに行けばいいんですか?」

 

「いわくつきの場所については、メモにまとめておいた。歩きながら目を通しておけ」

 

 それだけ言うと、グンナルさんは小さなメモを渡してきた。えーっと、なになに……? 『保健室』、『音楽室』、『資料館』、『旧校舎』? なるほど、いわくがありそうな場所だらけだ。

 とにもかくにも、行かないことにはどうしようもないか。百聞は一見に如かず、って言うしね。ソースは父様の本。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

 さーて、そんなわけで全部周って来ましたよ、ええ。保健室はすごく(先生が)怪しかったし、音楽室はただのいたずらだった。他は……まあ、なんでもいいか。旧校舎にはなにもなかった。イイネ?

 

「……これで終わりかな?」

 

「うん。メモに書いてある場所は全部行ったよ」

 

「あんまり怖いところはなかったね」

 

「まあ、暇潰しにはなったかなー」

 

 なんて話していると、突如学園の方から悲鳴が……!

 

「え?」

 

「なに、今の……って、んんん?」

 

 ……ん? 暗闇から赤毛の先輩が走ってきたぞう?

 

「やっとかかったか! 待ちくたびれたぞ……む? お前たち、なぜここに!?」

 

「……やっぱり何か仕掛けてやがりましたか。この先輩。で、もしかして今の声に心当たりが?」

 

「いや、てっきりお前たちの声かと……」

 

 なんだ。まあ、何かしら企んでるのは間違いないと思うんだよね……。ちょっと心構えだけはしておこう。

 

 

 

 

 

「おかしいな……。驚かす相手を間違えたのか?」

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

 声が聞こえてきた方に走っていくと、そこは資料館。女の子が一人立ちすくんでいた。

 

「今、悲鳴が聞こえたけど……」

 

「ああ、どうしたらいいのか……突然出て来て、そのまま連れてかれて……」

 

「連れてかれた? ……ちょっと、落ち着いて最初から話してみてくれる?」

 

 確か、ネム、という名前のクラスメイトだった女の子は、数回深呼吸をすると、ゆっくり話し始めた。

 

「う、うん……あたしね、リグスを肝試しに誘ったの。そのついでに、幽霊を探そうって、二人でうろうろしてたんだ。……そしたら、突然モンスターが現れて、リグスを連れてっちゃって……」

 

「連れてったって……それをボーッと見てたの?」

 

「い、いきなりだったんだもん! それに、怖くて動けなくて……」

 

「……ふむ」

 

 どうやら、グンナルさんが何かしたわけじゃなさそうだなぁ……。

 

「それでリグスは、どこに連れていかれたの!?」

 

「資料館の奥に……」

 

「奥に……か。まあ、女の子一人で追いかけろってのも酷な話だよね」

 

「うん……僕たちで探しに行こう」

 

 さて、行こうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ただ待っているのも退屈だな。仕方ない、こちらから呼びに行くか……」

 

「グンナル君~。あたし、いつまで待ってればいいの~?」

 

 すっ、と、薄紫の髪の少女が()()()()()現れた。しかし、グンナルはなに食わぬ顔で……というか親しげに片手を上げた。

 

「きゃあああああ! ゆ、幽霊!」

 

「おお、丁度いいところに。今まさに、呼びに行こうとしていたところだ」

 

「待ちくたびれちゃった~。退屈だったから、メガネの男の子驚かしちゃった」

 

「すまんすまん。予想外の展開になってな。かくかくしかじかで……」

 

 グンナルが幽霊に何やら話をしている。……一緒にいた少女は、ひたすらに幽霊の存在を驚くしかなかった。

 

「……あらあら、大変なことになってるのね~」

 

「何か起きては、後々面倒だからな。一つ手伝ってもらえるか?」

 

「う~ん……待ちくたびれて眠くなっちゃったし……明日じゃだめ?」

 

「却下だ。一刻を争う事態だからな」

 

「しょうがないわね~。寝不足はお肌に悪いのに……」

 

 そう言って、グンナルと幽霊は資料館の奥に向かってしまった。……残された少女は、一言、ぽつりと呟いた。

 

「……やっぱり、本当にいたんだ……」

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

 しばらく走っていると、一人の男子生徒が倒れているのを見つけた。その近くには、犯人と思われるモンスター。

 

「いた、あそこ!」

 

「うん!」

 

『ブワアアアアアア!!』

 

 フィロがモンスターから男子生徒を引き離そうとするも、攻撃する一歩手前のモンスターに戻らざるを得なかった。

 

「きゃ!!」

 

『かなり興奮しているようだな』

 

「どうしよう……このままじゃ……」

 

 手詰まり。ほっといたらモンスターが彼に何をするかわからない。かといって、下手に刺激しても被害が及ぶ。

 

「あらあら、大騒ぎね~」

 

「ちょっと、近づいたら危な……て、うぇぇ!?」

 

「……サルファ……。僕の見間違いじゃなければ、あの人、空を飛んでる……よね……? まさか……」

 

「ははは、心配するな。彼女は味方だ」

 

「味方って、あの人幽霊じゃ……」

 

 また出た。グンナルさん。そしてそこはかとなく嫌な予感がする。

 

「うむ。お前たちを驚かすのに、協力してもらったのだが……」

 

 やっぱり何か仕掛けてやがりましたかグンナルさん。予想通りと言えばそうなんだけど。

 そんな私たちをよそに、幽霊さんはモンスターにのんびりと話しかけた。……え?

 

「だめよ~、こんなことしたら」

 

『ブワアア……ブワアア……』

 

「気持ちは分かるけど~、だからって関係ない人をいじめたらいけないわ」

 

『ブアアア……』

 

 ……………………。

 

「何を話してるのかな……?」

 

『あのモンスター、あの幽霊にホレているらしい。姿が見えなくなったから、不安になって暴れだしたようだな』

 

「……そうだったのか……。なんというか、はた迷惑な話だなぁ……」

 

 サルファが通訳してくれたお陰で原因は分かったけど、なんかなぁ。

 

「それじゃ、この子は連れて帰るわよ~」

 

『ブアアアア!』

 

「まあ、だめよ。そんなこと言われても困るわ~」

 

『ブアアアア……』

 

「う~ん、どうしましょう……。グンナル君、ちょっとこらしめてあげて~」

 

 ……わけが……わからないよ……。

 

「お、いいのか?」

 

「うん。だって、すごいワガママ言うんだもの。あと、この子運んでって」

 

「男を抱きかかえる趣味はないのだが……」

 

「あたしだっていやよ~」

 

「むう、仕方ない……ヴェイン、モンスターの相手は任せた!」

 

「え? そんな……」

 

 …………なんでさぁ。

 それだけ言うと、グンナルさんは男子生徒を引きずって走り去ってしまった。……哀れ。

 

『ブアアア! ブアアア!』

 

「きゃあ! 大声出さないで~」

 

「……はあ。考えてる時間はない、か。いくよ」

 

「う、うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果? ヴェインのアナライズ(弱点はなかった)からのトンカチやらハンマーやらの即死コンボ安定ですよ。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

「ごくろうさま。すごいわ~、みんな強いのね」

 

「当然だ。俺様の見込んだ連中だからな」

 

「……でも、良かったの? あのモンスター、友達だったんじゃ?」

 

「いいのよ~。悪い子にはおしおきが必要だもの」

 

「はあ……」

 

 目の前でふよふよと浮いている幽霊さんは、かなりマイペースな人のようで。

 

 グンナルさんは、そんな彼女に声をあげて笑っていた。……いつの間に戻ってきたんだろう? 今さらだけど。

 

「はっはっは! 人気があるのも考えものだな」

 

「笑いごとじゃないわ~、もう」

 

「それよりさ、グンちゃん。この幽霊さんは……?」

 

 ニケの言葉にグンナルさんは、

 

「おお、紹介を忘れていたな……。長くなるし、続きはアトリエで話すとするか」

 

 と答えて、イカロスの翼で学園にさっさと戻って行った。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

 そんなわけで、幽霊さんと一緒にアトリエに戻って来ましたとさ。……正確には、幽霊さんは壁を抜けて来たんだけど。

 

「ここが、グンナル君のアトリエなの? 思ったよりきれいね~」

 

「当然だ。今年になってから、俺様は一度も使ってないしな」

 

「……それ、私たちを拉致してまでアトリエを借りたのに、あんまり意味ないじゃないですかー……」

 

 何のために私たちを連れてきたんですか。まったく。

 

「グンちゃん、早く紹介してよ」

 

「おう、そうだったな。……彼女はパメラ。大昔から、この学園に住んでいる幽霊だ」

 

「うふふ、よろしくね~」

 

「やっぱり、本物の幽霊なのか……。初めて見たなぁ。あれ? でも、私たち入学してから半年経つのに……」

 

 なんで今まで気付かなかったんだろう?

 

 そんな私の言外の疑問を知ってか知らずか、グンナルさんが説明してくれた。

 

「パメラは、学園の風物詩みたいなものだからな。一年生の入学から半年間は、その存在を隠し続けるのが通例になっている。……そして、夏休みの肝試しで、存在を明らかにして驚かすというわけだ」

 

「なるほど。先輩は全員共犯(グル)、と」

 

「今年は待ちきれなくて、何人か驚かしちゃったけど~」

 

「はた迷惑な風物詩ね……」

 

 ニケ、それは言っちゃダメなやつだ。

 

「ねえ、グンナル君。あたしにも、この子たち紹介してくださらない?」

 

「そのピンク髪がフィロ、動物っぽいのがニケ、男がヴェイン、同じ色の髪がリヴィだ」

 

「説明、雑過ぎ!!」

 

 ピンク髪って! 動物っぽいって! 雑過ぎるよグンナルさん……!

 

「ふ~ん、ヴェイン君ね……。じろじろ」

 

「な、なんです? パメラさん……」

 

「パメラさん、なんてよそよそしいわ。パメラって呼んで」

 

「あ、はい……」

 

 ……む? なんか、幽霊さんにヴェインが気に入られた様子。さん付けで呼ばれたら、名前で呼ぶように言ってるし……。かなり真剣に。

 

「……うふふ、面白そうな子ね。あたし、気に入っちゃった」

 

「な、なにぃー!!?」

 

「ほほう、パメラに気に入られるとは……大したものだな」

 

 待って! うちのヴェインにロックオンしないで幽霊さんもといパメラ!!

 

「決めた~。あたしもこのアトリエに入るわ」

 

「……ファッ!?」

 

「なんと!!」

 

「幽霊なのに!?」

 

「幽霊だけど、生きてる間はここの生徒だったのよ? ……それとも、あたしが入るのはイヤ?」

 

 いやいやいや、そうじゃなくてね。そーじゃなくてね!? まず学校が許してくれるのかなそれ!?

 そんな疑問をパメラにぶつけてみる。

 

「大丈夫よ~。ベルンハルト君とはお友達だもの。なんとかしてくれるわ~」

 

「ベルンハルト? ……どっかで聞いた……ような……」

 

「……あ、校長先生!」

 

「うむ、我が校の最高権力者のことだ」

 

 ……やべえ、グンナルさんの顔が! 完全に悪巧みしてるときの顔だ! さては、脅してでもパメラをアトリエに入れる気だな!? 別に異論はないけど!

 

「昔は美少年だったのよ~? すっかり地味なおじさんになっちゃったけど」

 

「辛辣!」

 

「しかし、よもやパメラを獲得できるとは……お手柄だ、ヴェイン!」

 

「はあ……」

 

 え、最初からそれが目的じゃなかったの!? お姉さんびっくり!

 

「それしゃ、改めまして~。これからよろしくね」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします……」

 

 そんなわけで、あれよあれよという間にパメラのアトリエ入りが決定(校長に拒否権はない)。

 一年生はまだまとも……なハズの面子なんだけど、上級生は学校一のトラブルメーカー、さらには年齢不詳の幽霊さん。

 

 ……このアトリエは、一体どこを目指しているのだろうか……。

 

 

 

 ◇◇†◇◇

 

 

 

 肝試し騒動も無事に解決して、アトリエには新しい仲間が加わることになった。

 

 幽霊のパメラ……。幽霊って、もっと怖いものなのかと思ってたけど……。

 

 仲間が増えるのは心強いんだけど……なぜか、不安の種が増えたような……。




まさかのパメラ編一話で終了。色々吹っ飛ばしたいという作者の思いが手に取るように分かる。
……すまない、パメラとの絡みはしばらく先なんだ。本当にすまない。
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