Red Planet   作:Bishop1911

12 / 19
銃は恋人より大事に扱え。
だが、戦場で捨てる決意は一瞬でしろ。
恋人のように扱っても所詮は道具だ。


黒き正義
11「バディ」


エリア01の騒動から無事に脱出して

アメリカ領アレス州に転がり込んだ俺は、

1年前からアレス州でPMCを経営している

友人のベンからいいように説得されて

今やベンジャミン・ミリタリー・サービスの

社員となっていた。

俺のやり方に口を出さないことを

条件に入社したこともあってか、

常に1人で動き、

軍隊特有のチームプレイの『チ』すら

頭に無い俺に、

周囲のオペレーターは

白い目を向けるが、

別に一緒に仕事をするわけでもないので

気にはしなかった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

B.M.S.本部 射撃場

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はぁ?

そんなバカな。」

 

「いや、本気だぜ。

ミスターシェオル。」

 

俺は目の前の

同い年か一個下くらいの年頃の

エリック・ボウマンと名乗った青年から

聞いた話に耳を疑った。

何でも、今日から俺の部下になるらしい。

 

「いや、絶対に有り得ない。

それとミスターなんて付けるな。

俺はよそ者だ、普通にタカシだとか

シェオルでいい。」

 

「そんじゃあ、タカ。

そう言うわけなんで

今日からよろしく。」

 

「だから有り得ないって言ってんだろ。

俺は1人が良いんだ。

忠誠心や仲間意識だとか言う海兵隊の

熱いノリはお断りだ。」

 

俺は自分のAK74に新しいマガジンを

装填しながら答える。

 

「ここは傭兵会社だぜ?

海兵隊じゃねえ。」

 

「そんなのはどうでも良い。

とにかく、俺は相棒なんてお断りだ。

俺にお前みたいなルーキーの

面倒を見る余裕は無い。」

 

俺はAK74のコッキングレバーを引き、

的に向ける。

 

「エリック・ボウマン海兵隊二等軍曹。

スカウトスナイパーとして

朝鮮半島に2度の出征。

公式射殺記録は54人、

非公式だと61人。

あんたがどれだけの死線を

潜ってきたか知らねえが、

ルーキー呼ばわりは失礼だぜ。」

 

俺はトリガーにかけた指を離すと、

セレクターレバーを

セーフティーの位置に上げ、

ため息を吐き、後頭部を掻く。

 

「…ついて来い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はエリックを連れて

射撃場の外に出ると、

壁に背を預けて話を続ける。

 

「市街地戦の経験は?」

 

「2度とも任務は平壌での

歩兵部隊支援だ。

もともと市街地戦しかやってねえよ。」

 

 

なるほど。

かなり優秀だが、大戦後の軍縮の影響で

軍を追われたんだろう。

 

 

俺はもう一度後頭部を掻きながら、

入社した時に貰った端末を呼び出す。

いくつか並んでいる"仕事"のファイルから

1つ選ぶと、

いつの間にか追加されていた

『Team』をタップして

Erik Bowmanを選び、

そのファイルを転送した。

 

「監視任務…か。」

 

「あぁ、お手の物だろ?」

 

「はっ、オ◯◯ーの方が簡単だ。」

 

エリックは鼻で笑ってそう言い返してくる。

 

「その軽口がどこまで本気か…

お手並み拝見といこう。」

 

俺は端末を

ポケットにしまいながら宿舎に向かうために

射撃場の外に出た。

宿舎の自室でプレートキャリアと

ガンベルトを身に付け、

ヘルメットとマルチサイト、

軽食、クラップリングフック、

その他諸々の装備品を放り込んだ。

 

部屋を出ると、

すでにエリックが外で待っていた。

 

「…早いな。」

 

「金が無くてね。身軽なだけだ。」

 

エリックの装備を見ると、

確かに身軽だ。

上から順にブーニーハット、

サングラス、アフガンストール、

ポロシャツ、チェストリグ、

ガンベルト、タクティカルパンツ、

トレッキングブーツだ。

 

得物はというと、

SR-47を5.45×39mm仕様に

カスタムした物と、

ガンケースに入った謎の一丁、

M45のカスタム品。

まぁなぜ金が足りなくなったかは

想像がつく。

 

そのまま行くのも良いが

人生初の相棒に初日で

逝かれてはたまったもんじゃない。

 

「ちょっと待ってろ。」

 

俺は部屋に引き返して

非常用の装備バッグから

ケブラーの防弾ベストを取り出すと、

エリックに投げ渡す。

 

「着とけ。」

 

「ふぅん…意外と優しいんだな。」

 

「勘違いすんな。

初日で相棒に死なれたら

寝付きが悪いからだ。」

 

「そういうのを

ツンデレって言うんだぜ。」

 

「うるさい。ほら行くぞ。」

 

 




<エリア02>
エリアという名称が付けられているが、
正式にはアメリカ合衆国の51番目の州。
アレス州という名は
2010年に中止された火星探査計画で
使われるはずだったロケットの
名前から取られたとされる。

地球の本国から遠すぎる事もあって
経費削減等の理由から
警察、軍にはほとんどが
PMCを起用しているが、
実質は対戦後の軍縮や経費削減のために
組織を追われた退役軍人や元警官で
構成されている。
ただ例外もあり、
以前から退役軍人の再就職先として
需要があったFBIや国境警備隊等は
変わらず政府の管轄となっている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。