Red Planet   作:Bishop1911

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課題?な、なんだそれ?
おっ、俺の世界じゃ
ききっ、聞いたことな、無い言葉....だな。


8「対空戦」

俺は偽造IDでレンタカーを借りると、

馴染みの武器屋に入った。

 

「お、長らくだねー。

どうした?恋人の調子が悪いのか?」

 

「いや、ちょっと遠出するから

対物ライフルが欲しくてな。」

 

「やっぱ彼女の

5.45×39mmじゃ徹甲弾でも

害虫は通さんだろ?」

 

「そんなことは無いが…」

 

「まあお前さんがこうして

顔出してくれてんならいいさ。

親父さんと一緒でしぶとそうだしな。」

 

「まあな。」

 

「車だろ?

ちっさめのヤツがいいよな。

この子なんてどうだ?GM6lynx。」

 

「初めて見るな。

おやっさん、これなんかすごいのか?」

 

「へ〜、お前さんでも知らねえ子が

いたんだなぁ。

しょうがねえ、紹介しよう。

この子はGM6lynx。

地球のハンガリーとか言う国で

作られた対物ライフルだ。

ゲパードM2の妹分だよ。

そして…能ある鷹は爪を隠すって

言うだろ?

この子はプルバップ方式ってだけで

コンパクトなのに銃身を収納できるんだ。

痺れるだろ?」

 

「っで、他は?」

 

「まあ急かすなって。

銃身を収納できるっつったがこの子は

ロングリコイル方式でな、

排莢する時に銃身ごと後退すんだ。

だから…こうやって…立ったままでも撃てる。

この子は11kgちょっとあって

ちょいとガッシリさんだから

俺にゃ厳しいが

お前さんなら楽勝だろ?」

 

おやっさんは立射の姿勢でGM6lynxを構えるが、

すでに手が震えている。

 

「いくらだ?」

 

「この子はかなりレアだからなぁ....

10000マーズドルだな。

いや、やっぱ売らねえ。俺の嫁にするっ!」

 

「ああ…あぁ、えっと…」

 

まともに構えることすらできない銃を

嫁にするとか言うヤツ....の前に、

銃を恋人として扱う男が

それを売り捌く職についていることは

どうかと思うが黙っておこう。

と言うか銃に嫁宣言した瞬間

キスし始めるのはやめて欲しい。

 

「と、とりあえず…M82A2あるか?」

 

「あ、あぁ…、あるぞ。

ちょっと待ってな。」

 

おやっさんが店の奥に消え、

いつ憲兵隊が来るかと不安になりながら

待つこと数分、

M82A2を持ったおやっさんが

目元に少し涙を浮かべてやってきた。

 

「悪い、タカシ。

この子キズものでな、

アリに噛み付かれた跡がある。

この子しか居ねえんだが、

5500マーズドルにまけてやるから

もらってくんねえか?」

 

まるで娘を送り出す親の顔で

『キズもの』などと

娼館の主人のような矛盾した事を言う

この変態をいい加減どうにかしてやりたいが、

キズがあるのはハンドガードだけで

バレルや他の部分には

キズが無いから精度に問題は無いだろうし、

5500マーズドルまでまけてくれることは

滅多に無いので買う。

 

 

 

 

「ありがとなぁ…

大事にしてやってくれよぉ…」

 

「ああ、わかってる。」

 

今にも泣き出しそうなおやっさんに

別れを告げると俺は店を後にし、

エリア01の外へ通じるゲートに向かった。

 

ゲートにはもちろん検問所があり、

防衛軍が管理しているが、

そこの将校は検問所の所長という立場を利用して

傭兵たちがヤバイ物を持ち込むことを

黙認する代わりに大金を巻き上げていた。

俺はその手の運び屋はやっていなかったが、

これまで存在しないはずの通行料を

支払い続けていた。

憎たらしく思っていたが、

まさか俺がエリア01を脱出する頼みの綱に

なるとは思いもしなかった。

 

俺はバックパックから100マーズドルの束を

1つ取り出して準備すると、

検問所のゲート前で車を停めた。

 

着崩したピンクの迷彩服に

防衛軍が採用していないXM8を

装備した不良軍人が俺の車に

近づいてくる。

俺は窓を少し下げる。

 

「IDを見せて通行料として

500マーズドル払いな。

IDを見せたくねえなら追加料金もだ。」

 

俺は束から10枚、

1000マーズドル抜き取ると、

不良軍人に支払う。

 

「へっ、まいどありっ!」

 

「待て。」

 

俺はその不良軍人を呼び止め、

さらに5枚、500マーズドル渡す。

 

「誰に何を聞かれても

IDはちゃんと確認したと答えろ。

これは口止め料だ。」

 

「あいよ。俺はIDを見たが、

平凡すぎて顔も名前も忘れちまった。

これでいいな?」

 

「ああ、ありがとう。」

 

ゲートが上がり、

なんのトラブルも起こさずにエリア01を

脱出した俺は、端末のマップを起動して

アメリカが管理するエリア02を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周囲の景色が赤茶色の砂の海から

水が地面を削り取って作り出した

カラス峡谷にさしかかる。

エリア01を背にして

バギーを走らせながら

俺は次の一手としてエリア02の傭兵部隊、

ベンジャミン・ミリタリー・サービスに

電話をかける。

そう、自称俺の姉に吹っ飛ばされたやつが

社長をしている会社だ。

 

 

『はい、こちらは

ベンジャミン・ミリタリー・サービスです。

ご用件はなんでしょう?』

 

電話を取ったのは透き通った声の女で

火星では女の傭兵が珍しいせいか、

俺は軽く同様するが要件を伝える。

 

「あ、えっと…あぁ…

エリア01のタカシ・シェオルだ。

ベンに話がある。

代わってもらえるか?」

 

『しばらくお待ちください。』

 

憲兵隊に追われ、

砂漠のど真ん中をバギーで

飛ばしまくってる俺に

落ち着けと言いたげに気の抜けた電子音が

数分流れ、突然威勢のいい男の声に変わる。

 

『よおタカシっ!元気だったか?』

 

「元気って…お前の方は大丈夫なのか?」

 

『いや〜美人のねえちゃんの

ケツ触った代償が

まさかの回し蹴りとはなぁっ!

気づいたらアーガス以外誰も店にいなかった。

で、用事ってなんだ?』

 

 

要するにナタリーという国連軍の女のことだ。

しかし…なんだ?

この身内の不祥事を

咎められるような感覚は…?

 

「それでなんだが…

ちょっとヤバイことになってな。

01から逃げてる。

そっちで入国の手配できないか?」

 

『なぁんだそんなことか?

任せとけ。』

 

「すまない。」

 

『なに謝ってんだよ、

この仕事ではよくあることじゃねえか。

それにお前には借りがある。

そんじゃあ待ってるぜ。』

 

「ありがとう。」

 

俺は電話を切ると、自由の国への希望を胸に

アクセルを踏む力を強めた。

だが今やテロリストの汚名を

着せられている傭兵が

簡単に逃げられるわけもなく、

白い尾を引く飛行物体が

バックミラーに映り込んだ。

そして次の瞬間、目の前の崖が爆発した。

 

「おわっ!?チキショーッ!」

 

落ちてくる岩を何とか躱し、

小石の雨の中をくぐり抜けると、

今度は前方の橋が吹き飛んだ。

幸い、川なんて人類が降り立つ前に

干上がっているため、

崩れた橋を坂道がわりに谷底に降りた。

 

「ヘルファイアか!?

初めて見たぞ、こん野郎…」

 

整備されてない谷底を

ガタゴトと走りながら

もう一度バックミラーを見る。

 

「嘘だろ…もう勘弁してくれッ!」

 

AH-64Dアパッチロングボウが

2機も映り込んだ。

自衛隊でも2035年にやっと40機揃えた

世界最強の戦闘ヘリだ。

いや、だったと言うべきか。

だがどちらにしろ、

そしていくら相手がオッドアイとはいえ、

AK-74を持ったガキ1人相手に

持ち出す代物じゃないのは確かだ。

 

「クソ、ワザと外してるよな。

じゃあ車を停めるとどうなる?」

 

ブレーキを踏み込んで数秒たった。

今度は真後ろで爆発、いや大爆発が起き、

バギーの後ろが一瞬浮き上がった。

 

「ああそうか、

わかったよ上等じゃねえか!

ナメやがってこの腐れ軍人共が。」

 

俺は土煙の中、M82A2とAK-74、

荷物を持ってバギーを降り、

前の方に回り込んでエンジンを盾にする。

空飛ぶ戦車の前には何も無いに等しいが

気持ち的なものだ。無いよりマシだ。

 

 

 

 

 

終わっただろこの状況…。

詰んでんだろこの状況…。

チェックメイトだろ、王手だろ。

そのまま進んで強行突破でもした方が

良かったろ…。

 

早速車を降りたことを後悔し始めるが、

もうどうしようもない。

AK-74のコッキングレバーを引くと

セレクターをフルオートに切り替え、

ACOGサイトを覗いて

アパッチのコックピットを捉えた。

 

タタタンッ タタタンッ

 

こ気味いい銃声がリズミカルに響き、

何度か連射すると

命中弾があったのか、

アパッチの姿は一旦峡谷の陰に隠れた。

俺は素早くM82A2を準備し、

脇のそばにある挿入口に

弁当箱サイズのマガジンを差し込み、

コッキングレバーを引く。

安全装置を外し、スコープのキャップを外した。

 

「まだ撃ったことは無いが…

そのためのセミオートだ。頼んだぜ。」

 

俺は遠くの岩に試し撃ちすると、

大雑把にスコープの零点調整を終わらせる。

 

「さあ来いッ!」

 

準備を整え、再びアパッチが来るのを待つ。

普通ならこの間に逃げ隠れするのだが、

これ以上邪魔されるのは癪だ。

 

峡谷を抜ける風が水の代わりに

川底に居座る砂を巻き上げる。

頰に当たる砂がチクチクと俺の神経を刺激し、

集中を切らそうとしているようだったが、

待ちに待ったその時がきた。

スコープに映ったアパッチのうち1機は

センサーに弾痕がある。

俺は自分の運の良さを鼻で笑うと

スコープをコックピットに向けた。

 

息を吸っては吐いてを繰り返し、

タイミングをはかる。

そしてアパッチがホバリングした直後、

M82A2が火を吹いた。

次の瞬間スコープの中のコックピットに

蜘蛛の巣のような白い弾痕が生まれ、

赤い血飛沫で真っ赤に染まる。

 

「よっしゃあッ!

ザマあみやがれ!」

 

コックピットをぶち抜かれたアパッチの

機種が大きく下がり、

地面めがけて加速する。

峡谷の陰に隠れて見えなくなった直後、

爆発音が轟いた。

俺は即座にもう一機のアパッチのコックピットに

照準を合わせるが、

それより先にアパッチのチェーンガンが火を噴く。

バギーを潰されるわけにはいかないので、

俺はM82A2だけを持って岩場に逃げ込んだ。

俺の周囲で水飛沫ならぬ砂飛沫をあげながら

30×113mmの弾丸の雨が降り注ぐが、

爆発はしない。

やはり俺を追い立てるためなのか、

榴弾ではなく演習弾のようだ。

まあどちらにしろ当たったら遺体は

残らないだろうから

当たらないに越したことはない。

無事岩場にたどり着くと、

アパッチがすり鉢飛行で回り込んで来る。

 

俺はM82A2で照準をあまり合わせずに

牽制射をするが、

装甲に弾かれて効果はなかった。

 

さらに移動してアパッチの死角に入ると

M82A2の薬室を覗く。残りは1発だ。

マガジンはもう1つあるが、バギーの中だ。

俺は岩にバイポッドを立てて

上がりきった息を整える。

峡谷の陰からアパッチが顔を出し、

スコープの中のチェーンガンが

こちらを向いた。

俺はコックピットを狙って引き金を絞る。

ズダンッという爆音とともに赤茶色の砂が

舞い上がり、

その奥でアパッチの兵装翼が火を吹いた。

 

「は?」

 

俺はもう一度スコープを覗き込んだ。

コックピットは無傷だが

左の兵装翼にぶら下がっている

ロケットポッドが爆発してメチャクチャに

なっていた。

 

「は....外した。

クソッ、パイロットのニヤケ面に

12.7mmぶち込むはずだったのに…。」

 

だが兵装の半分が吹き飛んだアパッチは

チェーンガンをこちらに向けつつ向きを変え、

再び峡谷の陰に消えた。

追い払えたのでとりあえずよしとし、

俺はバギーに荷物とAK-74とM82A2を載せ、

M82A2のマガジンに12.7×99mmNATO弾を

詰めなおしM82A2に装着すると、

運転席に移って再び車を走らせた。




次回
9「death race 」






アパッチのガンナーを倒せても
操縦席との間に仕切りがあるから
パイロットは撃ち抜けないと思うんだよなぁ....

以上、ビショップの個人的見解でした。
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