とあるIS学園の整備員さん   作:逸般ピーポー

20 / 93
皆那珂ちゃん好き過ぎィ!


幕間 それぞれの日常

さて、IS学園では現在、学年別トーナメントの準備に教員、事務員、整備員その他スタッフが奔走している。

 

 

一年生、二年生、三年生の順に学年別でトーナメントは行われる予定で、二年生、三年生と学年が上がるほどその内容はハイレベルなものとなる。

 

 

 

そのため、一年生や二年生はもちろん、三年生でのトーナメントではジャーナリスト達だけでなく、各国の重鎮、政府の軍事・IS関係者。

 

 

果てには英国その他、一部の王政各国からは王室の、まさにやんごとなき身分と言っても差し支えないほどの重要人物が、ここIS学園に集まることになる。

 

 

 

当然、その時の迎えの手筈を整えたり、重要人物の保護のための人員の手配や確保。

 

 

トーナメント出場人物の中でも専用機持ちには企業からの研究者、技術者、スタッフも、整備やパッケージ・武装の受け渡しなどに来る。

 

 

それらの人物たちに用意する整備スペースの割り振りや控え室の用意など、日常業務だけでなくどちらもともに平行して行う必要がある。

 

 

 

IS学園が有能・優秀な人材を確保するのはこのような場合にも、問題なく物事を進める必要があるためである。

 

 

 

例えばもし、IS学園についてから、ある国の控え室がありませんでした、となった場合。

 

 

 

事と次第によっては、日本とその国の関係が悪化する可能性がある。

 

 

 

また、IS学園で待機していて、テロリストに襲撃され、要人が暗殺、または拉致された場合。

 

 

 

IS学園のセキュリティレベルが問題あり、となる可能性がある。

 

 

 

どちらも国家間、ないしは複数国家と日本が対立する要因となる可能性があり、貿易、経済、または軍事の面での対立は、戦争の要因と成りうるのである。

 

 

 

そのため日本政府は、テロリストの未然警戒に暗部の更識家を初めとする、いくつかの裏の家々に警戒体制を要請している。

 

 

 

また、一年生はつい先日、この特殊なパワーバランスの上に成り立つIS学園に、二人もの転入生を迎えたばかりである。

 

 

 

そしてその転入生の一人は、既に問題行動を起こしており、イギリス・中国両国の代表候補生と私闘。

 

 

 

ダメージレベルCを超える損傷を与えており、IS学園にはイギリス・中国両国から抗議が続いている。

 

 

 

そのイギリス・中国の代表候補生二人のISは、既にそれぞれの所属企業に預けられ、修復に入っているという。

 

 

 

 

IS学園の整備員が、国家機密そのものたる専用機の整備に携わることは、基本的に無いのであった。

 

 

 

さて、そんな事情により、現在の教員室では慌ただしく教員が駆け回り、ひたすらパソコンのキーボードから発せられるカタカタカタカタという音が、途切れることなく続いている。

 

 

 

 

特に学年順である関係で、最も先に準備しなければならない一年生担当の教員達は、まさに鬼気迫る様子である。

 

 

 

ただでさえこの時期は忙しくなることに加え、織斑教諭の担当するクラスでは、織斑教諭の元教え子たる、ドイツからの転入生が、同学年のイギリス・中国両国の代表候補生と事を構え、あろうことか出場不可能にしてしまった。

 

 

 

そのため織斑教諭はもちろん、普段ならどんな時でも笑顔と愛嬌たっぷりの山田真耶先生すら、並々ならぬ迫力であり、教員達の中でもトップレベルの爆弾、いや危険地帯であった。

 

 

 

そのため、ほんの僅かでも手伝うことの出来る人員は、一年生担当の中でも特にこの両名を手伝っていた。

 

 

 

修羅場はまだまだ終わらない。

 

 

 

 

さて、そんな中、我らが整備員さんはというと。

 

 

 

こちらも絶賛修羅場中である。

 

 

 

学年別トーナメント開催が発表され、専用機を持っていない生徒が取る行動はなんだろうか。

 

 

 

 

そう。

 

 

 

訓練機を借りに来るのである。

 

 

 

そして学年別トーナメントは、キャノンボール・ファストのようなレース形式ではなく、純然たる戦闘形式である。

 

 

そのため、貸し出した訓練機はボロボロになって返ってきたりするので、整備課は人員を総動員して日夜メンテナンスに励むのである。

 

 

 

訓練用ISは数こそ多くないが、毎日数多の生徒が使うため、傷つき方やスラスターの劣化具合に癖や偏りがなく、しかしバランスよく傷ついている訳ではないという、まさに技術屋泣かせのレンタルのされ方なのである。

 

 

しかも直した直後にまた貸し出され、直している間にも返却され…。といった具合である。

 

 

 

当然、ある程度状態よく返ってくれば最低限のフォーマットと整備点検で貸し出す、といったことはしているが、残業してでも次の日までに全て整備しないと回らないのが現状である。

 

 

 

そのため、ここの整備担当者たちは、毎日朝から晩までひたすらISの相手をし続けるのである。

 

 

 

整備を怠れば当然、人命に関わるため、ミスは許されない。

 

 

そんな修羅場で、鹿波は心の中で叫んだ。

 

 

 

入所時の説明ではそんなに大変じゃないって言っておいて、実際は大変でしたっておかしいだろそれよぉ!

 

 

 

なお、既に四年目であるので、この心の叫びも四回目である。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。