学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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オーフェリア・ランドルーフェンは平然と爆弾を投下する

「ええっと、服に下着は大丈夫っと。後は……」

 

「……はい、ハミガキとタオル」

 

「おっ、サンキューなオーフェリア」

 

「どういたしまして」

 

俺はオーフェリアに礼を言ってハミガキとタオルを旅行鞄に入れる。

 

俺達は現在、明日からの旅行に備えて行く準備をしている。予定としては明日飛行機でミュンヘンに飛んで沙々宮の家で一泊してからリーゼルタニアに向かう事になっている。

 

「そう言えば八幡は煌式武装を持っていくの?」

 

旅行鞄に用意する物全てを入れて準備完了したオーフェリアがそう聞いてくる。

 

「いや持ってかない。申請面倒だし」

 

アスタリスクにいる時は煌式武装を街中で使う事なんて日常茶飯事だが、アスタリスクの外だとそうもいかず色々と申請しないといけない。しかしその申請はクソ面倒なので持っていかない方が楽だ。幸い俺は能力だから煌式武装無しでも充分にやれるし。

 

「それに例の新型煌式武装はまだ未完成だからおいそれとアスタリスクの外に持ち出すとマズイからな」

 

材木座に頼まれてモニターをしている煌式武装は世間に公表されてない以上アスタリスク外に持ち出すとアルルカントから説教をくらいそうだ。

 

「っと、俺も準備終わったしそろそろ寝ようぜ」

 

「……んっ」

 

オーフェリアは頷いてから俺を引っ張りベッドに入る。布団をかけたと同時に俺に抱きつきて…….

 

 

 

「んっ……」

 

いきなりキスをしてくる。いきなりキスをしてくるなんて珍しいな。何かあったのか?

 

とはいえ最愛の恋人からのキスを拒絶するつもりは毛頭ない。俺はオーフェリアの首に手を回して優しくキスを返す。

 

「んっ……いきなりどうしたんだ?」

 

「……明日から旅行があるからキスする回数が減ると思う。だから今の内に……」

 

「いやいや、既に充分してるだろ?」

 

先週さりげなくキスした回数を聞いたがその時は34538回と言っていた。4ヶ月でこの回数なら充分だろう。ちなみにその内俺からしたキスは1542回らしいが、オーフェリアにとってそれは少な過ぎて不満みたいだが勘弁して欲しい。

 

「……いいえ。八幡とのキスは何回しても足りないわ。自由になった以上遠慮する必要もないし……んっ」

 

オーフェリアはそう言って再びキスをしてくる。はぁ……まあ仕方ないか。言っても聞かないし。

 

俺はオーフェリアを説得するのを諦めてお返しとばかりにキスを返す。明日は朝早く集合だからそろそろ寝ないといけないが……

 

 

「んっ……八幡、大好き……」

 

この少女の笑顔を崩す訳にはいかない。その事実に苦笑しながら俺はオーフェリアを強く抱き寄せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

結局俺達が眠りについたのは午前2時を回ってからだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日……

 

「ふぁぁぁ……眠い」

 

「……ごめんなさい。私の所為で……ふぁ……」

 

北関東多重クレーター湖上のフロートエアポートの特別ラウンジにて俺とオーフェリアは大欠伸をしている。

 

「だらしないぞお前達。冬休みだからって規則正しい生活をしろ」

 

俺とオーフェリアがそろって欠伸をしていると隣に座っているリースフェルトがジト目で注意をしてくる。

 

俺とオーフェリアは星導館の5人らと合流して飛行機の搭乗時間を待っている。ラウンジの外からは俺達がこれから乗り込む飛行機、それも王室専用機が滑走路にて待機している。

 

「仕方ないだろ。昨日はオーフェリアが寝かせてくれなかったんだよ」

 

何せ2時間以上キスをして眠りについたのは午前2時を回ってからで、起きたのは6時と睡眠時間は4時間弱とかなり短いし。こんな事になるなら早く寝て早起きしてからキスをすれば良かったな。

 

「なっ!お、お前達は何をしていたんだ?!」

 

そんな事を考えていると叫び声が聞こえたので顔を上げると茹で蛸のように真っ赤になったリースフェルトがいた。周りでは天霧と刀藤がリースフェルト同様真っ赤になっていて、沙々宮はこっくりこっくり寝ていて、エンフィールドは『あらあら』とばかりに微笑んでいる。

 

「あん?普通に夜中の2時までキスをしてただけだが?」

 

「……は?き、キスだと……?」

 

リースフェルトは真っ赤な表情から一転、ポカンとした表情に変わる。さてはこいつ……まさかと思うが俺とオーフェリアが夜の営みをしていたと思ってたのか?

 

だとしたら不正解だ。何度か理性が吹っ飛んだ事はあるが全部本番には至ってないし。

 

「そ、そうか……ま、まあアレだ。余り紛らわしい言い方をするな」

 

リースフェルトは安堵の表情を浮かべながら注意をしてくる。まあ確かに寝かせてくれなかったって言い方は誤解を招くな。以後注意しよう。

 

そう思っていると特別ラウンジにアナウンスが流れ出した。いよいよ搭乗時間のようだ。

 

それを確認すると全員が立ち上がり搭乗口に向かった。つーか沙々宮の奴寝たまま歩いているのはある種の才能だろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛行機が飛んでから30分、現在乗員7人はソファー型のシートに背中を預けている。流石王族専用機だけあって快適でゆったりとくつろいでいる。

 

1人を除いて。

 

「ご心配をおかけしてごめんなさいです……。わ、私、小さい頃から飛行機が大の苦手で……」

 

刀藤は飛行機に弱いらしく顔色を悪くしている。今にも吐きそうだ。

 

「飴でも食うか?少しはマシになるぞ」

 

「す、すみません……」

 

俺も飛行機にそこまで強くないので酔い止めの飴を買ってきているのでそれを刀藤に渡すと、弱々しい表情をしながらそれを受け取る。

 

ーーと、

 

「きゃっ!」

 

ガクンと機体が揺れて、刀藤が天霧に向かって倒れ込み、そのまま腿に顔面をぶつけている。アレは痛そうだ。

 

慌てて起きようとしているも腕に力が入らないのか直ぐに天霧の膝に倒れこんでしまった。今更だが普段の刀藤って戦っている時と差があり過ぎだろ?

 

「あ、あのっ、ご、ごめんなさいです……!わたし、直ぐに……!」

 

「いいよ、綺凛ちゃん。この方が楽だろうし、落ち着くまではこのままで」

 

「えっ?!で、でも……」

 

「いいから」

 

天霧はそう言って刀藤の柔らかそうな銀髪を撫でると、刀藤は申し訳なさそうなーーーそれでいてどこか嬉しそうに小さく頷いた。

 

「ぐぬぬ……」

 

「くっ……」

 

沙々宮とリースフェルトは何か言いたそうな目で2人を見ているが天霧の奴、本当に女たらしだな……

 

若干呆れながらそんな光景を見ていると服を引っ張られたので横を見ると……

 

「八幡」

 

オーフェリアが話しかけてくる。

 

「何だ?お前も飴を食べたいのか?」

 

そう尋ねるとオーフェリアは首をフルフルと振って……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……私も膝枕して欲しいからしてくれるかしら?」

 

そう言ってくる。

 

瞬間、俺とオーフェリア以外の5人は俺を見てくる。この馬鹿!堂々と膝枕を要求するな!マジで恥ずかしいんですけど!

 

俺がオーフェリアに突っ込もうとするが…〜

 

「…………」

 

不安そうな表情をしながら上目遣いで俺を見てくる。俺はその目を見て抵抗を諦めた。この表情をしたオーフェリアのおねだりを断るのは彼氏として不可能だ。

 

「……わかったよ。好きにどうぞ」

 

「……んっ」

 

オーフェリアはコクンと頷いて俺の膝の上に頭を乗せる。ズボン越しにオーフェリアの頭の重みを感じてくすぐったい。

 

「……八幡、頭も撫でて」

 

「はいはい」

 

もうどうにでもなれ、そう思いながらオーフェリアのサラサラな髪をゆっくりと撫でる。

 

「あらあら。仲睦まじいですね」

 

「その顔腹立つから止めろ」

 

予想通りエンフィールドは凄く良い笑顔を見せてくる。大抵の男を魅了する可愛い笑みだが俺からしたらあの笑顔を今直ぐ殴りたい。

 

「ふふっ、それはすみません。それにしてもあの『孤毒の魔女』がこんな乙女な表情をするとは思いませんでしたわ」

 

「だろうな。中等部の頃なんていつも無表情だったし」

 

初めて会ったのはレヴォルフのベストプレイスだったが、会った当初は少し離れた場所でお互いに無言で飯を食っていたしな。

 

「……八幡に恋をしたから変わったのよ。八幡が私の失った感情を取り戻してくれたから」

 

あのー、オーフェリアさん?そう言ってくれるのは恥ずいんで止めてくれませんか?全員の生温かくも優しい視線が辛いですから。

 

内心そう突っ込んでいるとオーフェリアがリースフェルトに話しかける。

 

「……変わったと言えばユリス、貴女も昔に比べて大分変わったわね」

 

「私か?……まあ、そうだな。大分変わったかもしれんな」

 

「そう……やっぱりユリスも恋をしたの?」

 

オーフェリアが平然と爆弾を投下してくる。こいつ物事をハッキリと言うからな。俺は大分慣れたがリースフェルトには厳しいだろう。

 

「なっ……!な、な、何を言っているんだ!私は別に……!」

 

「……違うの?てっきりユリスは天霧綾「オーフェリア!」……っ」

 

リースフェルトは真っ赤になりながらもオーフェリアの口を塞ぐ。オーフェリア、お前頼むから空気読め。

 

「え?俺がどうかしたの?」

 

「な、何でもない!だから気にするな!」

 

「あ……う、うん」

 

天霧は不思議そうな表情をしながら踏み込まなかった。正しい判断だ。ここで踏み込んだらリースフェルトは自爆するだろうし。

 

「はぁ、はぁ……オーフェリア、私は別に好きな人は特には……」

 

いやその表情で言っても説得力ないからな?

 

「……まあユリスが良いなら文句は言わないけどいざという時にしっかり素直にならないと後悔するわよ。私の場合、ライバルが強力だったから常に素直になっていたわ」

 

まあ最終的にはオーフェリアも、そのライバルであるシルヴィも共に俺の恋人になったけどな。

 

しかし天霧の場合、あいつ真面目そうだから全員を選ぶってのはないだろう。しかもあいつ鈍感っぽいし、素直にならないとかなり不利だろう。

 

「……まあ、そうだな。今は無理だと思うがいつかは素直になってみるとも」

 

「そうね。クローディア・エンフィールドくらいまでとは言わないけど、ある程度は素直になるべきだわ」

 

オーフェリアがそう呟くとエンフィールドが不思議そうな表情を見せてくる。

 

「あら?ランドルーフェンさんは私の事を知っているのですか?」

 

エンフィールドがそう尋ねるとオーフェリアは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ええ。シルヴィアから貴女が天霧綾斗の腕を掴んで自分の胸を揉ませたと聞いたわ」

 

 

核爆弾を投下した。

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