お久しぶりです
さあ、影で細々とやっていきます
「ふう…」
最近はIS学園の学園祭が近づいてきたせいか、訓練機の貸し出しが多い。やっぱりこういう学校行事は皆楽しみなのか、普段よりもISの操縦練習にも熱が入る。そしてその結果、訓練機の整備もいつもより忙しくなる。
今日は特に忙しく、お昼も食べる余裕がなかった。整備班のおっちゃんらからパンやらジュースやらをもらったから、それでしのいだ感じの忙しさである。
時刻は既に6時を回っており、7時になろうかというところ。もはやお昼どころか夕飯の時間帯である。しかしまあ、学生の彼女達は全く元気なことだ。俺はもう今から帰宅するのみだというのに疲労困憊、彼女達はまだこれから部活動やクラスでの学園祭の準備があるのにも関わらず、あちこちではしゃいでいる声がする。
ちなみにシャルロットは今日も良く俺のお手伝いをしてくれました。未だに俺には話をしてはくれない(その代わりにめちゃくちゃ甘えてくる。かわいい)が、同室のラウラいわく、
「兄らしさというか父性というか…。まあ、シャルロットはこれまでそういうものに触れて来なかったからな。
ただ嫁の包容力に甘えているだけだ。
心配することはない」
って。
でも俺、普通に話してくれる方が良いんだけどなぁ…。まあこればっかりはシャルロットじゃないとその胸の内はわからないから仕方がないんだけどね。
さて、いつもならたっちゃんや一夏君と特訓している頃あい(しかも組手で一番熱の入る時間帯)だけど、今日はもう疲れたし。うん、帰ろう。どうせあとちょっとしたら終わるくらいの時間だしな。
そう言えばたっちゃんが、俺の設計した俺のISというかIZの目処がついたって言ってたな。武装についてはFF7の金髪の剣みたいなのは無理かもしれないらしいが、まあしゃーないな。うん。
原作知識で学園祭は襲撃があったから俺もたっちゃんと特訓をしているが、元々襲われてたのは一夏君だったはず。俺が特訓しているのは念のため+いざというときに護身程度に戦えるようにするためだから、まあ、今日くらいは許してもらおう。
しかし一夏君やたっちゃんも学園祭の準備があると思うんだけど、そっちは大丈夫なんだろうか。
そんなことを思いながら自室の玄関の鍵をあけるとなんだか違和感が。
んん?
俺鍵閉めずに出たっけ…?
その答えは、キッチンから聞こえて来た声で分かった。
「おかえりなさい鹿波さん♪
ご飯にします?お風呂にします?それともワ・タ・シ?」
ご飯にしてからお風呂、最後にたっちゃんで。
なんて馬鹿なことを考えている間にキッチンからひょっこり顔を出したのは、制服の上からエプロンをしたたっちゃんであった。
うん、なんでいるのん?
「今日は一夏君がクラスのお手伝いに行ってるし、鹿波さんも忙しかったみたいだから特訓はお休みにしたの。あ、ちゃんと鹿波さんの机に連絡の紙は置いてあったでしょ?」
ニコニコしながらそう言うたっちゃんだが、すまんな。そんなところまで気が回ってなかったんや。明日の朝、きっとその紙は俺を出迎えてくれるだろう。無念。
ところでたっちゃん、生徒会の仕事は?
「だいたい片付けて来たから大丈夫よ?虚も居るし」
なるほど。つまり虚さんに仕事を押し付けてきた、と。
…ところでいい匂いがするね?
「もうすぐ出来る青椒肉絲で全部だから、先に机にあるものから食べててもらえるかしら」
ジュウジュウと肉とピーマンをフライパンで調理するたっちゃんの声を背中に手を洗いに行く。うむ、苦しゅうない。さすれば。訳ワカメ。うん、お腹減ってるとダメだね。美味しそう。
「デザートはマンゴープリンを作ってみましたー♪」
ふむ。
机の上にはご飯と味噌汁、大皿には青椒肉絲。魚の煮付けと小鉢にはゴボウのきんぴらかな?サラダもあるな。そして今たっちゃんが持って来たのがデザートのマンゴープリンか。
あ、マンゴープリンはまだ冷やしておいて。
「はーい」
さて。
いただきます。いやあ、非常に美味しそうである。たっちゃんは良いお嫁さんになるね。多分。
あつあつのごはん!日本人にはやはり米!そして美味しそうな匂いをさせている青椒肉絲!
うーん、美味い!
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
ふう。いやあ美味かった。たっちゃんは料理も出来るのか。まさにハイスペック美少女である。
…で、なんで居るのん?
と思ったところでたっちゃんは原作で一夏君に裸エプロンならぬ水着エプロンをしていたことを思い出す。うん、あれだな。またたっちゃんが人をからかいに来たんだろう。要はいつもの冗談である。まったく。
(お父さんとお母さんには既に紹介したし、逃げ場は無くしてあるし。うん、後は既成事実を作るだけね!
見てなさい虚。
「まあ、頑張って下さい。無理だと思いますが」なんて冷めた目で見てたあなたを見返してあげるわ…!)
ところでたっちゃん、お風呂は沸いてる?
「もちろん!準備万端よ?」
その後に呟いた、…お布団も、というのは聞かなかったことにする。まさか本気ではないとは思うし。
さて、それじゃあ食後の一服もしたし、お風呂に入るとしよう。たっちゃんが顔を赤らめていたのも努めて気にせず、スマホを持ってお風呂の中へ。
そして電話帳から目的の番号にプッシュ!
プルルルル…
「あ、もしもし織斑先生?」
不法侵入だ。
この後たっちゃんはちっふーにこってりしぼられました