Red Planet   作:Bishop1911

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18「再会」2

「近づくな!

近づいたらコイツの首を搔き切るからなッ!」

 

刃渡りが20cm近くあるナイフの刃が

女の首に当てられ、鈍く輝く。

 

「わかったわかった、落ち着け…」

 

俺は両手を上げてメリケンサックを投げ捨てると

無抵抗の意を示す。

まぁまだ武器は隠し持っているが、

追い込まれた状況で眼に映るもの以上の脅威を

想定して対処できる人間なら、

今ここにエリックが居ないことに気付くはずだ。

 

「よぉし…良いぞ…

そのまま動くんじゃねえぞ…?」

 

だがそれに気付く様子が無いという時点で

俺の勝ちだ。

男たちの背後のドアがゆっくりと開き、

M870を持ったエリックが忍び込んでくる。

助けに戻ることを予想してはいたが

指示した覚えは無いので

エリックがどんな装弾を仕込んできたかは不明だが、

この酔っ払いどもと一緒に

ミンチになるのは御免被る。

できれば非致死性であることを願いたい。

 

俺はエリックとアイコンタクトを取り、

俺から見て右側の3人を頼むと俺の担当になる

左側の2人と人質を取っている

真ん中のヤツを確認した。

どいつも俺とエリックの動きには

気づいていないらしい。

俺は始まりの合図でエリックに軽く頷いて見せると、

エリックは近くにいた1人をストックで殴りつけ、

2人目にM870を向けて撃った。

ショットガンの凄まじい銃声が壁で反響し、

それに反応した全員が動き出す。

俺は腰に挿していたHK45を抜き取ると

人質をとる男がナイフを握る

右肩を狙って1発撃った。

 

「ぎゃあ"あ"あ"あぁぁぁッ!!」

 

俺は空かさず45口径の衝撃で

体勢を崩した男との間合いを詰めて

人質の彼女から引き剥がすと床に蹴飛ばす。

俺は男の風穴の開いた右肩を踏みつけて動きを止め、

残りの2人に銃を向けた。

 

「悪いが非致死性の武器は持ってないぞ?

まだやり合うなら死ぬ覚悟で来い。」

 

2人はお互いの顔を見て

冷や汗を浮かべながら後退りすると、

俺に肩を踏まれている男を残して店を出て行った。

 

「お前も行けよ。」

 

俺は1人とり残された男の肩から足をどかしてやると、

 

「…く、クソッタレが…覚えてろよ…!」

 

男はそんな捨て台詞を吐いて逃げて行った。

 

「悪いタカ、遅くなっちまった。」

 

「いや、タイミングはちょうど良かった。」

 

喧嘩の余韻を残す店内に残された俺たちが

短く声を掛け合う所へ事の発端の一部である女が

カウンターの影からひょこっと現れた。

 

「…あんたら一体何者なの?」

 

「…ただの傭兵だ。色々とワケありだがな。

それより君は?なんて名前なんだ?」

 

「私の名前は…」

 

俺はボケっと女を見つめて動かないエリックを

見かねて女に名前を聞くが、

以外にもその答えはエリックの口から出た。

 

「ケイト…、ケイト・サラザール…?」

 

「ーーッ!!」

 

彼女はその名前を聞いた途端に血相を変えて

エリックに飛びかかって馬乗りになると、

近くに転がっていた割れたガラス瓶を手にとって

エリックの首に押し当てた。

 

「なんであんたがその名前を知ってんのッ!」

 

「…覚えてないのか…!?

俺だ、エリックだ!一体何があったんだ!

君のお父さんはずっと心配してたんだぞ!」

 

「あんたに…あんたに何がわかるっての…?

あんな人、死んじゃえばいいのよ!」

 

彼女のガラス瓶を握る手に力が入り、

エリックの首に浅い傷を付ける。

 

「落ち着け、エリックから離れろ。」

 

俺は怒鳴り散らす彼女を宥めようと声をかけるが、

聞く耳を持たない。

 

「うるさい、うるさいうるさいうるさいッ!!

あんたらなんか殺してやる!

パパもみんなも全員死んじゃえッ!」

 

もはや錯乱状態で叫ぶ彼女には誰の言葉も

届かないだろう。

俺は足首に巻いたホルスターからテイザーガンを抜き、

火傷の痕が残らないよう彼女のドレスに

照準を合わせて引き金を引いた。

オモチャの火薬銃のような乾いた破裂音で

2本の電極が飛んでいき、

彼女の背中に取り付くと同時に電流を流す。

 

声にならない悲鳴を上げながら

体を硬直させて身を仰け反らせ、

電流が止まると同時に脱力して床に仰向けに倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリック…彼女を知ってるのか?」

 

「…ああ、知ってる。

でも前はあんなんじゃなかった…。」

 

ジープの中で後部座席に横たわる亜麻色の髪の女を

横目で見ながらエリックと話す。

 

「それはどうでもいい、彼女は一体何者なんだ?」

 

「…彼女の父親は

合衆国宇宙軍第3艦隊のサラザール提督だ。

『海賊殺し』って名前の方が有名な

そいつのひとり娘が彼女、ケイト・サラザール。

ケイトは…2年前に誘拐されたんだ…」

 

「人身売買か?」

 

「わからない…

でもサラザール提督はケイトが

行方不明になってから宇宙軍を退役した。」

 

「脅されてたってことか…。」

 

エリックは助手席で眉間に皺を寄せ、

何かを決断したように俺の方をみた。

 

「タカ…、俺にケイトの面倒を

看させてくれないか?」

 

予想はしていたが、やはりそうきたか…

エリックの様子からして

以前に彼女と何かあったようだが、

かなり深い関係のようだ。

 

「迷惑かけるのはわかってる…

代わりのヤツを出せるほどの人脈なんてまだ無いし

何よりここじゃあんたのバディだ。

それでも…」

 

「いい、それ以上は言うな。」

 

俺はエリックの言葉を遮ってそう言い、

ため息を1つつく。

 

「いくら落ちぶれてもその女にはまだ価値がある。

絶対に傷つけるなよ?」

 

「…ふっ…」

 

「なっ!?」

 

かなり真面目に答えただけあって鼻で笑われると

ショックを受けるのだが、

 

「もっと正直に言えねえのかよ。

でもまあ…ありがとう。」

 

理解されているようで少し安心した。




タカシ「新キャラがひとーり、
新キャラがふたーり、
新キャラがさんにーん、
なーんてな。」

ビショップ「頼むからタカ、もう出逢うな!」
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