とあるIS学園の整備員さん   作:逸般ピーポー

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なぜかシャルルと応対する時には主人公がペイラーになる。不思議。


在りし日の日常

「嫁よ!」

 

「お″うっ!」

 

ッパーン!

と、勢いよく近未来的な金属のスライドドアを開いて整備庫に入ってきたのは、ラウラ・ボーデヴィッヒことラウラ。

びっくりした。

某駆逐艦のような声が出るかと思った。

ていうか、そのスライドドアはガンダムとかでよくある片側スライドドアで、プシューとかそんな感じの音をさせながら自動で開くタイプだ。

少なくともお前のように、力いっぱい目一杯勢いよくあけるものではない。

断じてない。

 

 

 

あの後ラウラは学校生活に復帰。

織斑先生にも

 

「弛んでいる」

 

と言われ、放課後に特訓という名のしごきを食らったらしい。

 

 

その後俺のところに来て、爽やかな笑顔で

 

「世話になったな!」

 

と言ってきた。

 

また、その時以来俺のことを嫁と呼ぶ。

呼び方に関しては、本人が

 

「ラウラと呼べ」

 

と言ってきたので仕方なく、

 

「ラウラ」

 

と呼んだのだが、その時のぱああああっ、と花が咲いたような笑顔は今でも印象に残っている。

何このかわいいいきもの、と思いました。

最近の笑顔も、にへーっ、という感じでかわいいのだが。

 

 

「で、今日はどしたん。あと嫁いうな」

 

また何かあったんだろうか。

あれ以来、ラウラは明るくなり、人を見下したりバカにした態度をとることはなくなった。

もともとの好奇心の旺盛さ、素直さも相まって、クラスのみんなとも仲良くしているという。

 

「うむ。今日一夏達と話をしていてな。男は女が料理が出来た方がいいと思う、というのは本当か?」

 

はあ。何のこっちゃ。

とりあえず詳しく話を聞く。

 

なにやら今日の昼休み、いつものように屋上で一夏君達とお昼を食べていた時のこと。(IS学園は屋上が開放されている)

ラウラが一夏君に、

「いつも一夏達は料理の話をしているが、やはり男としては料理が出来る女の方が好きなのか?」

と尋ねた。

すると、一夏君からはこんな回答が返ってきたそうだ。

「あー、まあ別にめちゃくちゃ上手じゃなきゃダメ、って訳じゃないよ。ただ、千冬姉レベルだと嫌かなぁ…。

 

やっぱり疲れた時には代わってほしいし、ある程度出来てはほしいかな」

 

その後はいつものように、箒ちゃん、鈴ちゃん、セシリアさんの3人と一夏君が誰の料理が一番美味しいか、とかいろいろやってたらしい。ちなみに普段、一夏君は箒ちゃん、鈴ちゃん、セシリアさんと。ラウラはシャルルと一緒に過ごすことが多いらしい。

シャルル君と一緒に?と聞いたら、あいつは女だろう?と疑問で返された。

なんでも、立ち姿、骨格、筋肉のつきかたで男かどうかくらいは判別できる、とのこと。

さすがは軍人。

 

 

で、その答えを受けて俺に聞きにきた、と。

 

うーん、まあ俺も一夏君とだいたい同意見かなぁ。

 

ただ、まぁ。

 

「そうだなぁ。まあそれこそ人によると思うぞ。

料理は自分の領域だ!っていってこだわりぬく男からすれば、女の人が料理できようがあんまり気にしないだろうし。

逆に、料理が出来ない男からすれば、相手には出来て欲しいかもしれないしな」

 

ちなみに俺は簡単な自炊程度は出来る。ただ、油ものは後片付けが大変なので、なるべくならやりたくないというのが本音だ。

 

「むしろ、ラウラはどうなんだ。相手にどれだけのものを求める?」

 

ある意味それが一番重要というか、大切な気がするけど。

 

「む、私か。そうだな…。

 

考えたこともなかったな」

 

そう言って、あごに手を当ててむむむ、と考えだすラウラ。

目を閉じて真剣に悩んでいるラウラにそっと告げる。

 

「まあ、時間はたっぷりあるんだ。一つ一つ考えていけばいいさ…。

現実的にな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の訪問者は織斑先生だった。

それも結構な勢いでこちらに来る。

どうしたんです?タイトなスカートがギリギリまで伸びてますよ。

しかし綺麗なおみ足ですね。すりすりしたい。ハアハア。

…なんだか変態的だな。だがそれがいい。

 

 

「今日になって突然デュノア社から、シャルル・デュノアがシャルロット・デュノアであるという通知が来た」

 

そう言って、真剣な顔つきでこちらを見つめてくる織斑先生。

しかし、織斑先生のような目力のある美人さんにじっと見つめられると照れますねぇ。

 

「はぁ。そうですか」

 

「ああ。…鹿波。お前、何かしたのか?」

 

そう言って疑うようにこちらを覗きこむ織斑先生。

あ、いい匂いがする。

ていうか、織斑先生顔近いです顔。

お綺麗ですね。

 

織斑先生はこちらの顔を覗きこむように見上げてくる。

しかも、顔と顔の距離が5㎝もない。

まあ、ロマンスのかけらもない圧迫のしかたであるのだが…。

 

一瞬、ここでキスとかしたらどうなるんだろう、というイタズラ心が芽生えるが、織斑先生の場合は本当にファーストキスである可能性があるのでやらない。

そもそも一夏君に絶対にらまれることになるし、白い目で見られるようになるのもお断りである。

 

ただ、もし万が一織斑先生が受け入れてしまった場合。

多分結婚一直線のコースである。

ごめんなさい織斑先生。まだあなたには女子力が足りてません。

頑張って一夏君に修行をつけてもらってください。

多分そうすればいい人と結婚できるから。

 

え?

いざとなったら頑張った織斑先生をもらってあげないのかって?

 

すまんな。俺、多分浮気性だから日本で結婚して一人を愛するってないと思うで。

織斑先生をもらうのはええけど、多分こないな不純なやつならお断りされるやろ(適当)

 

 

しかしさっきから織斑先生近い。

こっちはのけぞっているのに、それでもこちらに顔を近付けてくる。

邪魔。えい。

 

ちゅ。

 

「なっ…!」

 

あ、織斑先生のおでこに唇が当たった。

ごめん織斑先生。今のはわざとじゃないの。

でも謝らない。だって今のは織斑先生が近付き過ぎたのが原因やからね。

 

バッ!と織斑先生が俺から離れて、スーツの袖でおでこをこしこししている。

 

(´・ω・`)

 

「す、すまん。ちょっと私も焦りすぎていた。

失礼する」

 

そう言って、織斑先生は足早に去っていった。

 

結果的にはごまかすことなくやり過ごせたけど、なんだろう。

ものすごい罪悪感ががががが。

 

しかも途中まで、キスしたらどうなるんだろうなー、とか、唇プルプルですなー、とかちょっと変態チックなこと考えてたから余計にね。

 

…嫌われたかもしらん。

や、俺みたいなのは嫌われる方が、むしろその人のためになるかもわからんけども。

 

…しっかし。

 

「織斑先生、顔真っ赤だったなー…」

 

まあ、俺の顔も多分、相当真っ赤なんですけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ…。ふぅ…。」

 

私は鹿波に顔を見られないうちに足早に立ち去り、化粧室に来ていた。

顔が熱い。かぁぁぁぁぁっ、と熱くなったあの瞬間から、ずっと胸がドキドキしているのが分かる。

 

先ほど、鹿波の唇が私の額に当たったのは、鹿波に過失はない。ないのだが…。

 

あーっ!

なんなのだ!

少なくとも鹿波が悪い部分はなく、私が彼に近付き過ぎたのがいけない。それはわかっている。わかっているのだ。

だが、感情としては、全て鹿波が悪い。そう思ってしまう。

いつの間にかそんな距離まで近付いてしまっていたのも、その瞳をじっと見つめてしまっていたのも、そしてーーーーー。

 

 

その唇が私のおでこに当たった時のことを意識して、更に顔が熱くなる。

動悸は激しい。

今すぐ何かを抱きしめてゴロゴロとしたい衝動にかられる。

別に、鹿波のことが好きだとか、そういう訳ではない。

 

ただ、男というものを知らずに育ってしまった私には、先ほどの事だけでも許容量を超えている。

 

 

胸の動悸は思い出すほどに激しくなり、鹿波の顔が頭にフラッシュバックするたびに、その唇を意識してしまう。

彼の唇が、私のおでこにーーー。

 

 

「ぬあああああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして私は、かれこれ10分以上出て行くことが出来なかった。




な、何故か気付いたらちーちゃんがヒロインしとる…。

私、ハーレムエンドは好きじゃないんですけど。
ハーレムエンドでみんながハッピーエンド、とかどうですかね
壁|ω・)チラッ

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