とあるIS学園の整備員さん   作:逸般ピーポー

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うちの小説はスルメのようになれることを目指しております。
その心は?


かめばかむほど味が出る。



…許して。


それから

真耶ちゃん先生の方の転入生も無事終わったらしい。

 

一人はドイツのIS軍人。もう一人はフランスの男性代表候補生。

1クラスに二人も転入とか、これもうわかんねぇな。

 

 

ん?

 

 

「真耶先生、男性のIS操縦者は一人だけですよね?フランスにも居たなんて話、聞いてませんけど」

 

「はいー…。当然女の子なんですけど、フランス政府から男性操縦者として扱え、という通達が来ましてー…。

教員としてはちょっと困ってますぅ…」

 

ごめん知ってた。

でも話を聞いてもいないのに知ってるなんて怪しすぎるからね、仕方ないね。

 

でもそれってさ。

もしかして、いやもしかしなくてもだけど。

 

「では、織斑君と同じ部屋ということになるんですか?」

 

「そうなりますねー」

 

「ハニートラップ、ではない?」

 

「仮にそうであった場合、IS学園としては今後一切フランスからの入学を認めないという条件がついていますので…。

今のところ、こちらはハニートラップではないと想定して動いています」

 

「ただでさえ女の子に囲まれた寮にぶちこまれているのに、同室の子が女の子ですかぁ…。うわぁ…」

 

「うう、正直織斑君には申し訳なく思ってます…」

 

僕なら絶対飛び出してるね、そんな環境。嫌じゃん。

 

「まあ、山田先生が気にすることではありませんし。その気持ちがあるなら、こまめにガス抜きというか、話を聞いてあげるとかしたらどうでしょうか」

 

「そうですね。でも、やっぱり同性じゃないと話せないことってあると思うんですよー。」

 

「まあまあ、それはそうかもしれませんねえ」

 

「だからどこかで、歳の近い同性の人とお話を…?」

 

ん?

山田先生。なぜ私の顔をじっと見て首を傾げているんですか?

 

嫌な予感しかしないんですがそれは。

 

 

私の勘はよく当たる。

三十六計逃げるに如かず。さらば!

 

「では山田先生、私はこのへんで」

 

そう言い残し、返事も待たずに早足でそそくさと整備庫へ逃げる。

 

後ろから「あっ、鹿波さん、待ってくださーい!待ってくだ…待ってえええ」とか聞こえるけど聞こえなーい。知らなーい。

 

 

そして廊下の突き当たり、T字になっている左から足音がする。整備庫に行くにはここで左だ。

 

誰かとぶつかるかもしれないことを考慮して、やや大回りによける。

 

「おっと」

 

出てきたのは織斑先生でした。

 

 

「お疲れさまです」

 

にっこり笑ってすれ違いざまに挨拶。

挨拶は大事。

 

「ああ」

 

よし!

急いでいることを不信に思われないためには、急いでいても余裕を失わないことだ。

こういう小ネタというか、小手先の処世術ばかり覚えていくなぁ…。

 

 

その日のISコアの作成の前に、僕はわりかし本気で神に祈った。

 

神様!

 

どうか面倒ごとを持ってきませんように!


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