鋼鉄の少女達は暁の水平線に何を想う。   作:飯炊きめっしー

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【第7話】血塗られた花道

 

 

 

『…全機、聴コエルカ!!敵ニ空母ハ居ナイ!!制空隊ノ一部ガ殺ラレタガ、我々ハ未ダ健在ダ!!』

 

眼前で文字通り味方編隊が消し飛ばされたにも関わらず、闘志を衰えさせるどころか(はらわた)を煮えくり返らせ、復讐心を露わにした深海棲艦機達。

そして彼等は巨大戦艦3隻の猛烈な対空砲火を物ともせずに邁進する。

 

『艦攻隊ハ、目ノ前ノ戦艦(デカブツ)共ト巡洋艦クラスヲ狙エ!!艦爆隊ハ二手ニ分カレ、駆逐艦ト敵ノ港湾施設、及ビ燃料貯蔵設備ヲ攻撃セヨ!!』

 

深海棲艦機の攻撃隊は、指揮官機の命令と共に一糸乱れぬ動きで上下に散開。

艦隊からは次々と対空砲火が彼等に向かって撃ち込まれていくが、彼等は味方の死など、まるで気にしていないかのように編隊を崩さずに艦娘達に迫る。

深海棲艦の艦上攻撃機、TBD(デヴァステイター)は最高時速が300km/hというお世辞にも決して性能の高い機体ではない。

護衛の艦上戦闘機も大半が旧式のグラマンF4F(ワイルドキャット)であったが…決して多くはない数ではあるがF4U(コルセア)が混じっていた。

先も言ったように、F4Uの数は決して多くはない…だが、第一次攻撃隊の戦闘機隊110機のうち、およそ30機がF4Uであり、そのうちの15機が対艦攻撃の支援に回されていた。

 

「右舷より敵雷撃機4、左舷より6、来ます!!」

「何としても撃ち落として!!」

「…!?敵戦闘機から何かが、ロッ、ロケット弾です!!」

「何ですって!?」

 

だが、そのF4U(コルセア)こそが曲者だった。

コルセアにはHVAR(5インチ高速空対地ロケット弾)が1機につき8発搭載されていた。

つまり、大和、長門、陸奥の3隻に対して、合計120発ものロケット弾が同時に襲いかかってきたのである。

 

「回避!!取り舵一杯!!」

「とーりかーじいっぱーい!!」

 

それに対して3隻の巨艦は急速回頭で回避を試みた…だが、HVAR(ロケット弾)の速度は音速を優に超える。

ただでさえ戦艦は舵が効き始めるのは遅く、それも対空戦闘中に敵の雷爆撃機から狙われている中での急速回頭は生じる隙が大きくなる。

既に面舵が効き始めている中で取り舵を取るには、何もかもが遅すぎた。

それでも3隻がリスクを承知の上で急速回頭を選んだのは、対空火器の減殺を恐れた為だった。

HVARは弾頭重量が21kgと、魚雷や爆弾に比べれば遥かに少ない…だが高々防弾シールドで守られた程度の対空火器を黙らせるには十分すぎる程の威力がある。

無論、対空銃座要員とて黙ってそれを見過ごしていたわけではない。

7.7mmや12.7mmは言わずともがな…13mmや25mm機銃が狂ったように火を噴き続ける。

だが、現代のCIWS…コンピュータが自動で判断して迎撃を行う多銃身機関砲ですら、迫り来る全ての脅威を迎撃するのには力不足であるのに…音速を超えるスピードで迫り来る、直径たったの127mmのロケット弾を人力操作の単銃身機銃が、それらを全て撃墜するのは土台無理な話だった。

それでも奇跡的に数発が火線に巻き込まれて爆発…破壊されるが、無数のロケット弾が艦娘達に吸い込まれていく。

 

「きゃぁあっ!?」

「被害報告急げ!!」

「上部構造物に多数被弾ッ、対空機銃座と高角砲がかなりやられました!!」

「マズイな、クソッ…無事な銃座は交代要員を着けて、何とか撃ちまくれ!!」

「後部甲板にて火災発生!!」

「応急消化作業急げ、早く火を消し止めろ!!」

 

コルセアからのロケット弾攻撃で、三隻とも対空銃座の4割以上が沈黙。

その隙を雷撃機達が見過ごす道理は無かった。

 

「右舷雷跡8、左舷雷跡5!!」

「狼狽えるな!!この程度で大和は沈まん!!」

「ああっ、長門が…!!」

 

そして、遂に大和と長門、そして陸奥は左右から各8本以上の魚雷の直撃を受け、行き足が鈍る。

そこに追い討ちを掛けるように艦爆隊の攻撃が迫っていた。

 

 

 

………

……

 

 

 

レーダーに無数の機影を捉え、アールヴァクの艦内も蜂の巣を突いたような騒ぎになっていた。

 

「…総員、対空戦闘の用意を。お願い」

「了解、対空戦闘用意!!」

「たいくーう、せんとーうよーいッ!!」

 

カーンカーンカーンという警報音と共に全艦にアナウンスが流れ、妖精達が大慌てで配置につき、同時に艦内の隔壁も全て閉鎖していく。

 

「対空、見張りを厳と成せ!!」

「艦長ッ…飯山提督からの連絡はまだですか!?」

「…まだ来てないよ」

「しかし、このままじゃ交戦どころか…自衛すらままならないですよ!?」

「わかってる…!!今も外で皆が戦ってる、なのに、私は何もできなくて…!!」

 

アールヴァクの言葉に、艦橋に何とも言い難い重たい空気が流れる。

どんな時でも、味方を守る為に最前線で戦ってきた彼女…だからこそ、そのやり切れなさは、相当のものだった。

レーダーには無数の敵に攻撃を受けている艦娘達が、中には撃沈されたと思わしき反応もあった。

 

「艦長!!提督です、飯山提督から通信です!!」

「…っ、こっちに回して!!」

『アールヴァクか、飯山だ。聞こえるか?』

「はい、聞こえます…状況は!?」

『状況は芳しくない。現在我が艦隊が果敢に迎撃を行なっているが…この泊地が敵の猛爆撃に晒されるのも時間の問題だろう』

「…っ、それは!!」

『この鎮守府は、我々が死守する。この戦争は我々の戦争だ…君達を巻き込むわけにはいかない。時間がない、急ぎ西方の西水道から離脱。横須賀へ向かってくれ』

「…提督。私達の世界では、ウィルキアと日本は同盟国でした」

『だが!!』

「そして私は、ウィルキアの艦。誇り高きウィルキア王国近衛艦隊(ガーズ・フリート)の所属です…私が何を言いたいか、もうお分かりですね?」

『……』

「…これより我々は艦隊、及び泊地を攻撃する敵攻撃隊を排除。そして、敵艦隊への強襲を敢行します」

『アールヴァク。本当に、すまない…我々を、あの子達を……頼む!!』

 

 

 




更新が遅くなってしまい、申し訳ございません。
次回から駆逐艦アールヴァク初の本格的な戦闘描写になります。

最初に登場する超兵器はなんでしょう?

  • 超高速巡洋戦艦「ヴィルベルヴィント」
  • 超高速巡洋戦艦「シュトゥルムヴィント」
  • 超巨大双胴戦艦「播磨」
  • 超巨大潜水艦「ドレッドノート」
  • 超巨大爆撃機「アルケオプテリクス」
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