暖かい手。優しい顔。低くて落ち着いた声。
その手が僕に触れるたび、僕はちょっとだけ笑うんだ。
その声が私を守るたび、私は声無き声で言うんだよ。
ありがとう、って。
たとえ聞こえていなくても。
「で、結局鈴ちゃんには保留と」
「はい」
「ほーん」
放課後。一夏君と組み手をした後の休憩中。たっちゃんいわく、とりあえず今のところ、俺は組み手とかくらいしか出来る事がないらしい。で、一夏君相手ならちょうど体格も合うし一夏君も(俺に)怪我させない程度には組み手に慣れてきたからやってみて、とのことだった。
ま、俺はIS持ってないしね。まだ
あ、ちなみにたっちゃんに聞いたらそろそろ武装についてはなんとかなりそうだって。有澤を除いて。
芸術は、爆発だ!を地で行く有澤は、企業体質からもういろいろとアレな感じらしく。汎用グレネードやら専用の武装やらは、じっくりと擦り合わせをしないと難しいんだとか。まあ慌てる訳でもないし、引き続きよろしく頼むよって感じですな。
しかし組み手とか、中学時代の柔道以来ですな。楽しい。けどけっこう痛いし疲れる。くそ、普段の健康的な筋トレ程度ではやはり運動には筋力が足りない。一夏君はまだ余裕そうなのに対してこっちは既に身体が重くなりつつある。まあちっぽけなプライドで、そんな素振りは全く見せないんだけどね!
「やっぱりまだ、鈴ちゃんの事が信じられない?」
「…信じられない、というか。なんて言うんですかね…」
そう言って、一夏君は考えこんだ。うんうん、是非とも悩むぬきたまえ若人よ。ゆうてまだ俺も二十代なんだけどね。何故かよくおじいちゃん扱いされる不思議。どういうことなの…。
「…多分、あいつとの付き合い方が、よく分からないんだと思います」
「ほう」
どういうこっちゃ。
「…ていうか、鹿波さん」
「ん?」
なんだね。
「女の子と上手く付き合う方法とか無いですかねー…」
「あるよ?」
普通に。
「え、あるんですか!?」
「そりゃあるよ」
君は何を言ってるんだ。まあ、一夏君が望む分かりやすい方法論とは限らないけどね。
「じゃあ、どうやって鈴と向き合えば良いですか?」
「一夏君が後悔しないようにすれば良いと思う」
ぶっちゃけね。何が正解かなんて、人によって千差万別だし。ただひとつ言えるのは、後悔しないようにしてればだいたいそれが正解だったりする。とりあえずやるだけやっておけば、あんまり後悔しないで済むよ。
「えー…」
「逆に聞くけど、万人に共通する方法なんてあると思う?」
「ある、と良いなぁ…とは思いますね」
「そうだね。あったら僕も知りたいかな」
それを本にまとめて発行したい。少なくともそれで何人かの役には立つでしょ。いやー、俺って超いい人だね!自分で言うと価値が下がるから心の中で思うだけ。考えるだけならセーフやからね。どうせ考えてることなんてばれへんばれへん。だからちっふーのおっぱいおっきかったなーとか考えてもセーフ。
ところで一夏君、何故君はじっとりとした目で僕を見ているかね?
「…はぁ。まあ良いですけど」
「何故僕は今ため息をつかれたんだ…」
「鹿波さん、しょうもないこと考えてたじゃないですか」
「何のことかな」
ばれてーら。なんでや!アウトみたいですね…。
「で、一夏君は周りの女の子達との関係は良好かい?」
イケメンでフラグをポンポン立てる一夏君の事だし、そう心配ないとは思うけど。
「良好っていうか、まあ普通ですね」
「普通」
絶対ウソだゾ。どうせ何もしなくても周りの女の子達から話かけられたりしてるんだ。間違いない。
実際に何もしなくても男が声かけられるとか、相当なイケメンでもない限りあり得ないんだよなぁ…。ソースは俺。
ええ、前世の高校の頃はマジで向こうから声かけられるとかなかった。まあ、ある程度人との付き合い方を学習してからはなんとかなるようになったけど。
さて、ここで始まる鹿波さんの特別講座ー。わーぱちぱち。
ちなみに今既にモテモテ、もしくは女の子に不自由してないぜ!っていうそこのキミ!しばらく読み飛ばしてええで。
逆に、「どうすれば女の子と仲良くなれるんだよ!」って感じのそこのキミ。
本当になんとかしたいなら、僕の講座を学んだその日から実践してみ。ちゃんとやれば、必ずキミは人と仲良くなれるで。ちなみに対象は基本的に高校生くらい。まあ別に大学生でも社会人でも役には立つと思うよ?
良いかい、本当に割とどうでもいい事だから別に興味なかったら読み飛ばすんやで。おにーさんとの約束だ!それと便座カバー。
さて、まずは一つ!
その人の鼻を見て挨拶をしよう。実際のところ、自分の両腕の長さくらいが君のテリトリーで、その中にちょっとでも入った人には名前を呼んで挨拶だ。
名前が照れくさかったらあだ名でも可。名前が分からないときは、ちゃんと挨拶する相手の顔を見て声をかければオッケー。
おはよう!とかいうのが恥ずかしいときには
「うーっす」とか
「よう」くらいでも全然問題ない。
ただし注意。挨拶は基本的に毎朝しよう。もしくはどこかで会った時。ちなみに廊下ですれ違う時とかはどっちでも可。基本、道で会った時とかは挨拶しなくても大丈夫。だって気付かなかっただけと思うのが普通だからね。ただ、普段自分から挨拶しないと無視したように思われることもある。まあそれも含めて挨拶しておくと良いんだ。
ちなみに相手が男でも女でも挨拶はすると良い。嫌いな相手には挨拶しなくて良いけど、どうでも良い相手には挨拶しておくと良いよ。
将来働くようになると、自分が嫌いな相手にも礼儀正しく接しなきゃいけない時が来るかもしれないからね。その練習だと思うと良い。
ああ、あとあれだ。挨拶したら変に思われないかな…。とか思う人。
大丈夫。だいたいの人は、君のことなんか気にしてないから。むしろみんな一番気になるのは自分の事だから。だから自分から挨拶したくらいじゃあ誰も変に思ったりなんかはしないよ。ただ、自分の事はすごく気になるのが人間だから、自分の存在を意識してくれる誰かっていうのは凄く好意的に感じるもの。
まあ一つ目は挨拶。
まあどうでもいいね!
「なんて言うんですかね…。こう、女の子の会話って、結論がないんですよ」
「そりゃそうだよ」
だって女の子達は話をするのはただのストレス解消程度のものだもの。問題を解決するつもりなんて基本的にないもの(全員が全員いつでもそう、と言う訳じゃないけど)。
「…聞いててイライラしません?」
「別に?」
それは自分が基準になっているからそうなるだけだよ?
あ、二つ目!
あなたの辞書から次の言葉を意識して使わないようにしてみましょう。
【私】
あなたの辞書から次の言葉を意識して使うようにしましょう。
【あなた】
自分の満足を得るための会話は、ストレスは解消されるけど人間関係は悪くなりやすい。
イメージしてみよう。
あなたはひたすら相手の話を聞かされる。その話は正直興味がない。
これは、あなたが自分の事を中心に考えているからなんだ。別に悪いと言う訳じゃない。ただ、これつまらないでしょ?
じゃあ、これを相手がされたら?その相手はあなたと一緒に居たいと思うだろうか?
ね。そういうことです。
自分が話すのと相手の話を聞くのは、2:8くらいで良い。もちろん、自分の事を話したいという思いはたくさんあって良い。ただその話は、家族とするようにしてみよう。それだけでもだいぶ、君の周りの環境は変わる。
が、これもやっぱりどうでもいい。
「あと、相づちを打ってても『ねえ聞いてますの?』とか言われたりするんですよ?」
「そうかい?」
「ちゃんと聞いてて、自分の意見を言うとぶーすか言う人も居ますしね」
「ほうほう」
ここで三つ目。
相づちはわりとどうでも良いけど、相手が言ったことは自分なりに整理して、別の言葉で言い換えると良いよ。
あとなるべく否定や反対はしないこと。
人間誰しも同意してくれる人や自分の考えを認めてくれる人を好きになるからね。そりゃ、あんまりにも自分を否定してきたりされれば反対しなきゃだけど。まあ、存外そういうことはめったにないもんだよ。あったらそれはそれで良い経験が出来てラッキー、くらいなもので良いしね。
例えば、
「昨日は突然雨が降ってきて大変だったよ」
「大変だったね」
「本当にもうずぶ濡れで、靴までぐっしょりでさー」
「全身濡れたんだね」
「やってらんねえよな」
「大変だったね。風邪とかひかなかった?」
「それは大丈夫だったんだけどさー、本当にもうやんなるよなー」
こんな感じ。ちなみに相手の話に興味がない場合どうすればいいの?って人。興味を持ちましょう。
といっても難しいので、こうすると簡単。
『もし相手が自分だったら…?』
と考える。
上の例なら、
自分なら折り畳み式の傘を常備するな…。
とか
親呼んで迎えに来てもらえば良くないか?
とか
バスがあったな、確か。帰るルートそういえば知らないな。調べてみよう。
とかね。
ほら、相手の話にすぐに馴染めるでしょ。
え?
全然興味わかないんだけどって?知らん。アキラメロン。
「結局『うんうん、そうだね』って言ってくれる人が欲しいだけなんですよ」
「あー、まあそれは確かにそうだね」
あ、四つ目。
自分が相手に同意していることが分かるように伝えよう。
バリエーションとしては
「確かに!」
とか
「あー、間違いないね」
とか
「全くその通りですね」
とか
「本当におっしゃる通りです」
とか。
まだまだあるけど、だいたいこれくらい言えれば日常生活では困らないかな?
言えなくても困らないから、全く気にする必要はないけどね。今の君のままで充分なんや…。知らんけど。すいません適当言いました。仕方ないね!
「でしょう?それなら俺じゃなくたっていいじゃん。って思う訳ですよ」
「そうだねぇ…。ただ、その子達はもしかしたら、一夏君だからこそ聞いて欲しいのかも知れないよ?」
あ、五つ目。
その人の名前をなるだけ言おう。
それだけで相手は
「あ、この人は自分の事を認めてくれてる」
って思う(らしい)。
まあ、心理学的なことは分からないけど実際に使ってて間違いないと思う。
これで僕に彼女が居たことがなかったら信憑性皆無だけど、僕普通に彼女居たしね。まあ今はフリーだけど。
ぶっちゃけますと、たっちゃんやちっふー、ラウラにシャルロットちゃんと、可愛い綺麗所があふれてるからね。俺の周辺。あんまり彼女欲しい!ってならないんよなぁ…。自慢かって?せやで。うわなにこいつうっぜぇ。
「そんなものですかね…」
「そんなもんよー」
ま、一夏君は一夏君のままでもニコポもナデポもありそうだし。ていうか、下手したら一夏君は実の姉すら攻略対象に出来そうなくらいに主人公してるからなぁ。
あんまりこういう事、教える必要なさそうなんよね。
意地悪してるつもりじゃないんだけどさー。
がんばれ少年。
最近は精神状態がぶっ壊れなんで読みにくいかも
読みにくいというか駄文やね